Airbnbブライアン・チェスキー「創業した会社は我が子のようなもの」 バイアウトありきの金目当てベンチャーを批判

Lecture 10 - Culture #3/4

個人間の空き部屋賃貸を仲介するサービスAirbnbの創業者・Brian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏が起業家育成講義に登場。本パートでは、流行のサービスを模倣して他地域で展開するSamwer BrothersにAirbnbのサービスがコピーされた際のエピソードが紹介される。そのとき彼がとった行動とは?

誰からも最悪だと言われた Airbnbのアイディア

ブライアン・チェスキー氏(以下、ブライアン):価値観の話はあとひとつだけにしておきましょう。時間を使いすぎたくないので。私達が大切にしている価値観、原則のもうひとつはクリエイティブであることです。

ところで、創業当時の話はその後会社を続けていく上で、何度も何度も話すことになります。自分の子供時代の話をすることと似ています。成長してからも頻繁に振り返ることになる。会社の創業当時の話も同じような感じです。

マーク・アンダーソンがこの講義シリーズで話をしていた時に、Airbnbのアイディアは最悪だと思ったと言っていたと思います。多分彼は正しいですね。皆が私達のことをクレイジーだと思っていましたから。

ポール・グラハムにも「Airbnbというこんなアイディアがあって……」と話をしたことを覚えています。「それを利用している人がいるんですよね? その人達は頭がおかしいんじゃなの?」と言われました(笑)。ポールとのミーティングの終わりにこのビジネスのこれまでの経緯を説明しました。こんな風です。

Yコンビネーターのパートナーのマイケルに紹介してもらい、彼が私とジョーをシリコンバレーの約15人の投資家に紹介してくれました。Airbnbの10%、約50,000ドルを買うことが出来ますよと話しても誰も首を縦に振らなかった。

私達のアイディアは絶対に上手くいかないと彼らは思ったのです。他人の家に泊まりたいと思う人なんているはずがないと。そこで軍資金はクレジットカードを使って調達しました。子供が野球選手のカードとかをコレクションして集めて入れておくカードフォルダーがあるの、知っています? 私達はそのカードフォルダーにクレジットカードを入れていました。

(会場笑)

それだけたくさんのクレジットカードを持っていたんです(笑)。

巨額の負債を抱えた状態からのスタート

ブライアン:私達は巨額の負債を抱える事になりました。ローンチして1年は毎日サイト訪問者は100人程度で2件ほどの予約が入る程度でした。

まったく上手くいっていませんでした。しかし私もジョーもネイトもこのビジネスの可能性を信じていました。借金は増えるばかりでどうしたらいいかわかりませんでした。

2008年の秋に民主党と共和党のナショナル・コンベンションに来る何人かの人々の宿泊先を手配しました。しかし、彼らの数はそこまで多くなかったので、こんなクレイジーなアイディアを思いつきました。

朝食のシリアル、コンベンション用のものをつくったらどうだろう? と。だって私達はエアベッドと朝食を提供するサービスをやっているのですから、朝食シリアルビジネスに手を出すことは理に適っています。オバマのテーマで「改革のブレックファースト」なるシリアルのアイディアが浮かびました。

(会場笑)

ジョン・マケインは海軍の将校だったとのことから、共和党のテーマのシリアルはキャプテン・マケインの「一口で異端者」というテーマを思いつきました。

しかし、コンベンション仕様シリアルをつくりたくてもまったくお金がありませんでした。そこでゼネラル・ミルズに何度も何度も電話をしたのですが、最終的には「何度もかけてくるな。近接禁止令を施行してもらうぞ!」と言われてしまいました。

しかし、ローカルのある会社で1000箱のシリアルをつくってもらうことが出来ましたので、プレスに送ってみると1週間で全国放送のテレビや新聞に取り上げられ、この朝食シリアルで40,000ドルの売り上げを得ることが出来ました。

2008年はシリアルの売上が40,000ドルで、Airbnbウェブサイトの売上が5,000ドルでした。母から「あんたは朝食のシリアルを売る会社を始めたのかい?」と言われたことを覚えています。

(会場笑)

母にそう言われたことよりも、売上だけで見るとAirbnbはほとんど朝食シリアル会社になってしまっていたというのが悲しいところでした(笑)。

障害がクリエイティビティを生む

ブライアン:この話のポイントは常に起業家精神を忘れずに新しいこともやってみることが大切だということです。私達は障害がクリエイティビティを生むと信じています。例えば8億ドルを得た時に、やってやるぞという闘争心は簡単に失われてしまいます。

50万ドル必要なんです、投資してくれませんかと、あれが必要、これが必要というのは簡単です。クリエイティブにそれを実現させる方法を模索せずに、これがないから、あれがないから出来ないと言ってしまうことは簡単です。

しかし、そこで諦めずにシリアルをつくってみようだとか考えるのです。繰り返しになりますが、創業当時に何をするかがその会社の信念、原則となります。

ただ創業者としてそこにいるからといって、会社の為になるわけではありません。クリエイティブにどんなことにも負けずに立ち向かうことが起業家の条件です。これが私達の学んだことです。

アルフレッド:素晴らしいですね。素晴らしい企業文化を持つことが重要なことを決定するのに役立ったことがあれば教えてください。

企業文化づくりが軽視される3つの理由

ブライアン:文化についてまだ話をしていないことが3つあります。企業文化について語られることがあまりありませんね。プロダクトのつくり方、成長やアドプションについては多くが語られているのにも関わらず。文化とは少しソフトでハードコアなビジネスの一部と捉えられていないようです。これが第1の問題です。

2番目の問題は、文化は数字で測ることが出来ないということです。数字で測られることがないので、あまり重要視されない。

3番目の問題が最も深刻です。文化を考える上で最も問題なのは、短期間で結果に繋がらないということです。1年で会社をつくって、1年でできるだけ早く成長したいのであれば、文化づくりは忘れて、なるべく早く人を雇うことです。

文化を考えるとなかなか人を雇う決断を下すことができなくなりますし、ある一定の短い期間で成長する速度は遅くなります。

文化とは長期的視点で長く続く会社をつくりたいと思う人の為のものです。文化を考える上でまず大切なのは会社の個性、どこがユニークなセールスポイントかを明確にすることです。

それが明確になったら、会社のその個性を信じてくれる人を雇います。雇うのもクビにするのも会社のコアな価値観に基づいて決定すべきです。私達が候補者を面接する時は、その技術が世界クラスであることと、私達の文化に上手くフィットしているかをみます。

私達のビジョンがワールドクラスなのであれば、ワールドクラスな人しか雇いたくありません。人を雇う時には、それまでのメンバーより優れた人を選びます。

常に敷居を高くし続けています。そして私達は「コアな価値観の面接官」チームを持っています。エンジニアがこの面接官チームに選ばれることはありません。私達はエンジニアの面接官からの報告、「この候補者はとても技術が高いので良いと思う」という先入観だけではなく、候補者の価値観を探り、企業文化にマッチするかどうか判断する為です。

とても優秀なエンジニアであってもお断りしたケースがたくさんあります。長期的に考えると、一緒に同じ目標を目指すことが出来ないだろうと判断したからです。

「子供を産んだら責任をもって育てろ」

もうひとつの例です。2011年の中旬、私達の大部分のビジネスはアメリカ国内ですがSamwer Brothersって聞いたことありますか? 彼らは成功している会社のサイトのクローンをつくっていて、最近上場したらしいです。

彼らはアメリカで流行っているサイトのクローンをつくって、クローン元の会社に売るというビジネスをしています。彼らはグルーポンのサイトのクローンをつくりました。当時のグルーポンは世界で最も急速に成長するビジネスだったのでね。

彼らはグルーポンをコピーすることをやめて、今度はAirbnbにターゲットを絞りクローンをつくりました。当時の私達は40名、700万ドルの規模でした。彼らは私達のサイトのクローンをつくり、30日で9000万ドルを生み出し、400人を雇い入れました。

そして彼らはそのクローン会社を私達に売ろうとしました。彼らのクローン会社を買わなければ私達のビジネスが潰されてしまうという状況だったのです。

Airbnbの問題は、世界中にオフィス展開していなかったことです。クローン会社を買うかどうかが問題となりました。彼らに言いようにさせて国際展開のチャンスを失う前にクローン会社を買えというのは妥当な意見だったかもしれませんが、私達はクローン会社を買いませんでした。

私が買わなかった理由は、彼らの文化が気に入らなかったからです。その会社から400人も受け入れたくなかった。私達がミッションを重んじる伝道師なら、彼らは金銭目当ての商売人です。彼らに大志があるとは思えず、お金をどれだけ早く稼ぐことが出来るかだけが彼らの関心事だったように思えました。

私は宣教師が商売人に最終的に負けるわけがないと思っていましたし、クローンを生み出すだけ生み出して手放す会社に対して、「子供を産んだのだから責任を持って育てろよ」というようなリベンジの気持ちがありました(笑)。

(会場笑)

結局クローン会社を買わなかったことに対して、多くの人から「買うべきだ」と言われましたが、結果買わずに解決することが出来ました。

※続きはこちら! 「まずは100人のユーザーに愛されること」 Airbnb創業者が“1番ためになった”と語る、Yコンビネータの教え

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