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パネルディスカッション「働き方改革最前線!社外人材を活用した働き方」(全3記事)

2019.12.18

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副業を禁止するのは嫉妬深い彼氏と同じ 働き方改革の先駆者らが考える、組織と個人に求められる力

提供:ランサーズ株式会社

2019年9月25日、ランサーズ株式会社が主催するイベント「オープンタレントサミット〜令和元年、これから求められる本当の働き方改革とは?〜」が開催されました。働き方改革が施行され、大企業が副業を解禁するなど、これまでの「働き方」が大きく変化するこの時代、企業はどう向き合っていくべきか。このイベントでは、本質的な働き方の変化を進める企業の担当者が登壇し、取り組みや事例をもとにさまざまなディスカッションが行われました。本記事では、イベント最後に行われたパネルディスカッション「変わる働き方最前線!企業が知っておくべき新たなワークスタイル」より、副業・兼業に関して工夫している点と課題について意見を交わしました。

本業でやっていることと副業・兼業のシナジーを重視

若宮和男氏(以下、若宮):ここからトークセッションの中身に入っていきたいと思うんですけれども、今日の大きなテーマは副業やテレワークなどの働き方についてです。さっきおうかがいした中でも、働き方がどんどん多様化していくのがこれからのキーで、今まで「組織に人が合わせる」だったのを、どうやって組織側が人に合わせて制度設計していくかが大事になると思います。副業やテレワークを含めてどういう工夫されているかということですね。

後段では、「とはいえ、めっちゃ困ること」というか(笑)。副業もメリットだけがあるわけではないので、「マネジメントが大変です」といったお話を聞ければと思っています。最初は副業やそのあたりの話を……じゃあ三浦さんから、取り組みをお話しいただいてもいいですか。

三浦孝文氏(以下、三浦):はい。弊社の場合は先ほど少しお話ししたように、もう5~6年前から会社のほうで副業・兼業を認めていて。その当時から大事にしていたことは、本業でやっている自分のミッションなどにとって、副業・兼業でやっていることが学びとして返ってくるか。

または、本業でやっていることが、ちゃんと副業・兼業のほうでも学びとして活かせるか、というシナジーは大事にしていますね。それはもうずっと、基本的に社内で兼業の話をするときなどは、新しく入ってきた人にも言っていることですね。

ちなみに自分のチームで(兼業を)やっている子がいるんですけれども、その子は週末に日本酒バーで女将をしていまして。もともと「ミス日本酒」で、けっこう世界を飛び回っていたような子なんですけれど。彼女も完全に採用広報をやりながら、土日や平日の夜は「ミス日本酒」として、もともとやっていたことを活かして日本酒バーの女将をやっています。

若宮:なるべく領域が近くてシナジーが効きそうなものを選んでやりましょうね、という。

三浦:そうですね。「なんでもいい」ということで(副業を)やるのも、もちろんできるとは思うんですけれども、会社の中に700人~800人いて、「なんでもいい」と認めるよりは、あえて本業の中で活きることを(やってもらう)。

携わる領域は別に異なってもいいと思ってるんですけど、例えば営業をやっている子がぜんぜん関係ないことやるよりは、営業のスキルがもっと発揮できたり、その中で学びがあるところを推奨している感じです。NGとは言わないんですけれど、そういうふうに強みを活かす兼業を推奨している感じですね。

副業・兼業に関する給与問題をどう考えるか?

大友潤氏(以下、大友):うちでも悩んでいるところがあるんですが、1つお聞きしてもいいですか? 副業や兼業の中で、他社からお金をもらうのか、もらわないのか。あとは既存の労働時間に制限があるとき、給与問題をどうするか。

パーソルグループのように社員が3万人以上もいると、ホールディングスから各会社まで、これで喧々諤々して、一向に決まらないような風潮が1年ぐらいありました。オイシックス・ラ・大地さんは組織統合する中で、その調整をどんなふうに進めてますか。

若宮:そうですね、もともと人事制度がぜんぜん違いますよね。

三浦:そうですね。基本的には「各社がいいものを残す」という思想で、兼業はオイシックスがもともとかなりやっていたところで、今全社で展開しています。お金をもらう・もらわないという話では、基本的にはもらうものがメインという感じですね。(兼業の)申請が必要なものは、基本(お金を)もらうもの、というところです。

ただ「お金を稼ぐことを目的にしないでね」とは言っているので、別にその先のところまでは管理してないですし。ただ、働く時間などは一応所属の上長などに対して「この人は今兼業をしてるけど、実際の働き方などに影響がないか」という部分は、3ヶ月に1回ぐらい、評価のタイミングと連動して聞きますね。

私のチームメンバーも「最近〇〇さんどうですか」というふうに、自分たちでアラートして振り返っている感じです。

若宮:これ、おもしろい。さっき「オフレコで」と言っていたんですけど、当時のChatworkさんはどんな感じなんですかね。誰が何をやっているかというのは、ぜんぜんステルスというか、ぜんぜんわからない(状態なんですか)?

社員が“食わず嫌い”を克服すると、組織が強くなっていく

内田良子氏(以下、内田):正直そんなにわかってない……(笑)。

(会場笑)

ですけど、一応副業チャットがあるので。1個マイナスのところから言うと、やっぱりなんにもルールがないので、ここからルールを作ることがまったくできないんですね。

若宮:あぁー。

内田:「ちょっとルールを作ってもいいですか?」と言うと、「なんでそんなプライベートなことを言わなきゃいけないんですか」みたいになっちゃいそうで。

すごくよかったなと思う点は、エンジニアの方って基本スペシャリストというか、ジェネラリストになる人はあんまりないんですよね。やっぱり「マネジメントは嫌だ」とか、「ビジネスってそんなに興味ないし」という人が多いので、組織マネジメントがあんまり好きじゃないんですよ。

なんですけど、以前エンジニアが、知人が事業を立ち上げるからというので、事業戦略などを手伝ったという話を聞きました。自分の生業はまったく違うところでお仕事をして、そこから事業に興味を持ち始めたり。そういう方が、今や組織のマネジメントをするポジションになったりしています。

やっぱり、自分じゃ「あんまり興味ないな」と思っているけど、食わず嫌いのような感じだったので。それを外部でやってみて、「あ、ちょっとおもしろいんじゃないか」「このロジックは何かおかしいぞ」とかおもしろさを感じられるんじゃないかなと。

うちではそれができないところで、外でできたことは、組織マネジメントに活かせてる1つの要素なのかなと。やっぱり、それを外でやってくれることによって、組織が強くなっていくことを少し実感したというか。それはすごくありがたかったと思います。

管理はしない代わりに、「見える化」していく

若宮:ここはおもしろいところだと思うんですよね。本業と近いところでやるとスキルが活かせてそれを伸ばせることと、本業でできないこと、あえて違うことをやると、必要なスキルが新たに発掘されていくこともあるなと思って。

うちの会社は「なるべく副業の話をしましょう」と決めていて。ほかの仕事をやると、せっかくそこでついたスキルや人脈がシナジーになることだけが価値なので、言わないと何もシナジーを受けていないので(笑)。「最近こんなことやってて」「最近原宿にカフェオープンして」ということを、なるべくみんなで自慢しあうような空気をつくっています。

そうすると、そっち(副業)側が今どれくらいの忙しさかな、というのもだいたい見えるので。さっきの副業チャットは、わりとそういう報告がされているような(感じですか?)。

内田:そうです。すごくオープンなところで、「こういうことをやっている」とか呟いてくれるようなもので。要は、それを興味ある人が見たり、自分だったらこういうことをやりたいな、とか。まだ副業をやっていない興味のある人も入れるんですよ。とにかく副業に興味のある人がそのチャットに入れて、「みんながこういうことをやってるんだ」「ぜんぜん違うことやってるんだ」と共有したり。

あとは朝礼などで、1人3分~5分しゃべってねというときに、「実はこういうことをやっていまして……」という感じで。

若宮:管理はしないけど、見える化はめっちゃしてる。

内田:そうです、そうです。うちはどちらかというとオフライン・オンラインのコミュニケーションがものすごく活発です。心理的安全性を担保した組織を目指しているので、オープンマインドな人たちが多くて。「やっちゃダメ」ということがないから言えるところがあるので、それはすごくいい環境かなと思っています。

若宮:これはけっこうカギだと思っていて。副業というと「解禁」とか、「労務管理どうするんですか」とか、管理の話ばかりになるんですけれど。管理しないで見える化して、せっかく副業解禁するんだからそれを活かそうぜ、というのはすごくいいなと思います。

大企業の人ほど、「副業アピール」に慣れていない

内田:あと、その反面で、自分でデフォルト不健康って言ってる人もいて。

(会場笑)

若宮:朝起きられないとか(笑)。

内田:そうです、そうです(笑)。各部の中で「勤怠報告チャット」や「体調不良チャット」というのがあって(笑)。この人は今体調不良だなとか、そういうものが目に見えてわかる。「今日は体調不良で休みます」というのを人事も見られる状態になっていて、「あっ、数日休んでるんだ」みたいな(笑)。

それで、ダイレクトで「大丈夫?」とか、労務管理的な問題で「労働時間が長くなってない?」とか、こちらからアプローチができるので。本当に、体調不良でもなんでも言ってもらって。うちは休むときは電話じゃなくて、全部チャットなんです。

若宮:でも、電話やメールの1 to 1じゃなくてそれが見えちゃうというのが、Chatworkさんのプロダクトそのままだからすごくいいですね。シェアフルの大友さんのところは、外部人材なども含めて、今どんな状態になってるんですか?

大友:シェアフルを作ったきっかけの1つでもあるんですが、パーソルグループ自体が数万人規模になると、どうしてもセキュリティやプライバシーポリシーなど、人材業ならではの個人情報の管理の問題が出てきます。

その中で、いわゆる出島戦略に近いんですが、ネットワークも含めてすべてグループ外の環境に置いたことが1つあります。言葉を選ばずに言うと「治外法権」に近い環境を作って。グループにもともといる人間が半分ぐらいで、あとは外部からのフリーランサーも含めたのが半分ぐらいです。

やっぱりグループ出身の人間は、一応グループにあるルールに従って、ちゃんと副業申請書を出したりするんですけれど。外から来る人たちからすると、ある意味Chatworkさんに近いですが、副業のルールみたいなものって、わざとあまり浸透させてなかったりするので。いつの間にか勝手にやってるとか。勝手にやっていることが前提のような人たちを採用していたりします。

ただ、Chatworkさんに見習わなきゃいけないなと思うのは、可視化を推奨すること。これがやっぱり、うちのパーソルグループもそうですし、シェアフルもそうなんですが、大企業はまだそこに慣れていない人たちが多いので。「副業、アピールしていいんだっけ」と惑う社員がけっこういるんじゃないかなというのが大きな違い。それが当たり前になるのかならないのかの違いはあるのかなと。

そのときに、トップが順番にやっていくといい、ということはよく言われるんですけど。じゃあ今みなさんの組織も含めて、トップが自ら「副業・兼業やってまーす!」ということって、どれだけアピールできる会社・組織があるのかは……けっこう大きいのかもしれないなとは、お話しを聞いていて思いましたね。

副業を禁止している人は嫉妬深い彼氏と一緒

若宮:それで言うと副業って、制度というより、ソフトが先にやり始めちゃうものだと思っていて。よく「副業を禁止している人は嫉妬深い彼氏と一緒だ」という話があるんですけど(笑)。

(会場笑)

「ほかの男と会うな」「俺一筋でいろ」ということをやってると、嫌になっていなくなっちゃうじゃないですか(笑)。副業が自然なかたちになったら、管理しようとしてもムリだなという時代にはなってきてるのかなと思います。

とはいえ、何でもかんでも許していると、とくにパーソルさんはもともとインテリジェンス、テンプスタッフ、ランサーズなど、経営統合がいっぱいあるので。カルチャーが違ったり、ルールだけじゃないですけれど、どうやってダイバースなものをマネジメントしているのか。どんな苦労があるかも、ぜひおうかがいしたいんですけど。どなたでも、もしくはどなたからどなたにでも。

大友:じゃあ最初に。ちょっと語り始めるとキリがないんですが(笑)。1つは自分自身もパーソル出身なので、ある意味、大企業にあるようなマネジメントの仕方をいかに放棄できるか。事業を立ち上げてから半年ぐらい、このギャップに苦しみました。

それで学ばせてもらったのは、今一緒に経営をやっているランサーズ出身のCTOの横井(聡)さんという方がいらっしゃるんですが、その方がランサーズも含めてやってきたところのある意味アンチテーゼとして……正社員前提で採用する、とくにエンジニアリングメンバーで言うと、せっかくパワーをかけて採用しても1~2年で辞めてしまう。

であれば、コアメンバーは当然採用するにしても、フリーランスを前提とする。普通に入ってきて普通に出られる組織をいかに作るか。このために、自分のマネジメントだけではなくて、技術顧問で入ってもらっている、ある会社の社長がいらっしゃるんですけど、そういう方にメンターとして入ってもらって。マネジメントを分散することで、フリーランスの管理できない部分を支援してもらうとか。

そんなやり方で、フルタイムじゃないメンバーのストレスなどを、ライン以外で解消し始めたことは1つ、なるほどなというもので。大企業にいると、縦ラインのマネジメントが当たり前で、上意下達じゃないにしても、そういう環境からの大きな脱却の転機でした。やっぱり混在型の組織で異文化を一緒に学べたことは、気付きとして大きかったなと思います。

プロパー社員の不満の種は、フリーランス価格上昇問題

内田:聞いてもいいですか。フリーランスでも業務委託でも社員でも、価格の決め方や評価と言われるところは、何か違いがあるんですか?

若宮:外部人材も入ると、評価がめっちゃ難しいですよね。うちは副業OKなので今実験しているのは、完全自己評価ということをやっていて。これからの時代は、もう評価できないと思っているので。毎回、3ヶ月に1回、契約更新のときに「自分のバリューはいくらだと思う?」って(笑)。

大友:(笑)。

若宮:それを毎回、毎回。日本人って、自己評価がすごくヘタだと思っていて。これからは自分の価値に値付けできるようにならないといけないと思っているので、あえてそういうことやってるんですよ。もちろん面談はするんですけど、「いくらだと思う、君?」というやり方をしているという(笑)。横並びで(評価が)できるかというと、給料を1社からしかもらわない時代もどんどん変わってくると思うので。出世や評価の概念をどう変えていくかはけっこう難しいなと。

外を見ているからこそ、「隣の芝生はそんなに青くない」とわかる

内田:うちもすごく課題です。リモートの人の評価と出社している社員の評価は、結局一緒にはしているんですけれど。やっぱりフルリモートの人はアウトプットの質と量と、あとタスクマネジメントがどれだけできているかで評価しています。

社内にいる人はプロセスが見えているので、「あの子がんばってるね」と、ちょっと感情が入っちゃったり。そういうところで不満が出てくるんじゃないか。それで、結局評価して価格を決めても、100パーセント納得する人なんか絶対いないですね(笑)。

若宮:絶対いないです(笑)。

内田:もう何年も評価制度を作ってるんですが、ただ会社の中でやってほしいことをやってくれたかどうかだけを評価したところで、個人の特性を活かしきれない。今すごく悩んでるんです(笑)。

若宮:(笑)。うちはフリーランスじゃないけど、要は副業やって年収を上げるほうが簡単じゃないですか。1社でどんなウルトラCを決めても、来月から月収は5万円も上がらないので(笑)。そうするとうちのメンバーはみんな、それぞれ別の仕事もあるから、それで全体をマネジメントしている感じになって、逆に不満があんまりないんです。しかも、経営統合すると、そもそも給与水準も違うようなところから来るわけですもんね。

三浦:今の話を聞いていて1つ思ったんですけど、兼業や副業をしている人のほうが辞めない人が多く、意外とコミットメントが高いのかなと思ったり。兼業させている会社に聞くと、兼業しているほうが意外とちゃんと外を見ているし。外を見ているからこそ、隣の芝生はそんなに青くないこともちゃんとわかるというのもあって。辞めない人が増えたという声もあるなと思っています。

うちの会社で言うと、やっぱり統合して社員の年齢の幅も広がりました。ベタな話をすると50代の人たちもいっぱいいて、その人たちの次のキャリアをどう作っていくかという課題も出てくるので。

そうなったときに、もちろん社内でも魅力的なプロジェクトにどうアサインしていくかという話はあるんですけれど。一方で、外の活躍の場をどう作っていけるかというところで兼業を始める人も出てきています。例えばもともと農産品の仕入れなどをやっていた人が、バイイングのスキルを活かして、生産者に協力するかたちで兼業していくとか。そういうかたちは始まっているんですよね。

兼業することによって、もともとは統合する前のオイシックスという会社のカルチャーの1つだったかもしれないけれども、統合した先の中でもそういうかたちは出てきているかなと思います。

限られた時間でどうパフォーマンスを出していくか?

若宮:逆にみなさんに聞きたいんですけれど、兼業・副業をやっていて何かトラブったケースとか、仕事がスタックしちゃったようなことはないですか。

三浦:僕はすごく気になることがあるんです。自分が兼業していて、兼業先の会社の経営側の人や事業部の人との対面のコミュニケーションって、すごく難しいなと。週1回、何時間とかディスカッションして、当然「こういうことやっていきましょう」というコンサルだったりするんですよね。

じゃあ1週間後に、また同じ話に近いことをやっちゃっていたり。どうやって入り込んでいくかとか。裏を返すと、たぶん我々も兼業の人を受け入れていくときに、そういう人に少ない時間でどうパフォーマンスを出してもらうか。そこはちゃんと考えていかなきゃいけないし、みなさんがどうしてるんだろうと。入り方とか、限られた時間でどうバリューを出すかというのは、僕自身も(兼業を)やっていての悩みですね。

若宮:三浦さんがオイシックス以外で兼業をしているときのことですよね。

三浦:はい。週1回何時間で言うと、やれることや見えていることの進捗って、会社の中でも当然いろいろな動きがあるので、やっぱり入りきれないじゃないですか。どうやっているのかを逆にみなさんに聞いていきたいなとちょっと思って。

若宮:どうですか?

内田:Chatworkのグループチャットで進捗をザーッと見ていたり、困ったことがあったら一言入れたり。それは自分のやるべき範囲以外のところもやっちゃうというのはあります。

その部分は(報酬を)もらってないようなところはあるんですけど。そうすると真ん中のところをフルコミットできるというのもあるので。やらないよりも、外側のところはちょっとやっちゃうかなというところはあるかもしれないですね。

若宮:大友さんは逆に兼業の人をいっぱい受け入れている感じということですよね?

大友:受け入れる側の悩みは今まさにお話があったとおり、うちのグループで議論している中で、「もしかするとこれはあるかもな」と思ったことがあります。結局、働く個人のスタンスによりますという話になったときに、お金がすべてじゃないとはいえ、主たる給与をもらっているところは減らずに(兼業で)アドオンだと。

アドオンになる分は嬉しいけど、やっぱりコミットの前提となる(ような)、どれくらい働いてどれくらい稼ぐかという切実感のようなものを作ろうとしたときに、副業をやってもいい代わりに、既存の(仕事に従事する)時間が減るんだったら、その分賃金減らすよと。

このマインドセットは実は……これはちょっとみなさんには適応されないかもしれないんですが、うちのグループでいわゆるビジネス系で営業しかやったことがない人が新しいチャレンジをするときに、腹をくくるという意味では自分の身銭を切ってでも外に出る。それでアドオンで稼ぐというコミットをさせる意味では、1個のいいきっかけにはなるんじゃないかと思っています。

毎週1回は、雑談だけしかしない1時間を過ごす

若宮:副業するのは止めないけれども、それなりの……

大友:覚悟を。

若宮:覚悟を持ってやる。

大友:うちもそうですけど、今日の議論の前提がエンジニアリングのメンバーで。デザインもそうだけど、やっぱり仕事を選びやすいとか。副業をやったほうが儲かるような環境が、すでにできあがっているんですよね。

ビジネス系はまだまだそこまではないというか、自分の価値がいくらかわからないような前提だったり。それを後押ししやすくする意味でも、今みたいにメリハリをつけてあげることは1個の考え方としてはあるんじゃないかなと。うちのグループがやる場合には、やっぱり給与が下がったりすることも考えられるので、ちょっと厳しいですけどね。

若宮:そっか。うちもまさに全員副業でやっていると、受け入れる側でときどきみんなのマインドシェアがすごく下がっているときもあるんですよね。集中してやれているときと、人によって本当に……うちは働いている時間の量とその人の発揮するバリューが比例しないことを証明するためにそうやっているんですけれど。

例えばママと(して子育てをしながら)副業している感じだとすると、月に2時間しか働けないときもあるんですよね。そうすると気持ちが離れてしまうのがけっこう怖い。最近実験しているのは、みんながつながる時間を週に1時間だけ必ず取って、そこでは雑談しかしないんです。

帰属意識って、仕事の目的よりつながっている感じをどう醸成するかだと思っていて。やっぱりChatworkさんなど、チャットツールを使っていると仕事で用事があるときしか話しかけない関係になっていく。そうすると、何が起こっているかの手触りがちょっと失われていくので、あえて雑談に時間を使ってみることをけっこうやっていたりしますね。

コミュニティは押し付ける時代から引き付ける時代へ

三浦:僕も今のはすごく重要だなと思っていまして。自分たちも社外のパートナーさんで個人事業主の方や副業の方を受け入れたりするので。そうなったときに、自社に対して限られた時間の中で、この人たちの熱量をどう上げていくかを考えると、いかに社内の中に巻き込むか。そういう力をすごく問われている気がしていて。

社内イベントに必ず呼ぶとか、毎週時間を決めて雑談する時間を作るとか。別にチャットでもいいんですけど、関わる濃度をどう上げるかは受け入れる側もけっこう問われている。そこはすごく感じますし、自社でも取り組んでいます。

若宮:コミュニティをやられているので、そのへんはわかると思いますけど、コミュニティって自発的にやる人をどれくらい巻き込むか(が重要)になっていて。押し付ける時代はもう終わったので、最近は引き付ける時代にならなきゃいけないと言ってるんですけど。

経営者が、昭和の亭主関白みたいに「こういうルールでやります」と言っても、「いやーん」っていなくなっちゃうじゃないですか(笑)。

それよりは会社側がそこに入りたいという魅力をどうやって作り続けるか。引き付けられるか。なので、さっきの鹿児島で勝手にリモートワークとか。やっぱりああいうものに引き付けられて、人は来るなと思って。

(三浦氏に向かって)18時までに面接に戻らないといけないと(笑)。

三浦:うちのすばらしいチームメンバーが、今日18時に面接を入れてくれるという。すみません。ぜんぜん大丈夫ですよ。

若宮:ちょっと時間もあれなので、最後にみなさんから一言ずついただいて。パーソルさんとChatworkさんがブースも出していらっしゃる? オイシックス・ラ・大地さんも出されてましたっけ?

三浦:うちはブースは出してないです(笑)。

若宮:じゃあ、ちょっと短い時間で、かつ拙いファシリテーションだったんですけど、一言ずつお願いします。

いかに入りやすく出やすいビジネス環境を作るか

大友:今日はありがとうございました。私どもがやっているのは、自社でどう副業の環境を作るかというよりは、そういう環境で働いてもらう個人のポジションをいかに作るかという話です。ある意味真逆な部分もあると思うんですが。

やっぱり副業を前提にしたり環境を整えるようなところは、受け入れも含めて、パート領域だろうが、社員領域だろうがあんまり変わらない話で。そういうところの中で、今回戻って考えなきゃいけないなと思ったのが、エンジニア環境は恵まれているよねと(笑)。

若宮:確かに。

大友:副業・兼業もそうですが、ビジネス環境において、いかに入りやすく出やすいものを作るのか。やっぱり我々はシェアフルとして作りきれてないので、今日はそのエッセンスをいただいたんじゃないかなと思いました。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

内田:ありがとうございました。まだまだ100人規模の会社なので、すごくたくさんの課題があって。御二方のお話を聞けてすごく参考になりました。あと、私たちはビジネスコミュニケーションツールを押し出しているというよりは、働くことをもっと楽しく創造的にできるように、ITでできることはITに任せて、人にしかできない創造的な仕事をしようというと発信をしています。

働き方改革や業務改善は、チャットを導入すればそれでいいというわけではなく、自分たちも社内でいろんなツールを使いながら働き方を変えていこうとしているので。そういったところも、もしよければブースに来ていただいて、Chatworkやほかにこんなツールを使っているということを情報交換できたらと思いますので。ぜひ懇親会のときに来ていただければと思っています。よろしくお願いします。ありがとうございました。

(会場拍手)

これからの組織と個人に求められる力

三浦:ありがとうございました。僕は最近読んですごく印象に残っている本があります。立教大学に、組織や人事の研究をされている中原(淳)先生という方がいらっしゃるんですけど、その方が本の中で、多様性のある社会において求心力がとても重要になるという話を書かれていました。

今、働き方や働く人の多様性がすごく生まれてきている中で言うと、受け入れる組織の側としては多様性を許容し、ある種それを支援する環境を作っていかなきゃいけないなと改めて感じつつ。個人としては、兼業や副業をしているので、逆にいかに自分自身が組織に入り込んでいくスキルを身につけていくかというのはすごく重要なんだろうなと。

お話をしていて改めて気づかされたので、自分自身にとっても最高な学びの時間になったなと思っています。このあと私は出てしまうんですけれども、あんまりお話できなかった方も多いので、Twitterで気軽にフォローいただいたりDMをいただければと。

若宮:実名で検索すると?

三浦:あ、出てきます。NewsPicksなどいろいろやっているので、よかったらフォローいただければと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

若宮:今日のみなさんのお話を伺って思ったのは、副業を解禁するかどうかは結局手段でしかないんですよね。その会社が提供したい価値にとってどういうかたちが最適なのかというのは、自分たちがやっている事業、こういう事業をやっているからこういう形態にする(ということ)。

シェアフルさんだったら、一部分でいいから社員もそう(いう1日単位の副業を)するとか。Chatworkさんも、そもそもチャットやテレワークのためのサービスをやっているから、自分たちもそうするとか。

「副業解禁しなきゃいけないかどうか」というべき論で言うと、逆に「自分たちの会社のバリューからいったら、副業は絶対に最後まで解禁しません! 最後の1社になっても!」という会社も、僕は素敵だと思うんですよね。

ただ選択肢が増えていく中で、今日みなさんからお話いただいたことが参考になればと。あと、このあと交流していただければと思います。ではみなさんありがとうございました。

(会場拍手)

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