2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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受賞が決まってからも日がございましたけれども、その間になにか心境の変化ですとか。やはり受賞するとなると、これまでと心境が違うな、というようなことがあったのか。それと、今日まさに官邸の中に入って、式もございましたけれど、そのあたりの緊張感がなかったのか、ということをうかがいたいと思います。
始まる前にお2人で、けっこうリラックスして談笑されているようにもお見受けしたんですけれど、なにかその、始まる前のことですとか。そのあたりのことをうかがえますでしょうか。
羽生善治氏(以下、羽生):はい。賞の話が決まったあとにですね、たくさんのお祝いのメッセージやお花をいただいて。その反響の大きさに、「大変な賞をいただくことになったんだなぁ」ということを、日々実感しました。
今まで、表彰を受けるというケースはかなりあったほうだと思うんですけれども(笑)。今日はですね、ちょっと緊張しました(笑)。
井山裕太氏(以下、井山):そうですね、私も本当にそういう、受賞と言うか……授与していただける、ということをお聞きしてからも、なかなか実感がわかない、というところが続いてたんですけれども。それから今日に至るまでも、対局のほうもたくさんありまして。なかなかあまり、そういったことを考える余裕もなかったような状態ではありました(笑)。
ただ、こうして今日という日を迎えることができて、安倍総理から賞をいただけたときは……やっぱりこう、何とも言えない……あまりリアリティがないと言うか(笑)。普段ではもちろん、なかなか経験できることではないですし。大変ありがたいことだな、というふうに思います。
今日で少し、ひと段落、というところもあるかと思うんですけども、今後に向けてもこの賞を励みに。ですけどあまり意識し過ぎずに、自分のペースでやっていきたいな、とも思っています。
記者7:すいません。引き続き、朝日新聞のオオイデと言います。囲碁界でも将棋界でも、江戸時代以前からの歴史を有していて、その中でお2人とも歴史に特筆するような巨大な足跡をすでに残していますが。
お2人が同時にこうして、揃ってこの場にいるということは、非常に不思議な感じがするんです。それは今の時代の必然なのか、たまさか(偶然)なのか。お2人はそれをどう思っているのか、お聞かせください。
羽生:世代としては、井山さんとは少し異なっているというところはあるんですけれども。なんて言うんでしょうか、例えば……勉強する方法とか環境とか、ちょっとやっぱり、私が育ってきた時代と井山さんが育ってきた時代では少し違う、というところがあって。
そこがどんなふうな違いを生んでいるのか、というようなことは……そうですね、私も機会があれば井山さんに聞いてみたいな、とは思っています。
井山:そうですね、私は……先ほども言いましたけど、囲碁を覚えたあたりのときに先生が七冠になられたわけで、そのときにはまさか自分がプロになるとも思っていなかったですし。世界は違いますけど、七冠というものを達成できると思ったことは本当になかったので。
自分自身、一番驚いているというのが正直なところです。ただ、七冠ということに関してもやはり、羽生先生が先に「不可能ではない」ということを示してくださっていたのは、そこを目指していく上で自分の、ある意味……「支え」と言いますか。そういうふうになった部分もあるかな、と思います。
記者7:共同通信のセキグチといいます。よろしくお願いいたします。お2人にお聞きしますけれども、それぞれ対談なんかも重ねてきたと思うのですが、それぞれの強さについて、分析していただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
羽生:そうですね、他の囲碁の棋士の方と話をしたときに井山さんというのは、人が思いつかないような独創的な手が打てるという話を聞きました。そういう独創的な手と、結果を両立させるというのは、非常に難しいというのは私もその勝負の世界で生きてきて、非常に感じることが多いのですけれども。
それを井山さんはずっと長い年月続けているというところが、驚きでもありますし、一番の大きな強さなのではないかな、というふうに素人目ですけれども思っています(笑)。
井山:そうですね、私も本当に将棋のことはまったくわからないのですけれども。羽生先生のようにこれだけのことを成し遂げられて、それを長い年月続けてこられたそういう方ですけれども、なんというんでしょう……。
そのなかでも向上心といいますか、新しいことにチャレンジするそういう姿勢を、常に持っていられるように感じまして、そこが本当にすごいというふうに思いますし、自分もそういうふうにあれたらなというふうに、そういう存在、というか先生です。
記者8:羽生先生、井山先生。国民栄誉賞、誠におめでとうございます。報知新聞のキタノと申します。先ほど官邸で、総理から「国民に夢と感動を与えた」という言葉がありました。今同じように、国民に夢と感動を与え、あるいは与えようとして、がんばろうとしているアスリートが、平昌オリンピックで戦っています。
アスリートたちの戦いをみて、どんな思いを抱いているのか。これまで終わった競技、あるいは選手で印象に残った方がいらっしゃるか。あるいはこれから協議を迎える方、あるいは競技・選手で期待したい方がいらっしゃれば、伺えたらと思います。
羽生先生にはたいへん失礼なのですが、復活を期した羽生(結弦)選手へのエールをいただけたらと思います(笑)。
羽生:そうですね、今まさに平昌オリンピック真っ最中ということで、オリンピックは4年に1度というこの一瞬というか、この1回にすべてをかける思いとか、気持ちみたいなものを見ていると非常に、なんというかたいへんな集中力とたいへんな努力を、その一瞬のために費やしているんだな、ということでやっぱり月並みになってしまいますけれども、悔いなく全力を出し切ってほしいという気持ちでいつも見ています。
羽生選手のことなのですけれども、そうですね、読み方が違いますけれども(笑)。漢字は同じということで、親近感をもっていますし、少し間をおいてぶっつけ本番でオリンピックを迎えるということではあるのですけれども、それでもやはりすばらしい演技を見せてくれるのではないかという、期待を膨らませてくれる選手だというふうに思っています。
芸術的な滑りをされることを非常に楽しみに見てみたいなと思っています。
井山:そうですね、羽生先生もおっしゃられましたけれども4年に1度という、その長い年月をそこに向けて費やしてこられて、自分の囲碁の世界ですと、1つ負けても次があるというかすぐにくるので、ある意味気持ちも作りやすかったり、立て直しやすかったりということがあると思うのですけれども。
やっぱり4年というなかなか長い期間ですと、じゃあ次もというにはなかなかすぐになれるものではないと思うので、やはりその一瞬にかける凄みというか、本当にそういう背景があって、その方たちのパフォーマンスを見させていただくと、本当にこちらとしてもいろいろ感じる部分があるというか、本当に感動を与えていただいているというふうに感じます。
本当に私もいろいろなスポーツを見るのは非常に好きなのですけれども、やっぱりただ楽しみで見ているというよりは、凄さであったりとかそういうものを感じながら、興味深く拝見させていただいています。
記者9:おめでとうございます。NHK記者のカワイと申します。今日のこの晴れ舞台を見て、きっと各将棋界・囲碁界にはそういったお2人の姿に近づきたいと思われる棋士の方が、とくに若手の棋士の方多くいると思います。
もちろんお2人も現役の棋士でありますが、各界の若手の棋士に対して、何か伝えたいメッセージであったりとか、思うことなどありましたら、お聞かせいただけますでしょうか? お2人に伺います。
羽生:将棋の世界は本当に早いサイクルで若い人たちが出てくる世界であると思っていますので、そういう意味では新しい人たちが出てくるという可能性は常に存在していると考えていますし、そういう人たちがたくさん出てくるということが、一つの世界として活気や歴史的な継続につながるんじゃないかなと思っています。
井山:囲碁の世界も本当に若手の成長というか、そういったところは本当にとくにここ最近著しくて。自分も、国内のタイトル戦でも下の世代と戦うことも増えてきまして。本当に戦う方としては、ちょっと大変な面もありますけれども、すごく日本囲碁界としては頼もしく見ているところもあります。
世界というものを見たときに、やはりそういう人たちがどんどん出てきてくれることはすごく喜ばしいことだとも思いますので、自分がなんとかその先頭に立って世界でも引っ張っていけるような、そういう棋士になれるように。そういう若い棋士たちの成長を感じながらも、そういうふうに自分もさらに努力しなければいけないなと感じさせられています。
記者10:週刊碁のモリモトと申します。お2人にお聞きしたいんですけれども。永世七冠、2度目の七冠ということで、長い期間好調な期間を持続させていなければいけないと思うんですが、どうしても不調の期間というのもあると思うんです。そういう中でどういうふうに乗り越えようと思っていらっしゃるのか。もしもこういうふうに考えているとか、そういうものがございましたら、教えていただければなと思います。
羽生:うまくいかないときとか、結果が出ていないときに、普通に実力というケースもあるので、そのときはまた一生懸命努力をして、次の機会をうかがうということにしています。
まだやっていることは間違っていないけれども、具体的なかたちになっていないと思ったときには、気持ちを切り替えて、モチベーションが下がらないようにやっていくということを心がけています。
井山:本当にこの世界はよく負ける世界ですので、あまり1つの勝ち負けに最近はあまりこだわりすぎないようにといいますか。もちろん負けるからには何かしら自分に原因があるということで、そこの反省というか振り返りは怠ってはいけないと思いますけれども。
あまりそこを、なるべくそういう気持ち、負けたときはとくにですけれども、あまり長く続かないように、それはそれとして次に向かっていくというか。あまりそこに一喜一憂しすぎないというのが、長い期間やる上では必要なのかなとは思っています。
記者11:朝日新聞のムラカミです。この度はどうもおめでとうございます。羽生さん、井山さん両方におうかがいしたいんですけれども。お互いに、羽生さんから見て、井山さんのこういうところが自分に似ているかな、こういうところは違うかなというところがありましたら。プレーのスタイルですとか性格とかも含めて、考えていることがあったら、教えていただけますか。
羽生:棋士のデビューをして、タイトルを取って、駆け上がっているという、そういうプロセスは非常に、似た時期に似たことを成し遂げていくという点では、共通しているところはかなりあるのかなとは思っているんですが。井山さんの場合は、私の記録よりもさらにすごいことを成し遂げている感じはあります。
違うところでいうと、先ほどの話とちょっと重なるんですけれども、人がなかなか思いつかないような、独創的な手を打ち続ける、指し続けるところは、私にはないところなので、そこはちょっと違うところなのかなあと思っています。
井山:そうですね、似ているところというか。難しいんですけれども、先ほども申し上げましたけれども、やはりこれだけのことを成し遂げられても、1つの型にはまらずに、常に新しいものに挑戦し続けておられる姿というのは、やっぱり自分もそういうふうにありたいというか、そういうふうに意識してやっているところでもあるので。
そういう意味では、そうあり続けておられるお姿というのは、まあ本当に自分の理想とする姿というか。似ているというよりは、自分もそうありたいという、そういうところです。
司会者:ありがとうございました。それではこれにて質疑応答を終わらせていただきます。
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