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企業向けAIソリューション「LINE BRAIN」のブランドデザイン(全1記事)

2019.11.07

Brand Topics

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「LINE BRAIN」のブランドデザインができるまでに考えたこと、やったこと

提供:LINE株式会社

2019年10月8日、デザイナー向けミートアップ「LINE CREATIVE Meetup」の第2回が開催されました。LINEのクリエイティブを担当する「クリエイティブセンター」が、自社サービスのデザインにまつわる事例について語ります。プレゼンテーション「企業向けAIソリューション『LINE BRAIN』のブランドデザイン 」に登場したのは、LINE株式会社BX室ブランドデザイン3チームの柳沼航太氏。LINE BRAINのブランドデザインはいかにして現在のかたちになったのか。その経緯を紹介します。

「LINE BRAIN」のブランドデザインができるまで

柳沼航太氏(以下、柳沼):こんばんは。これから「LINE BRAIN」のブランドデザインについて説明させていただきます。クリエイティブセンターBX室ブランドデザイン3チームの柳沼と申します。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

さっそくなんですが、LINE BRAINと聞いて、おそらく何か知っている方のほうが少ないと思うので、簡単にご説明したいと思います。

LINE BRAINは、企業が、チャットボット・OCR・音声認識・音声合成・画像認識などのAI技術をより簡単に利用できる、各種サービスの総称です。企業がLINEのAI技術を利用できるサービスになります。

まだピンと来ないと思います。もう少し説明します。LINEは、メッセンジャーアプリやAIアシスタント『Clova』など、より良いユーザー体験を実現するために、さまざまなAI技術を独自に研究開発してきました。そのB2Cサービスで培ってきたAI技術とノウハウを、B2Bサービスとして企業に提供し、企業とAIの距離を近づけます。

そして、このLINE BRAINのミッションとしましては「Closing the distance between AI and Business」とあります。

みなさん「?」だと思います。僕も最初こんな顔でした。

(会場笑)

キックオフの裏話をすると、「LINE BRAIN」という名前が正式に決まっておらず、ほかにも候補があった状態でした。ムービーがあるので、カンファレンスの時に流されたムービーを流したいと思います。

LINE BRAINとはどんなサービスか

(映像が流れる)

ナレーション:忙しいお店のためにAIサービスにできることは何でしょうか? ご予約のお電話はお客様とお店が初めて出会うところでもあります。ただ、あまりにも忙しく、心を込めた応対ができないこともあります。LINE BRAINはお店で働くみなさまのために考えました。忙しさのなかでの電話応対に対して、私たちはどうお役に立てるのか?

お客様1:すいません。来週予約したんですけど。

店員:ちょっとお待ちください。来週の予約ですね。確認させていただきます。

お客様1:コースのメニューとかもありますか?

店員:ええと……そうですね……。

ナレーション:お店での電話応対をお手伝いするAI電話応対「DUET」を紹介します。

DUET:お電話、ありがとうございます。bills Ginza、Tomomiが承ります。

お客様2:あっ、もしもし。予約したいんですけど、土曜日の14時から4名で席は空いていますか?

DUET:申し訳ありません。14時は満席です。15時でしたらご予約をお受けできますが、いかがでしょうか?

お客様2:じゃあ、それで大丈夫です。メニューなんですけど、何かおすすめはありますか?

DUET:はい。billsクラシックメニューのアボカドトーストや、季節の新メニューもございます。

お客様3:席は窓側でお願いできたりしますか?

DUET:はい。窓側のお席をご用意いたします。ほかにはなにかございますか?

お客様3:いいえ、大丈夫です。

DUET:それでは、今週の土曜日、午後15時から4名様でお待ちしております。土曜日は雨だそうです。お気をつけてお越しください。

お客様3:はい。ありがとうございます。

DUET:失礼いたします。

ナレーション:DUETはお客様からの予約を承り、お客様のニーズをうかがい、難しいメニューの問い合わせにも対応いたします。お客様からのお電話に対応し、ご予約とお問い合わせを承るAI電話応対「DUET」が、お店で働くみなさまを応援します。

(映像終了)

柳沼:はい、以上です。だいぶイメージができたかと思うんですが、当時はこういったムービーなんて当然なかったので、しばらくモヤモヤぼんやりと、「ぜんぜんわからないなぁ」というのが正直最初の印象でした。

そのモヤモヤした顔をどうやってはっきりさせていくかというか、そのぼんやりしているのをなんとなく輪郭をつけていくために、BXとして作業している内容をご紹介したいと思います。

デザインに取り掛かる前にやったこと

Key WordsとReferenceとResearchという3つのキーワードがあります。このあと1つずつ具体的にどういう内容なのかをご説明しますが、ここで言いたいのは「いきなりデザインするんじゃないよ」ということです。

Key Wordsは「言葉」なんですが、Referenceはあんまり聞き慣れていない方が多いかもしれません。僕もLINEに入って使うようになりました。「参照」や「参考画像」など、簡単に言うとそんなふうに思っていただければいいと思います。Researchは、競合他社等々、みなさんされるかなと思います。

では、1つずつ、私が何をしていたかをご説明します。これはトライでやってみたんですけど、形容詞ってたくさんあると思います。それをいろいろ書き出して、アナログな作業ですけど、短冊状に切りました。

チームの人にも協力してもらって、LINE BRAINがどういうイメージなのかをつかむために、ぼんやりモヤモヤわからない顔をしていたのを、少しずつ言葉から探っていく。そういう作業です。

整理した図がこちらです。

「LINEのイメージってこういうのだよね」「LINE BRAINってこういうイメージなんじゃないかな?」でもいいんです。別に正解はなくて、自分がどう感じているか、どういうふうに思うか。チーム作業であれば共通認識の1つにもなりますし、少しずつ頭を整理できた作業だと僕は思っています。

LINE BRAINの「青」ができるまで

次にReferenceです。今ここに出ているのはわりと脳のイメージとAIの写真などが多く見受けられると思います。

先ほど言葉から探ったように、Referenceではイメージから探っていく作業かなと思っています。

次にResearchです。

同業だけでなくスタートアップなどを幅広く集め、それをカラーポジショニングのマップにしてまとめました。

Researchは、単純にロゴの形うんぬんもあると思うんですけど、できるだけ引いたマクロな視点でLINE BRAINを捉えるために必要な作業なんじゃないかなと、今振り返って思っております。どうしても小さい細かい作業になっていっちゃうときにどう見えるか、そのための作業かなと思います。

急に色の話になっちゃうんですけど、決して最初に色を決めてしまうわけではありません。これは結果的にこうなったので紹介しているんですが、先ほどのキーワードを色と合わせながら、ポジション、LINE BRAINはこのへんです。

当然、競合他社等々が多いし、いわゆるAIカンパニーの色も青が多いです。そういうことも先ほどのResearchでわかった上で、「じゃあ、ここで挑戦するかどうか」「もっとLINE寄りの緑のほうがいいんじゃないか」「もっと温かい、ヒューマニティのある赤系がいいんじゃないか」とか、そういうふうにテスト検証をして、最終的にLINE BRAINの青は決めております。

モチーフを探す

ここからデザイン作業に入っていきます。

最初に考えたモチーフは3つありました。

ストレートに「脳」のイメージ。それから「Brain」のBをオブジェクトとして使う。もう1つが「AI」。これも「B」と同様にAIの形を使ってシンボルを作っていけないかなと最初に考えてデザイン作業を進めておりましたが……またこうなってしまいました(笑)。

というのも、例えば「脳」や「AI」などはなかなかこう……。例えば「脳」だと、雲の形とかクラウドっぽくなってしまったり、エンタメ感が出すぎてしまったりなど、このときにだいぶ行き詰まりました。

そんなときは、1回戻ってみます。

これは上から下だったんですけど、行き来しててもまったく問題なくて。

むしろ「そもそも何してたんだっけ?」とか、さっきのマクロな視点を持つこともそうですけど、どんどん細かい作業になっていっちゃうので、できるだけいつも俯瞰して見ていきたい。そう思いながらもどんどんまた細かい作業になっちゃうので、行き来しながらデザインをしていました。

そんなときに、4つめのモチーフ「Neuron」に出会いました。

Neuronという単語はぽつぽつ出てきていました。神経細胞のことなんですが、なかなかとっつきにくいというんですか、調べてもやはり難しい図が多くて、なかなかしっかり調べていなかったのですが、ここで自分にとってはターニングポイントになりました。

なぜかといいますと、これもざっくり説明しますけど、ニューロン……シナプスは聞いたことのある方が多いと思います。電気信号が左から右に流れているわけです。正直、このときまだ僕もそんなにピンと来てなかったです。

これはもう少し寄った図ですね。

この電気信号は「跳躍伝導」というらしいんですけど、飛び飛びになることで新幹線ほどの速さで電気信号が送られていきます。それに対して、このミエリン(スライド内「Myelin」)というものが電気信号を通さない絶縁体らしいんですけど、「ミエリンがない神経細胞の電気信号が伝わる速さは人が歩く速さと同じくらいだ」というわかりやすい解説があって、そこで初めて興味を持てました。

その話が単純におもしろいなとその時は思って、「じゃあ、ミエリンって重要なんだ。ミエリンとミエリンの間、隙間に意味があるんだ」というところまで来て、ついに覚醒しました。

この隙間が僕にとってはすごく重要でした。きれいな正円の4分の1をつなげていけば、きれいな形ができるデザインになりました。デザインが決定してからはすべてが速かったです。

逆にここまでが相当時間かかって、ここまで来るまではもう山ほどボツ案があります。シンプルにサラサラっとやったわけではなくて、トライアンドエラーを経てたどり着けたとは思っています。

モチーフから実際のデザインへ

ロゴタイプとシンボルを組み合わせるときも、エレメントの長さを使って設計したりもしました。

サービスアイコンも、ボツ案のときも同時に作っていました。もちろん、シンボルとロゴタイプとの相性を見ながら、サービスアイコンも同時に「こういうロゴのときはこういう形、こういう造形なんじゃないか」と考えながら、作業しながらやっていました。

当然同じルールなので、思いがけないような形も出てきて、このへんの作業は楽しいですね。

アルファベットも最初から作ろうと思ったわけじゃないんですが、すぐにこれも「ああ、これはいけるな」と思いました。

このアイコンと書体を通して、このブランドのアイデンティティというか世界観を作るのにはうってつけだなと。「このアイコン・書体を使えば、『あ、LINE BRAINね』みたいな世界観に使えるな」と、すぐにわかった時でした。

実際組んでみるとこんな感じです。

このへんからテスト系列というか、モックアップもこのあと出てくるんですが、実際に事業部にLINE BRAINの企画担当者などに提案するときもこういった資料で見せております。

これもその発展で「モーションがこんなふうに動いたらおもしろいかな」「キーノートやカンファレンスのときに、こんなふうに見えるかな」と思いました。

Tシャツ、缶バッチ、シール、デジタルサイネージやポスターを想定してデザインを作ります。

もちろんこの時だけじゃなくて、複数案作っているときから、しっかりこのへんは想定して作っていました。なぜこういうのを作るのかというと、シンボルやロゴもそうですが、「それって発展性がちゃんとあるのか?」と自分で再確認して、可能性がどこまであるのかを確認する重要な作業です。

引き続き、これもモックアップの続きですね。Twitterのときはこんなモックアップでした。

これは実際に今日お持ちしました。

これはのちのち作ったもので、モックアップの時とは変わりましたが、こっちのほうがよかったなと今では思ってます(笑)。

LPは外注の監修という形で携わったのでさらっと紹介します。

この1枚目は先ほどのムービーのシーンが切り取られています。

若干駆け足だったかもしれませんが、以上でLINE BRAINのブランドデザインは終わりたいと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

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