
2025.03.19
急成長するドバイ不動産市場の今 投資のチャンスと注意点を専門家が解説
カメラマン・杉本祐一氏 記者会見(全1記事)
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この度、私フリーカメラマン杉本祐一のためにこのような場を提供していただき、厚く御礼申し上げます。
私はこの20年間、ユーゴやアフガニスタン、パレスチナ、イラク、そしてシリアで写真を撮り続けてきました。紛争地で生きる人々、難民キャンプでの生活、自由と民主主義を求めて戦っている青年たちの姿を、私の地元、新潟県の新聞やテレビ、各メディアを通じて、日本の人々に伝えてきました。その度に大きな反響をいただき、誠に感謝しております。
今回、突然パスポートの強制返納という事態に直面し、大変驚き、ショックを受けています。パスポートを失うということは、私のフリーカメラマンという仕事を失うということであり、また私の人生そのものが否定されているという事だからです。
事の起こりは今月初め、地元の新聞に取材を受けたことでした。記者に「またシリアに行くのか?」と聞かれ、何度も取材を受けて信頼していたメディアだったので、「シリアでの取材を検討している」と答えました。
ところが新聞記事で、私がシリアへ行くこと、さらに詳しい日程まで掲載されてしまい、本当に驚きました。私は静かにシリアへ行き、また静かに帰国することを望んでいたのですが、全く不本意なことでした。
それからすぐに外務省から電話がかかってきました。たしか2月の2日か3日だったと記憶しております。その内容は、「新聞記事を読んで杉本さんがシリア行きを計画していることを知った。今回の取材は止めてほしい」という旨のお話でした。
しかし私は昨年11月、シリア北部のコバニでの攻防戦を取材し、そのコバニがイスラム国から解放され、クルド人部隊による海外記者を案内するプレスツアーも行われているということで、ぜひ取材に行きたいと思い、現地行きのチケットを手配していました。
ただ、イスラム国の支配地域に行くつもりもありませんでしたし、そもそもシリアに入れるかどうかも、現地の信頼できる仲間と相談して、現地情勢を見定めながら判断しようと思っていました。刻一刻と情勢が変わる紛争地では、当初の予定通りに事が運ぶとは限りませんから、遠く離れた新潟ではなく、シリア国境で情報を収集し、判断したかったのです。
外務省の職員の方とは、「中止してほしい」「行きます」とのやり取りが続きましたが、その電話は15分から20分ほどで終えたと記憶しております。
その翌日に、今度は新潟県警中央警察署の警備課長から「お会いしたい」との旨の電話をいただき、喫茶店でお会い致しました。
その時も、「シリア行きを止めてほしい」「行きます」とのやり取りだったんですが、警備課長は最後に「家族の連絡先を教えてほしい。そして無事に帰ってきてほしい」と言ってくれたのを記憶しております。
その後、7日の午後7時頃、私が外出先から自宅へ戻ると、近くの駐車場にライトが付けっぱなしの車が停まっており、(そこには)その光の中に浮かんだ数人の男たちの姿がありました。
そして自分が自宅玄関を開けようとした際に男たちが駆け寄ってきて、「杉本さんですか?」と声をかけてきました。「あなた方は?」と私が聞きますと、「外務省から来ました」と答えたのでした。
外務省の職員たちに「部屋に入れてほしい」と言われたので部屋に案内しました。私の正面に外務省領事局旅券課の外務次官が座り、その横に課長補佐が立っておりました。その後ろには警察官2名が立っていました。
そこでまた「行かないでくれ」「行く」というやり取りになったのですが、パスポートを返納しろと言われ、「返納しない」と僕が応じました。
その後外務次官は、岸田文雄外務大臣の名前入りのパスポート返納命令書を読み上げ、旅券法の辞典を開き、「ここを読め」と言われましたので、読みました。
こうしたやり取りの中で、返納しない場合は逮捕する、と2~3回言われました。どうしようかと悩みましたが、どちらにせよ、逮捕されてしまえばパスポートは没収されること、狭いところに押し込められて事情聴取を受け、起訴され裁判になった際の弁護士費用を考えました。
これらのリスクを考えた末、パスポートの返納に応じざるを得なかったのです。そして夜7時55分頃、外務省の職員らは私のパスポートを持って引き上げていったのです。
私もシリアに避難勧告が出されていることは知っており、外務省からもそうした説明を受けていましたが、退避勧告とはあくまで危険情報であり、強制力を持たないものだったはずです。
確かに、旅券法には「旅券名義人の生命・財産を保護する目的で返納を命令できる」とは書いてありますが、一口にシリアと言っても、場所により状況は全く異なります。
先ほども申し上げましたように、私はイスラム国の支配地域に行くつもりもありませんでしたし、公言などしておりません。コバニはイスラム国から解放されており、クルド人部隊の護衛の下でプレスツアーが行われ、多くの外国の記者が取材に入っておりましたので、コバニなら大丈夫だろうと私は判断しておりました。
また、今回もし可能であれば、自由シリア軍の支配地域での取材を考えておりましたが、私も20年間の経験から決して無理はしないと決めており、あくまでコバニではトルコ側の(シリア国境)アクチャカレでの取材を優先しておりました。
報道関係者が外務省にパスポートを強制返納されたのは、戦後、日本国憲法が交付されて以来、初めてのケースだと聞いております。
私と致しましては、自分のパスポートを取り戻したいのは無論の事、私の事例が悪しき先例になり、他の報道関係者まで強制返納を命じられ、報道の自由、取材の自由を奪われることを危惧しております。
つきましては、出来るだけ早く外務省に異議申立てを行い、場合によっては法的措置をとることも検討したいと思います。
最後に皆様にお聞きしたいのですが、皆様のお国ではこのような事があるのでしょうか? 教えていただければ幸いです。最後までご清聴していただき、誠にありがとうございました。
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