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How Might We Work #3|デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営(全6記事)

在宅ワークで移動時間がなくなることのメリット・デメリット スキマ時間を有効活用する、経営者たちの時間管理術

U-NEXT主催のイベント「How Might We Work」、第3回目となる今回のテーマは「COVID-19、感染拡大からどう変わった? デザイン経営者たちが取り組む、リモートワーク経営」。新型コロナウイルス感染拡大やリモートワークは、会社・組織にどのような影響を及ぼしたのか。デザインを軸にした事業を展開する経営者4名がイベントに登壇し、デザイナー・デザイン会社の働き方の変化や課題について議論。本記事では、リモートワークによって生まれたスキマ時間をどのように活用しているのか、その時間管理術を明かしました。

会社の売上が減少しても、採用を続けた理由

高野葉子氏(以下、高野):では、続いての質問です。「リモート期間に何かチャレンジしたことはありますか?」という質問なんですが、イムさんはリモートをしていないということでしたが、その点いかがですか?

イム・ジョンホ氏(以下、イム):7月以降というか、先ほど申し上げたように(リモートワークを)してないんですが、そもそもうちはどういう課題があったかというと、売上がめちゃくちゃ減ったんですよね。

その時に、そもそもこの会社で売上がいっさい立たなかったら、どれぐらい持つのかを計算したら「1年持つ」と出てきたので、「じゃあ仮に、1年間仕事がなかったらどうしようか?」というふうに頭を切り替えたんです。その時に、余ってしまった時間を会社全体の仕事の効率化、あとはスキルや組織力を向上したりとか、そっちに使おうと思いました。

あとは考え方的に、「いつか必ずコロナは収束していくはずである」という前提で考えて。「じゃあコロナが明けた時に、より堅牢なもの作りの集団になれるためには、どうすればいいんだ?」というふうに、頭の切り替えを行ったんですね。

主に何をやったかと言いますと、まず会社全体の組織力を上げるという前提で、さらに3人採用しました。売上はそもそもなかったんですが。

高野:チャレンジですね。

イム:はい。今この時期に、逆に人を増やして組織力を上げて、より良いものを作れる環境にしていこうと思いました。あとは非常に高度な話で細かいんですが、そもそも見積もりを作るのを誰でもできるように仕組み化しました。

コロナ禍をきっかけに、会社制度を見直し

イム:あとはインフラの整理ですね。そもそもネットワークを見直したり、ストレージがバラバラにあったんですが、それをぜんぶ1つにまとめたりとか。あとはナレッジシェアの仕組みを考えましたね。同じことを他の人がやった時に、再現性はそこまでなかったとしても、どうしたら考え方として共有できるかっていう話だったりとか。

仕事の仕方も含めて、すべてを効率化。例えば、過去の企画書をぜんぶ引き出してきて要素分解して、それをフォーマット化してみたんですね。そうすると、アシスタントの人でも自分で企画書が書けるようになったり。

スキル向上という意味においていうと、メンター制度を作ったりとか。あとは、うちにディレクターが3人いるんですが、そのうち2人がアシスタントなんですね。その2人のスタッフをどうやったら成長させられるかを考えて、その枠組みからさらに広げて、アートディレクター(に転身)だったり。

要するに、ディレクターと名のつく人たちを集めて、自分たちが成長するためにはどうすればいいんだ? ということを自分たちで考える。そういう会をわりと継続的にやったりとか。

あとは、Asanaというプロジェクトマネジメントツールを入れて、ぜんぶのリソースだったり、仕事の段取りだとか、そういったものをぜんぶ1つのものに集約したり。とにかくいろいろやりましたね。

最後にやってるのが、たまたま今回誘ってもらった小山(和之)さんにも参加してもらってるんですが、自分たちの強みを言語化して、自分たちのWebサイトを作るという。それを7月から今までずーっとやってきて、最近はすごく強いアウトプットが出されるようになりました。なので、振り返ってみると良い期間でしたね。

高野:その時にしかできないことだったりとか、仕組みや組織に投資されたってことですね。

イム:そうですね。

リモートワークで移動時間が減ったことのメリット・デメリット

高野:ありがとうございます。お2人はいかがですか?

深津貴之氏(以下、深津):そうですね。自分の場合は変動要素としては、先ほどお話ししたように「タクシーの移動がなくなった」というのが一番大きかったので。

これ、良いことと悪いことがあって。僕、タクシーの中で本を読んだり勉強してたんですよ。なので、その分の勉強時間がなくなってしまうというエフェクトと、逆に(これまでは)タクシーに1日1時間以上乗ってたと思いますし、年換算すると何百万円もかかってるコストでもあったので。

そこらへんを交通整理すると、タクシーに乗ってた時間をぜんぶ削った分だけ、お客さんのミーティングとかプロジェクトを交通整理していくことで、仕事量はあんまり変えないまま、丸一日時間を空けることができるようになったんですね。なので、毎週月曜日は原則仕事をしないで、充電をする日という感じで(仕事を)移動させたりとか。

noteという会社を手伝ってるんですが、noteの中のチャレンジとして、CEOとCXOは毎週月曜日と水曜日のランチの時間をフル開放して、誰でもアクセスできて話ができるから、「相談ごとや悩みごとを何でも持ってきてね」という感じにしてるんですけれども。

丸一日空いた、月曜日のお昼の時間のスロットにそこを使ったりとかして、意図的にけっこう仕事のメリハリを付けていって、(スケジュールに)スペースを作っていくことをやっています。

代表2人と気軽に話せる「オープンランチ」の利点

石井穣氏(以下、石井):そのオープンランチ、めっちゃいいですね。特に良かった点とかあります?

深津:やっぱり、会議する前に相談してもらえるのはすごく良いので、会議が始まってからいろんな話を聞いて、「これダメだよ」とボツにしたりとか。みんな時間稼働して悩みすぎると、けっこうもったいなかったけど、昼飯を食ってる時にちょろっと来てもらって、気軽に話してもらう。

会議に上げる前に「これとこれ、やっといたほうがいいんじゃないの?」みたいな。上司チェックというよりは、メンターに近い感じのフィードバックがしやすくなったのはすごく良かったですね。

イム:リモートでやるんですか?

深津:リモートです。

石井:やってみたいですね。

深津:意外とおもしろい。ただね、誰も来なかった日とかちょっと(笑)。

石井:悲しい(笑)。

高野:誰も来なかった日はあるんですか?(笑)。

深津:けっこうみんな来てくれるんですけど、「自由に来てよデー」ってことは、そんなにガチガチにスケジュールを組んでいないので。僕と代表の加藤(貞顕)さんと2人で、「今日は誰も来ないから、2人で雑談しながら飯食いますか」みたいな日も起きたりはしますけどね(笑)。

けど、そういうのを含めて、さっき話したようなメリハリのある時間を作るためにリソースを使ったっていうのが、自分の去年の取り組みです。

移動がなくなった分、浮いた時間の有効活用がポイントに

深津:おかげで、本を読むかネットを見るしかなかった時間で、あらためてプログラミングをやり直したりとか。手を動かして資料を作ったりという時間はまとまって増えたので、そこは良かったかなと。

石井:深津さん、何かやってましたよね。忘れちゃったんですけど。

深津:絵もやったし、プログラミングもやったりとか。最近だと、まだツイートしてないですが、アンリアルエンジン(ゲーム制作に必要な機能を統合したゲームエンジン)とかは、ある程度書けるようになったりもしました。けっこういろんなリサーチはしてますね。

高野:今後に続く、良いチャレンジですね。

深津:良い機会なので。タクシーで移動するよりは有意義だったなと。

イム:「空いた時間」って、けっこうキーワードとしてありそうですよね。要は移動時間みたいな。

深津:30分が1日4回だと大したことができないんですが、それを5日分まとめて丸1日空けられると、だいぶ意味が変わりますよね。

イム:僕の知人だと「一日に10本打ち合わせしてる」とか言って(笑)。移動を考えると、そんなの前だったら物理的に無理じゃないですか。(一日に)10本も打ち合わせするやつ、いるかどうかわかんないけど(笑)。

深津:けど、わかります。知り合いでも、(打ち合わせを)45分やって15分休んで8時間埋める、みたいな人いますね(笑)。

高野:枠の活用ですね。

地方在住のメンバーが多く、必然的にリモートワークに

高野:リモート期間中に組織を立ち上げられたこばかなさんは、起業自体がチャレンジだと思うんですけれども、その中でもさらに「これはチャレンジだったな」と思われることはありますか?

小林かな氏(以下、小林):そうですね。さっきもちらっと言ったんですが、2人目のメンバーが石川県在住で。今思うと、その方を採用することはけっこうな覚悟だったんじゃないかなって思うんですが。

起業するのも初めてで、最初はやっぱりメンバーが1人だから、そもそも組織を作るのがこんなに難しいっていうのをぜんぜん想像してなくて。けっこうその時(起業当時)は楽観的に考えてたんですよね。

2人目の方が石川で、3人目も長野県とか愛知県とか。もうぜんぜん東京にいないメンバーで固めていったので、これはたとえコロナが終わったとしても、フルリモートの組織なんだろうなっていうのは、覚悟しながらやっている感じですね。

私も渋谷区の狭い家に住んでたんですが、引っ越して都心から離れることで仕事部屋を作ったりとか。自分自身も、仕事のために環境を変えていくことはやっていたり。あとは、新しく入るメンバーとかも移住したりとか、そんなふうに場所に関してはけっこうみんなチャレンジをしているなって思いますね。

その代わりっていう感じなんですが、グループ会社では10以上の事業の事業責任者たちが合宿で集まることを四半期に1回もやってるんですね。なので、年に4回合宿するっていうのを、もう思考停止的に予定として入れているんです。

合宿に行く度に、毎回めちゃくちゃ「すごく良いコミュニケーションができるな」って思っていて。下手したら毎回出社をするよりも、仲の深まり方の深度が2〜3日で一気に稼げるんじゃないかって思っています。オフィス代をかけてない分、合宿にぜんぶを回すというのは、今後やってみたいチャレンジだなと思ってます。

高野:おもしろいチャレンジですね。

リモートワークを機に海外に移住したメンバーも

高野:それも余ったものというか、別のところにリソースを集中させるってことですね。

小林:そうですね。結局、仕事をしている間って、連絡はSlackを通じてやることが多いかなと思って。ログが残るって意味でも、他の方が見れるって意味でも、やったほうがいいかなと思うんですが。やっぱり足りないのって、さっき言ってた「アイデアの創出」みたいなところや雑談だったので、最近はもう定期的に合宿をやろうと思ってます。

石井:その合宿では、わりと事業的なことを話すんですか? それとも遊びというか、そういうのがメインなんですか?

小林:どっちもやりますね。単純に「KPIがどうだ」という報告をするような場もあれば、もっとお互いのことを深く知るようなワークショップみたいなことをやったりとか。その時の組織の状態によって合わせてる感じですね。

石井:参考になります。

小林:ありがとうございます。

石井:そういえば、STUDIOも場所的なチャレンジはやっていて。僕自身は都内にいるんですが、メンバーの1人がコロナ禍になってからジョージアに引っ越して。「リモートだからどこにいてもいいだろう」みたいな感じのノリで海外に行っちゃって。(そんなふうに仕事を)やったりもしてますね。

基本的に僕たちはいつも朝10時半に朝会をやっていて、時差の関係もあるんですが、たしかこっちの10時半はあっち(ジョージア)の5時半とかで。それでも時差にチャレンジしながら、リモートでなんとかやったりもしてますね。

高野:そうやって、枠を広げてチャレンジしてくれる方が1人いると、「みんなチャレンジしていいんだ」と思えそうな感じで、エンパワーメントされそうですね。

石井:そうですね。地方に引っ越したりしてるメンバーはけっこう多いですね。

高野:ありがとうございます。

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