2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
飲食領域(全1記事)
提供:株式会社リクルートホールディングス
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稲垣昌宏氏:ホットペッパーグルメ外食総研の稲垣です。飲食領域の発表をさせていただきます。
ホットペッパーグルメでは、PC、アプリ、そしてクーポンマガジンを用いて飲食情報の提供を行っております。最近では、サイトとアプリでネット予約ができるお店の数が非常に多くなっております。
2018年の飲食領域のキーワードは、「ピット飲食」です。自動車レースの「ピットイン」と「飲食」を掛け合わせた造語となっております。ピット飲食とはなにかと申し上げますと、1人が多様な役割を持つ現代で、頭の切り替えや束の間の自分らしい時間を持つ目的で行う飲食のことを言います。
これまでは仕事が終わったら延々と飲むという時代もありましたが、最近では平日にも(仕事の)次の役割を持っている方が増えました。きっかけは「働き方改革」です。これによって平日の夜に少し時間ができるようになりました。
ピット飲食を行う場所はカフェなど多様な業態で、頭の切り替えを行っています。お店の要件としては、1人でも入りやすく、ゆったりと過ごせて、そして電源などの設備があり、便利な立地にある、このようなお店が使われているようです。
首都圏のオフィスワーカーにアンケートを取ったところ、ここ1年で新しい役割の活動をはじめたという方が18パーセント近くいらっしゃいました。人口減少や女性の社会進出なども影響し、徐々に役割が増えているのではと思います。内容は家事、育児、学習、そして趣味やダブルワークといったものでした。
同じくアンケートによると、「ここ1年間で終業時間が早まった」という方が3割近くいらっしゃいました。その結果として、飲食店の来店時間帯のシェアのデータを見ると、17時台から19時台あたりが増えています。逆にランチタイムや深夜帯はシェアを少し減らしています。こちらは弊社提供の予約台帳アプリ「レストランボード」からのデータです。
「平日の終業後、次の役割へ向かう前に、頭の切り替えが必要だ」と答えている方は84パーセントいます。そして、そのなかで既に「飲食店で切り替えを行っている」という方が3割強、「今後行う可能性がある」と答えた方を含めると6割弱になります。逆に言うと、残りの4割は、飲食店が今後こういったニーズに気づき、サービスを開発することで、さらに伸びていくこと可能性があると予想されます。
実際にピット飲食を行っている方へアンケートを行いましたのでご紹介します。シチュエーションとしては駅やオフィスに近い場所が多く、業態としてはカフェをはじめ、アルコール・ノンアルコール業態と幅広く使われているようです。
インタビューもご紹介します。お二人とも、ここ1年で1時間ほど終業時間が早まり、2つの新しい役割を始められた方です。
1人目は2児の母なんですけれども、保育園へ迎えに行く前に、毎日軽く飲食をするようになったというお話でした。その日やりたいことによって電源のある店、ない店、保育園の近くや家の近く、と場所を選んでいるようです。
2人目は英会話教室と幼稚園の運営委員をはじめられた方です。こちらの方のインタビューで印象的だったのが、「仕事モードのまま幼稚園の集まりに行くと、つい厳しいことを言いそうになるので、頭の切り替えが必要です」とおっしゃっていました。
このように子育て世代ではとくに役割が増えやすいので、ピット飲食のニーズも高いようです。
まとめますと、ピット飲食のお店の要件は4つです。「1人で使いやすいこと」「居心地よくゆったりできること」、そして「Wi-Fiや電源といった設備が使えること」「便利な場所にあること」。
実際にそのようなお店の事例を3件ほどご紹介します。1つ目は大手町にありますTamealsというお店です。こちらは地下鉄駅直結のオフィスビルの中にあるのですが、駅の近くにあるとは思えないくらい、非常にゆったりとした、くつろげるような雰囲気です。
ブックコンシェルジュの方が本を選んで置いてあり、非常に好評です。駅の近くでも騒がしくなくピット飲食に最適な場所となっています。
2つ目はスーパーマーケットの、イオンスタイル新浦安MONAさんです。最近はイートインスペースが非常に充実しているスーパーが増えておりますが、こちらではWi-Fiが無料だったり、電源も使えたりということで、とくに生鮮品の買い物ついでに寄られる方には非常に向いているピット飲食の場所と言えます。
3つ目はATCFさんが運営する都内8店舗のバーで行われている「BARゴハンプロジェクト」です。普通はハッピーアワーというと飲み物が安くなるということが多いのですが、あえて食べ物を安く提供しているというプロジェクトです。
ATCFさんにこのプロジェクトを開始した理由を聞いたところ、近年ITエンジニア系のお客さんなどが1日中誰ともしゃべらずに仕事を終えて、会話に飢えてバーにやってくるということが多くなったそうです。そこで、会話をしながら食事してもらうことによって、「自分を取り戻す時間」にしてもらいたい、という志で始められたそうです。
最後に番外編ですが、働き方改革の別影響としてハッピーアワーが深夜に移行しているという話もあります。
早い時間は働き方改革やピット飲食などで、ある程度稼働率が良くなっています。ですから、飲食店の稼働率の課題は今、深夜に移行しつつあります。ということで、その時間帯を安くするお店も出てきているのです。
ということで、2018年の飲食領域のキーワードは「ピット飲食」です。一人ひとりが担う役割が増えて、頭の切り替えニーズが高まっています。そんななか、17時から19時台くらいに少し時間ができはじめ、頭の切り替えをする、モードチェンジをするための飲食をする人が増えています。
2018年はピット飲食にご注目ください。ありがとうございました。
(会場拍手)
株式会社リクルートホールディングス
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