VALU代表小川氏と経済アナリスト森永氏が登壇

司会者:それでは、本日のゲストのご紹介からさせていただきます。まずは、株式会社VALU代表取締役、小川晃平さんからご紹介いたします。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメントをご卒業後、株式会社グリーやさまざまな新規事業の立ち上げを経て、2016年12月株式会社VALUを創業し、現在代表取締役を務めていらっしゃいます。

このVALUとは、ブロックチェーンテクノロジーを使い、個人の価値をシェア、トレードすることを可能にしたプラットホームです。SNSのフォロワー数などから、個人の売出し価格を判定し、VAと呼ばれる仮想の価値カードが発行され、そのVAは第三者同士でもビットコインだけで取引することができるといった、日本の評価経済を代表するようなサービスです。

では、続きまして経済アナリストの森永卓郎さんのご紹介です。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画、などの多方面にわたっています。現在は読売テレビ『情報ライブミヤネ屋』や、TBS『がっちりマンデー』などにレギュラー出演されています。

それではさっそく、お三方にお話をうかがっていくことにいたしましょう。本日は、4つのテーマでお話をうかがってまいります。まずは、感謝経済や評価経済が成り立つうえでももっとも重要になる、CtoCビジネスの広がりについてです。

フリマアプリや民泊などで浸透してきている、シェアリングエコノミー業界ですが、政府が国内総生産GDPに算入する方針を固めるなど、いま注目を集めています。シェアリングエコノミーをはじめとしたCtoCビジネスは今後どのような広がりが期待されるのか、まずは森永さん、いかがお考えでしょうか?

日本人は世界と比較してシェアリングエコノミーへの不安が強い

森永卓郎氏(以下、森永):私はもう古い人間で、我々60代ぐらいの人間は、郊外に大きな一戸建てを買って、ステレオやテレビといった物に囲まれて暮らすということが幸せなんだ、とずっと思ってきてそう行動してきたんですね。

ただ、全国で学生を教えていると、そういうライフスタイルががらっと変わっていて、都心にわりと近いところに住んで、部屋はそんなに広くないので、できるだけものを排除して、必要なサービスをその時に使えればいいんじゃないかというように発想が変わってきています。そこがシェアリングエコノミーを支える重要部だと思います。

一方で供給面では、やっぱりスマホが完全に普及して、最近の若者は、テレビも持ってないし、実はパソコンも持ってないんですよね。スマホで全部できてしまう。スマホの普及と、アプリケーションの開発の技術というのが、供給面で出てきたことで一気に広がっていった。だから、今後どんどん(シェアリングエコノミーが)広がっていくと私は見ています。

司会者:スライドをご用意いたしましたので、グラフをご覧いただければと思います。こちらのグラフを見ると、日本の国民のシェアリングエコノミーの利用意向は3割以上もあるんですが、事故やトラブル時の対応に不安を感じている割合は世界と比較しても高くなっています。

総務省はこの結果を受けまして、シェアリングエコノミーの普及には安全性、信頼性の確保による、利用者の不安解消が必須だと提言しています。このような状況をふまえて、個人間の取引を行ううえでの課題である信用不安について、森永さんは、どのようにお考えになっていらっしゃいますか?

森永:ネットの世界は、一部なんですけれども、卑怯者がいるんですよ。私はミニカーを集めているんですが、ずっと探していたミニカーが、この間mercariにパッと出ていて、購入ボタン押す寸前で説明を見たら、箱だけと書いてあったんです。そういう奴がいっぱいいるんです。

いっぱいというか、全体として99パーセントはいい人なんですけど、1パーセント未満にそういう悪い奴がいるんですね。やっぱりそこが不安になっているので、評価がないと(困る)。メルカリにしろヤフオクにしろ、評価を一応見てから取引するようにはしているんです。評価はとても大事だと思います。

サービスが普及すれば不安感は減っていく

司会者:小川さん、不安というのは、やはりそういった不安要素が1つあるとどんどん広がるものですから、大きい要素でもあるわけですよね。

小川晃平氏(以下、小川):大きい要素なんですけども、このグラフは平成28年だから2年前なんですよね。ですので、すでに、他の国ではある程度ライフシェとアやいろいろな物が普及した状態なんですね。日本ではまだその時普及していなかったので、そりゃ不安だろうなと思います。

だから、こういう「感謝経済プラットフォーム」がしっかりと利用者を評価付けして、どんどん吸収していけば、この不安がみなさんの中でどんどん下がっていくんじゃないのかな。あとは普及だけかな、という希望を掲げていますね。

司会者:兼元会長はどのようなふうに(お考えですか)。

兼元謙任氏(以下、兼元):ちょっとイメージを膨らませるために、公園の運営を考えていただきたいです。公園を運営しようというときに、「ゴミを捨てるな」といっても、そこがゴミだらけだったら、みんなも捨てるじゃないですか。綺麗だったらたぶんゴミを捨てづらくなると思います。

かといって、「公園に入る前にポケットのゴミを全部出せ」というと、誰も利用しなくなる。システム的なところをふまえて、ルールと規約と雰囲気が運営的にかなり大事だと思うんです。どんなことをしていても先ほどの1パーセントの悪がしこい人はいるんですが、そのために全体の締め付けを厳しくすると、公園は使われなくなる。我々が経験して、良い公園だなと思うところは、4つのバランスが非常によくできていると思うんですね。

受け入れるところは受け入れて、直すところは直していく。綱領的に改善しつつ、4つのバランスをみていくのがいいのではないかと思います。

中国では「個人信用スコア」が高いほどモテる

司会者:森永さん、うんうんと頷いていらっしゃいましたが......。

森永:そうそう、本当に99パーセントはいい人なんですよ。今朝、OKWAVEを見ていたんですね。今「コルク狩り」というのがあって、なんでコルクのヘルメットしてる奴がコルク狩りにあうのかな?って思っていたんです。

私は暴走族が知り合いにいないので、分からなかったんですけれども、懇切丁寧に解説してくれる人がOKWAVEいて、「あぁ、そういうことだったんだ!」とわかったんですね。いい人が大部分、いい人が世界を作っていくというのをやればいいんだと、私は思うんですけどね。

司会者:では続いてのテーマにまいりましょう。続いては評価経済についてというテーマです。信用不安を解消するために、中国ではアリババグループが提唱する個人信用スコア、芝麻(ジーマ)クレジットに代表されるような評価経済が社会全体に浸透しています。では今、中国はどのような状況になっているのかを、小川さん、今後の展開も含めて教えていただけますでしょうか?

小川:中国の「芝麻(ジーマ)信用」は、やっぱりものすごくよくできていて、購入履歴やソーシャルなステータス、どれぐらい金融資産持っているかとか、すべてアリババグループが持っているんですよね。それがちゃんと公開されていて、それをもとに借金をするなど、いろいろなことができる。

中国は共産主義なので、ものすごく先に進むことができるという特性はあるんです。とはいえ、あそこまでやってくれるのは正直すごいなと(思います)。例えば、その評価は950が満点で、たぶん600点台とかが平均なんですが、750とか800持ってると、合コンでモテるとか......。

(会場笑)

そういう社会にもなっていて、750以上ないと入れないパーティーがあるとか、どんどんそうなってきている。評価が恋愛にもつながっているのはおもしろいな、とは見ていて思います。

日本では評価経済が広まらない理由

司会者:今後はどうなっていくと(思いますか)?

小川:たぶん、今後もこのまま進むんじゃないですかね。決済のプラットフォームはインフラのようなかたちで、完全に普及しているので、ちょっと怖いなと思います。1社のアルゴリズムは公開されていないので、どういうふうに評価づけされるかという不安はあるんですけれども、中国という国の特性からすると、ああいう評価経済の仕組みが向いてるんじゃないかな、と僕は思います。

司会者:なるほど。では、日本における評価経済の実情はどうなっているのかが気になります。VALUの小川さんは、まさに日本の評価経済をリードしている方だと思いますので、そのあたりのところを教えてください。

小川:やっぱり日本の難しいところは、いろいろな競合がいることなんです。例えばLINE Payさんとか、他にもAlipayも日本で使えますし。だから、1ヶ所に購入履歴などのいろいろなものが集まらないような仕組みになってるんですよ。

かつ、それを国がサポートするのも、国が1社をサポートするという変なかたちになってしまうので、なかなか普及しないのかな、という感覚を受けます。ちょっと国の特性が違うので、民主主義と共産主義で評価経済のしかたというのも少し変わってくるんじゃないのかな、と思います。

そういった意味で、こういう感謝経済や僕らがやっているVALUみたいなところが、民主主義に近い評価経済プラットフォームとなっていけたらうれしいなと思います。

司会者:森永さんはどういうふうに感じていらっしゃいますか?

森永:小川さんにVALUの仕組みをちょっと聞きたいです。ちょっと楽屋でお聞きして、「すごいなあ」と思ったのは……私、ホリエモンとこの10年ぐらいずっと大喧嘩をしているんですよ。

(会場笑)

「ホリエモンのVALUはいくらぐらいですか?」と聞いたら、調べてくださって、十数億円あるんですよ。おそらく、私が格付けを出したら3,000円ぐらいしか......(笑)。

(会場笑)