「変化に適応すること」に対する免疫力をあげたコロナ

ーーコロナ禍となり2年近くが経ちましたが、世の中の「あたりまえ」や「価値観」に大きな揺らぎがあったと感じています。熊平さん自身、さまざまな企業の方とたくさん話をする機会があると思いますが、その中で価値観の揺らぎを強く感じたエピソードがあれば教えていただきたいです。

熊平美香氏(以下、熊平):ありました。やはりコロナという前例のない出来事で、私たちの暮らしや仕事がすべて大きく変化しました。

それまでは、リフレクション(内省)の話をする時に、「VUCA(ブーカ)の時代ですから、前例を踏襲しない考え方は大事なんです」「リフレクションが必要なんですよ」と一生懸命説明していたんです。ですが、その時に「前例がなくて複雑で曖昧で……」とVUCAの説明からしないと、みんなが「え?」となって(笑)。なかなか話が通じなかったんです。

でも、今ではVUCAの説明がいらない。コロナのおかげで、みんなが変化に適応しなければいけないことをリアルに体感できたのだと思います。大変ではありましたが、ある意味良いことだったと見ています。学習することや、適応することに対する免疫が上がったと思います。

価値観を形成する「認知の4点セット」

ーー最近「価値観のアップデート」という言葉をよく耳にするなと感じています。働き方についても、リモートワークという新しい働き方の考え方にアップデートしようという部分もありますよね。

著書の『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』の中で「認知の4点セット」のお話がありますが、そもそも価値観はどのように形成されているのでしょうか?

『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

熊平:もちろんです。私たちは常に何かを体験しながら生きていますが、心に響いた体験は心に残るわけです。そういった経験は、なにかしらの価値観や「ものの見方」の形成につながっています。

例えば犬に追いかけられたら、「犬が怖い」「犬は危険な存在」というものの見方が形成され、逆に犬をかわいがっている人たちは「犬がかわいい」というものの見方を持つ。あらゆる事柄に対して、私たちは経験を通してものの見方を形成していきます。

でも、興味深いのは、人それぞれ気になることが違うということです。例えば私がAさんを「よく話を聞いてくださる人だな」と思っているのに、隣の人は「自分の意見を発言しない人だな」と思うように、同じ経験をしても、その人が見ているものの見方で評価判断が下されるわけです。

私たちには経験を通して価値観を持ち、そのレンズで世の中を眺めるというメカニズムがあります。「経験を通して学んでいる」という言い方もできると思いますが、一方では経験にどんどん縛られてしまうんです。

働き方の揺り戻しから感じる「対話的学び」の重要性

ーー「揺り戻し」も、同じ経験から違う価値観が形成されている例ですよね。オフィスで働いた経験があって、かつリモートで仕事のやりにくさや孤独感を感じると、「前の働き方に戻すほうがいいな」という価値観になるのかなと、書籍を読みながら感じていました。

熊平:そうですね。リモートワークで「あ、リモートでも仕事できるんだ」と確信した人もいますよね。「リアルよりもコミュニケーションが成り立たない」とコロナ以前に思っていたことが覆されるような経験をした人もいると思うんです。

「コミュニケーションが物足りない」と感じた人は「なるべく元に戻りたい」と思うはずです。でも、元に戻りたいと思う人は、自分の経験に頼るだけでなく、「物足りなくない。これでいける」と思った人たちがどんな経験をしているのか、もっと探求すればいいと思うんです。

私たちは「対話的学び」と呼んでいるのですが、違う経験をして違う価値観が形成された人たちから学べばいいんです。それを見ようともせずに「リモートはだめだ」「元に戻したい」と思ってしまうのはすごく残念で、学習のない状態だなと思います。

少なくとも、一定量の人たちが、リモートでも仕事ができることを確信したのですから、その人達の経験から学ぶべきことがあると考えて欲しいです。

ーー「対話」についても具体的なお話が書籍にありました。対立するのではなく歩み寄るのはすごく大事ですよね。

熊平:そう。自分がその考え方に固執するのではなくて、もし別な意見が出ているとしたら「どうしてその人はそう思うのか?」を確かめるべきではないかと思うんです。

パソコン上で仕事をする人たちにしてみれば、正直リモートだろうがなんだろうが関係なかったという話もあるんです。でも対面で人に指示を出す仕事をしている人は、対面で指示が出せなくなった瞬間に寂しい状態になるんですよね(笑)。だから、「寂しさ」という感情のメタ認知をしたほうがいいのではないかなと思いながら見ていました(笑)。

ーー「寂しい」という感情なんですね(笑)。

熊平:周りに人がいない、会社に行っても人がいない。「寂しいな。僕って何なんだろう?」という感じだったのかな(笑)。かわいそうだったとは思いますが、その自分の感情だけでジャッジをするのはよくないんじゃないの? と思います。

価値観のアップデートの一番の障壁は「ネガティブな感情」

ーー対話も大事なのですが、その前にそもそも自分がどんな価値観なのかを知ることも必要だと感じています。価値観をアップデートする方法について、具体的に教えていただきたいです。

熊平:例えば私が社長で会社ではいつも周りに人がいて、呼んだらすぐに誰かが来てくれるような環境で指示をする仕事をしていたけど、リモートになってそういう仕事ができない状況になった時、自分の存在が危うい感じがしますよね。

あるいは、「自分の指示が通らないから、会社が機能不全になるんじゃないか」という気持ちになると思います。それは恐れの感情ですよね。

価値観のアップデートで一番の障壁になるのは感情であり、多くの場合は恐れや悲しみなど、ネガティブな感情なんです。その感情が(変わることを)ブロックして、「今までが正しいんだ」という結論に持っていこうとするわけです。

そして、現状を維持したい私は、「指示はスピーディにやったほうがいいし、対面のほうがコミュニケーションの質も上がる」など、いろんな正当な理由をつけて、対面がいいというものの見方をします。私が「リモートを自分の会社でも受け入れていこうじゃないか」と思うためには、やはり価値観をアップデートしてしなければいけないんです。

今の自分が大切にしている「指示命令・スピード・コミュニケーション・信頼」などのためにも、「リアルに会って対面で仕事をしたほうがいい」と思っている。そういう自分が、「リモートでも大丈夫」と言い出している人たちの世界を探求することが必要です。

新しい価値観を自分のものにするプロセス

熊平:結局、経験が価値観と紐づいているので、その人たちが何を大事にしているのか、どんな経験をしているのかを学んで、自分がしていない経験を自分のものにしていかないと、価値観のアップデートは難しい。だから「自分の境界線を越えてその世界に入ってみよう」ということになります。

そうすると、その中で「良いことってこんなにあるんだ!」という新しい発見があります。まず移動しないから時間がセーブされるし、移動が全部なくなるとなれば会議の数も増やせるなど、良い話もありますよね。

そうして、すべて「良いことだ」と納得していかないと、人間は変化を受け入れられないんですよね。「良くない」と思っていることを「良いこと」にしていくプロセスの中で、新しい価値観が自分のものになっていくんです。

コミュニケーションを良くすることを、目指していること自体が間違っているわけじゃないんです。ただ、これまでのやり方に固執したり、自分が「無理だ」と思い込んでいること自体が残念な結果につながっているので、自分の境界線を超えてオープンに価値観を学んでいくことが大切です。

価値観のアップデートは、ネガティブな感情をメタ認知することから

ーーマイナスの感情をポジティブに変えることが必要なんですね。

熊平:人間はポジティブな生き物なんですよ。自分なりに理由があって、他人から見たらすごくナンセンスなことでも、本人にとってはまじめに良いことなんです。そうやって自分が見えてくると、ネガティブな感情が現れた時には「何かのシグナルだ」と気づいて、リフレクションやアンラーン(unlearn)のタイミングもわかるようになります。

ーーつまり「自分の中にどんなネガティブな感情があるのか?」と突き詰めれば、アップデートができるようになるんですね。

熊平:そう! ネガティブな感情になっている時は、最初に「なぜ私はこのテーマに不快感や恐れを感じるのか?」という背景をメタ認知することがとても大事です。それがわかると自分が何に縛られているのか、どんな価値観を大事にしているから、今その状態になっているのかがわかるようになるんです。

メタ認知がなく感情だけで動いている時は、もはや自分でその感情と自分を切り離すことができないので、どこにも行けないことになります。

アップデートにつながらない「自分の経験に基づく解釈」

ーーなるほど。感情の動きが価値観のアップデートで大切なのはわかりました。ここで気になるのが、記事やニュースなどで「価値観を知ること」は、アップデートのやり方として正しいのかという点です。

例えば「Z世代の価値観」に関する記事を読んだとします。記事を読むという体験や経験にはなるのですが、大きな感情の動きにはならないのではないか。ともすると「わかったつもり」になってしまって終わることもあるんじゃないでしょうか。

熊平:まず、読んで知ろうという意欲があってすごく良いと思います。ただ、その時に、「評価判断を保留にせず、評価判断する」ということが起きているとしたら、残念です。

私がいつもお伝えしていることですが、本や記事を読んで感想を持つ時に、人間は「解釈」をしてしまうんです。それは結局「自分の経験に基づく解釈」で、相手の伝えたいことを本当には理解できないという状況なんです。

「Z世代ってこうなんだな。自分たちとは違うな」「俺たちの時はこうだったけど、そうじゃないんだ」という評価をして記事を読んでいる時には、結局は解釈をして頭の中に入れてしまっているので「Z世代ってこうらしいよ」という話にしかならないんです。ここで必要なのは「評価判断を保留にして相手の世界を聴く」という考え方です。

つまり「Z世代はこう言っている。こうやっている。こんな経験をしている。何を大事にしているから、こうなんだろう?」と、認知の4点セットでその記事を理解しようとする。そうするともはやそれは「自分の世界から見たZ世代」ではなく、「Z世代の世界観っていったいどうなってるの?」という(相手の世界を聴く)考え方なんですね。そうやって評価判断を保留にして学べるかどうかがポイントです。

評価判断の保留ができないと、ズレた学びになる

熊平:また、その記事にすべては書かれていないと思うので、想像・イマジネーションが私はすごく大事だと思います。想像しないと自分の知らない世界はわからないから、「こうかもね。いや、こうかな?」という思考を持ってその記事を読んでみる。そのあとZ世代と話す時に「ねえねえ、こう書いてあったけどどうなの?」と聞くこともできますよね。

そうすると、「自分が理解したい世界」が本当に自分のものになっていき、経験を伴う、自分の枠が広がるような学び方になっていくと思うんです。知識だけを求めていると、自分の解釈でズレた学びをしながら満足していることになると思います(笑)。

ーー評価判断の保留ができないと、せっかくインプットの機会を増やしたとしても、もともと自分が持っているものに当てはめて納得して終わってしまうので、価値観のアップデートにはならないんですね。

熊平:「人間は見たいようにしか世の中を見ない」と言われているのですが、誰もが本能的に、知覚した情報に対して判断を下しています。その判断のバックグラウンドとして、その人の過去の経験だったり、ものの見方や価値観があるというメカニズムです。

なのでリフレクションをする習慣だったり、認知の4点セットで自分をメタ認知する習慣を持たないと、判断を保留するのは難しいと思います。

「このままじゃだめだな」と思った時が、価値観を変えるシグナル

ーー価値観のアップデートについてよく言われるのが、「古い価値観から新しい価値観へアップデートしましょう」ということです。一方で、自分の中には変えるべき価値観と変えなくてもいい価値観が両方混在している気がします。正解がない時代に、変えるべき価値観と変えなくてもいい価値観をどう判断すればいいのか、教えていただいてもよろしいですか。

熊平:リモートがどうかといった世の中的にわかりやすい話もありますが、個人のレベルに落としてみると「今までどおりの方法ではもううまくいかないな」とか「一生懸命やっているのに行き詰まっちゃった」とか、「このままじゃだめだな」というのがなんとなくわかると思います。

私は「このままじゃだめだな」と思った時が、価値観のアップデートが必要だというシグナルです。アクション・行動が結果につながる訳ですが、その行動の手前で、なにかしらの判断をしています。「こうやろう」という判断があるから、そのように行動する。そして判断の前提には、先ほどから言っているような過去の経験やものの見方があります。

だから結果が出ていない時には行動を変えなきゃいけないけど、行動を変えるためには判断を変えなくてはいけないんです。判断を変えるには、自分のものの見方や判断の前提を見直さなくてはいけないという訳です。

価値観のアップデートは、幸せになるために行うもの

熊平:「うまくいかないな」と思っていることから逆算するのは比較的わかりやすいと思います。自分でも「本当はこうしたいのに、こうならない」とうすうす感じることもあると思いますが、そういう時に価値観を変えなきゃいけないんです。

あるいはリモートワークのように、世の中に大きな流れがもう来てしまっていて、自分1人が浮いているけどそれに納得できない時は、自分の価値観を変えなきゃいけないと思います。価値観のアップデートは幸せになるために行うものなので、そういう時が1つのシグナルかなと思います。

価値観はいきなり現れはしないものです。目に見えないもので抽象概念ですから、過去の経験に結びつけると見つけやすいです。

メタ認知の話に戻ってしまうのですが、「自分はどういう経験をしていて、こういう判断や行動を選んだのかな?」と経験を思い出すと、その経験にものの見方が入っているので「○○を大事にしているからそういう判断や行動だったんだな」というところまで明らかにすることがができます。それができると、自分がアップデートすべき価値観が見えてくると思います。

例えばVUCA時代だったら、正解がない時代なので「100点を取る」という概念を捨てなきゃいけないし、「最初から100点は取れない」という事実を受け入れなきゃいけないですよね。だから私はリフレクションと騒いでいるんですけれども(笑)。100点に持っていくためにまず、20点でもよいから行動を起こし、リフレクションをして、最後に100点を取るんだよと言いたいんです。

だけど、「100点を取るのは良いこと」と思っていた価値観が「20点のほうが良い」という価値観へ変わるには、知性が必要になると思っています。最初は頭から入るしかないんじゃないかと思うんです。

「20点が良いってどういうこと? どんな良いことがあるの?」というポジティブな感情に持っていかないと、「20点が良いことだ」という考えを受け入れることはできないんです。でも100点を取ろうとしていると前に進めないし、もう既知の情報でしかないからイノベーションにもならないので、どこにも行けない状態に陥ってしまう。

「主体性」がないところに、価値観のアップデートは起こらない

熊平:世の中にも、すでに言われているような時代が求める「価値観のシフト」もあるし、一人ひとりが個別に持っているアップデートしなきゃいけない価値観もあると思います。でも、どちらにも共通しているのは、「このままじゃうまくいかないとうすうすわかる」という感覚です。

もっと言ってしまいますと、「価値観のシフト」において大事なのは「何を実現したいんですか?」ということです。「ビジョンの形成」という話がリフレクションにもありますが、「実現したいことがあるけどうまくいかない時」に、価値観の見直しをするんです。

でも、その実現したいという意思や主体性がないと、価値観のアップデートはできないと思います。得たいものがあるから人はがんばれるじゃないですか。得たいものがないのにがんばれはしないですよね。

私たちはありたい姿と現状のギャップを埋めることを第三者に委ねている間は、目的がないので価値観のアップデートはしないですよね。なので「何を実現したいか」のほうが大事なんじゃないかなと思います。

ーーつまり「動機の源」の存在が重要なんですね。

なぜ人は簡単に変われないのか?

ーーただ、「変わりたい」と思いながらなかなか変われなかったり、「この行動をやめたいな」と思っていてもついやってしまったりしますよね。人はなかなか簡単に変われない理由について、先ほどのお話と重複してしまうかもしれないんですけども、具体的に何があるのでしょうか?

熊平:(アメリカの著名な発達心理学者の)ロバート・キーガン先生もおっしゃっていますが、固定観念は恐れの感情とくっついているんです。だからまずは自分の恐れの感情と、そこで表れる自分の行動をメタ認知して切り離すことがとても大事です。

だけど、みんな見ない。恐れの感情は嫌だから見ないようにするんです。見ないから手放せない、切り離せないんだと思います。ここをしっかり見ることがスタートであり、とても大事です。

実際にそれを手放していくプロセスをロバート・キーガン先生も教えてくれているんですけど、やはりスモールステップなんです。要は、すぐに無意識にできるようにはならない。変わりたいと思ってすぐにできるようになることを期待するから、みんなすぐに諦めちゃうんだと思うんだけど。こだわりがあることは、よっぽど衝撃的なできごとがない限りは感情と行動を切り離せない。

自分の意識で切り離すのは、すごく知的なプロセスだと思うんです。だから忍耐強く、少しずつ免疫を上げていく感じがいいのかなと思いますね。

私もこのやり方で成功したことがあって。私は共感力が高めで、余計なところでも共感してしまうんです。例えば私は変化を作ることが好きなのに、変化を作りたくないと思っている会社の上層部の人たちと一緒に会議に参加してしまうと、私もトーンダウンするんですよ。

話す元気もなくなるし、いつの間にか「ですよね」「難しいですよね」みたいに、変われないことに共感していて(笑)。それが、自分はものすごく嫌だったんです。それを直したいなと思ったので、免疫マップでその時の自分のぐちぐちした感情や行動を洗い出して、アンラーンを試みました。

私の場合はすごく明確で、周りにポジティブな人たちがいたらめちゃくちゃ良いことを言うんです(笑)。そういう人がいればよいのですが、そういう人がいないという現実の中でどうしたかというと、そういう人が存在することにしたんです。

目の前に私に賛同してくれてるノリのいい人がいて、「だよね! だよね!」と頷きながら話を聞いてくれてるというイメージを自分の中にインプットして。会議にその人がいる状態でしゃべってみたら、けっこういけたんです。免疫ができた。人によっていろいろだと思うんですけど、少しずつ新しい行動を試せると変われるんだと思います。

やりたいと思っているのにできないのは、もう1つのやりたいことがあるから

熊平:あと、「やりたいと思ってるのにできないこと」があるじゃないですか。

ーーはい、あります。

熊平:こういう時って、やりたいと思ってることも(認知の)4点セットで振り返ったほうがいいんです。何かしら、やりたいことを阻害しているもう1つのやりたいことがあるんですよ。

例えば、ダイエットしたいけどおいしいものを食べるのが好き。痩せたいという価値観と、おいしいものを食べることが大事という価値観がバッティングしてるんです。そうやって自分の中にある矛盾もメタ認知して、どうするかを考えるのもリフレクションです。

自分が「これを手に入れたい」と思っているのに何か違うことをやっている時は、「そっちも大事なんだけどこっちも大事」というものがあることを自分で知るのが大事かなと思います。そうしないと、「なぜか欲しいものが手に入らない」とずっと不満な状態になってしまう。でもそれは、別なものを手に入れているということなんです。

ーー自分の中にも相対する2つの価値観があるんですね。痩せたいのについつい食べてしまう時は、「痩せたい」という願望は叶っていないけれども、「おいしいものを食べたい」という大切な価値観は満たされているという(笑)。

熊平:そうそう。2つ以上あったりもするんですよね。目標に到達しない時はそっちばかりを見ているけど、「手に入れてるものもあるか」もちゃんと見たほうがいい。「あなたの心はそっちを選んでたのよ」ということです。

ーーなるほど。ありがとうございます。