2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会:CRAZYの小守さんからいきましょうか。みなさん、拍手でお迎え下さい。
小守由希子氏(以下、小守):改めてよろしくお願いします。株式会社CRAZYの小守と申します。
(会場拍手)
小守:ありがとうございます。私は、今カルチャーオフィサーとして社内の企業文化作り・組織開発をメインに行わせていただいております。冒頭で、少しだけ私の自己紹介をさせていただければと思います。弊社は、今7年目に入っていて、社員は90名ほどですね。実は、7年前に創業した3名のときからジョインをしていまして、当時は大学3年生でインターンとして入っていました。
そこから新卒第1号として入社をして、採用やウェディングの事業をしています。実際にプロデューサーをやったり、営業部を立ち上げたりということをしながら……創業時に3人のところに飛び込んだ理由も、この会社の文化が好きだったので、今度はそれを自分が伝える側になりたいということで、勝手に「カルチャーオフィサー」と名乗り始めたのがこの役職のスタートです。
そして、営業と二足のわらじでやっていたところから、今はカルチャーオフィサーを専任でさせていただいています。さっきウェディングの事業とお伝えしたとおり、弊社は完全オーダーメイドの結婚式を作っています。
普通、結婚式はパッケージ化されたものが多いんですね。(弊社は)会場販売型のスタイルで、会場から考えるのではなくて、2人がどんな1日をすごしたいか、というところから考えて、廃墟の中で結婚式をしたり、キャンプ場を貸し切って1泊2日型の結婚式をしたり、夏フェスみたいな感じで、こんなライブみたいな結婚式をしたり、2人の個性が溢れる1日を作らせていただいています。
そして、ここからが本題で、CRAZYは7月にビジョンを刷新しました。ホームページでの報告はまだしていなくて、今日初めてお伝えするんですけれども。今日はこのあと、今までのビジョンと新しいビジョンをご紹介して終わりたいと思います。
小守:今までのビジョンは『STYLE for EARTH』という、地球にとって、これからの時代にとって、良いものを作っていこう。サービスも組織も生態にもそうしていこう、というところからスタートしていきました。そして、フューチャーサンプルを作っていこう、というので、今の延長線ではなくて、未来のサンプルになる……弊社は社名がCRAZYというだけあって、常識とは一歩外れた実験的なものに挑んでいく。そういうものが私たちの使命だよね、と。
価値観で言うと、「本質的で、美しく、ユニークに」。そして行動指針の3つがある、というようなところでした。何を刷新したのかと言うと、『STYLE for EARTH』という大きいビジョンなんですね。創業のときは弊社代表の森山(和彦)とも距離が近いから、その規模をイメージできていたんですが、「地球的な考え」というのはちょっと大きすぎて、100人の規模になると共有できない。みんなが「自分の言葉で語れない」ということが起きていきました。
そこで、一人ひとりが語れるビジョンにしていこうということで、今回の刷新を決めました。刷新のプロセスがちょっとおもしろくて、ビジョンドリブンな会社なので、言語が多いところを少なくして、ビジョンだけにして、ミッションをなくしていく。シンプルにして、本当に語り継がれる言葉をちゃんとつくっていこう、みんなの言葉にしていこう。そういうことをしていきました。
プロセスとしては、社員90名全員と森山が話して、森山に全員が自分のビジョンを話すというセッションをしたり、今までの歴史を展示会のように展示していったり、ビジョンのプレゼンテーションがあったり、ムービーを作ったりという、ビジョンを浸透させるところを7月からこの1ヶ月間でかなり取り組んでいます。そのあたりは、このあとのパネルディスカッションでお話しできたらなと思っています。
そこで決まったビジョンがこちらです。『To celebrate your life the most in the world(世界で最も人生を祝う企業)』というのが私たちのビジョンになりました。『STYLE for EARTH』という大きいところにあったものが、「結婚式とcelebrate(祝う)」ところから、一歩手前にある身近なビジョンになりました。
それによって、みんなが自分たちの仕事と繋げてこのビジョンを語れるようになったこと、一人ひとりがこのエピソードを自分たちの仕事の中で生み出せるようになったことが、この刷新の大きな変化だったかなと思っています。
今日このあと、この内容についてもお話しできればと思いますので、本日はどうぞよろしくお願いします。以上になります。
(会場拍手)
司会:ありがとうございます。では次、辻本さんいきましょう。よろしくお願い致します。
辻本祐佳氏(以下、辻本):今日はどうぞよろしくお願いいたします。freeeという名前できたんですが、freee株式会社があまり知られていないかなと思いつつ……freeeをご存知の方はどれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
けっこういらっしゃる。うれしい! ありがとうございます。当社は2012年に設立をして、今6年くらいたって、従業員数が450名を超えるということで、かなり急激に大きくなってきた会社です。事業内容としては、クラウド会計ソフトfreee、人事労務freeeというプロダクトを代表的なものとして提供しています。
これが何かと言うと、いわゆるスモールビジネスというか、ビジネスをやっている方々のバックオフィスの部分をテクノロジーで(サポートし)、みなさんの生産性をより上げるということをしております。そういったプロダクトを提供しております。
私のご挨拶を最初にするべきでした。私自身は昨年の7月にfreeeにジョインしました。さっきの小守さんが創業時からいらっしゃったこととは非常に対照的なんですが、私自身は今450名いる中でも、かなりの新参者としてやっております。かつ、もともと前職ではずっと法務をやっていたということで、新しい領域でのチャレンジをしている状況です。
当社のミッションが、一番上に書いております『スモールビジネスを、世界の主役に。』というものです。もともとは、『スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう』というちょっと長いミッションをずっと掲げていたんですけれども、「創造的な活動にフォーカスできる」ということが具体的にはどういうことかということを考えたときに、目線が少し低いね、ということで、この7月に我々も新しく刷新したものです。
その下にあるのが我々のサービスコンセプトです。先ほどもお伝えした通り、スモールビジネスのみなさんを応援するようなプロダクトですので、アイディア・パッション・スキルがあれば、誰でもビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォームというのをコンセプトとして掲げております。次に出てきたこれが、「なんだろうな」と思われると思うんですけれども。
今、私はカルチャー推進チームというところで、いわゆるマネージャーのようなことをやっています。その「カルチャー」というのもまた、この7月に新しく定めました。一般的にはVisionやValueに該当するもので、我々はカルチャーという名前で呼んでいます。
辻本:今日は創り方という話だったので、創る過程のことをお話しします。代表の佐々木やCFO、初期からいるメンバーとみんなでけっこう思いを語り合いながら最初の案を作り、完成までの3ヶ月間の間、その議論の議事録を全部社内に公開しました。最終的に、議事録がだいたい60ページくらいになったんですが、社員のみんなから都度フィードバックをもらいながら創り上げたものになります。
非常に手作り感があるんですが、これが今、我々がカルチャーとして掲げているものになります。前半のお話でもあったとおり、たぶん(一般的には)数が少ないことが多いと思うんですが、我々の場合はどちらかと言うとかなり多いです。
右側にある価値基準は、かなり初期の頃から当社がもともと掲げていた行動指針で、左側のペルソナセブンが今回新しく定めた部分になります。
なぜこう定めることになったのかを簡単にお伝えできればと思います。もともと右側の価値基準がずっとあって、この考え方がかなり浸透はしているんですけれども、(freeeに)入ってから動くときの指針という使い方をされるものなので、入ってくる時点でどういう人なのかを見るために、新しくペルソナを定めることになりました。
あとは、いろいろ社内でやっている取り組みについても簡単にお伝えしようかなと思います。実は私の役職はマネージャーではなく「ジャーマネ」と言います。社内では、freeeのメンバーをタレントとして捉えています。ジャーマネは、タレントをより輝かせるという役割を持っている人だということで、芸能界にあやかって、ジャーマネと呼んでおります。
あとは、今私が着ているTシャツは、社内で着ているメンバーがすごく多いんですが、そういった同じカルチャーを共有するような雰囲気があります。最近新しく始めたコミュニケーションの取り組みとしては、我々のオフィスがある五反田には、この写真に載っているようなスナックが集まっているところがけっこうあるんですね。
その中の1つのスナックが、「空いている時間にスナックを貸すよ」と言ってくださったので、経営陣がマスターやママになって、他のメンバーがお客さんとして行って、8人〜10人くらいの少人数でコミュニケーションするという、『スナック燕』も始めました。そういうお話を、このあと細々とお話しできればと思っています。以上です。ありがとうございます。
(会場拍手)
司会:ありがとうございます。では最後、SmartHRの渡邊さんです。よろしくお願いします。
(会場拍手)
渡邊順子氏(以下、渡邊):SmartHRの渡邊と申します。広報をしております。Mission / Vision / Valueは、今SmartHRでつくっている途中で、私も佐渡島さんと三浦さんにいろいろお話をお伺いしたいことがあります。まずは、事業の概要を簡単にご説明させていただきます。
SmartHRは、人事労務の手続きを簡単にする、クラウド型のソフトウェアを運営しております。どういった使い方をするかというところで、企業に従業員の方が1人入るときに、たくさんの書類が必要になるんですが、SmartHRによってこれがいらなくなります。
担当者の方がSmartHRにログインをして、これから入社する従業員の方へ、SmartHRへの招待メールを送ります。そうすると、これから入社する従業員の方は、書類で手書きをする代わりに、パソコンやスマートフォンから個人情報を入力するだけで入社手続きが完了します。
この情報が担当者に戻りまして、入社日やお給料の情報を入力すると、役所に提出する書類が自動で生成されます。さらには、通常これを役所の窓口に届ける必要があるんですが、SmartHR上から役所に電子申請することが可能になっています。本来面倒で煩雑な手続きをSmartHRで簡単にできる、といったシステムになっています。
渡邊:人事労務を担当されている方は、この場にそんなにいらっしゃらないと思うんですけれども、みなさんもやるべきことで言うと、そろそろ担当者の方が年末調整の準備を始めているはずです。
この機能も、2年前にSmartHRが「ペーパーレス年末調整機能」という機能を開発して、SmartHRには既に従業員の情報が入っていますので、表示されているように「住所はあっていますか」「扶養はこの人たちですか」という問いに対して、スマートフォンに表示される回答に「はい」「いいえ」と答えていくだけで簡単に終わってしまうものです。
簡単なデモ画面がこちらになります。こういった画面に沿って「はい」「いいえ」と答えていくだけで、早い方だったら、ものの3分ほどで終わるようなサービスになっております。現在、だいたい1万5千社の方にご利用いただいておりまして、そのうち99.7パーセントの企業様が継続してご利用いただいているサービスになっております。
企業のこういった手続きは必ず必要になるので、業種や企業規模を問わず、様々な会社様にお使いいただいているところです。最近、SmartHRのサービスや組織について、ぎゅっと詰まった会社の資料をこんな感じで、Speaker deckに上げておりますので、ご興味がありましたら、ぜひご覧いただければと思います。以上です。
(会場拍手)
司会:ありがとうございます。では、3名の方はそのまま登壇していただいて、佐渡島さんと三浦さんも、引き続きご登壇をいただければと思います。
三浦崇宏氏(以下、三浦):ありがとうございました。改めて拍手をお願いします。
(会場拍手)
三浦:佐渡島さん、ちゃんと聞いていました? 大丈夫ですか?
佐渡島庸平氏(以下、佐渡島):大丈夫です。
三浦:Twitterはしていないと。
佐渡島:Twitterはしていた(笑)。
三浦:していた(笑)。でも、すごいですね、三者三様で。もう美人揃いで。
佐渡島:うらやましい。
三浦:謎の感じになってしまいましたが。(小守氏に)プレゼン、めちゃくちゃ上手いですよね。どういうことなんですか。
小守:そんなそんな(笑)。
三浦:採用したい学生日本一だったって。
小守:一応、女子日本一に。
佐渡島:どういう意味ですか?
小守:「逆求人フェスティバル」というコンテストがあって、地方大会と全国大会があるんですが、2014年度の全国大会で女子1位と総合3位をいただきました。
三浦:すごい(笑)。日本の就活市場におけるドラフト1位だってこと。
佐渡島:CRAZY WEDDINGはリア充感が半端ない社員が多いですよね。
三浦:本当にそうですよね。写真を見ていると、毎日、それこそパーティーみたいな会社ですよね。
小守:社員全員でランチを毎日食べていて、2階が食堂なんですが、お昼になると1階にいるお客さんから毎回「2階はパーティーをやっているんですか?」と聞かれるくらいすごく賑やかで(笑)。
佐渡島:CRAZY WEDDINGは、今はなくなったんですが、初期は全員で男女関係なく、朝ハグする習慣があったんですよ。
小守:(笑)。
三浦:まじっすか。
佐渡島:すごくないですか。あれ、ほっぺにキスしてたっけ。
三浦:なくなっているのがおもしろいですね(笑)。「今もやっているんです」とかならともかく、なくなっているんだね(笑)。
小守:今は握手になっています(笑)。ちょっと難易度が高すぎるので、それによって入社しなくなってしまうメンバーもいるので。
三浦:コンプライアンスもありますよね。そうですよね。奥ゆかしい国でもありますからね。
佐渡島:それで、食事を作るだけの社員もいるんですよ。
三浦:なるほど。それはシェフということですか?
佐渡島:シェフというか、女性なんだけど。
小守:そうなんです。ダイニングチームという、社員のお母さん的な役割で。
三浦:バックオフィスの中に、総務・経理・法務・人事・シェフ、というような。
小守:そうです。ダイニングチームというチームがいます。
三浦:僕はいろんなところで、クライアントさんにも、「企業の人格ってフィロソフィーとアクションでできる」という言い方をよくしていて。Mission / Vision / Valueの部分は、フィロソフィーの部分だと思っています。
それを具体的なアクション……例えば「広告はどう打つんだっけ」「店舗はどうするんだっけ」「社長はどんな話をするんだっけ」「オフィスはどんなふうになるんだっけ」というところで、そのフィロソフィーとアクションを合わせて、企業の人格だと思うので。CRAZYの「世界で一番人生を祝う」という部分が、たぶん日常のアクションにも表れているということですね。
小守:はい、本当にそのとおりです。
三浦:辻本さんはfreeeの……。
佐渡島:僕、(辻本さんと)会ったことがあります。freeeでイベントをしたから。
三浦:そうなんですね。佐々木さんと?
佐渡島:ではなくて、ただ場所を借りたんです。
三浦:辻本さんは、「ジャーマネ」という職種で。
辻本:そうです。
三浦:1つ誤解があるんですが、今マネージャーのことを「ジャーマネ」とはあまり言わないので、それだけ一応。
辻本:それはちょっと気付いていました(笑)。
三浦:気付いていたんですね(笑)。それで、どうですか。今回freeeのミッションを変えて、会社の雰囲気は変わったんですか?
辻本:さっき前半でお話ししたとおり、ミッションは当社6年目で突然できたんですよね。今までもあった価値基準に加えて新しく作ります。しかも、それを経営陣が議論して作っていますというところで、そこはみんなの反応をかなりデリケートに見るようにしましたね。
三浦:みなさんをかなり巻き込んで作っていく過程でしたもんね。
辻本:そうですね。途中で議事録も全部公開するし、「今、まだぜんぜんだけど、こういうこと考えてるんだけど、どう思う?」というようなことを、社長が昼休みにみんなに直接話す、ということを何度かやりました。
三浦:けっこう批判とかもあったんですか? 「なくてもいいんじゃないか」というような、社内にある種の反対意見はあったんですかね?
辻本:もちろんそれはあります。多いし覚えられないし、もうそれだったら元のミッションをやめればいいんじゃないか、とか。
三浦:え? やめればいいじゃないって?
辻本:元のものを置き換えればいいのに、なんで新しく作るんだ、という意見は、もちろん予想もしていましたが、出ましたね。
三浦:今社員は何人でしたっけ。
辻本:直接雇用のアルバイトさんなどを入れると465人です。
三浦:それくらい人が出入りしてると、反対・賛成ありますよね。
佐渡島:ええ。すごいよね。
三浦:465人はちょっと想像つかないですね。
佐渡島:その規模はね。すごく早い。大変だね。
三浦:そういう会社のコピーはたくさん書きましたが、自分が経営者になると考えると、「うわー大変だな」と思っちゃいますね。
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