2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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平将明氏(以下、平):それでは、ちょっと真面目な話題を。せっかく石破さんに来ていただいたので、私の問題意識の話をさせていただきたいと思うんですけど。これ、世界地図ね。
大澤咲希氏(以下、大澤):はい。
平:実は、中国が、去年、ウクライナから空母を買って、改修してたんですけど、いよいよ海に出てきましたね、と。中国というのは、もともと大陸国家で、あまり海に出て来ないんですね。海に出てきても、だいたい失敗するんですね。日本で言うと鎌倉時代、元寇というのを2回やって、あれも失敗しました。
ただ、今、日本のGDPと中国のGDPを比べると、ドルベースでは、中国のGDPは、日本足す、ドイツ足す、イギリスってくらい、大きな国になっているなかで、いよいよ海に出てきました。太平洋に出てきましたってことなんです。
意外と評論家の人は、中国が海に出てきてうまくいった試しがないので大丈夫だという人もいるし。まだまだ、空母1隻では、それほど軍事的なオペレーションができるわけじゃないので、すぐにどうこうということはないんですけど、これから、やっぱり軍事力を増強して、海軍の力を増強してくると、けっこう厄介だなと。
一方、日本は、海洋国家なので、海が自由じゃないと発展しないし、さらに石油なんかも中東から来るので、航行の自由が確保されていないと、日本はすぐ締め上げられちゃうということになるんですね。
それで、今日は地図を持って来たんですが、このオレンジ色の線が、いわゆるCレーンということで、ここが中東で、ここから油を乗っけて、ホルムズ海峡を通って、そして、シンガポールのところ、マラッカ海峡を通って、台湾、バシー海峡を通って来るんだけど、空母を作って、中国が海に出てきますと。
最近、いろいろ話題になっている南シナ海というのは、このへんですから。まさにCレーンのど真ん中ですね。
こういうときに頼りになるのが、アメリカですよね。日本とアメリカは、日米同盟ということで、小泉さんの選挙区の横須賀には第7艦隊というのがあって、第7艦隊はどこを守っているかというと、太平洋の日付変更線がここにあるんだけど、ここから西と、実は、インド洋のここまでが、第7艦隊が担当しているわけですが。
そんななかで、トランプ大統領が出てきました。トランプさんは、いろいろ、選挙キャンペーン中にも、基本的には、遠くでなにが起きようと、アメリカに損か得かで物事を考えますと言っているので、「じゃあ本当にアメリカが頼りになるんですかね?」っていう状態に、今ある。
そんななかで、この間、安倍総理が一緒にゴルフをしてきて、また共同の声明などを発表されましたが、まず、こういう、中国が海に出てきた動き、そのなかでの、アメリカがたまたまトランプ大統領が誕生した中で、かなり、日本は、いろんなことを真剣に考えて対応しなければいけないというような問題意識を持っているんですが。
国防と言えば、まさに第一人者は石破先生なので、このへんについてのコメントをちょっといただければと思います。
石破茂氏(以下、石破):中国はね、かつて、18世紀、19世紀、アヘン戦争から凋落するまでの間、世界のGDPの3割を持っていたんですよね。今のアメリカ以上の大国だったわけですよ。
中華思想って言うけれども、世界はみんな僕たちの物だ。中国には固有の領土という概念がないので、代わりにあるのは、戦略的国境っていう概念でね。中国の国力に応じて国境は拡大するのだ、中国が生きていくためにこれくらいの国境が必要なのだっていう、まじっすかみたいな話だけど。
大澤:まじっすか(笑)。
石破:実際そういう話なので、それが1つ。もう1つは、中国の空母をなめてはいけないのは、フォークランド紛争って歴史で習ったことある? アルゼンチンの先に、フォークランドっていう島があって、イギリス領なんですよ。それをアルゼンチンが奪い返しちゃったのね。そんなバカなっていうので、サッチャーが大艦隊を送って、あっという間に取り返した。
そのときから、航空母艦って必要なんだってことに気が付いて、オーストラリアから、屑鉄同然のメルボルンっていう空母を買ってきてね。そのときからずっと空母の運用は考えているのであって、昨日今日考えたわけではない、ということが2つ目。
遼寧っていう空母は、確かにロシアのウクライナのワリャーグってのを改造したものなんだけど、これは、これから20年経ち、30年経ち、50年経ち、だんだんと能力を向上させてくるということを忘れてはいけませんね。それには、アメリカの第7艦隊機動部隊があるではないかという話なんだけど、ちょっと待ってくださいなと。
中国が今開発している、対艦弾道ミサイル。弾道ミサイルというのは、決まったところにしか落ちない。船は動くから、プログラムしたところに落ちるとは限らない。なんてことはないやって話なんだけど、中国が開発している弾道ミサイルは、空中でバーンと爆発して、小弾がバラバラバラっと降り注ぐので、船が動いていても、半径数百メートルの第7艦隊の機能をかなり落とすことができる。このことを忘れちゃいけませんよ。
で、もう1つは、南シナ海に中国がいっぱい埋め立てをしてね、7つの人口島を作ったわけですよ。それって沈まないからね。動かないけど、沈まないのね。7つの人口島を持ち、そのうちのいくつかに3,000メートル級の滑走路を持っているってことは、航空母艦を何隻か持ったのと似たような効果を持つわけですよ。
だから、中国をいたずらに敵視するつもりもないんだけど、遼寧ってどんな能力ですか? 人口島ってこれからどう運用しますか? DF-21っていうんだけど、そういう対艦弾道ミサイル、これってどんな能力がありますか? っていう、これファクトだからね。能力の問題だから、それを精密に分析した上で、日本として、なにを持ちますか?
私は防衛大臣のときからずっと言ってるんだけど、巡航ミサイル持たなくていいですか? 長距離弾道弾を持つ必要はないけれど、短距離の弾道弾って持つ必要ないですか? っていう。そういう精神論はどうでもいいんだけど、どうやって、防衛力というものをきちんと分析して、変えていくか。プラモデル作るわけじゃないし、プラモデル買ってくるわけじゃないんで、そういう防衛力って、5年、10年かからないと、増成できないんでね。
今まできちんと議論しなかった、そういうことを、またこういう話をすると、軍事マニアが言ってるわって、こういうことで片付けられちゃうんですよ。だけど、普通の国は、こういうことに政治家がきちんと関与しているのね。日本だけです。こんな国は。だから、私は、軍事マニアと言われようが、オタクと言われようが、こういう話をきちんとしていかないとダメだなと思っていますね。
平:ありがとうございます。そういう意味では、私もものすごく危機感を持っていて、さっきも言ったように、ここが南シナ海なんですよ。
Cレーンがあって、マラッカ海峡があって、ちょうどここを通っていくんだけど、今、石破さんが言った7つの拠点というのは、まさにここの青い部分で、中国が整備をしていて、ここでその長い滑走路を持つってことは、その周りまで、いわゆる、いざとなったら制空権が取れるという話で、そうすると、マラッカ海峡なんてここなんですよね。
軍事的拠点というのは、狭くなっているところが、このホルムズ海峡とかマラッカ海峡とか、バシー海峡とかですね。こういう狭いところをね、チョークポイントって言って、首のポイントって言って、ここを締められちゃうと終わっちゃうんだけど、よく中国がここの南シナ海の海域は、日本は当事国じゃないから黙ってろって言うんだけど、日本の政治家も一部、関係ないんじゃないって言うんだけど、ぜんぜん関係あって。
ここを押さえられちゃうと終わるし、ここで今彼らが軍事基地化をしていることによって、マラッカ海峡もいざとなったら押さえられちゃうっていうことが、どれだけ日本の生命線にとって重要なことかということを、よくよく考えなきゃいけないんですね。
中国とも喧嘩する気はないけども、中国の人が、もし、南シナ海の軍事化を、日本はが鈍感だと受け止めてたら、大間違いで。僕は中国の幹部に言うんですけど、これは、日本はものすごく関心を持っているし、ある意味恐怖感を持っているから、日本のことを間違えて捉えてたら大変なことになるぞっていう話を、今、してるんですけども。そういった意味では、非常に、自分たちでなにをするかというのを考えなければいけないんですね。
また一方で、中国は、インドなんかを囲むように支援をしていて、そうすると、これ、真珠の首飾りって言いましたかね、政策的には。中国側は、スリランカとか、そういうところを支援していて、インド包囲網みたいに作ってるんですよ。
そうすると、これがまた日本のCレーンとモロぶつかってくるという話なので、まぁ今すぐなにかということではないけれども、このままボーッとしていたら、日本は、すべての主導権を握られてしまうということになるだろうとおもいます。
合わせて、せっかくなんで、この間、北朝鮮がミサイル発射実験をして、これけっこう怖い話で、前までは、北朝鮮がミサイルを発射しますよと。燃料を充填し始めましたというと、イージス艦とか、いろいろなP3Cですかね、いろんなものを出して、モニタリングして、いざとなったら、日本海に浮かべたイージス艦で撃ち落としましょうってやってましたけど。
最近は、潜水艦からバンって打ったり、この間の実験は、たぶん自走式の、移動式のやつからいきなり打つと。今までは、液体燃料だったから充填するのに時間かかったから、その予兆を捉えることができたんだけど、今度、固形燃料、個体の燃料になってきたので、移動式だし、すぐ打てると。陸ても打てるし、海でも打てる。これ、かなりまずいことになってるなというふうに思います。
一方で、韓国は、サードと言うんですかね、非常に監視体制を強めて、中国からものすごくクレームを入れられていますけど、実は、朴槿恵さん、いいこともやっていて、韓国にサードを配備したりしていますけど。日本は、この状況の中で、さらになにをすべきなんでしょうか?
石破:これは、今、平さんが解説したようにね、固形燃料で打つから、あっという間に打つわけですよ。自走式というのは、車輪じゃなくてキャタピラ、戦車とかブルドーザーなんかのキャタピラで。たぶん、これ世界初だと思うんだけどね。そうすると、けっこう地形の悪いところでも打てたりするわけですよ。それは、相当に脅威だよねということですね。
2つ目は、潜水艦から打つってどういうことって言うと、北朝鮮が地上から打つんだったら、北朝鮮から打つねっていうのがわかるわけですよ。潜水艦って、日本の周り360度、どこから打ってくるかわかんないねってことがあって、この潜水艦対策というのは、対潜哨戒機とか、そういう能力を相当に上げていかないとまずいですよねということだと思いますね。
北朝鮮のミサイル基地というのは、いろんな人が最近言い始めているんだけども、策源地攻撃能力って言うんですけど、そのミサイル基地なるものを叩かなきゃいかんという威勢のいいことを言う人はいるんですけど、どこにあるかわかんないわけね。
キャタピラでガーガー動くわけで、あるいは、衛星から見てても、カモフラージュされちゃうと、衛星からって温度がなかなかわからなくてね。本物そっくりに作っちゃうと、「あれが本物!」とか言ってたら違ったりするわけですよ。
そうすると、これはかなりまずいよねということになって、やはり、私は、策源地攻撃能力って、日本がそういう能力を持つためには、相当の金と相当の時間がかかるので、我が国としては、ミサイル防衛だけじゃなくて。
ミサイル防衛だけじゃなくてですよ。北欧の国なんか当たり前だし、スイスも当たり前なんだけど、ミサイル撃たれてから、日本に着弾するまでに、7分くらいかかるわけですよ。例えば、この自民党本部だったら、永田町の駅に避難すれば、少なくとも死なないですむわけね。そういう避難の訓練って、ほとんどやってない!
大澤:やってないですね。
石破:だけど、北欧の国々は、それをずっと真面目にやって、ソ連の核の脅威から生き延びたわけですよ。そして、もう1つは、北朝鮮がアメリカの東海岸まで届くミサイルを持つとすると、本当にアメリカは日本を守ってくれますか?
今届かないんでね。届かないんで、アメリカの政経中枢はやられないんだけど、北朝鮮は、とにかくしゃかりきになって、東海岸まで届くミサイルを開発しているわけですよ。
そうなったときに、どうしますのかという話をちゃんとしておかないと、それは、拡大抑止って言うんだけれど、そうなったときにも、アメリカは日本を守りますかっていうのは、表舞台でする話じゃないんだけどね。ギリギリ、政治家同士で詰めておかないと、この3つの要素は必要で、ミサイル防衛能力の向上、避難能力の向上、拡大抑止の検証、この3つをやるということは大事ですよね。
大澤:1個目と3個目って、私たちだとちょっと難しいですけど。2つ目、例えば、今来たら、地下に逃げ込めばいいって、私知らなかったんですよ。
石破:知らない!
大澤:地下でも死にそうって思ってました。
石破:死にません。
大澤:そういうの知ってるだけでちょっと違うなって思いました。
石破:うーん、これね、おじさん……いや、私が、15年くらい前、防衛庁長官やってたときに、法律作ったのよ。こういう警報が出たら、地下に避難しなさいってことになってんだけど、そういう訓練ってやったことないでしょ?
大澤:ないですね。
石破:なんか鳴ると、「あ、またなんか変なの鳴ってるわ」みたなことで、シカトしちゃうわけですよ。
大澤:そうです! ミスかと思います。
石破:それは、実にまずくないですかということなんですね。それって、別に、核兵器持つとか、そんな話してるわけじゃなくて、日頃から訓練しておかないと、いざというときに逃げられない。そういうことも努力しないで、アメリカがなんとかしてくれるさ、よかった、よかったっていうのは、それは国家としてどうなんだろうね。
平:いよいよですね、中国も含め、北朝鮮も含め、また、マレーシアでの金正男氏の事件を見れば、我々の常識は通用しない相手ですよね。ですから、そういった意味で、防衛をどうするか。
防衛っていうのは、口で言っててもしょうがないので、法整備もあれば、予算をつけなければいけないし、実際に装備もしなければいけないし、訓練もしなければいけないということで、本当に、今年は潮目が変わったというか、自らリスクを想定して、リスクをマネジメントして、誰とどういうアライアンスを組むのかというのを、日本人もしくは日本政府が、本当に自分で考えなければいけないという、たぶん最初の年になるんじゃないかなぁというふうに思います。
そういった意味では、先ほど、キャタピラ式って言いましたけど、ここに写真があるので、これを撮ってもらいたいんですけど。けっこうでかいんだけど、これ、下がキャタピラになってて、ここに人がいますね。
これが、北朝鮮の自走式のミサイルになりまして。北朝鮮って、工業力はほとんどないんだけど、けっこうミサイルだけは得意なんですよ。このところは。だから、ミサイルの技術を磨いて、さらには、核開発で実験を重ねて小型化すると、そこそこ性能のいいミサイルの上に、核兵器が乗っかってくると。
そうすると、彼らは、たぶん核兵器を持たないと、自分たちはいつ政権が滅ぼされるかわからないというので、よく挑発行為って言うけど、私は挑発行為じゃなくて、彼らは生き残るために、確信的に進めているというふうに見えるんですけども。その中で、日本がどうするかということですよね。
石破:金正男は、北朝鮮にとっては邪魔な存在だったわけですよ。それを中国がガードしていたわけね。警備していたわけね。今回、付いてないのね。というのは、どういうことなんだと。中国と北朝鮮っていうのは、また関係が変わる可能性はあるというのは、よく認識しておかないとまずいですよね。
平:なるほどね。
石破:怖いのよ。
大澤:怖い!
平:本当に、大きく時代のフェーズが変わってきたということだと思います。
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