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アルプ 共同創業者 山下氏講演:「ChatGPTが変えるコーポレートIT:具体的なユースケースと実装例」(全5記事)

「LLMを活用できない人は、自身の価値を損失している」 “資本主義社会では一度上がった生産性は下がらない”からこそ意識したいこと

ChatGPTはコーポレートITの仕事をどう変えるのか、どんな向き不向きがあるのか、ChatGPTを織り込んだ上での組織戦略をどう考えればいいのかを考える、Darsana・AnityA主催の「ChatGPTの時代に『コーポレートIT部門』はどう生きるべきか——変化をチャンスに変える方法とは」。ここでアルプ株式会社の山下氏が登壇。最後に、LLMが企業および個人に及ぼすポジティブな影響・ネガティブな影響について話します。前回はこちらから。

一度上がった生産性は資本主義社会ではほぼ下がらない

山下鎮寛氏:今回、ChatGPTのセミナーをやろうと中野さん(中野仁氏)とお話ししたのは、ChatGPTとかLLMの不可逆性の高さが、(エンジニアにとって)非常に大きな要素になっています。

ChatGPTをはじめとしたLLMに関しては、広報であったりエンジニアだったり、今まで職能で分かれていた内容を無視したような、非常に幅広いタスクを高品質にこなすことができて、生産性に大きな差が生じていると考えています。

今まで有史上、もう車輪からずっとそうなんですが、一度上がった生産性の基準は、資本主義下においてはほぼ下がることがないんですね。今さら蒸気機関より前のものに戻ることもないし、内燃機関の前に戻ることもなければ、Eコマースよりも不便なものに対して戻っていくことは、マクロトレンドとしてはまずない。

いろいろな技術がバズワードとして消えていった……。例えばブロックチェーンとかもありました。これは良し悪しを言うわけじゃないんですが、ブロックチェーンは例えば情報の透明性であったり、生産性ではない部分に対して大きなインパクトがあったと思います。

こと生産性に限っていうと、一度上がってしまえば、もう資本主義下においてはほぼ下がらないとこれまでの歴史で証明されているので、ChatGPTのLLMといったところの不可逆性は非常に高いと思っています。

企業に及ぼすポジティブな影響・ネガティブな影響

今日セミナーを聞いてくださっている方々の所属する企業に及ぼす影響でいうと、ポジティブな影響としては、生産性を高めることができる。あとは、経験したことがない取り組みに対して一定水準の品質を早急に得ることができるようになることが挙げられます。

逆にネガティブなところとしては、セキュリティインシデントが発生するかもしれないです。これはもちろん、リスク対策を事前に行う必要があるかなと思っています。

もう1つネガティブな要素として、ほかの会社の生産性は上がっていくんだけれど、自社が導入できない。例えば、APIの口がない業務システムを利用しているとか、データを正しく生成・管理できていなくて、導入して成果を出すまでのハードルが高すぎるとか。もしくは、LLM自体が成熟期ではないので、もっといいソリューションが出るかもしれないと判断してしまうというようなケースがあると思います。

実際に、エンタープライズの企業に関していうと、もっと成熟してから導入しようという意思決定自体は一定理解ができます。(でも)導入しないことによって会社がすぐに倒産してしまうというような状況は、正直起こり得ないと思っています。なので、ある程度様子見という考え方をするのもすごくわかります。リスクを回避するという意味で、わかるなと思っています。

個人に及ぼすポジティブな影響・ネガティブな影響

一方で、今日このセミナーを聞いてくださっているみなさま(個人)に対して及ぼす影響で、まずネガティブなほうから発表すると、そもそも自社で導入できなくてキャリアの価値最大化ができないこと。

長期間LLMの普及を待って、事例が出てきました。その事例に合わせてやっていきましょうというところで、事例を追いかけて導入・運用することは、人材マーケットにおいての価値にはやはりなりづらいのかなと思っています。

逆にどんどん先に導入をしていって、「こういったかたちで会社で使えばいいんだ」とか、「エンタープライズではLLMをこういうふうに活用できるな」というユースケースを切り拓いていく方が、やはり人材マーケット上の価値にはなっていくんだなと思っています。1ユーザーとして使うという意味でも、ジュニアでもシニアでも、活用している人とそうじゃない人との成長差分は大きいかなと思っています。

これは、(スライドの)前のページに書いたんですが、ジュニアのメンバーも、一定レベルのアウトプットは非常に出しやすい状況になっていますし。

シニアなメンバーはアウトプットまでが速く、今まで細かく作業をやっていたことを、使いながらすぐにできるようになるというところで、シニアメンバーこそ使うとアウトプット速度が非常に上がるかなと思っているので。

使っている人は、どんどん成長していったり、よりいいアウトプットを出せるという状況です。使えない状況、「うちは導入できないですよ」というような状況に関しては、やはりキャリアの価値を潜在的に損失してしまっているんじゃないかなと思っています。

逆に使える方はポジティブに考えていくと、個人としての価値が高まるというところで、大きく4つの要素があるかなと。取り組める業務の幅が広がる。初めて取り組む業務でも羅針盤を持ちやすい。アウトプットの速度が上がる。もう1つは、まだあまねく普及しているわけではないので、希少性が高いというところで、先行者利益を取りやすい状況が今なのかなと思っています。

最後は、マーケットニーズが高まるというところで、どんどん事例が増えるにつれ、多くの企業が導入をしたがるといった時に「もう導入したことがありますよ」とか「使ったことがあります」とか、「アーキテクトやりましたよ」というような人のマーケットニーズは、必ず高まっているので、総合していって、個人としての人材マーケットにおける価値が高まっていくんじゃないかなと考えています。

(スライドを示して)これはヤフー時代に当時CEOだった宮坂さんがよく使っていた、「脱皮できない蛇は滅びる」というニーチェの言葉です。

これがまさに今回のセミナーをやらせてもらうきっかけ(になった)といいますか、私や中野さん、相野谷(相野谷直樹氏)と一緒に話していく中で、非常に強く感じた内容になっています。

まずはセキュリティの方針を1日でも早く定めることから

散々煽りましたが、「(じゃあ実際)何をしたら?」というところです。先ほどもお伝えしたとおり、まずは知ることで、次にセキュリティの方針を1日でも早く定めることが重要かなと思っています。

そして、自分や自社が活用すべき領域を考えるというところで、自社や1人ですべてをやるのは正直難しいことも多いと思います。もちろん本業の業務内容もあると思うので。

そういった時も「大丈夫です」と。「我々をうまく使ってください」というところで、非常に長時間にわたりましたが、セミナーをご清聴いただき誠にありがとうございました。

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