2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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小巻亜矢氏(以下、小巻):ちょっと話は変わりますけれども、サンリオグループの話をしたいと思います。サンリオという会社は1960年にできました。先日、創業者の辻信太郎会長が代表取締役会長を退任して名誉会長になります、というニュースを会社から発信しました。
御年94歳、ここまで現役で会社をずっと引っ張ってきたスーパーカリスマ社長なんですが、なぜこのサンリオという会社を作ったのか? という話は、「幸せ」にすごくつながるお話なのでさせていただきたいと思います。
(サンリオは)キャラクターの会社だと思われていて、もちろんそれは大きなビジネスの軸なんですが、「ソーシャルコミュニケーションビジネス」というふうに言っています。これを興した会長の思いは、戦争体験からきてるんですね。
第二次世界大戦中に青春時代を送り、本当に今、ウクライナで起こっているような状況が日本でも起こってたわけです。民家にどんどん焼夷弾が落ちてきて、逃げていたおばあさんが目の前で亡くなるとか、赤ちゃんをおんぶしたなんの罪もない女性が亡くなっているとか。
そういうことに憤りと悲しみを感じた青年が、起業する時に「戦争のような愚かなことを絶対に人はしてはいけない。戦争反対!」という会社を作るんじゃなくて、「思わず人と人とが仲良くなっちゃうような仕組みを作りたい」ということで興したのがサンリオです。
小巻:最初は、キティちゃんもマイメロディもいなければ、シナモンもまだまだ生まれる前なんですが、一番最初はイチゴの柄から始まりました。ちょっとしたノートやメモやハンカチに、イチゴがついてたらかわいい。そんなに高額なものじゃなくて、子どもがお小遣いで買えるようなもの。
スライドの右上に「Small gift Big smile!」と書いてありますが、小さな贈りもので大きな笑顔になってもらえるようなことをやっていこうということで、グリーティングカードや鉛筆やハンカチとか、そんなものからスタートしています。
思いは、「世界中がみんななかよく」。そのためのコミュニケーションツールとしての、ギフトとかグリーティングカードです。そしてメッセージを集約した『いちご新聞』や、いろいろな出版物、映画も作ってきました。
ベトナム戦争後の戦災孤児を預かった、アメリカ人のファミリーのドキュメンタリー映画(『愛のファミリー』)を作りまして、それはなんとアカデミー賞もいただいています。本当に思いがブレてない、創業会長が引っ張っていった会社なんですね。
その時々で、会社を表しているすごくすてきな言葉があって。「世界中がみんななかよく」というのは創業以来ずっと変わらずに、私たちの一番上にポラリスとして掲げている言葉です。「Small gift Big smile!」というものがあって、それから「幸せとは、愛することを知ること」という、すごく哲学的で深い言葉。これが、テーマパーク事業の根幹にある、私たちが大切にしている理念の言葉です。
「幸せとは、愛することを知ること」。深いですよね。一人ひとりがこれを噛み砕いて理解して、また自分の後輩に伝えていくのは本当に難しい言葉でもあるんですが、「いったいこの言葉の意味は何だろう?」ということを折に触れて考える。
小巻:まずは自分自身が幸せであり、自分の身近な家族や仲間が幸せで、それがあって初めてみんなと仲良くなっていくということで、幸せとはまず「愛することを知ること」です。
「自分を愛すること」を知ることでもあるし、自分の仲間を愛すること、そしてその愛を広めていくことなんですよね。幸せとは「愛すること」じゃなくて、「愛することを知ること」にしたところが、すごく深いですよね。
これは私もとっても好きな言葉で、「自分たちのパーパスは何だろう」「何のために、この時代に私たちはこの仲間と出会って、この仕事をしているんだろう?」と考える時に、必ず立ち戻る言葉でもあります。「幸せとは、愛することを知ること」を理念にテーマパーク事業をずっとやってきて、2020年に30周年を迎えました。
コロナ禍になってしまったので経営は厳しいんですが、たくさんのお客さまの「なくならないで」という声に支えてもらって、なんとか前を向いてがんばっていきたいなと思っています。
そして「KAWAIIで世界を塗り替える」。これは、ピューロランドが30周年の時に掲げた言葉です。30周年を迎えるにあたって、2018年ぐらいから「30周年を機にどういうメッセージをお届けしようか?」ということをみんなで考えました。
もちろん「幸せとは、愛することを知ること」「世界中がみんななかよく」という思いは変わらずにあるんですが、30周年から自分たちがどういうあり方でいくか。コンテンツに込める思いとか、いろんなことを考えた時に、「KAWAIIで世界を塗り替えよう」と。
もちろん、これは「ドメスティックなテーマパークで終わるつもりはないぞ」という気概も籠もってるんですが、かわいいものだけではなくて、デジタルを通したいろいろな可能性を追求しながら、かわいいパワーで人を幸せにしていけるんじゃないかということで、「KAWAIIで世界を塗り替える」というメッセージを発信しました。
小巻:まさかコロナのような状況になるとは思ってなかったんですが、そんな中だからこそ、他にもつながれる方法はあるということをみんなで共通体験しましたし、デジタル化が急速に進んだ2年間でもありました。
そしてOne World, Connecting Smiles」という言葉です。サンリオグループとしても、辻創業会長の孫である若い社長に生まれ変わりました。
ここからまた発信していくメッセージをみんなで考えて、「Small gift Big smile!」ということのみならず、これからのサンリオは少しでも多くの人の笑顔をつないでいくんだということで、中期経営計画の中で「One World, Connecting Smiles」という言葉を発信しています。
サンリオは、こんな文化の会社なんですね。先ほどの「Kawaiiを研究する」ということだったり、テーマパークだけれども「誰一人取り残さない世界へ」というSDGsを発信していくとか、いろんなことにチャレンジをしているところです。
ウェルビーイングというのは、ベースにある大切なコンセプトです。働き方やサービスもそうですし、あらゆるところで「ウェルビーイングを損なっていないかどうか」が1つの行動の指針にもなります。
小巻:行動の指針になるということは、会社としてもそうです。一人ひとりの社員が生きていくうえでまずは自分自身が健康でいること、ということも口を酸っぱく伝えています。社員と1on1をしているんですが、その中でも必ず「健康診断に行っているか?」ということと、女性であれば「生理は順調に来ているか?」ということも聞き、「なにかあったら1人で抱えないで必ずシェアをしよう」と声をかけています。
私自身が癌を経験したりと、自分の体をないがしろにしてきた大反省もあるし、「自分と仲良く」ということができてなかった時期が実は長くて。40歳前半くらいまで、本当に自己肯定ができない人生がありました。
今はそんなことはまったくないんですが、まずは「自分と仲良く」ということを一人ひとりのウェルビーイングの基本において、健康であるか、そして心が疲れていないかを聞いているような状況です。今は心が疲れている人が多いんですが、先日あらためて、加藤諦三先生の『心の休ませ方』という本を読みました。
ブレインフォグ(頭の中にモヤがかかったようにぼんやりして、物事が思い出せない状態)という言葉があるように、長引くコロナ禍、そして緊迫した世界情勢の中で、脳に霧がかかったようにぼんやりしてやる気が出なかったり、ちょっと心が疲れて自分の存在がとてもちっぽけに思えて、幸せを感じられないような人がすごく多くなっています。
私も今はこんなに元気に見えますが(笑)、実は今年に入ってから、今までとは違う「このまま鬱になりそうだな」という瞬間が何度もあったんですね。その時に自分を奮い立たせるため、最近「ありがとう」って意識していないなと思って、「こんなこともありがたいな」「こんなことがありがたいな」というありがとう探しをしたらちょっと元気が出てきて。
そうすると「やってみよう」「自分は自分でこのままでいいんだ。ありのままでいいんだ」という気持ちになって。本当に(前野氏が提唱する、幸せの)4因子は素晴らしいなと思います。
小巻:「やってみよう」という気持ちになれない時に、何から始めたらいいのかというと、私は自分が子育てをしていた時、子どもが寝る前の絵本を読む時間の最後に「ありがとう探しゲーム」というものをやってたんです。
子どもは小さいからまだよくわからないですが、私が「○○ちゃんと○○ちゃん。今、ここにいてくれてありがとう」と言うと、向こうは「マミー、いてくれてありがとう」と言うわけです(笑)。お互いに「ありがとう」のラリーをしていくゲームなんです。
今日お聞きの方の中には、子育て中の方もいらっしゃると思うんですが、子育て中はまさにイライラという感情と切り離せないような時期かと思います。
子どもを産んで、出会えて幸せなことは間違いないんだけどイライラする。そんな時も「ありがとう因子」が活発になると、すごく心が滑らかになって、「明日もがんばろう」という気持ちになれる。そんな「ありがとうゲーム」をずっとやってきたことを、最近また思い出したんです。
年が明けて、自分自身もがんばるんだけど、なかなかやる気が出てこない時に「ありがとう探し」をしてみたところ、幸せ度が芋づる式に少し上がってくるのを感じました。前野先生の研究は実践的であり、本当にそのとおりだなとあらためて思っている次第です。
小巻:話があっちへ行ったりこっちへ行ったりしちゃいましたが、「幸せ」「愛」「笑顔」という言葉にどっぷり浸かる会社にいながらも、なかなか幸せを感じられなかったりすることはあるんです。
そんな中でも、やっぱり前を向いてやっていきたいし、今日は「しあわせをシェアする」というテーマなので、もし疲れたら、ぜひピューロランドに来てみてください。という宣伝でもあるんですが、試しに来てみてください。
最近、お一人さまの男性のお客さま方も増えているんですね。ばつ丸くんとかポムポムプリン、シナモンやけろけろけろっぴとか、わりと男性でも馴染みのあるキャラクターが最近またリバイバルで活躍しています。
Z世代、アルファ世代の方たちは、なんのためらいもなくみなさんカチューシャをして楽しまれていて、笑顔になってお土産も買って帰られて行きます。さっきも言いましたが、お父さん世代も「子どもの時の思い出にもう1回浸りたい」というのもあるし、今はなかなか海外に行けないので、異文化体験みたいな感じで来ていただくのもいいかなと思います。
ぜんぜん今日は宣伝するつもりはなかったんですが、しあわせ度をアップするという意味で、ぜひピューロランドとハーモニーランドを活用いただけるといいかなと思います。別に(実際に現地へ)いらっしゃらなくても、公式のYouTubeを見ていただくと、キャラクターたちが他愛もないことで笑わせてくれるので、ぜひ癒やされていただければと思います。
小巻:最後に、どうしてもみなさんとこれを共有したかったんです。毎月発行している『いちご新聞』という新聞があって、その冒頭には会長が自ら原稿を書いて「いちごの王さまのメッセージ」というのをずっと欠かさずに発信をしているんですね。
「手紙を書こう」「友だちを大切にしよう」「家族を大切にしよう」「自分を大切にしよう」とか、説教がましくなくかわいらしくメッセージをずっと発信してくれています。
ご自身の戦争の体験から、いつも8月号には「戦争は悲しい。戦争があっちゃいけないね」というメッセージを発信するんですが、「人と人は如何なることがあっても、仲良く助け合っていくことが大切です」というのがベースになるメッセージなんです。
「戦争はいけません」と言っているんじゃなくて、「仲良く助けあっていくことが大切です」と言っている。これを、ポストカードにして配布をしたりしています。今、私たちはこの時代に何ができるんだろう? と思いますが、ちょっとかわいらしさをオンする。
脳は否定形を理解しないとよく言われますが、「戦争」という言葉をなかなか見たくないという思いもあるので、「戦争反対」と言うのではなくて、「仲良くしていこう。それが幸せのベースにあるよ」ということを、ずっとずっと60年間変わらず言い続けています。
一日でも早く、対立ではなくて対話で、罪のない人たちが傷つけられるものは耐えられないなと思いますので、そんな祈りを込めて今日はこれをみなさんに共有したいなと思いました。それぞれ、感じることを感じ取っていただければと思います。
小巻:幸せのかたちも感じ方も、表し方もいろいろあると思います。私の人生では、すごくハッピーで踊りだしたくなって「わーい、ウキウキ」という時もたくさんあります。
今日のshiawaseシンポジウムを機会に、「幸せって何だろう?」「今、自分は幸せの役に立つことができるか?」「もっとこれからできることは何かな?」と考えた時に、とりとめのない話になってしまって恐縮なんですが、こんな話をしたいなと思いました。
みなさんはそれぞれ、どんなところに・どんな思いを抱えていらっしゃるんでしょうか。20年、30年、40年、50年、60年という道のりを経て、今日のこの時に集ってるわけですが、それぞれの経験から来る「幸せの価値観」は一人ひとり違う。
でも、自分の幸せをたっぷり許して、自分がもっと幸せになる。もっと幸せになってそれをシェアするという、志向性のあるみなさんが集まっていらっしゃるんだなと思います。
決して無理をしないでください。本当に自分の心が大切なので、見えないだけにどう大切にしていいかが難しいですよね。自分を大切にするって、意外と難しい。繰り返しになりますが、その時に「ありがとう」はすごく効き目があります。
実証実験済みなので、「今はちょっと心が疲れている」「シェアするほどの幸せを持っていない」とか、そんな気持ちになれない時。今はそうじゃなかったとしても、この先の人生でそういう時があったらおすすめしたいのは、ピューロランドに来ることもありますが(笑)、まずは身近な「ありがとう探し」をしてみることで、しあわせを能動的につかんでいただけるといいのかなと思います。
基調講演なのにゆるい話で申し訳ないんですが、今、私が感じることをつらつらとお話させていただきました。
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