「8兆円までなら回収できる」 大型調達を続けるgumi、巨額資金の使い道は?

スタートアップのファイナンス戦略 #3/4

IVS 2014 Spring
に開催

今年7月にWiLなどから50億円の資金調達を受けたと発表したgumi(グミ)など、活気を帯びる投資環境を背景に、大型調達を続ける注目スタートアップの各社。その経営陣が、巨額資金の使い方に関する方針を具体的に明かしました。(IVS 2014 Springより)

C2Cで勝ち残れるのは1社だけ

武田純人氏(以下、武田):ということで、次、小泉さん。直近のファイナンスについて説明をお願いします。

小泉文明氏(以下、小泉):そうですね、メルカリに関していうとサービスは去年の7月にスタートなので、もう全然トラックレコードは短いですね。短い中で、その売上はゼロです。ずっとキャンペーンなので。ただ一応10%取りますと言っていますので、今の流通額から10%、想定売上というか、このくらい売り上げがありますみたいなところは出ると思うんですけど。

結構ソーシャルゲームっぽいというか、ARPU(1契約あたりの売上)とかDAU(デイリーアクティブユーザー)でほぼほぼ引っ張るというか。

どういう計画なのかというのを見通して、それに対して、ある程度プロモーションコストも僕らかけていくっていうのも戦略的に持っていたので、プロモーションに対してどのぐらいのバジェットでいって、いくらだったら何万人、いくらだったら何万人と当然出てくると思うんですけども。その中で、ポジティブプランだったり、ネガティブプランとかを出していくなか、PERを引っ張って説明したという感じですね。

今テレビCMやっていますけれども、テレビCMはもともと、3月はどうしても混んでいて高いとわかっていて、6月はワールドカップで高いとわかっていたので、ゴールデンウィーク前後でやりたいと。ファイナンスのクローズを一応3月までに持って行って、4、5月にやるテレビの効果をある程度、PERに盛り込んだ上で説明していったという感じです。

武田:CtoCというアピールは、現在の日本の調達環境ではどういうフックになるんだろう。結構アツいのかな?

小泉:アツいと思うんですけど、CtoCってやっぱり一社しか勝たないですね。絶対に一社しか勝たないと僕は思っていて、おそらく一社が、独占的になっていくと……。

小泉:そこのうえで、勝ちきるための時間であるとかを、なるだけ買わなきゃいけないなと思っていまして。それも含め逆算して、今回はファイナンスサイズになっているという感じです。

テレビCMは本当に効果がわからないので、ポジ、ネガいろんなプランつくったんですけれど、最後はVCの方々も効果がわらない中で、ほんとにある程度信じてもらったという。そこだけかな。

武田:実際14.5億調達して、いくらぐらいテレビCMにぶっこむんですか。

小泉:それはちょっとあれですね(笑)。比較的効果は良かったかなというふうに思ってはいますけれど、まだまだ良くできる部分もあるなと思っていて。今回2週間で、今週末までやるんですけれども、まあ、オンラインの獲得含め、けっこう効果は今出てて。テレビとアプリの効果の良さというのは、けっこう証明できたかなと思ってはいます。

武田:わかりました。ありがとうございました。

gumi川本氏「8兆円くらいだったら回収できる」

武田:最後、川本さん。直近の調達というところで、どういう打ち出しでお金を集めたのか、教えてください。

川本寛之氏(以下、川本):そうですね、うちの場合は国光さんが考えている3年後とか、未来みたいなところがそもそもあって、皆さんはちょっとご存じないかもしれないですけど、gumiの成長戦略を一言で言い表す言葉がありまして。これが「グミノミクス」っていうですね……(笑)。3本の矢っていうのがあってですね、それを投資家の皆さんに丁寧に説明したっていうところに尽きるのかなっていう感じなんですけど。

もうちょっと言うと、とりあえずうちは『ブレイブフロンティア』のヒットというのが偶然というか。それもあって、それをしっかりと。そのときたまたま海外がいっぱい出てきたのということもあって、海外も含めて、ローカライズをして、回収していくという形で。

スマートフォンなので、結局デバイスが共通で世界中で使えるというところがあるということを前提に、日本っていうレッドオーシャンだけで回収するんじゃなくて、そもそも世界も含めて、伸びていくマーケットに対して、回収していくというところがプランニングとしてあったので、それをまず『ブレイブフロンティア』でやってみようと。

それを立ち上げてさらに、自社のヒットコンテンツだけで商売していくのというのは、結構ボラティリティもあるので、上場後ということを見据えると、やっぱりそこの部分って、より安定的な収益も確保していかないといけない。

うちだけが今のところ少しリードしてるのかな、ということに関していえば、インアウトとかアウトインで、人様のゲームを預かってそれを海外に出していくというのは『ブレイブフロンティア』も人様のゲームなので実証できているので、それを成長戦略の一つに掲げていると。

もう1個は三つ目の矢なんですけども、これは自社でヒットタイトルを出すという大きな命題があって、そのためのパイプラインはけっこう今、仕込んでいまして。実際そういった、仕込むための金も要るし、次のヒットが出たときに実際に広告、CMを打ったりというのもありますから、だいたいそれに対して資金が必要だということ。そういったところとがまず大きいのかなと。

最終的にはこのマーケットは3年後とか5年後とかの中で、6兆円とか、7兆円といわれているマーケットの1位なるというのが、国光さんの大前提なので。1位だと2、3割は、売上があるだろうと。そうするとうちの売り上げは1~2兆ぐらいあって、利益率4割でPER(株価収益率)をかけると、だいたいうちの時価総額は8兆までは見える。8兆円だったら回収できるよね、ということで資金調達をしているって、そんな感じ。

(会場拍手、笑)

成長スパイラルに乗るためには、お金はいくらあっても足りない

武田:ちなみにその調達したお金って、国内、海外とか人材、広告とかで切るとだいたいどういう感じの割合を使っているんですか?

川本:点でいうと、国内の広告はどうですかね、まあ、調達した金でいうと、半分ぐらいは使っている。

武田:半分ぐらい、直近の調達は、(『ブレイブフロンティア』を提供する)エイリムに使ったって理解でいいんですか?

川本:そうです半分ぐらいはエイリム絡みですね。要は、海外国内のプロモーションっていうところが大きくて、それ以外のところに関しては、これから出すであろう人様のコンテンツのところの、例えばMGみたいな概念とか、あとは海外の拠点のさらなる立ち上げみたいなところなどに使ってますね。

武田:ちなみにエイリムとgumiとのこの関係は、今後はどういうその(笑)……。

川本:それはどういう意味ですか?

武田:このままいくんですか?

川本:合併とかそういう?

武田:まあ定義とか。

川本:いずれのところでは、ご存知の通りエイリムの株主はもともとgumiベンチャーズというベンチャーズファンドと、B DashさんとフジテレビのFSVさんとの3社で立ち上げた会社ではあり、幸いというか、B Dashさんもフジテレビさんも、弊社の本体のほうの株主でもあるので、そこに関しては、最終形は恐らく100%化するというところをゴールにはしてます。

武田:次の質問につなげていきたいなと思うので、ちょっと川本さんに続けてお伺いしたいんですけど、御社の場合は、さっきの『ブレイブフロンティア』があたったので、キャッシュフローが強烈に回り始めているところだと思うんですよね。

その中で、さっき国光さんが「あと50億円IPOまでにやっぱり欲しい」という話があって、そのお金って今度は一体何に使うのか? 変な話ですけど、プロモーションとか、追加の投資だったら、今の『ブレイブフロンティア』が稼ぐキャッシュフローで行けるんじゃない? っていうのが普通の見方なんですけど。明確な使途は次の50億円にもすでに存在するんでしょうか?

川本:それ使っちゃうとたぶん上場できないので(笑)。ただ、Pre-IPOかIPOか、IPO後のファイナンスかという意味においては、50億というのが、ひとつの別の目線ということではないのですけど、とりあえず成長戦略上、金は必須と思っていて。そのための上場だと思うし、上場が無理なら、非上場でまた調達ということになるだろうし、というところの両方を選択肢として見ながらはやっているんですけど。

当然ながら、ネクストの大ヒットを自社から出すというところに関しては、相当いろいろパイプラインを仕込んでいかないと。一球入魂でやって、というような所帯でももうないので、それなりの数の、700人の会社なので、一定程度ヒット率を上げるということも含めると、パイプラインを相当し込まないといけない。そうすると社内外問わず、それなりにコスト、人件費もそうですし、外注費もそうです、っていうのが必要になってくる。

さらにヒットすると、たぶん開発に、今は1本に大体1年とか1年半かかるようになってきていて。1本あたりの開発費が2億とか、3億とか、相場はもう5億になるだろうというのが見えていて。さらにそれがもしヒットしたら、CM1カ月3億とかぶっ込むわけですよね。基本的にはそのための金というのは、いくらあっても足りないって状態なので。いい成長のスパイラルに乗せるための金っていうのが必要ですよね。

武田:わかりました。ありがとうございます。

ブレイクスルーを狙うための資本政策

武田:他の方々にもお伺いしたいのですけど、ここからラフに1年ぐらい……1年っていうのはベンチャーの中では時間としてはそれなりに長いと思うのですが、やっぱりもっと金が欲しいというふうに思われる方、挙手。……全員ですね、やっぱり。本当一言ずつですけど、何のために欲しいかを小泉さんから、いいかな。

小泉:うちは海外ですね。もうサンフランシスコにオフィスもありますし、採用して数名いるような感じで。これからどんどんどんどん採用していく予定なので。サンフランシスコ中心に、USをやっぱり攻めていくと、日本よりマーケティングコストは結構かかるなというのは、正直思っていたり。

やり始めで、結構アメリカはお金がかかるなと、ひしひしと感じていてですね。15億円調達しましたけれども、すぐ無くなりそうだなっていう気も、心で思っていたりとか(笑)。そんなに使わないかな、でも結構使いそうだなとも思っていまして、大胆に攻めていかないと、アメリカの市場をちんたらちんたらやっていても絶対取れないと思っています。

アメリカも当然、同業というか、ある程度近しいコンセプトをやっている会社があるので、アメリカでもおそらくそれも1社しか勝たないだろうという意味でいうと、アメリカで類似の会社とかは15ミリオン(USD)ぐらいは調達しているんですね。直近というか、1年ぐらい前ですけれども。そういう意味でも今回のお金だけでは足りずに、アメリカでもファイナンスして大きいお金を集めていくっていうのは選択肢としてはあると思います。

武田さっきのプレゼンの資料英語だったじゃないですか。次はやっぱ海外でのラウンドとかもあり得る?

小泉:あり得ると思っていますね。そういう意味でいうと、ある程度その向こうのキャピタリストであるとかに理解してもらって、応援してもらって、そういうところでブランディングしていく必要も当然あるとは思っていますけれども。

武田:わかりました。では、佐々木さん。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):僕たちは、もう20億円っていうお金がほしいということは明確にビジネスプランとして持っていて、その中で、開発もそうですし、カスタマーサポートもそうだし、マーケティングコストもそうだし、ここに投資していきたいというふうに思っています。

武田:マーケティングが最近ちょっと戦争っぽくなっている感じもするんですよね。今まではマーケティングでお金使うっていうと、ゲーム系の会社ばかりだったのが、かなりいろんな種類のインターネット系の会社が、ネット広告だけでなくテレビ広告をやり始めている。こういった資金ってとにかくはやく欲しいっていうな感じですか?

佐々木:別にテレビをやりたいというのはあんまりなくて。実は僕は広告代理店出身なので。広告代理店を辞めた理由が、とあるクライアントに「佐々木さんこの広告テレビCMやって、ROIどのくらいか計算してもらえますかね」って言われて。若かった僕は、わかりましたと言って帰って、Excelにもういろんなシナリオ作って。

これはこうなって、こうなって、こういうROIになるんじゃないかっていうの作って営業部長に見せたらですね、「ばかやろう、テレビってものは、こういうんじゃなくてドン!といってダン!といって、こうやってバン!とやるもんなんだよ」と言われて(笑)。この仕事できないなと思って辞めたんですよね(笑)。

武田:ありがとうございます。じゃあ、日下部さん。

日下部:はい、僕らの業界だと子ども向けのスマートフォン、タブレットのアプリというのは、どうしてもブレイクスルーはまだ起こせていないと思っていて、そこを起こしていかないといけないなというのは、すごく強い思いとしてあります。

特に、国内ではさっきナンバーワンという話もしたんですけど、まだまだ本当に市場は小さいですし、それよりもやっぱり海外には結構強いプレーヤーも出てきている中で、そこで「世界一をどうやって取りに行くんだ?」っていう話になったときには、必ずどこかのタイミングでブレイクスルーを僕らが起こさないといけないというふうに思っていて。そのためにはやっぱり積極的な投資、いろんな方法を含めてやっていかないといけないと思っているので。

もちろん足元できちんと稼げるというところを証明しながらではあるんですけれども、ただそこって本当にさっき言ったみたいに、コツコツ伸びていく部分なので、そうじゃなくて、ドンとどうやって(急角度で伸ばして)いくんだっていうところをつくっていくためには、今後絶対資金は必要になってくるだろうというふうには思っています。

武田:さっき佐々木さんは本当に20億円とりあえず必要だと。そしてgumiは100億円必要だということですけど、スマートエデュケーションさんの場合も、そういうマイルストーン的にとりあえずここまではとっておかないといけない、みたいな水準は設定されているんですか?

日下部:明確には設定していなくて。ぶっちゃけブレイクスルーをどういうふうに起こして、どうやるかみたいなところが具体的にはまだ本当にイメージできていないので、難しいんですけれど、今お金を溶かしていっている感覚でいくと、やっぱり10億、20億っていうのは、次のタイミングで必要になってくるだろうなっていうのをイメージしながら、資本政策は考えていますね。

武田:ありがとうございます。

CW吉田氏「ベンチャーの100億調達が当たり前の世の中にしていきたい」

武田:最後に吉田さん、gumiが100億円っていう話がある中で、吉田さんはどのようにお考えでしょう。

吉田:われわれが中長期的でやりたいのは、個人のスキルとトラックレコードのいわゆるオープン化なんです。そういった意味では、うちってすごいデータを持っていて、どんな仕事をして、いくら稼いで、その評価がなにで、『ありがとうボタン』で人の感謝が届いて、『ありがとう』がどれくらい言われたか、というデータが溜まっているんですよ。

これはもうLinkedInよりも生のデータで、その人の仕事の評価がずっと溜まっていくんですよね。これがオープン化で全部溜まって誰でも見えるようになると、社会のあり方って変わると思っているんですよ。

これが、じゃあ何年かかるかというと、大体やっぱり10年から20年かかると思っていて。なぜならば非常にシンプルで、さっき図で見せた派遣ですよね。派遣というのは38年間前に生まれて、浸透までに20年かかっているんですよ、ちゃんと定着するまでに。そういったスパンで人の働き方が変わっていく。オンラインで働けるような世の中になっていくというのが、われわれのやりたいことなので。

正直、短期的に変えたいというよりは、社会のインフラ、来年に正社員比率が50%切るという世の中で、残り50%の働くインフラをつくるというふうに我々は考えているので、本当に中長期投資をしていきたい。その中長期の社会インフラを作っていくためには、まだまだ充分ではないと社内では言っているんです。

うちにとっては、本当に(サイバーエージェントによる)藤田ファンドに投資いただいたことって大きくて。藤田さんは上場時に200億調達して、4年間赤字で経営した末に現在の姿がある。やはりこの藤田さんのエネルギーと知恵をいただくことというのは私にとって非常にありがたかった。

お金はコモディティで、人とか企業は非コモディティ。その間を埋めるのは優先株だと思っているんですよね。どんどんどんどんお金が乖離していく。今も10億単位の調達が当たり前になっていますが、日本市場においても100億調達を当たり前の世の中にしていかないといけないんですよ。

国光さんの、2008年? でしたっけね、ブログで「10億調達が日本では到底できない」と言って、たった5年でできちゃったわけですよ。じゃあ5年後には、本当にベンチャーが100億調達が当たり前の世の中にして、世界戦で戦えるような世の中にしていきたいというのが、われわれ起業家がやるべきだと思っていて。それはgumiさんとか、うちとかで率先して事例をつくっていきたいと思います。

武田:そうですね。やっぱり100億調達ってPre-IPOの段階でできていたら、やっぱりちょっと日本のベンチャー市場もなんかスケール感が変わってくるかなって、そういうところってなんとなくありますね。

吉田:そうですね、やっぱり重要なことを藤田さんに教えていただいて。本当にいいなと思うのは、上場企業で四半期とか1年というスパンで、みんな業績開示をするけど、そうではないと。あなたのビジネスモデルが何年なのですか? ということを考えてください。例えば商社がプラントをつくるときって3年スパンでつくりますよね。要は、プラントって1年とかでは回収できないですよね。ではあなたのビジネスモデル何年スパンなんですか? ということはやっぱり教えていただいて。

人材がオンライン化して、直近でやりたいことは、やっぱり日本の大企業の経営改革なんですね。日本の大企業って全部内製化して正社員で、企画から製造から販売から全部社内で持っていて、それだけの人件費をかけて物が売れない時代になっているわけです。我々が直近でやりたいことは、日本の上場企業3,000社の大企業にとっての伴走者でありたいということ。

その社内の構造改革として「正社員・派遣」だったものを、「正社員・派遣・クラウドソーシング」ということで、柔軟に人材調達と共創ですよね。Co-creation(共創)。いろんな人たちから力を借りて、モノづくりをするという、その世界を実現したいというふうに、短期的には思っています。

武田:ありがとうございます。

制作協力:VoXT

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