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働き方を[変える](全3記事)

「人の寿命は延び、企業の寿命は縮んでいく」起業家らが語った、これからの時代を生き抜く働き方

これから求められる働き方とは? 2017年12月17日に開催された、マイナビ主催「 ベンチャーPARK」のなかで、「働き方を変える」が行われました。本パートでは、「働き方」というテーマで、これからの世代の働くあり方と「どう生きたいか」を選ぶ時代の多様性について話しました。本パートでは、これからの時代では「すがる生き方」では危ういこと、そして自分で決めて歩くことの大切さについて語られました。

インパクトを与えられるのはベンチャー

塚田耕司氏(以下、塚田):先ほどの大企業とベンチャーの違いみたいなところがあって、ちょっと一言言わせていただきたいんですけれど。それでいうと、本当に自分がやったことが会社および世の中に与えるインパクトがダイレクトに感じられるのは、ベンチャーの醍醐味だと思っていて。

大企業だと、自分がやった仕事と、会社にそれがどうインパクトがあったのかまで、距離が遠いんですよね。

どうしても会社自体が大きいので。だから、自分のやったことが会社や世の中にとってはわずかなインパクトしか与えられないことがけっこう多いんです。ベンチャーだと、自分がやったことの反応がすぐ返ってくる。だから、もうそれが楽しくて、どんどんやれるってのはすごくあるかなと思ってます。

吉田浩一郎 氏(以下、吉田):いやあ、なるほど。石井さんとか。

石井貴基氏(以下、石井):そうですね、あえてちょっと大企業のところを若干カバーすると……(笑)。今のところもですが、大企業のメリットはお金がべらぼうにありますし、マンパワーもべらぼうにあるんですよ。

なので、大企業が「こっちの方向へいくぞ!」となって、新規事業を立ち上げたとき、その一員になれる可能性はあると思うんですよね。

ベンチャーよりも強い力が働くので、そちらのほうがもしかしたら世の中を変えることができるかもしれない。そこに「本当に自分がやった」という爪痕を残せるかどうかの違いなのかなと思っています。

なので「とにかく、世の中を変えられればいいや」だったら、大企業でもいいと思うんです。「自分が成し遂げてやったぜ!」みたいな手触り感をつかみたいのであれば、ベンチャーのほうが向いているかなと。そういった向き不向きがあるかな、なんてちょっと……。

歩く力を身につけること

吉田:やっぱり今言えるのは、不確実性の時代というか。確かなことがなにもないなかでは、確かなものを探す作業よりも不確かに対して柔軟な自分の体、ようは仕事力というか、そういうものを身につけたほうが圧倒的にいいわけですよね。そのあたりをちょっと、松本さんとか、どうですか? 若手の台頭、これからの社会について。

松本洋介氏(以下、松本):そうですね、その文脈で今日、僕がみなさんとこういったお話をさせていただく機会が持てて、せめてなにが残せるのかなって思ってきたんですけど。

さっき、副業って話があったじゃないですか。ちょっとだけ捕捉させてほしいんですけど、副業って聞いたら、みなさんどんなイメージかわかんないですけど、本業があって土日にちょっと空いた時間に他のことをやってお小遣いを稼ぐみたいなものがあると思うんです。そういった意味の副業って、誰も言ってないんですよ。

部活の掛け持ちって言ったほうがわかりやすいかな。「サッカー部をやっていて、野球部もできます」みたいな。要するにサッカーだけしか通用しない人になるんじゃなくて、野球でも通用できる人になろうぜという話だったと思うんですよね。

いろんなスペシャリティーや特技とか、あと、他でも通用するよという力をつけていかないといけない。「これからは野球だけでずっといきます」っていう世の中じゃないんですよ。

僕が昔、先輩に言われてすごく響いた言葉があって。ぜひみなさんに差し上げたいんですけど。「人が釣った魚で生きようとするな」「魚の釣り方を覚えろ」って言われたんですよね。

これから本当に企業自体の平均寿命がどんどん短くなっていて。今は平均が10何年らしいんですよ。10何年でつぶれちゃう会社が平均値なんですね。そんななかでみなさんの寿命は延びているんですよ、僕たちもそうなんですけど。65歳で引退って世の中が、早晩に崩れると思うんですね。

なぜなら、まだまだ元気だから。そうすると今、100年社会っていわれるんですけど、元気なまま80歳や90歳までいっちゃうんですよ。

そうしたら、自分たちはまだまだ働きゃなきゃいけない。社会に参加しなきゃいけないし、働く期間が延びているんですよね。このなかにいる方のなかで、今から入る会社に「80歳まで守ってくれや」って人がどれだけいるかわかんないですけど、きっとそう思っていないんじゃないかなと思っていて。

なにかにすがる生き方じゃなくて、自分で歩いていけるを力をつける必要が絶対的にある。そのためには野球部だけじゃなくて、卓球部でも通用するように、吹奏楽部でも通用するようにという、いろんな自分の力を試す場に自分を置いておかないといけない。野球部が廃部になった瞬間に「バットしか振れない」だと困るわけですよね?

これからを生きるために、すがる生き方ではなくて、歩く力を自分に身につけるというのが、今のみなさんにとってすごく大事なんじゃないかなって思っています。

その環境としてどこ行くのもいいと思うんですよ。自分なりに欲しいものがあれば。大企業でもベンチャーでも。ただ、なにかにすがって生きるだけじゃなくて自分の足で歩く。釣った魚をもらうんじゃなくて魚の釣り方を覚える。そういったものが、イメージが少しでも持っていただけたらいいなって思ってます。

スキルの組み合わせによって個性を発揮する

吉田:うん、なるほど。今の野球部とサッカー部の話わかりやすかったですね。野球部が突然なくなるって話を聞くと。

ホワイトカラーってあるじゃないですか。ホワイトカラー、このシャツを着る、スーツを着てることですね? これって歴史的に見ると200年ぐらいしかないんですよ。めちゃくちゃ小さな歴史なんですよね。

そもそも、機械が導入された産業革命からブルーカラーっていうのが誕生しているんですけど。ブルーカラーと機械を束ねるホワイトカラーってのができたんです。

だからみんな「ホワイトカラーで企画職がいい」と、ホワイトカラーに憧れたわけですよね。とりあえず文系で企画、マーケ、そういうところに入ればいい。でも今、マーケティングオートメーションを塚田さんがやられているわけですよ。

これはなにが起きているかというと、200年前に起きた産業革命がホワイトカラーに起きているんですね。ようは機械の横にブルーカラーがあって、その機械とブルーカラーをマネジメントするホワイトカラー。今度は、ホワイトカラーにロボット、AIができて、ホワイトカラーの業務もロボット、AIでできちゃうようになる。だからみなさんのお仕事が、なんにも考えずにやってるロボット、AIに任されちゃう。

今、これから必要なのは、それをすべてマネージメントする問題解決型、あるいは問題発見型という、自分で「俺はこういうことをやりたい」あるいは「こういうことは間違っているんじゃないか」と自分で考える力を持って、ホワイトカラーとAI、機械とブルーカラー、これを全部マネージメントする。そういうスキルが求められている。

だから考えることが必要だし、自分で副業やることも必要だし、と思っています。

石井:本当に流動性がすごく上がってますよね。なので、歌って踊れるというか、歌がダメなら踊って稼ぐみたいなところは大事だと思っています。

どうしても今、1つの会社で一生勤めるのがなかなか難しくなってきてます。なので、いろんなスキルを身につけて、組み合わせによって個性を発揮することもできるでしょうしね、1つのスキルに特化している人って。

例えば「1つの会社に勤め上げて、1つのスキルに特化している40歳です」というのは、結構採用しづらいなと。その強みが活かせる環境があれば、採用しても問題ないかと思いますが、ニッチなスキルの場合は結構しんどい。

であれば、「この人、こういうスキルもあるけれども、こんなスキルも持っているよね」みたいなところを掛け合わせて考えたほうが、活躍できる可能性って広がると思うんですよね。その結果、流動性も上がるというか……。

吉田:おっしゃるとおり、この年齢の話がおもしろくて。日本だと1つの会社に勤めてて転職回数が少ないという前提なんで、年齢が上にいけばいくほど転職しづらいイメージなんですね。

ところが、アメリカで採用活動するときに年齢を聞くと訴訟で負けますから。ようは人種差別だと。年齢で判断している、結婚で判断している。国籍や既婚・未婚も聞いちゃいけないんですよ。

基本的にはその人そのもので判断してくださいということです。「その人がなにでできるかっていうことで判断してください」というのがグローバルのスタンダード。だから、(年齢で判断しようとするのは)日本だけなんですよ。

年功序列で「40歳だったら、25歳より優れてる」と考えるのは間違い。25歳でもたくさんチャレンジしてたらいいじゃないか、というのがこれからやってくる時代なんですよね。ということは、チャレンジしたほうが絶対得なんですよ、絶対、得!

見える道と見えない道があったら、見えない道を絶対いったほうがいいと思っていたりします。チャレンジすることの大切さについて、どうですか?

松本:若いうちの特権って、失敗できることだなと思っていて。人間、年を取ると見栄も立場も出てくるので、なかなか失敗できないんです。

これも昔言われた言葉で、ぜひみなさんに差し上げたいんですけど。成長、成長って、みなさん言うじゃないですか。成長ってなにかというと、今できないことができるようになれば成長じゃないですか? 逆上がりできなかった子供が逆上がりできるようになるのが成長。だから、できないことをやらないと成長ってないわけですよね?

逆上がりのできる子がずっと逆上がりやっていても成長ないわけで。なので、なるべくできないことに挑戦していくのが成長の近道だし、フットワークが軽いのが若いうちなので、ぜひ挑戦してほしいなと思ってます。

自分で決めて行く習慣をつける

吉田:いいですねー。普通はできないことに興味を持てないんですよ。みんな怖いんですよ。やっぱり、できればあまり傷つきたくないし、ケガしたくないし、断られたくない。だから、対面で断るんじゃなくて、LINEでスタンプを送ってなんとなくスルーみたいな感じのことをやるわけじゃないですか。

生身ではしたくないんですよ。そういうなかで、できないこととか、わからないことに向かっていくためのコツなんてものを……。

松本:あります。じゃあ、どうしたら成長しやすいのか、挑戦しやすいのかという話だと思うんですけど。これも言われた言葉で。ぜひ差し上げたいです。「決断した回数」って言われたんですね、「決断した回数」。自分で決める。右左の道があり、どちらが正解かわからないときに「責任持って右に行こう」って自分で決めて行くことが決断です。落し穴があるかもしれないし、ラッキーかもしれない。でも、自分で決めたことにケツふいた、この決断回数が成長につながるよと言われたんです。

小さいことでも構わないので、自分で決断を下して、そのケツをふいてくっていう習慣をつけていく。例えば、飲み会で「どの店選ぶ?」「ここにしようぜ」って決めるとか。なんでもいいと思うんですよ。そういったところから始めるのがいいんじゃないかなと思います。

吉田:石井さん。

石井:そうですね、ちょっと話それちゃうかもしれないんですけど……。

吉田:はい、いいですよ!

石井:「よく大企業辞めてベンチャーやったよね」「リスクばっかりじゃないの」とめちゃくちゃ言われるし、たぶんみなさんも思われていると思うんですよ。「そんなに安定した道があるのに、なんで辞めたんだ」とかすごい言われるんですけど、思ってることはまったく逆でして。

自分は3年くらいしか社会人をやっていなかったんですけど、当時は営業でした。20代の、それなりに元気な男性なら、ぶっちゃけた話、月給20万円でどこの会社でも雇ってもらえるわけですよ。月給20万円の暮らしでも、今とそれほど年収ギャップがあるわけじゃない。「だったら、起業してもリスクないな」と思って会社を作っているんですよ。

こんな感じで「月給20万ぐらいでいけるだろう」という相場観があるなかで会社を作りまして、今の自分の報酬自分で決めているんですけど、単純に給与面だけ見たら多分、転職したほうが上がるんじゃないかなと思っています(笑)。

吉田:なるほど(笑)。

石井:さっき言ったように、自分は営業も最低限できる。それに加えて、今だと資金調達や採用など、いろいろできることが増えています。だから「転職したほうが給料は上がる」と思っています(笑)。そういったマルチスキル人材の相場感はやっぱりあるので。相場感覚を身に着けて、できることを一つひとつ増やしていく。ドラクエでいう転職みたいな。

このようにスキルを身に着けていくことは、実はリスクではない。むしろ、最悪会社になにかがあったとしても、月額いくらで雇ってもらえるという保険的な考え方につながるんじゃないかと、すごく感じています。

吉田:うーん。「月給20万円を稼げるじゃないですか」は、まだ学生にはピンと来ないと思うんで。今、3年生でこれから就活を始めるなかでチャレンジすること、インターンとか……。

石井:結局、相場観だと思うんです。例えば、大学生であれば学習塾の講師みたいなところで週に4日間入ったら月給は12万円ぐらいはアルバイトで稼げると思うんです。

それも1つの相場観です。インターンで時給1,000円でこんな仕事をやってみたら思いのほかなんか社員の人に必要がられて「うち来ない?」なんて言われちゃった、みたいな。それも1つの相場でしょうし。相場観というのは、けっこう身近で感じられるのかなと。

人と会って物差しを作る

松本:ちょっと話していいですか? みなさん、就職活動をこれからすると思うんですけど、さっき「自分で考える」っていう話をしたじゃないですか。

自分で決めて考える、意思決定する、その決断回数が大切だって話をしました。みなさん、これから本当の意味で初めて決断すると思うんですね。今までみなさんがしてきた「決断」て、あまり決断じゃないんですよ。

なぜかというと、みなさんきっと高校、大学と受験してきた感じの方が多いと思うんですけど、それは「選んでいる」ように見えて実は「選んでいない」。今、自分が持てる学力のなかで最大限の高いところにほぼ行っているんじゃないのかな、と思うんです。

偏差値70を取れているのに、偏差値45の大学へ行った……みたいな人は、あまりいないと思うんですよね。あと、サークルや部活も好きなものに入っていると思うんですよ。友達も付き合いたい人と付き合っていると思うんですよ。要するに、決めたようで決断はしていなくて、なるようになってるんですね。

そしてこれから来る、1つ目の「決断」には勇気がいるんです。なにかというと、聞いたことある名前や大きな会社、ベンチャー……なんでもいいんですけど、自分で考えているようで、実は考えてないってことに頭が縛られていると思っているんです。例えば、親が言っているとか、知名度があるとか、みんなが評価してくれそうとか、いいと言われてるとか。

そうじゃなくて、本当に自分はどこにわくわくしてるんだろうか、なにがやりたいんだろうか。これ、初めてなにかの物差しじゃなくて、自分で考える行為なんですよね。

これには、実はすごく勇気が必要なんです。なぜかというと、親に「なんで?」って言われるし、友達に「なんで?」って言われるし。でも、初めてそこに自分の意思が出てくるわけですよ。初めての意思決定には、すごく勇気がいります。

この就職活動の機会に、意思決定をしていく経験をすごく積んでほしいなって思っていて。そのためアドバイスは、ずばり「たくさん人に会ってください」です。OB訪問、OG訪問をたくさんしたほうがいいと思います。

そのときには、「この人かっこいいな」「自分はこっちじゃねーかな」といった、なにかの物差しを作る。偏差値や知名度、みんなの評判じゃなくて、自分と対話して自分の心に聞いてみる。

「わくわくする」「行きたいな」「かっこいいな」「すてきだな」「こうなりたいな」を探すには、僕は「人」が一番わかりやすいと思っています。たくさんの人に会って、自分で決める経験をここでしてもらえると、一番いい挑戦になる1歩目じゃないかなって思いました。

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