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進学領域(全1記事)

2015.12.21

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ペーパーテスト偏重の受験はもう古い 意欲の高い学生と個性を求める大学が出会う「相互選択型入試」

提供:株式会社リクルートホールディングス

リクルートホールディングスが2016年の事業領域別のトレンドをうらなう「2016年のトレンド予測」記者発表会を実施しました。「進学事業領域」では、リクルート進学総研の所長・小林浩氏が登壇し、2016年のトレンドワードとして「相互選択型入試」を挙げました。「偏差値で選ぶ入試から、大学の求める学生が主体的に受験する入試へ」ということで、これまでのペーパーテストの成績重視の入試を捨てて、各大学が取り組み始めた、大学の教育理念や求める学生像に応じた入試の導入事例を紹介します。

進学領域におけるキーワード「相互選択型入試」とは

小林浩氏:進学領域は、リクルート進学総研所長の小林がご説明させていただきます。

高校生の進路をサポートするサービスとして、「リクナビ進学」、「受験サプリ」、「英語サプリ」といったようなコンテンツを提供しています。

そんな進学事業領域における2016年の予測ですが、「偏差値で選ぶ入試から、大学の求める学生が主体的に受験する入試へ」ということで、相互選択型入試というキーワードを提示しております。

大学はどのような人材を育成し、どのような意欲や能力をもった学生を求めるのか、そしてそれをどう評価するのかをメッセージして、高校生はそのメッセージを受けて、自分に合った大学を主体的に選択する。

まさに大学と高校生がお互いに、相互選択していく入試のかたちを相互選択型入試と呼んでいます。

文部科学省が提唱する、これからの「確かな学力」とは

学校教育法には、学力の3要素というのが定められています。文部科学省はこれを、これからの社会で求められる力として、学力の3要素からなる「確かな学力」というのを提唱しております。

読んでみると、下から、基礎となる「知識・技能」の習得、得た知識・技能を活用する思考力・判断力・表現力、そして主体性をもって多様な人々と共同して学ぶ態度、この3つをあげています。

しかし、現実の入試はペーパーテストで知識・技能の一点きざみで評価している面が強いのではないかと思います。3つのうち1つしか評価していないではないかという、課題認識があります。

そのため、高校教育、大学教育、大学入学者選抜を一体的に改革していこうという、「高大接続改革」というのが今進められています。

新聞等で、2020年にセンター入試が変わるといった報道がされていますが、それに向けていろんな改革が進められています。

その中で1つ、各大学はその個性に応じて、各大学の入学者受け入れ方針、これをアドミッション・ポリシーと言いますが、そのポリシーにもとづく個別選抜をつくってくださいというふうに言われています。

従来の入試は、ペーパーテストで知識の量を求めて、それを一点きざみで序列化するというのが日本の入試でした。

これを今後は、各大学の個性に応じて入学選抜者方法を、先ほど申し上げた学力の3要素に応じて、多面的・総合的に評価するかたちに変換していこうとしています。

これを聞いておわかりになると思いますが、これは入試改革というだけではなく、まさに教育改革であると。入試を変えることで、教育全体を変えていこうという方向性になっております。

入学者選抜は大学からのメッセージ

それでは、大学に求められるものは何でしょうか? 各大学にはそれぞれ建学の精神なり、教育理念があります。それにもとづいて、独自の特色・役割・価値というものがあります。

そこにもとづいて、卒業時にはどのような能力を身につけて、どのような人材を社会に送り出すのか。そして、それができるのは、どのような理念にもとづいて、どのような教育の仕組みがあるからなのか。

そのためにはどのような学生に来てほしいのか。どのような要件、学力とか、意欲とかが必要で、それをどのように評価するのか。

これを入学から卒業まで、一貫した教育マネジメントが必要だろうと言われています。まさに、入学者選抜は大学からのメッセージだと言えると思います。

大学が求める人材と高校生の課題認識

では、この背景を見ていきたいと思います。まずは企業からの要請です。企業が必要とする能力……よく見る図だと思いますが、コミュニケーション能力、主体性、チャレンジ精神というものが必要だとしています。

ある意味正解のない中で、主体的に取り組んで、チャレンジできる人材というのが求められているわけです。

また、高校生側の課題認識を見てみましょう。これは、経済産業省が提唱する社会人基礎力です。前に踏み出す力(アクション)、考え抜く力(シンキング)、チームで働く力(チームワーク)というのが問われています。

高校生に聞いてみると、チームワーク、つまり空気を読む力は持っていると。しかし、主体性や実行力は将来必要だけれども、今は持ち合わせていない、不足しているというふうに、高校生自身が感じているということです。

相互選択型入試を導入する各大学の意向

相互選択型入試の背景、大学の変化です。学長に聞いてみますと、大学全体の3割、国立大学の5割が、「自分の大学の学生像に合った入試を今後増やしていきたい」と回答しています。そこで、相互選択型入試が続々と導入されています。

まず、国立大学でいち早く導入した九州大学は、学部横断の「21世紀プログラム」で、専門性の高いゼネラリストを育成すると言っています。そのため2日間にわたって、講義・小論文・ディスカッションで選抜していく。

東北大学は、自らキャリア展望を描ける人材を育成するということで、学力だけではなくて、東北大学を第一志望に考えて入学してくれる人を求めていると言っています。

国立大学協会は、今年の9月に、「将来ビジョンに関するアクションプラン」を発表しました。その中で、学力だけではなく、多様な資質を持つ高校生を受け入れたいと。これを今の15パーセントから30パーセントまで増やしていくことを目標に設定しています。

私立大学も、各大学の個性に合わせて変わっていきます。これは、リベラルアーツを特徴にする国際基督教大学ですが、リベラルアーツの基礎となる人文科学・社会科学・自然科学を教科を越えて総合的に問うような、講義を聴いて答えるような問題を出しています。

あるいは追手門学院大学さんは、学ぶ目的を考えて、主体的に学ぶ受験生がほしいということで、面接ではなく面談を通じて育成するかたちの入試を導入しています。

また、今年は東京大学の推薦入試の導入が話題になりましたが、お茶の水大学も新フンボルト入試ということで、文系は図書館入試、理系は実験室入試ということで、突き抜けた力の学生を求めている。

あるいは医療系の藤田保健衛生大学さんは、チーム医療に必要な能力を見極めるということで、医療系の6学科混合でディスカッションしながら選抜していくというような入試を導入しています。

相互選択型入試で入学した学生の声

これはあとでご覧いただければと思いますが、例えば九州大学で「21世紀プログラム」で入った彼は、「21世紀の複雑な課題を解決していける人材になりたい」と。

あるいは追手門学院大学の「アサーティブ入試」で入学した学生は、「いろんなことに自らチャレンジし、一生懸命取組み成長したい」というふうに答えています。主体的に大学時代の学びを追求しようという子が入っているわけです。

進学領域のキーワード、「偏差値で選ぶ入試から、大学の求める学生が主体的に受験する入試へ」。

全員ではなく、まず教室の前から座る意欲の高い30パーセントをどう獲得していくか。そんな相互選択型入試というのが、これからのトレンドになっていくと考えております。

どうもご静聴ありがとうございました。

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