44万部を売り上げたビジネス書「未来の年表」

苅田明史氏(以下、苅田):今回、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」のビジネス書や政治経済部門における受賞インタビューということで。先ほど、44万部という部数の話もありましたが、そのぐらい多くの方が、政治経済部門でこの本が一番良かったと高評されたということです。そのことについてのご感想をいただければと思います。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

河合雅司氏(以下、河合):いろんな評価をいただいているわけですが、やはり読者の方が選んでくれた賞は、著者にとっては一番うれしい賞ですね。批判はあるでしょうし、賛辞してくれる方もいるでしょうし。

でも、どちらにしてもなんらかのリアクションがあるというのが、我々が次にまた書こうというときのエネルギーとなっていきますから。そういう意味では、本当に選んでくれたことは、ものすごく光栄なことだと思っております。

苅田:ありがとうございます。まずはこの本の執筆努力について伺いたいと思います。この本の前段部分で、中学生の方から「大人は何かを隠しているのではないか」というお話がありました。そこを詳しく教えていただけますでしょうか。

河合:そうですね。私はこの問題をずっと追いかけてきたジャーナリストなのですが、みなさんが話題にすることは少ない問題です。少子高齢化問題については誰もが知っていますが、その日に何か大きな変化があるという話でもないので、なかなか自分の問題として真摯に受け止められない問題でもあります。

そんな中で、たまたま先ほどご紹介いただいたように、私が中高生の集まりに呼ばれたことがありまして、そのときに少子化の問題の大変さについてお話したのですが、まさにこの会場にいらっしゃるみなさんのように、ほとんどの方がこの問題に対してすごく真剣な眼差しになりました。

そのうち、一人の中学生が突然手を挙げて。ご紹介いただいたように、「大人は何かを隠している」という話をされたことがありましたので、やはりこの問題をきちんと伝えていかなければいけないと、すごく思いました。

さらに、たまたまこの数年の間に、人口に関する大きな変化があったのですね。出生数が100万人を割ったとか、国勢調査で人口の減少が初めて確認されたとか。ちょうどそうしたタイミングもあったので、一冊の本にしてみようということになりました。

少子化について語るタブーとは

苅田:本を拝読する中で「少子化について語るタブーが薄れてきた」と書かれていましたが、どういったタブーがあったのですか?

河合:戦前の日本は「産めよ殖やせよ」という、軍部が兵隊の数を増やさなければいけないがための政策をやった。そのアレルギーが、戦後の日本人にはずっと続いているわけです。

だから、政策は台所までで、ベッドルームにまで入ってはいけないのだと、よく言います。政治、行政が結婚や出産に対して政策を考えること自体がけしからんことなのだという、そうした文化が戦後引き継がれてきました。そうした中で、少子高齢化が深刻な問題になりながら、日本においては政府内でも、また民間においても、真正面から議論さえできない状況が続いてきた。

その結果として、戦後ずっと少子化が続くことになっているのですね。残念ながら日本の少子化は止まりません。これから、ここにいらっしゃるみなさんが生きている間、ずっと少子化の時代を、人口が減っていく時代を生きていかなければならないのです。

なぜかというと、過去の少子化によって子どもを産める女性の数が減ってしまっているからです。いまさら、20歳の人を増やすわけにはいかない。30歳の人を増やすわけにはいかないわけで、これから本当に劇的に子どもの数が減る時期に入ってくるわけです。

だが、相変わらず我々は、ぼやーっと少子化が大変だと思っています。まだ政治家は「少子化を止めます!」「人口減少を止めます!」と言っているのです。これでは間に合わない。人口が減ることは、もうしょうがないのです。そうした社会を作ってきてしまったのだから。

我々は子どもが減ること、人口が減っていくことを前提として、どうやってこの豊かさを維持していくのかに知恵を回していかないと、この国は本当に貧しくなっていきます。

今までのやり方は通用しないのだという危機感を、一人でも共有してもらって。人が減っていくことに対して自分たちが何をすれば豊かさが維持できるのか、この国が素晴らしい国、一流の国で有り続けられるようにできるのかということを考えていかなければなりません。

これから少しでも価値観を変えていかなければいけない。今はそうしたタイミングでもあると思うのです。私としては、拙著『未来の年表』が、そうしたことの一助に何とかならないかという想いですね。

年表スタイル制作の苦労

苅田:この本を読まれた方はご存知だと思いますが、この本は第一部、第二部構成になっています。第一部では、まさに年表でこれから25年先の劇的な変化を迎えるにあたって、それまでも日本においては、どんどんどんどんこういった現象が起きていきますよということをかなり明確に示しています。

私個人としては、なんとなく過去は後ろ向きのもの、未来は明るいものというイメージだったのが、この本によってかなりガラッと変わってしまうところがあるのではないかと思います。

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