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パネルディスカッション(全3記事)

ライフスタイル・勤務形態に依存せず“自分を守る” 選択肢の幅を広げてくれるエンジニアリングスキルの重要性 

女性がエンジニアというキャリアに挑戦していく意義や、理系分野に女性が少ない理由について、ディスカッションする「女性こそエンジニアになるべき?- 私たちは好きなことに挑戦していい」。ここで株式会社ソウゾウの福田氏、早稲田大学の朝日氏が登壇。続いて、女性がエンジニアに挑戦することの意義について話します。前回はこちらから。

女性がエンジニアに挑戦することの意義とは?

やまざきひとみ氏(以下、やまざき):次のテーマにいってみたいと思います。今日のイベントのメインテーマが「女性こそエンジニアになるべき」ですが、今日の視聴者の中にも、エンジニアを目指したり意識している方が、たくさんいるかと思います。

ということで2つ目のテーマは、「女性がエンジニアに挑戦することの意義は何だと思いますか?」です。こちらは朝日先生、いかがでしょうか?

朝日透氏(以下、朝日):冒頭でもちょっと話しましたが、日本の場合、受験の時に得意か得意じゃないかで文系・理系で分かれて。「受験では自分の行きたい大学に行きたいから、こうしていこう」というようなことを選ぶ。それはしょうがないんですね。日本がそういう世の中なので。

自分の一生がそれでもう決まってしまったかのように、文系か理系を選んだ時点で、ある領域がキャリアとして抜けちゃうんですよね。それが、もし自分の学部が理工ではなく文系であったとしても、スキルを身に付けるだけで、キャリアの選択肢が増えるんだと思うんです。

もっと言うと、卒業しました。社会人になりました。そこがエンジニアとは関係ないところであったとしても、その社会人の間に時間をうまく作って、エンジニアリングセンスを身に付けることで、例えば今の会社に「あなた、そろそろ退職してください」なんて言われたとしても、別に次のキャリアは困らない。

もっと言うと、自分が最初に選んだ会社に入って「自分はちょっと違ったな」と思っても、その時に自分がなにかスキルを持っていれば、また違うキャリアを選ぶこともできますよね。

だから、エンジニアリングスキルはキャリア選択の幅を広げること、昔で言う“手に職をつける”というような位置付けですかね。今までは英語とか、簿記とか、そういうことが主流だったと思いますが。

1人1台、PCかノートブックを持っていて(エンジニアリングが)できるものになっていけば、それは非常にキャリアや選択肢が広がるんじゃないかなと。それがやはりいいんじゃないかと僕は思います。

やまざき:エンジニアリングやデジタルのスキルは、掛け算になっていくというか。英語ともちょっと似ている部分があると思いますが、1つ持っているとずっと安心(できる)みたいなところはありますよね。

エンジニアになることで自分を守ることもできる

やまざき:朝日先生にうかがいたいのは、世界的にDXが進んでいく中で、先ほど言った、仕事がなくなってしまう人がたくさんいるところに危機感を持っている方もいると思うんですけど、技術的な失業リスクにさらされている人は、やはり女性のほうが多いと言われているんですよね。

朝日先生は、アントレプレナーシップとかダイバーシティにも取り組まれていますが、日本全体から見て、マクロの視点で女性のエンジニアが増える意義みたいなものはなにかありますか?

朝日:それはもういっぱいあります。先ほど言ったように、これから世の中が普通に行ったらどんどんシュリンクしていってしまうので、やはり常に新しいことを世の中に提供していくのが、社会が発展していくため、または雇用を生むために大事なことだと思います。

その中で、今お話されたように、なにか新しい産業を作るとかものすごく大きなものじゃなくて、自分の中で一歩なにか新しいことをやるとか。タイミングやいろいろな人間関係、ネットワークでビジネスになる場合もあるし、またはそこまで狙わなくても、自分の生活を守っていくというキャリアの中で、個人事業主で始めてもいいかもしれません。

自分が大きな会社にいなくても、自分を磨いて生活ができることがこれからどんどん出てくると思います。先ほど言ったように、ニューノーマル、今までのライフスタイルや勤務形態がガラッと変わった中で、まさに今プログラミングのようなスキルは、一番フィットすることだと思っています。

だから、そういうものを1つのベースにした起業家、または個人事業主みたいなことができれば、それは自分で自分を守っていく。別に縛られない、やれる時にやればいいというようなことになるんじゃないかなと思っています。

やまざき:ありがとうございます。小さく始めても実は影響力はすごく大きくて。エンジニアの仕事のよさって、必要とされていることだと思うんですよね。働きやすさやリモートワークとかがフォーカスされがちですが、やはり仕事って必要とされるのが楽しいと思うんです。働きやすさって、そこに本質があるんじゃないかなと思っていて。

朝日:おっしゃるとおりです。やはり人間ですから、自分がやりたいことと、相手から求められることのマッチングがあった時は、もうやっていて楽しくてしょうがないですよね。どんなに時間が取られたとしても苦じゃない。そういうものが、やはり人生の間にパンッと出てきた時に、今言ったエンジニアリングのセンスまたはスキルを持っていると、うまくいく可能性が増えてくるんじゃないかなと思います。

やまざき:ありがとうございます。

エンジニアになったことで付加価値がついてきた

やまざき:こちらのテーマに対して、福田さんはいかがですか?

福田里奈氏(以下、福田):そうですね。私がなぜエンジニアになったかというと、私の場合は情報系の学校にはちょっと行っていたんですが。その受験の時、写真科に行くか情報科に行くかみたいな感じだったんですよ。

本当は写真科に行こうと思ったんですが、推薦で落ちて、本試験を受けた時に情報科のほうが受かっちゃって。「こっちのほうが安いし、情報系だったら将来たぶん仕事に困らない。写真科はよっぽどセンスがないと大変だけど、情報科はなにかできるだろう」みたいな気持ちがあって。

先ほどお話されていたように、“手に職”は、当時の私のキーワードでした。それで安直に情報科に行って、そのままエンジニアになろうと思った時に、もともと音楽が好きだったんですが、自分の才能の問題があって音楽でご飯は食べられないなと。

エンジニアはたぶん、いろいろな業種のお仕事ができるんですよね。今は「メルカリShops」でショップさまの手助けをして、いろいろなお客さまに買っていただくという体験を提供できています。

もともと長い間いた会社は受託開発で、それこそ医療系とか学校系とか音楽系の仕事もできていました。楽しい仕事や重要な仕事をして、自分のエンジニアというスキルを使っていろいろなことが経験できた。選んでよかったなと思いました。生活が楽になるから選ぶかというとちょっとわかりませんが、たまたま選んだものにそういういろいろな付加価値が乗っかってきたのは、本当によかったなと今は思います。

パソコン1台さえあればエンジニアになれる

福田:あとは、エンジニアは資格があまり要らないじゃないですか。もちろんいろいろ資格はあるし、エンジニアになるのであれば、いずれ英語とコンピューターサイエンスは必要だって聞くことは聞くんですけど、それでも最初の一歩としてそれがないとできない仕事ではない。もちろん、英語は少し読めないことはあるかもしれないですけど。

いつでも始められるというところでも、やはり挑戦したいと思うならすぐ始めちゃえばという感じですね。今は本もサイトもすごくたくさんあるので。「これがないと始められない」という条件は、今だとインターネットぐらいかな。パソコンがあればたぶん始められるので。

朝日:僕も先ほど言いましたが、パソコンが1台あればやれるんですよ。

福田:そうなんですよ(笑)。

朝日:そんな世の中になっちゃったんですよ。だからあとはもう、自分で少しずつやっていけば。自分のやりたいことがこの世の中で実現できるということは、ラッキーだとしか言いようがないんですけどね。

やまざき:いい時代、チャンスの時代ですよね。「何が必要なんですか」と聞かれますが、「ブラインドタッチだけ勉強しておいてください」とか(笑)。

福田:ブラインドタッチができないエンジニアもいましたよ。

やまざき:本当ですか?

福田:「見ないと打てない」って言っていて、大丈夫かなと思いましたが、彼ももう今では立派にマネージャーかリーダーかになっているから、やはり(重要なのは)そこじゃない。ブラインドタッチができなくてもたぶん大丈夫。

やまざき:じゃあこれからさらに言っていきたいと思います(笑)。あとは、先ほどコンピューターサイエンスとか英語とかありましたが、弊社の共同創業者もエンジニアの女性ですが、彼女も会社員というかエンジニアの新卒から始めて、途中から大学院に行ったり、コンピューターサイエンスを学んでいたり。後から勉強するという方もすごく多いですよね。

福田:そうですね。

エンジニアになるための第一歩の進め方

やまざき:今日聞かれている方の中にも、とはいえ、「どうやって一歩を踏み出したらいいかわからない」とか、「何から具体的に始めたらいいかわからない」みたいな方もいらっしゃると思いますが、福田さん的におすすめの方法ってありますか?

福田:あるかな? Ms.Engineerのサイトを見ることとかですかね(笑)。

やまざき:ありがとうございます(笑)。

福田:私のQAエンジニアという職種からいうと、QAエンジニアはけっこういろいろなことをしますが、その中で私たちはテストという仕事もメインにやっていて。それは何かというと、でき上がったシステムのフィードバックをするんですよね。

そういうフィードバックやユーザーテストもけっこう新しいサービスだったりするので、そういうのを見つけてみて、まずサービスに興味を持つような始め方も、もしかしたらいいのかもしれません。

やまざき:たしかに。単純にプログラミングをしてというよりは、その後、どういうものを作りたいかとか。

福田:やはり「どういうサービスを作りたいからやる」のほうが健全かなとも思うので、両方ですね。それでプログラミングにも興味を持って、というやり方でもいいと思うし。

やまざき:なるほど。福田さんは今どういう感じで学んでいますか? エンジニアの方ではYouTubeを見ている人とか、Podcastを聞いている人とかがけっこう多いですが。

福田:やはりSNSが長かったかもしれない。なぜなら、私は福岡に住んでいると言いましたが、当時、テスターやQAの仕事は福岡にすごく少なくて。今でこそ増えてきている業種ですが、福岡だとWebユーザー企業もそんなになかった時だったので。

なので、勉強するにも、近くに同じ仲間が誰もいなかったんですよ。仲間がいないから、もうSNSとかで全国に聞くしかなくて。そこでいろいろ知って、本を読んだり情報交換をしたりとかを続けていましたね。

やまざき:なるほど。たしかに初心者からHTMLとかCSSとか、JavaScriptとかを学び始めた弊社の人でも、Twitterはちょっと初心者過ぎて恥ずかしいみたいな。こんなにも最初のことを学んでいると知られたくないような人もいますが、やはりアウトプットってすごく大事ですよね。SNSってすごいなと今思いました。いい時代ですね。

福田:そうですね。

やまざき:ありがとうございます。

(次回につづく)

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