2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
Covid19のインパクトと考察(全1記事)
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本田桂子氏:本田でございます。今日はニューヨークから参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
私が頂戴したお題は「ニューヨークから見てコロナはどうなのか」でございます。そこで、今日は「コロナ急性期・コロナ共生期・コロナ後」にわけてお話をさせていただきたいと思います。
私から申し上げたいことは「ニューヨークから見るCovid19」の5つでございます。
1つ目は、欧米主要都市の多くは被害が甚大で、今日本からみなさんが見ていらっしゃるのより、もっと厳しい状況が繰り広げられています。これは、さっき冨山さんがおっしゃった「グローバルはきついよ」に呼応するポイントだと思います。
2つ目。コロナは感染症なので、国単位ではなく都市圏単位でみるべきです。公衆衛生だけではなくてビジネスでも、都市圏単位で見ていかないといけない。
私は、コロナ共生期(ウィズコロナ時代)が長いと思っておりまして、そうであれば、のウィズコロナ時代のマネジメントはすごく大事です。そして、首長の判断や対応能力も考慮にいれて、ビジネスのマネジメントをしていく必要があると思っています。
3つ目。さきほど、冨山さんから、ここ20年ぐらいで「偏差値が高くてお金がある人」と「それ以外の人」の中で格差が出てきたという話がありました。今回の罹患のパターンから、新たな格差が出てきています。
4つ目は距離感。こういうテレビ会議は、今までもSkypeでできたし、Zoomだってありました。しかし、あまり使っていなかったのです。「山さんや堀内さんと会うのは、どちらかがどちらかの街に行ったとき「ひさしぶり、今度行くんだけどご飯でもどう?」という感じでした。
しかし、今はコロナによって家から出られないせいもあるのかもしれないですが、遠くにいても話が合う人たちとオンラインでどんどん話をするようになってきた。
起業家で、製薬会社を2つ上場されて、京都大学でも教えてらっしゃる久能祐子先生までも、このウェビナーに参加してくださっています。ウィズコロナ時代になって、距離的には遠いところにいるのだけれども近い、という人たちがでてきました。でも、この「近い」というのは、実は「誰でも近い」のではないかもしれない。ここはどう考えるかということがあると思います。
一方で、サプライチェーン的には、モノはまだ世界で動いているんですけれども、やっぱりこれだけ国境問題が出てくるとモノが動かなくなる可能性を考えておくべきかと思います。
また、今回はしみじみと「国境」を再認識しました。EUにしても「シェンゲン(注:ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する)協定はどこにいっちゃったの?」という感じで、あっという間に国境の壁がぶわっと上がり、スイスもあっという間にイタリアとの国境などを閉めましたよね。
現在ニューヨークで、私が見ている指標は「人口のうち何人に1人がコロナで死亡したか」です。本当に悲しいことに、ニューヨーク市では600人に1人がお亡くなりになっています。600人に1人だと、誰か知っている人が亡くなったりするわけです。コロンビア大学でも学生が1人と職員が1人、お亡くなりになりました。これはやっぱりすごくショックなことです。ご逝去なさった方々のご冥福をお祈り申し上げます。
あとはニューヨーク・タイムズのObituaries(死亡欄)に、コロナで亡くなった方々のお名前が出ていますよ。日本人では、岡本(行夫)さんと志村けんさんの名前がありました。ちょっと読んでみたんですけれど、やっぱりいろんな人生があって、考えさせられます。
一方で東京都は比較的死者が少なく、68,000人とか69,000ぐらいに1人です。亡くなった方に関しては本当においたわしいと思いますが、ニューヨークと東京の死亡者の割合は大きく異なります。
ニューヨーク・タイムズのWebサイトから取ってきた、感染者がどこにどれぐらいいるかのチャートですが、見ておわかりいただけるように、都市圏別の戦略対応が必要です。これは、ヨーロッパも同じだと思います。
次が格差問題。ニューヨーク市の人口構成は、白人が32パーセント、それからヒスパニック系が29パーセント、アフリカ系アメリカン、いわゆる黒人の人たちが22パーセント、アジア系が14パーセント、その他が3パーセントです。
一方、ニューヨーク市でコロナで亡くなった方々は、ヒスパニック系が34パーセントで多い。次が黒人の28パーセントで、白人は27パーセント。そして、アジア系はすごく少なくて7パーセント。
いわゆる「エッセンシャル・ワーカーズ」と言われている、スーパーの店員さんや警察関係、医療従事者や地下鉄の職員とか。そういう人たちが多いのかというと、抗体保有率で見るととくに多いわけではない。
今ニューヨークで聞く仮説は、冨山さんの言うところの「L(Local)」、サービス業に従事していて、かつあまり高くない賃金で働いている人たちがたくさん罹患しているのかもしれない、というものです。
これが正しければ、サービス業はそんなに時給の高いビジネスじゃないところに、身体的な危険率まで上がってきている。これは注意深く見て、みなで考えなければならないポイントだと思っています。
次は、ニューヨークにいて「これはすごい」と思うことをお話したいと思います。ちなみにこれだけの方々が亡くなっていて、行動の自由がかなり制限されていますけれども、暴動といったことはまだ起こっていません。
私は4つ素晴らしいと思うことがあります。1つはボランティア。自分が社会のために何ができるかを考えて実行している人は、けっこうたくさんいます。医療関係者では、退職者がたくさん志願して戻ってきた。その中には、コロナで命を落とされたお医者様もいます。でも、みんながんばってボランティアを続けている。
医学部の学生が卒業を繰り上げて病院に行きました。コロンビア大学でも5月卒業のところを3月に繰り上げ卒業して、コロナの前線で診療に当たっています。
お金持ちも大きな貢献をした人がいます。ビル・ゲイツは、Microsoftのトップの座を退き、「感染者が世の中の問題だ」と言って、4~5年前から「ワクチン開発」を支援されています。
今回はいち早く手を挙げて、ワクチンの開発をサポートしています。開発に加えて、まだ有効性がはっきりわからない段階からワクチンの生産体制を確立すべく、私財をかなり投入して支援されています。
それと、ブルームバーグさん。大統領選を途中で降りられました。今ニューヨークでは、検査とコンタクトトレーシング(日本のクラスターサーチに近い)を開始しようとしていますが、そのコンタクトトレーシングを支援するために、私財に加え自らも支援されています。
また、富裕層に加えて、普通の人もボランティアをしています。コロンビア大学の図書館の職員が、3月半ばの都市封鎖がされる前の段階から、3Dプリンターを作って医療関係者用のフェイスシールドを作成し始めました。そして、学生のボランティアがそれを助けています。
こういうふうに、みなが自分が社会のために何をできるかを考えることは、大事だと思っています。
第2は学びの継続。ニューヨーク市立の公立小中学校は3月15日に学校閉鎖になりましたが、23日からオンラインに移行しました。かなり混乱もあったと聞いていますし、もちろんちゃんとした設備が整ってないお宅もたくさんあります。その中でもとりあえず始めて、やっている。そして、ランチも配っているんです。
教育以外のオンラインへの移行がすごく早い。テレビ番組も最近はキャスターが自宅からが増えました。また、ほとんどのホワイトカラーがオンラインで仕事していて電子サインも活用されています。もちろん、買い物や振込もオンラインです。
最後が知事の大活躍。具体的に私が見て「クオモ知事が素晴らしい」と思ったことが5つあります。1つ目が、事実を定量化している。この「事実」というのが感染者数・死亡者数だけじゃなくて、新規入院者数の総計、人工呼吸器使用者数、抗体検査の結果を毎日ちゃんと共有している。
第2は、複数の専門家に依頼して、「今後は何が必要? どうなるの?」ということを予想してもらう。必要なベッド数や人工呼吸器数から始まったんですけど、これはちょっと上振れしてしまって、そんなに必要なかったんですが、少なくとも「知事が何を見てるか」ということが我々もわかるというのは大きいです。
第3は「打ち手と必要な資源がどれだけあるか」というものを出したあとで、状況のモニタリングをして、それをオープン化していく。これはさっき申し上げたコンタクトトレーシングと、隔離に関しても同じです。
それと学校を元に戻すということに関しては、こちらでは実は川崎病に近いような症状がすごくたくさん出ていてですね。ニューヨーク州でも100例近いのかな。それで、3人亡くなっています。小さいお子さんと18歳の女の子も亡くなってます。
こうしたことがあって、学校の再開は今、一番最後になっています。これも学校は毎日ちゃんとオンラインで授業をやっているので、別に慌ててリアルに戻さなくてもいいということもあると思います。
第4は、打ち手の見直しもきちんと行われていることです。マスクなどもそうですね。やっぱり我々もこのコロナへの対応は初めてなんですけれど、当然政治家にとっても初めてのことであって。人間だから間違いはある。だったら「申し訳ない、間違っていました」と言って、「じゃあ明日からマスクよろしく」ということが行われている。
最後に、負担のかかっているエッセンシャルワーカーの人たちへの感謝表明をきちんとされていることは、素晴らしいと思っています。
次に「コロナ急拡大期、コロナ共生期、コロナ後」です。コロナ共生期というものは「けっこう長い」と考えます。その理由は2つです。
1つは、昨日ファイナンシャルタイムズのセミナーで、WHOのチーフサイエンティストが「コロナをスタビライズするには4~5年かかる」という発言をしています。けっこうびっくりしました。ですが、彼女は状況がよく見えているだろうから、そういう人たちが「4~5年」と言うのであるならば、それなりに覚悟しないといけないと考えます。
あともう1つは製薬会社、とくに感染症をよく理解している製薬会社が、ワクチンの実用化に向けてかなり経営資源を投入していますが、ワクチンを出す時期を、「2021年の秋」とか「2021年中」といっている企業もあるからです。
であるならば、やらなければいけないことがいくつかあります。1つ目は、国連の中満泉さんたちとも一緒に今、国連の東京事務所のWebサイトに載せていることですが、「冷静になりましょう」。
医療関係者の子弟の差別というニュースを聞くと心が痛みます。加えて、自宅にいること以外にも自分でできることを考えられないでしょうか。寄付かもしれません。
次は学びをやめないこと。コロンビア大学もあっという間に、講義や会議などがZoomになりました。ものすごく高名な先生で、「この人の本、昔教科書で読んだ!」というような人が、私と一緒にZoomの使い方のトレーニングをものすごくまじめにやっておられます。
加えて、より安全な仕事の仕方への移行。私は、これは日本にとってチャンスだと思っています。日本は、今後少子高齢化が進むにあたって、また人が足りない時代がどこかで来ますよね。
今は人間がバイオハザードなので、人が触らないことが大事、つまり自動化やデジタル化ですよね。これを進めると、コロナ共生期も助かるし、中長期的にも助かりますよね。こういうことができないでしょうか。
助成金の話が非常にたくさん出ています。「会社を閉めるんだし、自分は仕事ができないんだから、その間の収入を補償してほしい」という要求を聞きます。
この助成金は、ほかの誰かのポケットから出ているわけではなく、政府の借入金が増えるだけで、私たちと私たちの子どもたちまで、将来返済することになります。
日本国の借金のGDP比率が、コロナ以前でも、第二次世界大戦後よりも高くなっていました。もちろんコロナで支援しなければならない方もいるので、借金は積み増しになります。やっぱりそこで、あまり公的なものに頼りすぎず、自助や共助という部分で、何ができるかを考えられないでしょうか。
最後、コロナ後です。企業の話は冨山さんがされたので、グローバルリスクと、「より良い社会へ」について1つ、申し上げたいと思います。
ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが、毎年「グローバルリスクレポート」の中で、「起きたら影響が大きいリスク」のランキングをしています。2015年の第2が感染症リスクでした。
「2度あることは3度ある」と言いますけれど、SARS、MARS、エボラとここ20年ぐらいで3度あったので、4度目があってもおかしくないだろうなと思っていましたが、来ました。
しかし中国、香港、台湾、韓国といった一部の国と一部の企業以外は、感染症に対して準備していませんでした加えて、Non-Financial Riskと言っているんですけれど、いわゆる普通の企業を分析するにあたって、あまり考えないリスクというものがいくつかあります。
例えばここで言う気候変動。中長期的には絶対リスクなんですけど、今はあんまり考えていない。しかし、長期スパンで考えて、対策を打っておくべきなんじゃないかと思います。
コロナの感染者増加分のかなりの部分は、ブラジルをはじめとする発展途上国で起こっています。残年ながら発展途上国にそんなに余裕があるとは思いません。IMFも世界銀行も、他国の中央銀行、支援していますが、それでも足りないかもしれません。他国における感染症問題は、グローバル化が進展した今、他人事ではなく、自分事です。
最後に、堀内さんの問いにお答えするならば、私はSociety(社会)はあると思っています。
社会に対してある程度還元する、ないしは社会を壊さないようなやり方にしていかないといけないと思っています。MIGA(Multilateral Investment Guarantee Agency:多数国間投資保証機関)を退任後ESG投資について、それが本当に何で、それをどうやっていくのがいいかを深く掘り下げたいと思って、今コロンビア大学ではその講義をさせていただいています。
コロナを契機に、「今までの資本主義ではやっていけない」と考える人もでてくるのではないかと思います。
私はここまでとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
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