使いすぎ厳禁
死に至る化粧品“フレークホワイト”の黒い歴史

Flake White | History of Colors | LittleArtTalks

白の絵の具は、絵画にはなくてはならない存在です。古来よりさまざまな芸術作品や、化粧などに用いられてきました。そんな白絵の具の中でも、「フレークホワイト」と呼ばれる絵の具は、とりわけ古い歴史を持っています。そしてこの絵具は、安価で美しい色である一方で、人体へ悪影響を及ぼす危険性もありました。YouTubeのアート系動画チャンネル「Little Art Talks」。今回は、フレークホワイトと呼ばれる白い絵の具の黒い歴史を紐解きます。

美しい白絵の具の秘密

フレークホワイトは、暖かな白の色素で、完全に不透明で永続的な性質を持っています。そしてすぐに乾き、見た目の新鮮さが保たれ、着色力が低いことから、よく混ざります。

フレークホワイトは、上質な筆さばきや混色の質によって、ルシアン・フロイドなどの油絵画家の間で好まれました。もちろん、スノウフレークホワイト(Snowflake White)、レドホワイト(注:鉛白、あるいは日本ではシルバーホワイト)とも呼ばれます。この魅力的な白色は、鉛から合成した無機物の色素です。

今日では鉛の毒性があり我々の身体に有害であることが知られていますが、このような身体への危険にもかかわらず、フレークホワイトは驚くほど長い歴史を持っています。炭酸鉛と酸化亜鉛から成る組成で、最も古い色素のひとつ考えられています。

紀元前400年のアテネで化粧品として用いられていました。また古代エジプト人や古代中国の絵画にも用いられていました。伝統的にはフレークホワイトは、伝統的にはスタック・プロセス(積み上げ製法)により製造されます。何万、何千という陶土の壺の中に酢と鉛が入れられます。陶器の壺は、中で酢と鉛自体は分離されますが、酢の蒸気が鉛に届くように設計されています。

容器は鉛の格子で緩く覆われ、中で二酸化炭素を循環させやすくします。容器は、樹皮や牛の糞便の層を挟みながら、その中で互いに積み重ねられます。そして、一ヶ月ほど熟成のために寝かされます。そうすると、鉛は白い錆の殻で覆われます。それが白い鉛なのです。鉛から離された錆は、洗浄され粉砕されて顔料になります。

ヴェネチアの鉛白は、別名「悪魔のスピリット」とも呼ばれていますが、基本的にフレークホワイトが絵の具ではなく化粧品として用いられたものです。つまり、キャンバスの代わりに顔面に塗ったものと想定されます。そして16世紀のあいだ、美白化粧品として使用されました。

その時代は、青白い肌が流行したので、この粉は多大な需要があったのです。しかしながら、鉛を直接顔に触れさせるため、肌に害をもたらします。鉛中毒に関連する悪症状は数多くありますが、肌に化粧品として肌に直接塗ったために、瘢痕を残すものでした。そして女性たちはその瘢痕を覆うためにさらに粉を重ねたので、悪循環になりました。

さらに、これは直接に皮膚に触れると鉛の毒は簡単に吸収され、神経系にまで危害を及ぼし、発達障害、肝臓疾患、脱毛などの恐ろしい症状の原因になったのです。時には死に至ることもありました。ですから、鉛には気を付けてくださいね。

現代でフレークホワイトを使うなら

さて、絵画の話に戻りましょう。前にお話ししたように、フレークホワイトは、絵画材料として普及しました。19世紀に新しい白色顔料が出現するまで、簡単に入手できる他の白色の顔料がなかったためという事実もあります。

またフレークホワイトは、多くの魅力的な特徴を持っています。挙げてみると、色素は堅牢で、湿気に強くそして柔軟です。そしてかなり長期間持続します。しばしば、絵画の基層に塗られました。というのは、その柔軟性によって上層の絵の具を長く持続させることができるのです。そして上層の絵の具を保存するのに役立ちます。

さて、もう既にご存知でしょうが、鉛は有毒であることがはっきりしました。ですから、この絵の具を使って作業をする際はあまり摂取しない方がいいでしょう。適切な予防措置をとった上で、少量であれば完全に安全です。しかし、画家であれば、絵の具と付属品として提供される安全に関する資料を読むことをお薦めします。他のあらゆる絵の具と同様に一般的にはオンラインでも入手できます。これについてお話ししたブログ投稿を下の記述欄にリンクしておきます。

それでも関心があるのなら、他の白の絵の具に代替えすることを考えてください。フレークホワイトヒュー(Flake White Hue)は似たような、そして代替可能なもので、鉛を一切含んでいません。そして、チタニウムホワイトとジンクホワイトがあります。

これらの絵の具は通常は廉価です。というのは、フレークホワイトの価格には安全基準を満たすための調整が含まれているからです。チタニウムホワイトは、着色力が強いため、より少量の使用で充分です。ジンクホワイトは、不透明さは若干減少し、透明度があります。よって、透明性を保つには微細な色と混色するのがいいでしょう。

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Karin Yuen(カリン・ユエン)がアートの世界をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。古今東西のアートにまつわる豆知識をお送りします。

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