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激変する世界を生き抜くための「ライフシフト」実践法 (全3記事)

お金を稼ぐために必要なのは「信用・価値・時間・健康」 会社では教わらない「仕事を作る」という考え方

大人の自分らしいライフシフトを支援する「ジーニアス・ファインダー」は、30代40代に向けて実践法を伝える無料セミナーを開催しています。今回はその中から「激変する世界を生き抜くための『ライフシフト』実践法」をテーマに行われたセミナーの模様をお届けします。『ジーニアス・ファインダー』著者の山口揚平氏が、「仕事を作る」ことについて、これからの社会に求められる3つの産業について語りました。

「就職」だけではない、これからのキャリアの作り方

山口揚平:私のこれまでのキャリアは、まず20代前半に就職しました。だいたい3年半で同期の3分の1ぐらいが辞めるんですけれども、体調を壊して辞めるケースもあって、僕も20代後半に退社し、模索する時期が続きました。

「就職の時代」と言ってますけれども、僕は大卒の10パーセントから30パーセントぐらいが既存の会社や大企業に就職すればいいんじゃないかなと思います。むしろどちらかと言うと、これからのキャリアの作り方は、20代からバイトとか受託だとか起業だとかして、自分で作っていくことが大事なんじゃないかなと思っています。

もし就職するんだったらホワイト企業、それからスキルの身につく企業、あるいは将来の信用が手に入れられる会社。この3つしかないなと思います。それ以外の会社に就職する時代じゃない。

その会社を選ぶ時に大事なのは、会社が信用を持っていることです。実力をつけるなら外資系になっちゃうし、信用をつけるなら財閥系になっちゃう。

それ以外の会社では、全部がガラガラポンする時代の中で将来使えるスキルとか知見は、身につかないと思います。もしそれが身につくんじゃないかなと思ったとしたら、遺伝子的発想に弱いと思います。

仕事を学ぶための「メンター・マスターライン」

変化する時に強いのはゼネラリストなので、どんな状況でも対話できることが大事です。どう育てるかというと、どこの会社というより、誰につくかということが重要になります。僕らは「メンター・マスターライン」と言っています。

仕事というのは雑誌や本を見て学ぶものではなく、身体で学ぶものなんです。「身体知」という、言語化できないものです。コミュニケーションの作法とか、考える仕組みとか倫理観とか、言葉の使い方とか。だから、誰かマスターがつかなきゃいけない。あるいはプライベートな関係ではメンターがつかないといけない。こういう昔ながらのやり方の中で、身体知を持って学ばなきゃいけないんです。

今はコロナで物理的に会いづらいんですけれども、なんとかロールモデルを見つけて、そこからモデリングすること、盗むことが(仕事を覚える)最短距離なんです。そのためには師匠を見つけることが本当に重要だと思います。僕のキャリアもそうやって作られてきました。

自分のキャリアの本質は、ファイナンスとかM&Aができるとか投資ができるとか、そういうことではまったくありません。考え方とか価値基準とか意識の動かし方とか、なかなか言葉にしづらいものであるというのは間違いないです。

「お金を稼ぐ」を表す5つのフレーム

お金を稼ぐ活動というのは確かにあります。でもお金というものがどう稼がれるかというと、この5つのフレームを見てほしいんです。

一番上に「お金」がありますが、根本的にお金とは何かというと「信用」なんです。

みなさんもクラウドファンディングで考えてみるとわかると思います。クラウドファンディングで手を上げた時にお金が集まるかどうかというのは、その人が今までに貯めてきた信用と、構想力がいいかどうかです。

構想が良くても、信用がない人はお金は貯まらないです。あるいは信用があっても構想がちゃっちいと、やっぱり「つまんないなー」ということで貯まらないかもしれない。

でも、日本は島国なので、どちらかというと信用が社会に編み込まれているんです。若い時にどうしてもやらかしはしてしまうんです。僕だってやらかしたことがあります。でもこれからは、全部がガラス張りになります。しかも島国です。島国のガラス張りって非常に痛くて、信用を失いがちなんですね。

でももし信用があれば、クラウドファンディングとかでお金を集めるという方法を考えることができるんです。

価値=(専門性+確実性+親和性)/利己心

お金はそもそも信用を外部化したものです。この信用は何かというと、「価値」から生まれます。つまり「相手のことを思いやる」ことなんですよ。

相手のことを思いやることが、貢献するということです。自分のジーニアス、自分の才能を貢献に変換する作業が仕事の定義だと思います。この価値が貯まっていくと、信用になるということですね。

価値が1日中20、30、40、50と、楽天みたいにポイントが貯まって、ある日1000ポイントになる。消費とは逆のパターンですね。価値を提供するというパターンで信用が貯まって、お金が入るということです。

その価値の源泉は「時間」なんです。時間を価値に変換するものを「スキル」と言っています。そのスキルの定義は、「時間から価値への転換効率」のことを言っています。

僕は厳密な定義をちゃんと方程式化することが大事だと思っています。価値はどうやってくくるかというと、しっかりコミットしてやってくれる「専門性」と、きちんと最後までやってくれる「確実性」と、それからコミュニケーションがやりやすいという「親和性」を全部足して、利己心で割るんです。(価値=(専門性+確実性+親和性)/利己心)

結局その人が自分にベクトルが向いているとか、自分をどう思いたいかという考えが強いと、価値は下がります。分子にあたる専門性が5、確実性が5、親和性が5、合わせて15だったとしても、利己心が5だったら、結局の価値は3なんです。でも利己心が1だったら、15÷1で価値は15なんです。圧倒的に「利己心」というベクトルの問題で変わってくるんです。

「仕事を作る」とは、信用・価値・時間・健康を整えること

この利己心はどうすればいいのかと言うと、それはジーニアス・ファインダーとはまた違う問題です。どうやって相手にベクトルを合わせるかというのは、また違う修行が必要になります。

また背景にあるものとして、時間の裏側にあるのが「健康」です。若い子は美容とか意識していて、特に女性の場合はルッキズムを意識していると思っています。僕はそれはすごくいいと思ってるんですけれども、本当に健康って大事です。

健康=エネルギーです、健康=お金です、健康=資本ですといろいろ言いますよね。僕は昭和生まれなので、ちょっとすかした感じで、体に毒だということもしたくなっちゃうんですけど。いやいや、健康=お金なんですよ。

なぜならば健康というエネルギーがあって、それが時間につながっているから。僕は体を壊しているので、もはや1日3時間しか働けないんです。だからすごくややこしい状況です。

その時間が価値転換して価値に活かされて、それが信用になってお金になる。この5つの項目をきちんと整えていくことが、そもそも「仕事を作る」ということです。

こういった話は、会社で教えてくれるわけではないんです。会社は「仕事しろよ」と言うだけなんです。給料を払う代わりに、裏側にある信用・価値・時間・健康を害した働き方が平気で行われたりする。これがすべての問題かなと思います。

これからの「仕事を作る」3つの産業

仕事というものは、そもそも自分で作っていかなきゃいけない。それは「会社に所属すること」ではない。もし会社に所属するんだったら、それは信用を得るためか、スキルを活かせるようにするしかなくて、そういう会社は外資や財閥系に限られていて、少ないです。

であれば、そんなに就職にこだわるんじゃなくて、自分の信用を作っていく。どうせ自分しか信用しないし、会社は辞められるので、スキルを身につける方法としてメンターマスターを作っていくことが必要になるかなと。

じゃあどんな産業で仕事を作っていくのかというと、産業転換を行っている産業です。一番最初に話したように、テレビとか新聞とか、メディアはもうだめです。それはもうしょうがないことなんですよ。テクノロジーが進んで、同じ情報が同じテレビや新聞といったデバイスではなく、もうパソコンで見られるわけですよね。

そうしたらYouTubeにいきますよ。おもしろいところに、低コストなほうにいきますよね。でっかいビルを建ててコストをかけて芸能人をコントロールしても、「みんなにおもしろいもの」は「1人にとってはつまらないもの」なので、「個別におもしろいもの」に分かれていくんですよね。

それから建築産業も、事業の中心がメンテナンスに移っちゃうし、自動車産業に関してもちょっと厳しい。そうなってくると、僕が考える新しい産業の3つはやらなきゃいけないんです。

日本の強みが発揮される「ロボティクス産業」

1つがロボティクスです。ロボティクスというのは、車の延長にあるんです。車の産業がすごくよかったのは何でかというと、なんだかんだ言って日本って統一民族なんですね。本当は統一民族ではなくいろいろありますけど、阿吽の呼吸でバケツリレーができるんです。

アメリカ人はこれができないんです。ヒスパニックもいるしブラックもいるし、中華系も日系もいます。役割をきっちりと言語化するとやってくれるんですが、そうすると穴が開いちゃって、結局うまく埋まらないので、丁寧なバケツリレーができないんです。これ(言語化できない知識)を「暗黙知」と言うんですけども、擦り合わせができないです。

この長い長いレールを「バリューチェーン」と言います。モノができて、納品して、保険とかアフターサービスとかがあって、中古になって……という、すごく長いバリューチェーンがあるんですが、阿吽の呼吸で擦り合わせできると強いんですよ。

車がちょっとだめだよねとなってきたら、当然単純なこととして、それはロボティクスのほうにシフトすべきだと思うんですね。我が国には資源はない。使えるのは労働力ですが、労働力もこれからなくなります。

この島国のちょうどいい労働人口が使えるもの。それは擦り合わせによって加工された、より付加価値の高いものを作るしかないわけです。

ロボットは車と違って空を飛ぶし、危険な放射線の中も行くし、宇宙にも行くし、家の中でも働くわけですね。そういう意味では非常に大きな市場があります。

僕は「日本の強みは長いサプライチェーン」と書いていますけれども、こういった理由でロボティクス産業を推しています。ですからキャリアに悩んでいるんだったら、(ロボティクス産業を選択肢の)1つとして考えたほうがいいんじゃないかと思います。

少子高齢化で起きる課題に対するアプローチ

もう1つは「新しい医療システム」と書いてますけれども、我が国の一番の大きな課題が少子高齢化です。世界で一番進んでいるわけですね。社会保障費は国家予算の60パーセントぐらい、約40兆円かかっているわけですね。みなさんの給与明細でわかります。

(本当はこの予算額を)削減しなきゃいけないんです。でもそうすると、今の保険制度は成り立たない。病院の経営も成り立たないし、遠隔医療やテクノロジーを使った遺伝子検査もしなきゃいけないし、みんなには未病・予防もしてもらわなきゃいけない。保険の規格も制度も変えなきゃいけないと、全部変わってくるんですね。

なので看護師さんになろうとか、保育師やお医者さんになろうとかそういう話じゃなくて、医療のシステム全体を変えていくところにものすごく大きなチャンスがあるんです。

なぜならば、40兆円というコストがかかっているからです。それを削減してなんとか3分の1、10兆円から20兆円の間にしなければこの国は破産です。なのでシステム側には、これから産業が拡張していくものすごい可能性があります。

3つめはコミュニティマネジメントです。少子高齢化で人がすかすかになってきて、孤独と孤立が社会的問題になっていますよね。そうするとコミュニティを作っていくリーダーが必要になってきます。

これは今までの選挙で勝つとか地元の議員だとか、そういうことではありません。コミュニティオプティマイザーというちゃんとした職業があって成り立つところまでいくと思っています。

このロボティクス、新しい医療。そしてコミュニティという3つの産業が、おそらく2025年以降に中核となるんだと僕は思っていますし、産業として狙っていったらどうかなと思います。

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