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How Might We Work #3|デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営(全6記事)

リモートワークで重要視するのは「KPI」より「定性評価」 オンライン上のやり取りで、経営者は社員のどこを見ているのか?

U-NEXT主催のイベント「How Might We Work」、第3回目となる今回のテーマは「COVID-19、感染拡大からどう変わった? デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営」。新型コロナウイルス感染拡大やリモートワークは、会社・組織にどのような影響を及ぼしたのか。デザインを軸にした事業を展開する経営者4名がイベントに登壇し、デザイナー・デザイン会社の働き方の変化や課題について議論。リモートワークにおいて、経営者たちが社員に対して見ているポイントや、評価制度について語りました。

スタートアップがリモートワークを行う際のポイント

高野葉子氏(以下、高野):ではここから、質疑応答に入っていきたいと思います。みなさんからいただいた質問に答えていきたいと思うんですが、まずはみなさんの中で質問し合いたいものがあれば、先に拾っていきたいと思うんですけれども、いかがですか?

石井穣氏(以下、石井):はい。

高野:石井さん、どうぞ。

石井:業態とか規模感によってリモートの良し悪しはあると思うんですが、僕たちSTUDIOは今、スタートアップで10人から20人ぐらいの規模でやっていて。課題としては、さっき言ったように「熱量が上がらない」とか「チームのコラボレーションが生まれづらい」とかがあるんです。

深津さん的に、今の僕たちの状況だったらリモートワーク推進なのか、それとも集まって熱量高く・泥臭くやったほうが良いのかだったら、どっちが良いと思います?

深津貴之氏(以下、深津):STUDIOさんの場合だと、リモートのほうが良いかなと思います。理由は3つ・4つあると思うんですが、1個目はシンプルに、初期のスタートアップだと人を集められなくてスケールしきれないっていうことが、課題としては大きくなりますし。

熱量の話は、結局スタートアップが大きくなったら、リアルで会っていても熱量は失われていってしまいます。単に時間を遅らせるだけになるので、どっちかというと、リモートの中で熱量を上げられるようにしつつ、むしろ世界中から熱量の高い人を探してこれることのほうが重要なのかなとは思います。フィットする人を探せることに価値があるかなと。

「熱量のある人」との接点をいかに作るか

深津:あともう1つは、STUDIOさんはユーザー・同業者というか、ものを作る人のためのツールを作られているので。自分たちで率先して使えることを考えると、ユーザーの労働環境とSTUDIOのチーム労働環境がある程度近いほうが、物事を発見したりとか、自分ごとにしやすいとは思います。

フリーランスのユーザーさんがいっぱいいる今の環境からだったら、比較的フリーランスに近いような自宅の仕事の仕方は価値があるんじゃないかなと、個人的には思います。

石井:じゃあ逆に、熱量を担保するためにおすすめの施策ってあったりしますか? こばかなさんがさっき言ってた「合宿をする」だったり。

深津:熱量が薄くなるというよりは、熱量がある人と遠くなるから薄くなるっていう感じだとは思っていて。熱量のある人が、いかに他の人と接点を持てるかを考えると良いかなと思ってますね。

なのでnoteで(行っている施策で)、さっき言ったような「CXOと直接ランチできる」だったり、みんなと遊ぶことを積極的に一緒にやるとか、そういうのをやっていくのが重要かなとは思いました。

石井:ありがとうございます。

高野:熱量が高い人から周りに火を灯してく、みたいな感じなんですかね。

深津:うん。

Slackのメッセージ量でチームの様子を見る

深津:もう質問2に行っちゃって大丈夫?

高野:はい。

深津:1個、けっこう気にして見ていることとして、Slackの統計をたまに見ますね。管理者権限があると、パブリックチャンネルとプライベートチャンネルとダイレクトメッセージ、それぞれ会話の量が見れるんですよ。

あれを見ていて、パブリックチャンネルが盛り上がっているのはわりと良いことだと思うんですが、ちょっとうまくいってない、チームビルディングに突入しちゃったチームや会話とかって、だんだんプライベートチャンネル(での会話)がいっぱい増えていって、パブリックチャンネルが減っていったり。

イム・ジョンホ氏(以下、イム):プライベートって、鍵つきの方ですかね。

深津:鍵つきの部屋の会話量が変わらないまま、鍵つきの部屋の数が増えていくと、「コミュニケーションが薄くなってるぞ」とか。

ダイレクトメッセージが異常に増え出してると、「チームじゃなくて担当者同士で何かをやってるのか」「愚痴とか言ってるのか」というのを含めて、「あんまりチームとして機能しなくなってるぞ」となったりします。コミュニケーション量を追っかけるのは、1個の指標として価値があるかなと思ってます。

高野:良いですね。Slackというツールを使っていたら、コミュニケーションが一番ダイレクトですもんね。

深津:なので、パブリックチャンネルがいくつかあって、そこが元気でトラックできてるとか、プライベートチャンネルの量や会話量がコントロールされてるのは、わりと重要なことかなとは思います。

KPIを見るだけではなく、定性的な評価も重視

高野:今、みなさん気になって「うちはどうなんだろう?」っていうのを、すごく見ていらっしゃいそうですね(笑)。

深津:ただ、会社によると思いますよ。例えば、人事と経理のコミュニケーションをダイレクトメールで1to1でやってるところは、ダイレクトメッセージ(の割合が)その分上がるので、「それは割り引いて考えようね」とか。

高野:扱う情報においてってことですね。ありがとうございます。リモートワークにおける社内施策のKPIなんですが、他にみなさんで思い当たるところはありますか?

イム:KPIのね……それを考えたことがない。どっちかというと、社内でやってることに対しては肌感で(測る)。

高野:定性的なほうを大事にされる。

イム:そうですね。

高野:どういう観点で、定性的なところを大事にされるんですか?

イム:会話した時の表情とか、例えば仕事がうまくいってるのか・いってないのか。さっきの話と真反対になっちゃうんですが、どっちかというともの作りって、けっこう泥臭いと思うんですよね。

すごくストレスがかかることだし、それを一人ひとりで解決できる人とできない人がいたりとか。非常にセンシティブなことがたくさんあると思っていて、どうしてもそのへんが気になりますね。

イム:そういう意味でいうと、「KPIを〜」というよりは、全体を自分がどうしたら俯瞰で見られるかを優先しちゃうっていう感じ。ぜんぜん答えになってないんですけど。

高野:対面ならではですよね。

相手の行動や納得感が見えないリモートワーク

イム:対面だったり、仕事してる感じを見た時に自分がどう思うのかとか。会話していて、「この人はこの人の話に納得してないけど飲んでる」とか、わかんないけど(笑)。Zoom越しだとなかなか難しいじゃないですか。

あとは、Zoom越しやリモートだと、その人が席から離れた時にどういう行動をしてるのかが見えにくい。変な話「背中を見る」じゃないですけど、そのへんが(リモートは)なかなか難しそうだなっていう。欲を言えば、っていうことですけどね。

高野:ありがとうございます。こばかなさんはリモート組織で、どういうふうに「背中を見る」ということをやられていらっしゃるんですか?

小林かな氏(以下、小林):そうですね。これ、けっこうKPI化しづらいものかなと。むしろ私はKPIを立てないっていう考え方をするかなと思っていて。

ただ、やっぱりリモートワークにおける課題の1つとして感じるのは、「本当はみんなはどう思ってるんだろう?」とか、それこそ「こばかなは本当はどういうこと考えてるんだろう?」というふうに、勝手に自分自身の物語を走らせてしまうことが起きやすいのかなと思っていて。

だからこそ、単純にやることをやってる感じなんですが、1on1はしっかりやるようにはしてますね。というのも、感情を溜め込まずにしっかり伝えるべきことをきちんと伝え続けていくと、組織ってそんなに大きく歪むことはないかなって思います。

さっきもちらっと言ったんですが、例えば1on1の時間を1時間カレンダーに入れても、本当に重要なことって、意外と50分ぐらい経ったところで開始したりとか。そういうことってよくあるから、ご飯(を一緒に食べる)ことって大事なのかなって思うんです。

1on1を夜の時間帯に入れて、「このあと別に何の予定もないよ」という時間に、ゆっくり話すことは定期的にやってますね。これは数値化できるものというか、感情的な問題かなと思ったりします。

経営者が実践する、自宅の仕事環境の整備

イム:ちなみにZoomをやっていて、お互いに画面や音とかが聞き取れないとか、いろいろあるじゃないですか。それですごくストレスがあると思っていて。みなさん、社内のそれぞれのデスクにおいて、リモートでの会議用の環境ってバッチリ備えてる感じなんですか? どういう感じなんですか?

小林:私たちはそこは整ってるかなとは思ってますね。もし整ってない人がいたら、会社でWi-Fiの環境を負担するとか、ぜんぜんして良いかなと思ってるので。そこは都度、解決できるんじゃないかと思ってます。

石井:僕はもともと整ってなくて。1LDKに2人で住んでいて、リビングでこんぐらいの距離でお互い違う仕事して、違うZoomのミーティングしてる、みたいなのもあって、最近引っ越したんですね。自分の作業場ができてすごく効率も良くなったし、集中力も上がりましたね。やっぱり、そういう場は社員には作っていかなきゃなと思いました。

深津:うちは環境はメンバー依存なので、人によってぜんぜん違うんですけれども。

イム:みんな凝り性だからね。

深津:みんな凝り性。すごい一眼レフを使ってモニターを作れるようにしてる人もいれば、僕も自分の家には、グリーンバックと照明と集音マイクはとりあえず買っておいてみて。

高野:スタジオですね。

深津:最低限。面倒くさいから、結局あんまり使わなかったんですが、iPhoneでスイッチを入れるだけで3点照明が作れるところまではやったんですよね。

イム:すごい。オフィスを手放したり移動がないとなると、言葉が悪いですけど、それこそオフィスの維持費と移動費が浮くじゃないですか。これって、それぞれ(社員)に対して還元じゃないけど、投資するのってやってますか?

深津:THE GUILDは浮いてないから、そこに還元はしてないですが、逆に上積みしてそれ用の費用はある程度ある。部活費みたいなものを作ったりという感じですね。

高野:私の所属してる会社は定期代をリモート支援のものにシフトして、椅子がない方は椅子を補助したりとか、シフトしたお金の使い方をしてますね。

イム:もし自分がリモートワーク前提にしたら、どういうお金の使い方するんだろうな。経営者目線だけどね。

深津:入社したらアーロンチェアに対応するとか、ぜんぜんありだとは思いますよね。

イム:それぐらいね。

高野:ありがとうございます。

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