2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
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西野亮廣氏:お土産が生きていく上で必要なのであれば、答えはもう簡単で、自分の作品をお土産化してしまえばいいなと思ったんです。つまり僕だったら、絵本『えんとつ町のプペル』をお土産化してしまえばいいということです。
じゃあ、お土産化するためには何が必要かというと、そのための体験が必要ですね。つまり、シンガポールのマーライオンの置物でいうところのシンガポールとか、ペナントでいうところの宮島とか。体験がないとお土産として機能しないので、まず絵本がお土産となるような体験を作っちゃえばいい。
それで何があったかなと考えた時に、僕の家に絵本の原画が200枚ぐらいあったんです。それをSNSに上げて、原画の貸出費用を無料にして、全国どこでも西野亮廣の絵本の原画展を開催してもらっていいですよ、無料で貸し出しますよ、というふうにした。
すると長崎では高校生の女の子が、大分のサラリーマンの方が、大阪でのサラリーマンの方が、長野では中学生が、横浜ではOLさんが、北海道のどこぞの市長さんが、西野亮廣原画展を各地方で開催してくださって。「原画の貸出は無料です。その代わり、(会場の)出口で本を売らせてくださいね」って言ったら、この絵本が超売れたんです。
この瞬間に絵本がほぼすべてが売れたわけじゃなくて、西野亮廣絵本原画展のお土産として、グッズとして売れた。原画展が楽しければ楽しいほど絵本が売れた。今もやっているんですけど、『えんとつ町のプペル展』は国内外でずっとやっていて、今たぶん170万人ぐらいきてる。
その個展会場のお土産として、もうすでに何万部かは売れてる。もうそこでヒットは発生してる。もう100万部ぐらい売れることが決定してるわけですよ。あとは、これを10年で100万部売るのか、もうちょっとがんばって5年でとか、そっちの作業はあるけれど。基本的には、売れないことはもうないという装置を作ってしまった。
普通、本を売る時は本屋さんで売るんですけど、本屋さんって1週間ぐらい平積みになって、2週間目ぐらいから棚だしがきて、3週間目ぐらいから本屋から消えていくから、この期間内に売ってくださいという制限仕立てなんですよ。魚だとか肉だとか腐るものならわかるんですけど、本は腐らないじゃないですか。5年後も10年後も価値が変わらないじゃないですか。
それで制限時間があるのはつまり1つの弱点というか、そもそもおかしいなということで、もう『えんとつ町のプペル』は5年後も10年後も売り場があるというのを先に作ってしまえば、作品は腐らないので絶対にいいなと。なので、自分は本屋やAmazonで売れたらラッキーぐらいの強気で、本当の売り場の本丸は個展会場で、お土産として売る。
僕はこれを続けていけばどんどん絵本が売れていって、そういうふうにして、絵本を売ってます。会場で、お土産として売る。これさえ数字が合えば、これを続けていけば、どんどんどんどん絵本が増えていく。そこで売ってしまったら、僕は次の本に挑戦するチャンスをもらえる。
前半戦のポイントは、お土産。お土産はもう外せないですね。みなさんがアクセサリーを作ったとして、どうやって売るかと考えた時に、たぶんネットで並べるだけではほぼ売れないですよ。このアクセサリーを盛り上げるような体験を生み出して、この体験がむちゃくちゃおもしろかったら、買って帰るんですよ。
(会場スタッフに)今、時間どれくらいありますか? ちょっと、おもしろい話があるんですよ。
会場スタッフ:あと18分。
西野:あと18分。早いすね! その話はやめます。
(会場笑)
『革命のファンファーレ』っていう本に(その話が)書いてあるんですよ。そっちを読んでください。
西野:広告の話の次は、お金の話をします。こっちが今日の主題です。こっちのほうが大事です。お金の話です。
『えんとつ町のプペル』を軸にしゃべるとですね。『えんとつ町のプペル』という絵本で、これまでの絵本と大きく作り方を変えたのは何かというと、分業制です。僕の中でのこれまでじゃなくて、絵本業界のこれまでの作り方を大きく変えました。
絵本って、なんか1人で作るものだっていう決まりがあったんですけど、『えんとつ町のプペル』って分業制で作ってるんです。40人ぐらいのスタッフで作っています。最初は1人で描いてたんですけど、あれ、ちょっと待って、なんで絵本って、1人で描くことに決まってしまっているんだろう? と思って。
例えば、映画だったら、監督さん、音響さん、照明さん、メイクさん、美術さん、役者さんと、いろいろな方がいらっしゃって、それぞれの得意分野を持ち寄って、映画を作っています。
ゲーム、ドラマ、バラエティー番組だってそうですよ。このイベントだって、司会の方がいらっしゃて、ゲストの方がいらっしゃって、分業でやってるじゃないですか。世の中の会社組織もそうだし、家族もそうですね?
世の中のものが、すべて分業で回っているにもかかわらず、絵本だけはなんか知らないですけど、1人で作ると限定してしまっているんです。でも、ちょっと待って。絵1つとっても、空を描く人たち、キャラクターをデザインする人たち、色を塗る人たち、街を作ってデザインをしてる人たちと、微妙に業務内容が違うと思うんです。
空を描かせたら、私が1番だよという方もいらっしゃるだろうし、魅力的なキャラクターをデザインさせれば、僕が1番だよっていう方もいらっしゃるだろうし、キャラクターは描けないけど、街を描かせたら僕が1番だよって方もいらっしゃる。
であれば、空のプロフェッショナル、キャラクターのプロフェッショナル、街のプロフェッショナル、色塗りのプロフェッショナルが集まって、みんなで得意分野を持ち寄って、映画みたいに超分業制で作ってしまえば、世界で誰も見たことのない絵本が、作れるのではないかなっていうところが、『えんとつ町のプペル』のスタートですね。
超分業制で作っちゃおうと。誰も見たことのないものを作っちゃおう、分業制で作っちゃおう、というのがスタートなんですけど。ただ、このアイデアにはなんの価値もなくて、要は分業制で作った方がいんじゃねって、考えた人はたぶん世界中にいる。10万人、100万人、1,000万人、1億人いたと思うんです。
問題は、なんで分業制絵本が形になっていないのか? なんでそのアイデアが形になっていないのか? そこには必ず原因・理由がなにかしらあるかと思って、探っていったところ、見えてきたのはなにかというと、先ほども申し上げましたけど、日本の場合だったら5,000部とか10,000部で、絵本業界の市場が小さいんです。
市場が小さくて、まず売上が見込めないんです。売上が見込めないから、制作費が用意されない。制作費が用意されないから、スタッフさんにお支払いする給料が用意できない。だから、1人で作るしかない。つまり、絵本を1人で作らせている理由のど真ん中にあるカードはなにかというとお金であると。
「お金がないから、1人で作るしかない」「僕もお金がないから、1人で作るしかない」「私もお金がないから、1人で作るしかない」というのを、ずーっと続けているうちに、絵本は1人で作るものだっていう決まりが、できあがってしまったんですね。
でも、そんな決まりなんてなくて。10人で作ったほうが、おもしろいものができるんだったら、10人で作るほうが良いし。当然、1人で作ったほうが、おもしろいものができるんだったら、1人で作ったほうが良いし。100万人で作ったほうが、おもしろいものができるんだったら、100万人で作ったほうが良い。
クリエーターの本分・本質は、感動させることなんです。1人で作ることではないんです。お客さんをいかに楽しませるかということなんです。別に1人で作らなきゃいけないというルールはないんです。僕の場合だと、40人で作ってしまえば、良いものが作れるなという計算ができるので、まず、最初にやる作業は絵を描くことでもなくて、商品を描くことでもなくて、資金調達なんです。
40人のスタッフを雇えるだけの資金が必要になる。じゃあ、どうやってお金を集めたかっていうと、この1、2年でようやく聞くようになってきましたけど、クラウドファンディングですね。インターネット上で企画をプレゼンして、全国の人から支援してもらうっていう、クラウドファンディングでお金を集めて、制作費を集めて。
クラウドファンディングでお金を集めたんです。『えんとつ町のプペル』は、二度のクラウドファンディングをしていて、のべ1万人ぐらいの方に支援していただいて、5,600万円という、めっちゃくちゃ大きいお金が集まって、制作がスタートしたんですけど。
今だったら、まず、クラウドファンディングっていう資金調達の選択肢があるんですね。みなさんもこれから挑戦する時に、お金がいるなという時に、クラウドファンディングを選択することができる。やるやらないは別としても、選択肢の1つとして持っておいたほうが良いと思います。アルバイトでお金を稼ぐのもいいんだけど、クラウドファンディングという方法もあるよということですね。
ただ、ここで押さえておかなきゃいけないのは、クラウドファンディングは、金のなる木じゃないんです。誰も彼も、クラウドファンディングしたらお金が集まるって、そんな甘い話があるわけがなくて。同じような企画でも、100万円集まっている人がいて、1円も集まってない人がいる。
もう1つですね。テレビタレントとクラウドファンディングの相性は、すこぶる悪いです。テレビタレントがクラウドファンディングをしても、お金がぜんぜん集まってないです。分かりやすいことを言うと、ロンドンブーツの田村淳さんが、達成目標金額1,000万円でクラウドファンディングをやったんですけど、200万円くらいしか集まらなかった。
ここ(田村淳さんの失敗)を言いたいんじゃないんですよ。さっき僕が5,600万円集まりましたよと言った時に、お前有名人だろと思った方がけっこういらっしゃると思うんですけど、田村淳さんって、みんなが知ってるじゃないですか。(田村淳さんは)ツイッターのフォロワーが260万ぐらいいます。だけど、支援者数は百何十人しかいないんです。
ここが分かっていないと、つまり同じような企画でも100万円集まる人がいて、1円も集まらない人がいる(ということになるんです)。もう一つ、田村淳さんがなぜ負けたか? テレビタレントが、なぜクラウドファンディングと相性が悪いのかが理解できていないと、たぶんクラウドファンディングに挑戦されても失敗すると思うんです。今から私が言うのは、クラウドファンディングの勝ち方です。
クラウドファンディングって、一体なんだ? なんでお金が集まる人と、集まらない人がいるんだという、お話をしたいです。あと13分なんで、バーッとしゃべりますね。ああいうことを理解しようと思ったら、つまりクラウドファンディングで勝とうと思ったら、頭に入れておかなきゃいけないことが大きく2つ(あります)。
1つはなにかというと、「お金とはなにか?」。この問いに対して、答えを持っておかないと、クラウドファンディングで勝つことはできないです。もう一つが「クラウドファンディングとはなにか?」。この問いに対しても、やっぱり、答えを持っておかないと、クラウドファンディングで勝つことはできないです。
結論から先に言うと、まあ、方法論になりますけど、お金って一体なんだって言うと信用です。信用を数値化したものがお金である。これは、けっこうみんなが言うんですよ。ホリエモンとか、落合陽一さんとか、みんな言うんですけど、「信用を数値化したものがお金である」という答えです。でも、ちょっと難しいっす。信用を数値化したものがお金であるって言われても、なんのことか、あんまりピンとこないです。
この説明は後でするとして、1回ちょっと置いておいて。次の「クラウドファンディングとはなにか?」これは、信用を両替する両替機なんです。お金に換金する装置、換金装置なんです。つまり、クラウドファンディングは集金装置でなくて、換金装置です。あなたの信用をお金に両替しますよ、という両替機なんです。
クラウドファンディング自体には、集金機能はついてないです。あなたの信用を両替しますねっていう、両替機なので。失敗している人のほとんどは、クラウドファンディングを集金装置として捉えてしまっていて。(もし集金装置)だったら、ぜんぜん、お金は集まるんですけど。
そもそも、あれには集金機能はついてない。換金機能しかついてないんです。両替機なんです。あなたの信用を、お金に両替しますね、という両替機なんです。クラウドファンディングがそういうものだということを、ちょっと1回、頭に置いておいていただいて。
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