「身近なニーズの解決」では、イノベーションは起きない
岩瀬大輔氏・gumi国光氏が語る、日本ベンチャーの課題点

日本のスタートアップの今後 #2/2

IVS 2013 Fall
に開催

日本国内でもスタートアップが育つ環境が少しずつ整ってきている一方で、米国と比べるとその規模感や文化の浸透はまだまだ不足している。日本のスタートアップが盛り上がっていくために、いまなにをやるべきなのか。gumi国光氏とライフネット生命・岩瀬大輔氏が語った。(IVS 2013 fallより)

「パクリ」は競争が起こるための過程

岩瀬:今の話を聞いて思い出したんですけど、編集者で講談社から独立した佐渡島さんっていう人が、コルクっていう会社をやっているんですね。『宇宙兄弟』とか『ドラゴン桜』とかやられた方で。彼が言っていたんですけど「なぜ日本の漫画はここまで進んだか」と。それは毎週すごい競争にさらされてたからで。毎週ハガキで投稿があって「これが面白い、面白くない」ということで。だから競争のサイクルが毎週でたくさんあって、その中ですごい鍛えられたから日本の漫画は世界一というのがあったので。ソーシャルゲームもモバイルゲームも同じような感じなんですかね。

国光:間違いないと思います。

岩瀬:しのぎを削ってきたからどんどん進んでいるという。

国光:だから一時期コピーとかコピーじゃないとかいう問題がいっぱいあったけど、あんなのバカバカしい話で。

岩瀬:でも訴え合っている人がいましたよね。

国光:でも一言で言うと昔の製造業も全部そこを経験していて。昔の製造業はそれを「改善」と呼んだんですよね。それがなぜかコピーって言葉に変わるみたいな。改善の源泉なんてはっきりしていて、要するにほかの人の良いところというのをある程度見ていきつつ、それをどんどん取り込んで、より良くしていくという感じ。それが競争力の源泉みたいな。だからそのへんの競争ができるできないっていうところで。シリコンバレーがすごいのは、競争が激しいんですよね。ちなみにアメリカにはライフネットみたいなやつはあるんですか?

岩瀬:無いんですよね。だから「アメリカにも作ってよ」とかたまに友達に言われるんですけど。それは日本の生保がある意味一番古かったから、遅れていたからで。女性が売るっていうので、離職率も高いし説明もそんなにうまくできていないとか、色んな矛盾が大きかったから日本でスタートしたのかなって思っていて。そういえば最近スイスの金融機関が筆頭株主になったり。それは再保険会社なんですけど。あとは韓国で昨日、月曜日にスタートしたんですけれど、ジョイントベンチャーでネット生保の会社始めたりしたんですけどね。そういう意味では皆日本に教わりたいっていう感じできてますね。

国光:さっきの、挫けそうになる、潰れそうなときと、ある程度安定したときって何か経験した時があるんですか?

岩瀬:僕らキャッシュは割とあったので、お金が無くなるというのはなかったんですけど、やっぱり売れない時期というのが……。特に最初の一年間くらいは。考えてみたら、誰もお客さんがいない保険会社の保険入りたくないじゃないですか? 最初の契約者が800人とか1000人とかだったので。

国光:最初は全員知り合いだったんですか?

岩瀬:そうですね、全員じゃないですけど。最初の人は勇気がありますよね。今はそんなに大きくないんですけど、10万人ちょっとで20万件弱なので、それなりに規模ができているから安心して入れると思うんですけれど。よく誰も契約者のいない保険に入ってくれたなあと思うんですけどね。

国光:でも保険とかすごい大切ですからね。いきなりニッセイとかに行っても高いですからね。何入っていいか分からないからね、若い時からちゃんとネットの生保に入っていたほうがね。

岩瀬:忘年会前に保険の見直しとかね。

国光:そういう感じの時期なんでね、そういう時にはぜひライフネット生命をよろしくお願いします(笑)。

起業家は潰しがきく

岩瀬:そういえば一つ最近、層が厚くなるということなんですけど、ちょっと面白いことがあって。母校の開成なんですけれど。昔の先生に頼まれて。中3に進路の話をしてくれと言われたんですよ。ただ中3全員じゃなくて、意識が高い人30人くらいに話してくれと。そしたらビックリしたんですけど。「将来なにしたいの?」と聞くと「起業したいです」と。

中2とか中3で起業したいと言ってる人がいて僕の本とか持っていたりするんですよ。ちょっと特殊事例ですけど。一つのファッションみたいになってるのかもしれないし。でも中学生が「僕将来起業したい」と言うような社会になったら、それは層が厚くなった感じがしていいかなあと思ったんですよね。

国光:確かに、いなかったですもんね。僕らの時には。

岩瀬:自分が中3のときとかそんなこと全く考えていないですよね。

国光:でも普通に考えるとプロ野球選手になるよりは簡単になれるんだけどね。

岩瀬:身近にたくさんいるからなおさらね、そう思いますよね。自分に子供が生まれたら起業家になって欲しいと思います?

国光:思う思う。

岩瀬:職業の候補としては絶対いいですよね?

国光:結局のところ潰しがききますよね。

岩瀬:自分で事業立ち上げたことがあるとか、立ち上げようとしたことがあるという経験はどこに行っても役に立つということですかね。

「身近なニーズ」からは革命は起きない

国光:すごい気になっていることがあって。さっき「小粒」って言ったでしょ。小粒さを何とかしなきゃダメだと思っているんですね。正直、各社上場くらいはできるかもしれない。けど、上場して時価総額一千億とかさらに一兆とかいう可能性のあるところはゼロだったんですね。今の日本のベンチャーのやつ聞いているけど、ほとんどがその可能性がない。

何でこういう感じなのかなって思ったときに、僕発見したわけですよ。事業モデルの考え方、大きなビジネスを作るという手法を皆知らない。誰もフレームワークというのを教えない。僕、見つけたのが3つあるんですよ。一つは一番単純に「研究家タイプ」。すごい大学とかで一生懸命研究してたら、「これはすごいもんや」と。

岩瀬:Googleみたいなもんですか?

国光:そう、バイオでもそうだし。研究家モデル。二つ目、これは僕みたいな感じなんですけど、天才タイプ(笑)。

岩瀬:よくわかんないけど天才タイプで大きくなるみたいな。

国光:天才型は多分あれなんですよ。歴史を体系的に見ているはずなんですよ。今まで産業革命というのはこういうふうにきたとか。農業革命はこうきたから、次はこういうのが来るんじゃないかとか。ただこの二つってちょっと難しいじゃないですか。偶然研究しているから。一番いいのが「秀才型タイプ」。結局皆ね、ほとんどの起業家の話を聞いているとビジネスモデルが身近なニーズから来ているんですよ。「この時不便だった、こんなのあったらいいな」とか。

岩瀬:それはそれでいいんですけど、ただ大きくならないと。

国光:結局、「君の身近なニーズを解決したところで別に何にもならないよ」みたいな感じの(が多い)。「世の中の困難を無くす」という感じだったらいいけれど、皆自分の身近なニーズからくるから。僕一番いいかなと思うのでいくと「無いものを作る」んじゃなくて、既存にあるでっかいビジネスを、新しいテクノロジーで変えていくみたいな。

例えば僕らのモバイルゲームというところでいうと、もともと大きかったモバイルに二つの革命が起こって。一つはスマートフォンとタブレット。もう一つはインターネット。これがどう革命だったかっていうと、それまで一番売れたハードって任天堂DSが1億台なんですね。スマートフォンって30億台でしょ。ということはゲームにアクセスできる人が30倍になったんですよね。

もう一個はインターネット。インターネットの一つは友達と遊ぶっていうところもあるんですけど、それ以上に大きいのがビジネスモデル。とくにフリーミアムというビジネスモデルがすごくて。これのすごいのが違法コピーされないんですよ。例えば中国とかでいくと、今まで音楽にしてもアニメにしてもすべてのコンテンツが違法コピーで成立しなかったんですけど。オンラインゲームって八千億の市場なんですよ。日本の家庭用ゲームが三千億円だから、それよりデカイんですね。だからやっぱり中国でも通用する堅牢なビジネスモデル。

結局ゲーム業界に、スマートフォンとタブレットと、インターネット(という2つのイノベーションが起こって)。さらに人数が30億人に増えて、なおかつ中国でも通用する堅牢なビジネスモデルに支えられて広がっていってるみたいな。

岩瀬:ゲームはよく研究されてるじゃないですか。他にどういうジャンルが?

国光:それでいくとまさに生命保険。もともと生命保険というのは腐るほどデカイ業界であったけれども。でもいちいち同じ商品をおばちゃんから聞いてもね。しかもほぼ僕に合わせたカスタマイズもなくて、同じ商品を手数料を乗っけてコネだけで売っていくみたいなね。そんな商品をいつまでも売り続けられてもね。ネットでいったらそのへんの間のところが無くなる分、より安い価格で皆様に届けられるというのは素晴らしい。

既得権を排除して、生産性を上げよう

岩瀬:ありがとうございます(笑)。そういうのがいっぱいあるんでしょうね。まとめながら話すと、僕はアメリカではやっぱりVCとかが今の点で果たしている影響が大きいような気がしていて。要するにビジネスモデルの作り方とか考え方とか。誰かが種を持っていたやつを「もっとこうやったら」って育てる役割を果たしてる気がしていて。そういうふうにしていくことで、今の種をもっと大きくすることができるのかなーと思うんですけれどね。

国光:やっぱり今インターネットも、O2Oもそうだしメーカーズ的なところもそうだし、ハードにもどんどん広がってきて。結局インターネットというのがただ単純にWebのサービスだけやっていたのが、向こうのUberもそうだしAirBnBにしても、すべてがネットに繋がっていくから。考え方っで言うと、今ある既存の産業ってところにネットとかタブレットとか絡めて。

岩瀬:そういうところに大きなビジネスがあるはずだというところですよね。でもUberとかAirBnBのようなモデルが日本で生まれる感じがしないですよね。規制ですかね、今の。

国光:だと思う。結局Uberだって白タクみたいな感じで。だってタクシー業界おかしいですよね。なんでタクシーの台数規制するのかが良くわからなくて。こんなのもっと規制緩和して競争させて、「ダメなタクシーの運ちゃん消えろ」みたいな。それで良い運ちゃんだけ残るみたいなね。そんな感じでやればいいのに、サービスも何もない会社ですら残るという。なんであんなバカバカしい既得権を守っているのか。

薬にしたって「処方箋すらネットで買わせろ」って話なんですよね。それを買って何が健康に悪いかがわからない。クソみたいな既得権を全部排除していってね、インターネットでより便利になっていくと、結局それで社会の生産性が上がってより皆幸せになっていく。テクノロジーを否定するんじゃなくてそれでより良いものを作っていくみたいな。

この部分でいくと(岩瀬さんは)エスタブリッシュのほうにいらっしゃるから、僕は外野のほうでガーッと騒ぎ立てるんで。多分偉い首相に会った時にね、「彼はああ言ってるけど実はいいやつなんだ」みたいな感じでうまくこのへんね(フォローしてくれるといいなぁと)。多分岩瀬さんの立場では言いにくいことが多いと思うんですね、さすがにね。でも僕の立場だと何でも言えるみたいな。

岩瀬:まとめに入るならば、いくつかあるんですけど、「今日すごいいい事言われたなあ」と僭越ながら思っていて。皆で社会の空気として起業家を盛り上げていく空気作らないといけないというのが一つ大きいですよね。あと僕はやっぱり、皆荒唐無稽な大きな夢を見るとか可能性を信じるのは大事だなと思ってて。

僕割と国光さんのFacebookを見て、国光さんが孫(正義)さんを見て奮い立っているのを見て「そうだよな」と。意外と思っている人も多いと思うので皆さんも国光さんをフォローするとですね、「こんだけぶっ飛んでいる人も日本にいるんだ」と参考になると思いますので。僕の締めの言葉にさせていただきたいと思います。

国光:僕的には次の4月から新しい会社とかね、そういう感じになってくると思うので、人生やっぱり何が起こるかわからないと。人生の転ばぬ先の杖として、しっかりと良い保険というのに入ってやっていくというのはすごく重要なんじゃないかなと思ってます。なので皆様ぜひライフネット生命、ライフネット生命をよろしくお願いします。これが僕の締めと(笑)。

岩瀬:それじゃあ今日はありがとうございます(笑)。

国光:ありがとうございます(笑)。

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