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pixivのPawoo担当者が語る、マストドン早期参入の理由と可能性

pixivのPawoo担当者が語る、マストドン早期参入の理由と可能性

ポストTwitterとして話題の分散型SNS、Mastodon(マストドン)。大学院生が自宅サーバで立ち上げたmstdn.jpが注目を集め、ブームに火が付きました。現在ではpixivが運営するPawooなど大手企業も参入し、にわかに盛り上がりを見せています。4月25日に行われたpixiv主催のイベント「pixiv Night #04」では、そんなMastodonにスポットを当て、構築開始から10時間でリリースに至ったPawooの技術の裏側や今後の発展について、現場の担当者たちが語りました。

シリーズ
Mastodon/Pawooの運用&開発技術 - pixiv Night #04 > 今後のPawooとか?
2017年4月25日のログ
スピーカー
リードエンジニア/Pawoo プロダクトマネージャー 清水智雄 氏

マストドンって結局なにがおもしろいの?

清水智雄氏(以下、清水) では、最初に発表します、norioと申します。pixivではリードエンジニアという肩書きでやっていて、UI・UXデザイナーも、デザイナーという側面もありつつ、エンジニアという側面もある。今はPawooのプロダクトマネージャーと、pixiv Sketchというプロダクトのプロダクトマネージャーも兼任しています。 このPawooというプロダクトというか、マストドンをpixivでやろうと言い出したのは僕です。まあ勢いで始まったPawooなんですが、かなり反響があって、これはpixivとしてやっていくべきなんじゃないかというところで、今、みんなでがんばっているところです。 まず、僕のほうからどういうことを話していこうかなと思ったんですけど、結局マストドンってどういうところがおもしろいのかなというところをまず話していきたいなと思っています。 まずマストドン、分散型SNSで、作者の方とかは、もともとマストドンの設計思想とかそういうところにおいては、脱中央集権、そういうところを狙った、オープンソースでソフトウェアを配布して、それぞれいろんな人がインスタンスを自分たちで立てて、そのインスタンスごとのルールとか、そういうところに共感した人がインスタンスに参加して、コミュニケーションしていくというところが、マストドンの思想だと思います。 それがもちろんメインだったと思うんですけど、副次的にマストドンに搭載されていた、実装されていた機能として、僕が一番おもしろいなと思ったのは、やっぱりインスタンスごとのローカルタイムラインでした。 インスタンスごとのローカルタイムラインというのは、今までも似たようなものはあったんじゃないかなとは思うんですけど、それともまた違うんじゃないかと。そのへんの違いってどういうものなのかなというのを考えてたんですけど。 今まで掲示板とかいろんなものがありましたけど、掲示板というのはかなり静的なコンテンツで、そこでリアルタイムなコミュニケーションができるというものではなかったですよね。 もちろんTwitterという場所がありますけど、Twitterというのは本当に最初の初期の頃はパブリックタイムラインというものがあって、すべてのユーザーのつぶやきが見れるような、ローカルタイムラインに近い存在はあったんですが、マストドンのインスタンスごとのローカルタイムラインというのは、そのパブリックタイムラインとは違うおもしろさがあるなと感じました。 そこにはなにがあるのかというと、Twitterというのはやっぱり、それぞれコンテクストが違う人たちが集まって、それぞれ思い思いにつぶやいているんですが、そうするとコンテクストが共有されていないので、見ていても別々のことを言っているので、なかなかそこに共感したり、そこのおもしろさみたいなものを感じるのがなかなか難しい。 でも、インスタンスごとに分かれたローカルタイムラインというのは、やっぱりある程度そのインスタンスの特徴に沿った人たちが集まっているせいか、ローカルタイムライン自身にある意味一体感みたいのがあって、そこを見ているだけでも楽しいみたいな。そういうところがやっぱり今までと違うんじゃないかなと思います。 Twitterに関しては、それこそ始めたばっかりのときって、誰かをフォローしないかぎりタイムラインには情報流れて来ないわけですよね。でも、マストドンだったら、もう入った瞬間にそのインスタンスで行われているコミュニケーションが閲覧できて、しかもそこにすぐに参加できると。しかも、フォローとかしなくても、そこで発言すれば誰かに見てもらえるとか、そういうところはやっぱりTwitterとは違うおもしろさがあるなと思いました。

マストドンのインスタンスはそれぞれが1つの街

そのインスタンス、いろいろ立ち上がっていますけど、インスタンスってもちろん今言ったようなおもしろさがあると思うんですけど、「なにかに似てるな」と考えたときに、インスタンスって、渋谷とか新宿とか秋葉原とか、そういう街なんじゃないかなと。とくにPawooとか.jpさん(mstdn.jp)とか、そういう大規模なインスタンスにおいては、とても多くの人たちが集まっている街なんじゃないかなというふうに僕は感じました。 しかも、もっと言えば、歩行者天国みたいな。繁華街で行われている歩行者天国を見ているような感じですかね。ローカルタイムライン見てるだけでも、歩行者天国でいろんな人たちがいろんなパフォーマンスしていたり、いろんなおしゃべりしていたりとか、そういうのを見てるだけでも楽しめるし、そこの歩行者天国でなにか自分がパフォーマンスすれば、それを見てもらえる、見つけてもらえる。 自分の興味のそそるコンテンツだったりユーザーを見つけることができるし、見つけられること、見つけられやすい場所だというのを、すごくローカルタイムラインから感じました。 もともと、僕個人の話なんですけど、pixivとかそういうコミュニケーションのサービスをやっていく上で、なんとなく昔からこういうのをやりたいなと思っていたことがあって。 それはなにかというと、若者文化というのが場所と人によって生まれてきた、みたいな話があって。それこそ戦後とか、60年代、70年代とかは、新宿が若者文化の中心地だったと。そこでヒッピー文化とかそういうものが生まれたり、学生運動とかが生まれてきた。新宿というところに集まった人々のなかで文化が生まれたと。 そのあと原宿に移って、原宿で歩行者天国とかでいろんな人がパフォーマンスするみたいな、そういう若者文化が発生していって。その次、90年代とかは、徐々に渋谷に若者文化の中心が移って、そこでいろんな文化が生まれて。そのあと秋葉原で、萌えだったり、コンピュータだったり、アイドルとか、そういう新しい文化というのが生まれてきたと。 結局、秋葉原の次がどこだったのかなと思うと、Webだと思うんですね。Webにすべて、まあ、若者文化というのは移動しちゃったのかなと思っていて。そういう場所に根付いた文化みたいなものが、Web上でできたらいいんじゃないかな、みたいなことを僕個人がすごく思っていました。 そういっても、Web上にはいろんな場所がすでに存在していて。Twitterだったり、Facebookだったり、YouTubeだったり、ニコ動さんだったり、チャットだったり、僕らのpixivもそうだと思うんですけど、場所とそこに集まるユーザーによって文化というのは生まれてるなとは思うんですけど。 それぞれ扱っているコンテンツというか形式が違う。そこでなにかもっとある程度統一された規格上にあるもので、ただ場所とか集まっている人によって文化が生まれる場所みたいな、そういうものができたらいいんじゃないかなというのをなんとなくずっと思っていたところがあったので、マストドンに出会って、「これはそういうことができるプラットフォームなんじゃないかな」という可能性を感じて、瞬時に「これはもうやるしかない!」みたいな。 「これはなにかそういう新しい文化が生まれるプラットフォームになるんじゃないかな」というところに期待して、Pawooというものをほとんど勢いで始めました。 でも、それに対して会社が共感してくれたので、今のところそういう方針というか、かなり力を入れてpawooというものをやっています。

pixivはなぜ参入したのか

すいません。ずっとこのスライド1枚で申し訳ないです。まったく時間がなくて、資料は作れていません(笑)。 (会場笑) あと、ログミーさんが今日たぶんいらしていると思うんですけど、ほとんどアドリブなので、なんとかある程度やわらかくしておいてください(笑)。 (会場笑) はい。すいません。 なぜpixivがやるのかという話なんですけど、pixivというのは「創作活動を支える」というのをミッションステートメントとしてやっていますので、創作活動を支えられればもうなにをやってもいいという感じなんですよね。 そういう意味では、pixivとかいろんな周辺サービスを作ってきたなかで、pixivは発表の場とか、あとは「BOOTH」とか「FACTORY」というものを作って売るみたいなサービスだったり、絵を描き始めた人向けの勉強するための「sensei」という、絵を動画で学習するサービスだったり、あと「pixiv Sketch」という僕がやっている、絵を描き始めた人たちが交流したりする新しいお絵描きの場。 お絵描きを、なんのソフトも持っていなくても、Adobeとかがなくても、Sketchさえあれば絵を描けるし、そこから交流できるみたいな、そういう場所を提供してきたんですけど、やっぱりもっと活動の場もサポートしていきたいなというのがずっとありました。 なので、それに対して、このマストドン、Pawooというのはそれに応えられる、なりえるプラットフォームなんじゃないかなということで、pixivとしてやろうということになりました。 Pawooの現状を報告しますと、14日に公開して、今、2週間弱ですかね。今のところ、先ほどでちょうど9万人ぐらいのユーザーさんに登録してもらいました。 その間、2週間。短い間だったんですけど、いろいろ僕らもがんばりまして、機能としてはpixivアカウント連携という、pixivのアカウントさえあれば簡単にログインできる。サインインできて、ログインも簡単になって、さらにプロフィールの画面にpixivのユーザーの、pixiv側のプロフィールページに飛ぶバッジみたいなのを表示するというところの機能を実装しました。 これによって、pixivユーザーが簡単にマストドン、Pawooを始められるようになるし、また自己証明というか、このユーザーさんが本当に絵描きさんなのかなみたいなところも証明できるような機能だと思ったので、かなり最初の時から計画して進めていました。 あと、昨日アンドロイド版のアプリをリリースしました。こちらPawooを使えるのはもちろんなんですが、他のインスタンスのマストドンにもログイン、サインアップして使えるアプリになっております。 それと、数分前ですが、1.2.2というマストドンのバージョンにアップデートしました。こちらはけっこう細かいバグ修正だったり、いろいろされているので、見た目上そこまで大きな変化はないです。運営サイド的にいちばん変わるのは、今ユーザー数っていうのが注目されていますけど、そこの人数の数え方が1.2.2から変わっています。 今までサインアップしたあと、メール認証してない方も含まれた数が出ていたんですが1.2.2以降はメール認証済みのユーザーのみがカウントされるようになるので、インスタンスの数や統計とかを捉えてるサイトがありますけど、そこに関してサインアップしてない人が含まれなくなるので、そこで変化が起きる可能性はあります。

今後のPawooの展開

これからのPawooの話です。まず昨日アンドロイド版をリリースしましたが、iOS版のリリースを控えています。こちらも今鋭意開発中なんですが、どうにかゴールデンウィーク中とかゴールデンウィーク前には出したいかなというところで頑張って開発しています。 あとはpixiv連携の強化ですね。今はアカウント連携のみですけど、pixivの作品を簡単にPawoo上に共有できたり、今pixivの作品のURLを貼っても画像が展開されないとか、そういう問題があるので、そのへんの対応をしたり。 あとはpixiv側からのリンク。今Pawooからpixivのユーザーへのプロフィールページへのリンクはできてますけど、pixiv側のプロフィールページからPawooのアカウントに紐付けるようなところのpixiv連携の強化というのを進めています。 あとは画像の扱いの改善ですね。昨日、メディアタイムラインっていうものをリリースしましたが、それをプロフィールページにも反映させたいなと思っています。今プロフィールページ見ても普通のテキストの文章と画像とが全部入り乱れているんですけど、そこでもメディアだけを絞った表示みたいなことをやろうと思っています。 そのほか引き続き、「お絵描きユーザーさん」に向けた特化した機能を追加していこうと思っています。 それで、まだ詳細というか、どういうタイミングでっていう細かい話はできないんですが、僕らとしては複数インスタンスっていうのを展開したいなと最初から考えていました。今これも計画中なんで詳細は言えないんですが、やっていきたいと。 なんでこれをやるかということなんですけど、創作活動をサポートしていくっていう点においては、Pawooで主に絵描きさんに対する活動の場っていうのを提供することは、ある程度できつつあるのかなとは思うんですが、それ以外にも創作っていうのはカテゴリーが複数あるので、そういうところでいろんなカテゴリーの創作活動をしている人たちの場をサポートするみたいなこともやっていきたい。そういうものに応えていきたいなと思っています。 ただ、1個問題になると思っているのが、アカウントの問題ですね。今インスタンスに参加するためには、それぞれにIDとパスワード、メールアドレスっていうのを個別に登録してサインアップするというところで、これは意外と普通の人にとってはかなりきついというか、それをインスタンスごとにやるっていうのはなかなか難しいかなと。 別にその1個のインスタンスだけを登録する分には問題ないんですけど、多分マストドンがどんどん流行っていくことによって、いろんなインスタンスが生まれてくるので、複数のインスタンスに所属するみたいなことは、全然ありえると思うんですね。そういうことはもっと簡単にできたほうがいいんじゃないかなと思っています。

「脱中央集権」に反しないアカウントのあり方

最初に僕らが考えていたのは、いわゆる共有アカウントみたいなことができたら簡単に使えるのかなって。その1個のアカウントがあればいろんなインスタンスに参加できて、複数のインスタンスでコミュニケーションがおこなえるみたいなものを考えていました。ただ、現状の話ですけど、僕らは「やっぱり違うな」っていう結論を出そうとしています。 なんでかっていう話なんですけど、もともとやっぱりそのマストドンの思想的に、「脱中央集権」っていう考え方からしても、それは違うんじゃないかっていうのもありますし、そもそも、これは意識高い話になってきちゃうんですけど「分人主義」っていう考え方がありまして、「分ける人」と書く考え方ですね。 これはなにかっていうと、普通の個人っていうのはそれ以上分割できない1つのものであるということになってますけど、実際は違うんじゃないかと。例えば今日僕がみなさんに話している「僕」っていう人格と、社員と話している「僕」っていう人格は、やっぱり違うんですよね。1人の人間なんだけど、コミュニケーションする相手や場によって、人格が違うっていう考え方ですね。簡単に言うと。 それが実際あると思うんですよ。Twitterとかpixivとかもそうですけど、アカウントを複数持っている人はいっぱいいますよね。複アカとか裏アカとか言いますけど。結局それってなんで必要かっていうと、コミュニケーションする相手によってアカウントを変えている、人格を変えているみたいな。そういうことだと思うんですね。 そういうところから考えると、その複数アカウントやインスタンスとか、文化の違う場所に所属するときに同じ共通するアカウントで、それははたして使いやすいものなのかという考えをもとに、共通アカウントっていうのは結果的に使いにくいものになってしまううんじゃないかなと考えています。 これは多分、共通アカウントで複数の団体というか、そういうものを扱おうと思うと、昔あのGoogle+さんがやっていたようなサークル機能と変わらないようにものになってしまうんじゃないかと……。Google+のサークルは、僕の記憶では、1アカウントで複数のサークルに所属するみたいな、複数のサークルっていうのを作って、1つのアカウントでいろんな人とやりとりするみたいなことだったと思うんですけど、それと変わらないものになってしまうなと。 であれば、そのインスタンスごとにアカウント、人格っていうものを持つ方がマストドン的にもいいんじゃないかと、ユーザー的にもその方が自由にその場その場で楽しめるんじゃないかなという考えのもと、共通アカウントっていうのはちょっと違うなと考えています。 で、どうしたらいいかなってところなんですけど、ひとまずはpixivアカウント連携だったり、ここも若干「脱中央集権」には反するんですけど、なにかしらのアカウントで簡単に作れるようになっていれば、ほぼパスワードを作ったりとか、メールアドレスを毎回認証したりとか、わずらわしいのはクリアできるんじゃないかなと。 結局インスタンスに参加する手数だったり、ハードルっていうものが下がれば新しいインスタンスに参加するとか、複数のインスタンスに参加しながらコミュニケーションするっていうのは、可能になるんじゃないかなと思っていて、そういう方向性で今僕らは進めようと思っています。 バタバタとまとまりのない話をしたんですが、僕の発表は以上です。ご清聴ありがとうございました。 (会場拍手)

  
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