2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
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川野洋平氏(以下、川野):さくらインターネットの川野です。このイベント会場となっているFukuoka Growth Nextで働いています。
ふだんはさくらインターネットの一員としてここで業務もやっていますが、「postalk」という、付箋で議論ができるサービスを提供しています。
明日、明後日とみなさまにプログラミングを教える場所はさくらインターネットのオフィスなので、そちらでも僕は質問に答えて、1人でも多く交流できたらなと思っています。
司会者:ではみなさん拍手をお願いします。
(会場拍手)
落合渉悟氏(以下、落合):クリプトエコノミクス・ラボでCTOをしている落合渉悟と申します。よろしくお願いします。postalkは、僕もよく使っています。
川野:ありがとうございます。僕と落合君はもともと23歳くらいのときに一緒に上京して、一緒に会社をやっていた仲間なんです。
当時の僕らの会社は、今は違う会社に売ってしまったんですけれども、ギリギリまで一緒に戦ってくれた仲間ということで、今日は駆けつけてくれました。ありがとうございます(笑)。
落合:現在、僕はブロックチェーンの開発をしています。イーサリアムって聞いたことがある人はいます? イーサリアムというものを聞いたことがある人は、手を挙げてもらっていいですか?
(会場挙手)
落合:あ~イベントを見学されている大人の方が多いですね。ビットコインを知っている人たちはいるかな?
(会場挙手)
落合:今回の参加者はビットコインは知っているんだね。なるほど。ビットコインの上でもっとプログラムをいっぱい書いて、価値を……これはね、込み入った話になってしまいます(笑)。
(一同笑)
川野:それを話すかどうかですよね(笑)。
落合:価値というものはすごくふわふわしていて、僕たちにとってまだよくわからないものじゃないですか。例えば僕はインドネシアに2年間住んでいました。日本円ってインドネシアでは使えない。
僕が100万円の札束を持ってインドネシアの田舎に行っても、たぶんご飯を食べられないんですよね。価値って不思議じゃないですか? 今日はそういった概念を解きほぐして、みんなにわかるように説明したいと思っています。
イーサリアムという技術は、価値がこれからできていく卵のようなものですね。そのスピードがとても遅かったので、速くして……この複雑な社会の中で、とりあえず使えるところに当てはめていって、お金をもらうという仕事をしています。
その使い道はもっと増えていって、もっと仕事が増えると僕は信じているから、その道に懸けています。懸けているということは、簡単に言うと「会社としてお金を借りたりして、もっとたくさん人を雇う」ということです。
それってちょっと怖いじゃないですか。お金を借りたら返さなきゃいけないから。でももっと仕事が大きくなると思っているから、というか、ほぼ予想に近いかたちで信じているから、心配なく借りられるという話です。そういう感じの仕事をしている人です。よろしくお願いします。
(会場拍手)
黒田直樹氏(以下、黒田):僕は黒田直樹と申します。この着ているTシャツのマークは、マネーフォワードという会社のロゴです。僕が福岡にエンジニアとして来たのは、1年9ヶ月前くらいです。それまでは10年くらい東京で働いていました。東京にいたときは起業も経験して、途中でホームレスにもなりました(笑)。
そんな中、マネーフォワードの東京本社で働くことになりました。僕の生まれは佐賀ということもあり、現在は妻と子どもと佐賀に住み、マネーフォワードの福岡オフィスに高速バスで毎日通っています。
仕事は、簡単に言うと、お金の悩みを解決するような便利なサービスを、隣にいる杉本と一緒に開発しています。今日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
杉本至氏(以下、杉本):私は、杉本至と申します。黒田さんのもと、福岡オフィスでiPhoneのアプリケーションを開発しています。
iPhoneなどのスマートフォンをみんな使ったことはあると思いますが、あれのアプリケーションの1個を、実際に今も作っています。このボタンを押したらこういう動きをするとか、ここに文字を書けるようにするという仕事を、ふだんやっています。
いわゆる「今回エンジニアになろうと思ったきっかけは?」とか、そういう質問があると思います。私も、もともとは福岡に住んでいましたが、東京にエンジニアとして就職しました。今は家族とともに福岡に戻ってきて、福岡のオフィスで働いています。いわゆるUターンエンジニアですね。
みなさんと同じ福岡出身なので、なにか質問があったらいっぱい聞いてください。よろしくお願いします。
(会場拍手)
川野:ありがとうございます。やっぱり、空気感が読めないから堅くいきましたよね(笑)。今、質問が挙がってきているんですが、どんどん書き込んでもらえたらと思います。
「年収は?」って、いいっすね。
(一同笑)
川野:「エンジニアと起業」、これもどれだけでも語れるテーマですね。いいですね。
僕たちがまだまだ把握していないこともあります。今日集まっているのは、みんな中学校1年生から高校2年生までだと思います。スマホを持ってる人っています?
(会場挙手)
川野:お~。もうスマホ持っているんですよね。iPhone?
(会場挙手)
川野:お~。iPhoneが多いかな。Android?
(会場挙手)
川野:あれ、あ、そうか。いやいや、Androidは僕も大好きですよ(笑)。
落合:ちょっと聞いていいですか? なんでiPhoneにしたんですか? 誰か?
参加者1:買い換えるときに、iPhoneが安く買える時期だったのでiPhoneを買いました。
落合:周りのみんながiPhoneだからiPhoneにするみたいな圧力って今はあります? ……みんなないということでオッケーですか? あんまりない? おもしろいですね。
杉本:Appleという会社がiPhoneなどを作っていますよね。僕は、AppleのiPhoneやアプリケーションの考え方や作り方に共感して、iOSエンジニアになりました。
Appleは、デザインとOSを作っている会社が一緒、ハードウェアを作っている会社も一緒。Androidは、OSを作っている会社と違う会社がハードを作ったりしています。それはそれでいいところがあって、みんなが使えるオープンソースになっているという魅力があります。僕はAppleのほうが好きだなと思って、iPhoneを選びましたね。
落合:僕はAndroidです。
川野:そう、Android。
落合:インドネシアに2年住んでいたので、インドネシアの人と同じ携帯電話を使おうと思って、Androidをずっとそこから使っています。
川野:そんな理由だとは思わなかった。お金がないからだと思ってました。
落合:違うよ!
川野:さて、「以前はどんな職業に就いていましたか?」という質問。さきほどホームレスだったと話していた黒田さん(笑)。ホームレスってどういう状態なのか。
黒田:僕がホームレスしてたときの話ですか?
川田:はい。
黒田:僕は新卒で証券会社に入ったんですね。証券会社に入って、「自分はなんでもできる。これからはWebサービスを作って成り上がってやる」と、ちょっと思い上がってしまい、大学の友達3人くらいと起業しました。
それが、ぜんぜんうまくいかなくて(笑)。途中で空中分解して、お金もなくなってしまいました。東京ってめっちゃ家賃が高いんですよ。一番お金がかかるところは、やっぱり家賃なんですね。そのため、友達の家に住民票だけ置かせてもらって、それで生活をしていた時期がありました。
落合:空中分解について、ちょっと詳しく教えてください。組織は、どういう時間軸で、どのように分解してしまうんでしょうか。
黒田:例えば、ここにいるみんなが、今自分の持っている全財産をテーブルの上に置いて、友達と一緒に会社を作るとしますよね。それを「このお金はこうやって使っていこう」と話していくと、どこかでケンカするタイミングがあるんです。
お金がまだ豊富にあるうちは、みんなそんなに危機感がないんだよね。これがもう残り50万円くらいで、あと1ヶ月、2ヶ月でなくなり、いよいよ食べるものを買うお金もなくなるみたいな状況になって、もうひどいものでした。
落合:アメリカの仮想通貨ファンド「a16z」を設立したAndreessen Horowitzというベンチャーキャピタルがあります。スタートアップ企業に対してお金を出す会社ですね。リターンはもちろん求めます。
彼らのうちの1人であるHorowitzさんが、『HARD THINGS』という本を出したんですよ。それを読むと、人間が集まった組織のつらいところとかがたくさん書いてあるんです。僕とか半分読んだら、つらすぎてすぐ閉じちゃうんですよ。いつか読むとおもしろいかもしれないですね。
川野:本はすごくいいきっかけかなと思っています。
川野:今回の質問は事前に見たものもあります。例えば、そもそもエンジニアという仕事が何なのか、よくわからないこともありますよね。エンジニアになれるのか、よくわからなかったりするのかなと。自分に向いているか向いていないかとかも、すごく気になると思うんですよね。
けっこう質問が貯まってきて、いい感じ。「男性が圧倒的に多いけど、女性だとどうなのか?」という質問がありますね。マネーフォワードさんは今、エンジニアの女性比率とかあったらちょっと教えてもらえますか。
黒田:まだまだ少ないという状況はありますね。
落合:うちはエンジニア6で、女性1です。
川野:でも不思議じゃないですか。なんで半々にならないんだろうと。学校のクラスはだいたい半々だったりするのに、職場ではどうして半々にならないんだろう。
次にいきましょう、「エンジニアになるための勉強法は?」
杉本:勉強会などに行った際、「勉強している?」と聞いて「すごく勉強しています」と回答する人はけっこうまれです。
みんなエンジニアリングが好きで、「ブロックチェーンに興味があるな」「新しいハードウェアが出た、これってどうなんだろう」という感覚をどんどん自分で調べて掘り下げていくと、自然とそういう知識が増えていくという感じです。
つまり「勉強法」は、好きなものに対してどんどん知識を深めていく。自分でこれがおもしろそうだなと思うものをどんどん調べていくのが大事だと思います。だから、ぜひ好きなものを見つけてください。
黒田:大学の授業などで基礎的に習うものは置いておいて、僕が初めて自分で作りたいなと思って開発したのは、「株式投資を自動で売買するためのプログラム」でした。
川野:その動機は?
黒田:その時、ものすごく株にハマっていたんです(笑)。
川野:わかります。
黒田:それで開発しましたね。
落合:それってどんなプログラムなんですか?
黒田:株式市場のデータをたくさん集めてきて、過去のデータを1個1個、時間が1秒進むごとに入力していって、「次は上がる」「次は下がる」という結果を返してくれるプログラムです。
川野:初めて作ったプログラムとか、パッと聞いただけだと超ハードル高いというか、「天才じゃないから(自分では)無理かなぁ」と思っちゃいますよね。そのときは、どういう勉強をされたんですか?
黒田:いや~、詳しくは記憶にないですね(笑)。ただ、僕は大学が計算機科学系だったので、いろいろ演習などはこなしていたんですね。そのため、ある程度の知識はあったと思います。自分が作った一番古いプログラムで、自分の意図を持って作ったものは何かと言われれば、それという感じですね。
落合:僕は大学の選考が物理だったんですよ。その観点からみなさんにアドバイスすると、大学時代は、プログラムはほぼ書きませんでした。僕は、「木や水って何だろう?」という疑問が止まらない子どもだったんですよね。
物理じゃ飽き足らず、脳の神経工学や哲学などを勉強していました。実は、その根本は、みなさんが中学校くらいで習う、因数分解なんですよね。因数分解って複雑な式を共通項に分けて計算するじゃないですか。
最初は「そんな分け方できるかよ」と思うけど、慣れてくると「これってこういう2つの項に分けられるな」と気づくじゃないですか。そのイメージです。
さっき僕が分解したときのように、過去のデータがたくさんあって、時間という概念があって、1単位時間を入力するごとに次の株価が上がるか、下がるかという結果を返すんだと分解できる。
これって因数分解じゃないですか。これさえできれば、プログラムは書けるんですよね。そう考えると、プログラムを書く作業というのは、本当に最後の工程で、もっと大事なのは、因数分解してあげる工程なんです。
川野:今の話は、ある意味授業で習うような内容だったと思います。杉本さんはどうですか。例えばふだん本を読んで、すごく勉強になることもあると思います。読書でプログラミングに役に立ったことは?
杉本:プログラミングは、読書というよりは、書いて動かしてというトライアンドエラーかなと思います。やってみて、わからないところを見つけて、それを調べて心が折れて、ちょっと放置してまた戻ってきて、という繰り返しです。やっぱりまず手を動かしてみる、書いてみる、興味のあることをやってみるというのが一番だと思いますね。
落合:(杉本)至さんの話に補足すると、プログラミングは、因数分解してコードを書くということを何回も繰り返すんですよ。
ちょっと進んで書いてみて、そしたらまた答えが見えてくるんです。人間ってプログラミングを書いていたら時間も経つし、何かに気づくんですよ。そしたらまた因数分解してという、その繰り返しが大事かもしれないですね。
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