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質疑応答(全1記事)

サイボウズ、LIFULL、サイバーエージェントが取り組む、企業価値を高めるためのインナーブランディング戦略

2019年5月21日、Innovation Space DEJIMAにて「企業価値を高めるインナーブランディング・社内広報」が開催されました。働き方の多様化が広まり、「企業に属して働く」のが当たり前ではなくなってきている昨今。人が集まるような魅力ある企業はインナーブランディングをうまく行っており、その要となる社内広報の重要性はどんどん高まってきています。このイベントでは、先進的な取り組みをしている企業の担当者が登壇。本記事では、登壇者全員が参加した質疑応答の模様をお送りします。

現場との温度差をどうやって乗り越えていったのか

柳奈央子氏(以下、柳):事前にconnpass経由でお申し込みいただいた方のみでちょっと申し訳ないんですけれども、質問を頂戴しております。そちらから3つ質問させていただくのと、あとは会場の中からもいただければと思っています。

ではさっそく質問の1つ目です。インナーブランディングや社内広報を行う際に、現場との温度差はあるか。また、その場合どのように乗り越えたかというところですね。サイバーエージェントさんはけっこうノリノリな気がします(笑)。この辺はいかがでしたでしょう?

青山文吾氏(以下、青山):そうですね。ポスターで体を張るというのは、比較的昔からある文化で。先ほど取締役がアンドロイドになっていたように、トップからどんどん体を張って体現するカルチャーがもともとあるんですね。

それとブランディングという観点で、制作物をもっとおしゃれにするという組織課題ももちろんあって。ちょっとずつ入れていかないといけないという感じです。

登壇した際にも話したように、僕らがリニューアルした直後の社内報のアンケートでは、「おしゃれすぎてついていけない」みたいなコメントがけっこう多かった。その時にいろいろ考えた結果、どちらかというとおしゃれさを提示するというよりは、その態度というか向き合う態度を工夫していったという経緯があったりします。

施策の初期段階からメンバーを巻き込んでいくことのメリット

:ありがとうございます。ライフルさんの場合は、どちらかというとボトムアップでみんなが協力してワーキンググループを作っていっているので、そういう課題もあまりなさそうなイメージがあります。実際はいかがですか?

山岡早穂氏(以下、山岡):そうですね。本当ありがたいというか……社内のメンバーは比較的巻き込み方で進めていけるので、何かを始める時もやりやすいです。例えば人事主導や広報主導のものでも、最初からテスト的に何人か巻き込んじゃうんですね。

いきなり「これを明日からやります」と落ちてくるよりも、人って自分が知っている社員だったりすると、その施策への親しみとかも身近に感じてもらえるんです。初期の段階からなにかしら巻き込むということを徹底してやっています。その結果、温度差はあまりないかなという状況ですね。

:ありがとうございます。サイボウズさんにおうかがいしたいのは、けっこうブランディングをがらっと変えた時、イメージとかもぜんぜん変わったかと思うのですが、そういう時に社員の方がどういう反応だったかとかはありますか?

大槻幸夫氏(以下、大槻):ぶっちゃけどうなんでしょうね(笑)。なにをやってるんだろうという感じなので、そんな中で最初は、やっぱり潰されないようにお金をかけないとか、兼務でやるとか、余力でやってますよというアピールをしましたね。

早目に成果を生み出していくと、「なんかいいね、それ」という感覚が社内に広がっていって、今ではみんな応援してくれるという感じにはなってきています。立ち上げはすごく苦労しました。

:ありがとうございます。社内広報とかって、巻き込み方がみなさん難しいと感じられているところが多いのかなと思ったので、すごく参考になりました。ありがとうございます。

ブランディングの効果測定はどうやって行っているのか?

:次の質問です。インナーブランディング・社内広報って、私自身も取り組んでいてここが難しいなと思うポイントです。効果測定の指標みたいなものをどこかに置いていたりするのかどうか。置いていない場合はどういうところを見ているのかというのをおうかがいしたいです。

青山:そうですね、ブランディングと呼ぶのかわからないですけれども、僕の場合はスローガンの浸透であったりとか。

その施策自体がどのくらい認知されたかというところでみると、ふだんからメールだったり、月初会のようなみんなが発表しあうような場で、例えば先ほどの地力というキーワードがふだん日常会話でどれくらい聞けるかみたいなことが、意外とミーティングとか含めて物差しになっていたりします。

あと、先ほどのコスプレの題材にしちゃったエピソードについてなんですが、ハロウィンって年に1回しかないので、それでもわざわざそのコスプレを選ぶというのは相当浸透したんだろう、その時のキーワードになったんだろうという印象があったりします。そういうちょっとしたみんなのリアクションが、実際の指標になっています。

:ありがとうございます。

山岡:弊社は人事主導のもので、モチベーションサーベイというアンケートを定期的にやっていて、そこにインナーブランディングに関する項目もあります。あとは先ほどお伝えしたとおり、施策を多方にまたがってやっているので。それぞれの部門でそれぞれのKPIを設定して行っているというのが多いですね。

:ありがとうございます。

大槻:うちの場合は、指標という意味ではページビューとか、もちろんシェア数とか見てはいます。もし目標という意味だとすると、徹底的に逃げ回っていますという感じですね(笑)。やっぱり数字で見られると数字でしか評価されないので、それ以外の価値って絶対あるよねということで「目標はありません」という言い方で言っています。

ただ、ラッキーなことにうちは社長以下みんなソーシャルが大好きなので、『サイボウズ式』の記事が出回っていると、「あれすごく好評だね」というかたちで、体感してくれます。中身もちゃんと読んで、「あれはいいメッセージだったね」と評価してくれるので、目標から逃げ回ることで目を向けてもらっているのかなという気がしています。

全部内製でやろうとせず、時には外注する覚悟も必要

:ありがとうございます。大変参考になりました。事前にご用意させていただいた質問は次で最後です。「これはうまくいった」という施策や、いろんなことを試行錯誤された中での今日の発表だと思うので、その逆もあればぜひ教えてください。

青山:今回発表させていただいた施策が、だいたいうまくいってるかなとは思っています。やっぱり、普通に会社に来て、普通に仕事をして、普通に帰る日常というルーティンがあると思います。そこ自体を動かすというか、自分が職場に行くまでの経路にぜんぜん見たこともない広告が入っているみたいなのは、けっこうみなさんが働いている中で新鮮だったんじゃないかな。

広告というのは社内でポスターにして貼られているものだという常識みたいなものを崩せたかなと思いました。同じような感じで、第2、第3の訴求の仕方を考えていけたら、職場自体が今度はどうメッセージされてくるんだろうと。行動&レスポンスがもっと生まれていくようになったらいいなとは思っています。

山岡:弊社のうまくいったものは今日お伝えしたもので、長く続けているんですけども。広報で1つ、続かなかったなというものがあります。コーポレートサイトの中で、広報ブログみたいなものを始めようとしました。社員へのインタビュー記事というのを、当時、広報が2名で月に2本は必ず上げようという目標を立てて配信してみたんですね。

ただ、新たに立ち上がった商品とかプロジェクトの施策の立ち上げインタビューみたいなのを中心にやっていて、なかなか工数がかかりました。通常業務と合わせてやっていくと、運用がなかなか回らなかったので、先ほど大槻さんの発表をうかがっていて、やっぱり必要な時は外注するといったことが切り分けとして必要だなと感じています。

「私たちを支持してくれているのは誰なのか」を見誤った結果

大槻:広報部のあるあるですよね(笑)。みんな自分たちでやっちゃうんです。うちでうまくいったのは、さっきお話ししたものです。もちろんうまくいかなかったものもあります。

先ほど紹介したワーママのムービーがめちゃくちゃ成功したので、第2弾をやろうということになりました。ママの次はパパだということで、オダギリジョーさんと田中圭さんを起用してパパのドラマを全部で6話くらい、予算を増やしてやってみたんですね。これが大コケしまして。もう僕の記憶から抹消しています(笑)。

そこでの学びは「誰が私たちを支持してくれているのか?」ということをやっぱり見誤っていたなということですね。働くママが1番辛い思いをしていて、あのムービーに共感してくれたのであれば、そこをずっとサポートしていくべきだった。

その頃には働き方改革がムーブメントになっていて、みんなの関心事になっていました。いろんなメッセージに溢れていて、埋もれちゃったなというところがあります。そういうところは調子に乗ってやらないようにしないといけないなという学びですね。

:ありがとうございます。どんなムービーだったのかすごく気になりますね(笑)。後で教えていただきたい。

すみません、会場のみなさんからもご質問をいただこうかなと思っていたんですけれども、若干時間が押してしまっております。大変申し訳ございませんが、もしご質問がある方はこの後の懇親会で個別にしていただくか、懇親会にご参加されない方はなるべく登壇者の方に前にいていただくので、個別に聞いていただければ。

本日はありがとうございました。

(会場拍手)

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