絵本『えんとつ町のプペル』をお土産にする仕掛け

西野亮廣氏:お土産が生きていく上で必要なのであれば、答えはもう簡単で、自分の作品をお土産化してしまえばいいなと思ったんです。つまり僕だったら、絵本『えんとつ町のプペル』をお土産化してしまえばいいということです。

えんとつ町のプペル

じゃあ、お土産化するためには何が必要かというと、そのための体験が必要ですね。つまり、シンガポールのマーライオンの置物でいうところのシンガポールとか、ペナントでいうところの宮島とか。体験がないとお土産として機能しないので、まず絵本がお土産となるような体験を作っちゃえばいい。

それで何があったかなと考えた時に、僕の家に絵本の原画が200枚ぐらいあったんです。それをSNSに上げて、原画の貸出費用を無料にして、全国どこでも西野亮廣の絵本の原画展を開催してもらっていいですよ、無料で貸し出しますよ、というふうにした。

すると長崎では高校生の女の子が、大分のサラリーマンの方が、大阪でのサラリーマンの方が、長野では中学生が、横浜ではOLさんが、北海道のどこぞの市長さんが、西野亮廣原画展を各地方で開催してくださって。「原画の貸出は無料です。その代わり、(会場の)出口で本を売らせてくださいね」って言ったら、この絵本が超売れたんです。

この瞬間に絵本がほぼすべてが売れたわけじゃなくて、西野亮廣絵本原画展のお土産として、グッズとして売れた。原画展が楽しければ楽しいほど絵本が売れた。今もやっているんですけど、『えんとつ町のプペル展』は国内外でずっとやっていて、今たぶん170万人ぐらいきてる。

その個展会場のお土産として、もうすでに何万部かは売れてる。もうそこでヒットは発生してる。もう100万部ぐらい売れることが決定してるわけですよ。あとは、これを10年で100万部売るのか、もうちょっとがんばって5年でとか、そっちの作業はあるけれど。基本的には、売れないことはもうないという装置を作ってしまった。

新刊を書店に並べてもらえるのはわずか3週間

普通、本を売る時は本屋さんで売るんですけど、本屋さんって1週間ぐらい平積みになって、2週間目ぐらいから棚だしがきて、3週間目ぐらいから本屋から消えていくから、この期間内に売ってくださいという制限仕立てなんですよ。魚だとか肉だとか腐るものならわかるんですけど、本は腐らないじゃないですか。5年後も10年後も価値が変わらないじゃないですか。

それで制限時間があるのはつまり1つの弱点というか、そもそもおかしいなということで、もう『えんとつ町のプペル』は5年後も10年後も売り場があるというのを先に作ってしまえば、作品は腐らないので絶対にいいなと。なので、自分は本屋やAmazonで売れたらラッキーぐらいの強気で、本当の売り場の本丸は個展会場で、お土産として売る。

僕はこれを続けていけばどんどん絵本が売れていって、そういうふうにして、絵本を売ってます。会場で、お土産として売る。これさえ数字が合えば、これを続けていけば、どんどんどんどん絵本が増えていく。そこで売ってしまったら、僕は次の本に挑戦するチャンスをもらえる。

前半戦のポイントは、お土産。お土産はもう外せないですね。みなさんがアクセサリーを作ったとして、どうやって売るかと考えた時に、たぶんネットで並べるだけではほぼ売れないですよ。このアクセサリーを盛り上げるような体験を生み出して、この体験がむちゃくちゃおもしろかったら、買って帰るんですよ。

(会場スタッフに)今、時間どれくらいありますか? ちょっと、おもしろい話があるんですよ。

会場スタッフ:あと18分。

西野:あと18分。早いすね! その話はやめます。

(会場笑)

『革命のファンファーレ』っていう本に(その話が)書いてあるんですよ。そっちを読んでください。

革命のファンファーレ 現代のお金と広告

分業制で作られた絵本

西野:広告の話の次は、お金の話をします。こっちが今日の主題です。こっちのほうが大事です。お金の話です。

『えんとつ町のプペル』を軸にしゃべるとですね。『えんとつ町のプペル』という絵本で、これまでの絵本と大きく作り方を変えたのは何かというと、分業制です。僕の中でのこれまでじゃなくて、絵本業界のこれまでの作り方を大きく変えました。

この記事は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

SNSで会員登録

メールアドレスで会員登録

パスワードは6文字以上の文字列である必要があります。