「絵本どうでもいい」発言の真意
山田玲司氏(以下、山田):俺、思うんだけど、あなたが無意識に剣を抜いたまま振り回していらっしゃるところをよく見るんですよ。
西野亮廣氏(以下、西野):そうすっかね?
絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):よく見るんですね?(笑)
山田:だから「絵本どうでもいいんですよ」みたいなこと言ってますけども、(のぶみ氏のように)絵本で生きてる人が横にいるんですよ。そういうので傷つくことに関しては、計算に入ってるの?
西野:どうなのかな。絵本に興味ないけど、のぶみさんの絵本に興味ないとは言ってないですから。
山田:わ~、あぶねー。え、なになに?
西野:僕が描くことには興味ないですけど、のぶみさんの絵本には興味ありますから。
のぶみ:ありがとうございます。
山田:本当に?
西野:う~ん。
山田:う~ん……じゃないよ(笑)。じゃあ、本屋さんに行ってあなたの本を買う人は(やりたいことの)第2希望のものを読まされるの?
西野:いや……ごめんなさいね。じゃあ、山田玲司さん、このニコ生は第1希望じゃないじゃないですか? でもお客さんはそれを視ているわけですから。よくないですか? 別に。
山田:いや、だから、「第1とか第2じゃないよ」って話をしたいの。だから、俺はこれ(漫画)がよければニコ生見てる人たちがどうでもいいとは思ってないのよ。どっちも同じなのよ。
なにか伝えたいことがあって、漫画で伝える場合もあれば、こうやって喋って伝えることもあるわけ。だから「1番が、2番が」っていう感覚が俺の中にないので、お聞きしたいんですよ。
漫才や絵本はおもしろいことを伝えるツール
西野:絵本が第2希望とかいうことも、たぶん同じようなことですよ。
山田:じゃあ、絵本でなにを伝えたいの?
西野:う~ん……なんだろう。まず、アウトプットから考えないんですよ。なにかおもしろいことを思いついたら、これをどういうアウトプットにしていこうか、ということで(考える)。カテゴリーで決めてないんですよ。絵本も。
のぶみ:ツールなんだよね。
西野:例えば、Aというおもしろいことを思いついたとして、出し方として一番適切なのが漫才だったら漫才でするし、絵本だったら絵本でする、それが運動だったら運動で出すということです。
山田:その目的は?
西野:このAというものを一番届けやすくするために、絵本だったら絵本にするというだけです。
山田:届けることが目的なの?
西野:すごいおもしろいこと思いついたら、これを届けるのはそういうことですね。
山田:届けた人がどうなるかとかいうんじゃなくて?
西野:もちろん喜んでもらったりとか、楽しんでもらったりとかしたらいいとは思います。でも、絵本から考えるということはないですね。「絵本で俺はこれを届けていきたいんだ」ということもあんまりないですね。
山田:いや、ツールは何でもいいと思うの。俺もそう思ってるタイプなので。ただ、問題は思想かなと思うのね。気持ちとか楽しいとか。そういうことは考える?
西野:考えます、考えます。
山田:じゃあ、あなたが一番大事にしてることって何?
西野:大事にしてることは、まあ……。
山田:一番伝えたいことは?
西野:おもしろいことをするっていう。
山田:俺が(見て)おもしろいって話?
西野:まあ、そうですね。
山田:それを「お前ら見ろ」って思えるじゃん! やっぱり(笑)。
西野:俺が何かおもしろいことを……。
山田:「俺を見ろ?(笑)」
西野:別に主役は僕じゃなくてもいいんですけど。例えば、(構成作家の)トンボが超おもしろいなと思ったら、こいつのおもしろさをどうやって世に出せるかなーと思って。
山田:プロデュース側にね。
西野:とにかくおもしろいものが1つでも世の中に増えたらいいなっていう。
のぶみ:なんかね、実は話を聞いてるとそういう感じなんですよ。
その、「ホームレス小谷」っていうね。僕は本当に西野さんの作品だと思ってるんですけど。1日中50円で自分を売るというやつなんですけど。
西野さんがやるより、そいつがやったほうがおもしろいから「そういうふうにやるといいよ」と言って、ホームレス小谷をずっとやってるんですよね。
山田:基本プロデュース側に回りたい人なの?
のぶみ:ツールだと思うんです。
肩書きにこだわるのはもったいない
西野:本当に何でもいいです。さっきの漫才で出したほうがよかったら漫才で、という話と一緒で。僕がやったほうがよかったら僕がやるし。
山田:わかった! なるほど〜、そういうことね。
西野:それは他の人から見たら、すぐみんな「肩書きは何なの?」とか言うじゃないですか? あれがすごいもったいないと思ってて。
そうじゃなくて、もうちょっと曖昧にして。「俺、おもしろいものを増やす人だ」っていうぐらいに曖昧にして。
その時に僕が出てったらよかったら出るし。誰かがやったほうがよかったら「お前ちょっとやって」というし。絵本書いたほうがよかったら絵本書くし。漫才したほうがよかったら漫才するし。
山田:なんかやっぱり、瞬発力みたいな、現場のノリでおもしろいこと言わないといけないところにずっといるじゃない。
そうするとさ、自分がイタいやつになっても、一番おもしろいやつを出さなきゃいけないっていう反射神経になってるんでしょう?
西野:そうなんすかね。あんま考えてないですけど。
のぶみ:西野さんは世界に「おもしろい」を増やしたい人なんですよ。それの気持ちはけっこう純粋だと思ってるんですよ。それは別にそんな「俺が、俺が」という感じにもやっぱ見えないし。
山田:いや俺ね、「俺が、俺が」芸はいいと思うんだよね。俺もそういう奴だった。俺も「手塚治虫を超える」とかイタイこと言ってたもん。
西野:いいんじゃないですか。
のぶみ:それは漫画家だったらいうべきだもんね。
山田:いろいろ謝ったよ、みなさんに。手塚プロにまで謝りましたけども。本当すみません。
西野:謝らんでもいいんじゃないですか。
のぶみ:でも、僕もこの前『Disney FAN』っていう雑誌で、「のぶみさんはなんで絵本やってるんですか?」って言われたときに、「世界一になれる可能性があるからじゃないですかね?」という話をして。
だから、それをできるんじゃないのかなって。できそうなことを全力でやるというのは決めてるので。それってすごい根本は大事で。根本はたぶん同じだと思いますけどね。
芸人としてコンプレックスがないのは逆に辛い
山田:西野さんって死にたいと思ったことある?