2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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多くの企業において、異なる領域で新しいビジネスの種を見つけ、育てる「新規事業開発」が求められる中、リブ・コンサルティングが開催した「事業開発SUMMIT2023」。今回は、今年4月に出版した『新規事業を必ず生み出す経営』が話題の新規事業家・守屋実氏のセッションの模様をお届けします。新規事業家として30年余りの経験を持つ守屋氏が、短期間で多くの新規事業を生んだJR東日本のリーダーシップを語りました。
守屋実氏(以下、守屋):結論は、先ほど言った、「①であり②なんだったら、②をやらなきゃいいんじゃないの?」と。
「②をやらない」をやれた人はいますか? という話なんです。
細かい説明をするとちょっと長くなるので端折らせていただくんですけども、(スライドの)上の図を見ると、矢印が6色ぐらい並んでいます。
要は6社ぐらいの会社さんに、長いものだと10年ぐらい、短くて5年ぐらい在籍させていただいて、時価総額で言うと1,000億円~5兆円ぐらいの会社で、「変われるか」というのをやってみたんですよ。
権田和士氏(以下、権田):縦軸は“本業の汚染”度。
守屋:とかですね。
権田:なるほどなるほど。
守屋:やってみたら変われたんですよ。大企業って、言っちゃいけないシリーズが多いじゃないですか。6社がどの会社かがわからないようにわざわざ書いているんですけど、1個だけ言えるのは、緑の線で、これはJR東日本なんですよ。
JR東日本は「しゃべっていいよ」と言ってくれているので、今日もこの後しゃべりたいと思っているんですけども。
権田:ぜひぜひ。
守屋:鉄道輸送業、なんだったら昔、「国鉄」と呼ばれていた会社が、鉄道輸送業以外の何かしらをやるために、バカバカ変わって、今すごく新規事業を生んでいるんですね。
僕がいた5年間、今6年目なんですけども、10人の所帯で、5年間で1,077の案件をもみもみして、108個を実証実験して、51個を事業化しているんですよ。
権田:すごいですね。
守屋:5年で10人で51個を生んだ。普通に考えると算数が合わないんですけども、「やっぱり大企業って強いよな」と。この馬鹿力みたいなものが大企業なので。
JRしかしゃべれないので、JRを基にしますけども、いろんな会社がJRみたいになったら、我が国の失われた30年が31年にならないんじゃないかなと思っていて、「みんなバカバカやればいいのに」とけっこう思っているんです。
権田:守屋さんから見て、JRさんとそれ以外の会社の一番大きな差分はどこですか?
守屋:トップのコミットだと思いますね。多くの会社はIR上のキャッチコピーとかで、「第二創業」とかなんとか言っているんだけども、結局は本業の事業計画のほうが大事と。
よくありがちなのが、上半期はがんばれと言っていたのが、下半期になると通期の予算達成のために財務とか経営企画が出てきて、新規事業の蛇口がキュッと締まるみたいな。「いや、生まれないっしょ」という。
権田:なるほど。
守屋:例えば、「今期中に何かを生め」ってムリだと思うんですよ。ラクスルはそこそこスタートアップでは有名だったり、成功事例と言われていると思うんですけど。
権田:そうですね。
守屋:上場まで8年半かかっているんですね。「今期中に何とかせえ」って、ムリじゃないですか?
権田:目標設定自体が違いますね。
守屋:しかも副属だったりするわけですよ。
権田:兼務が多いですよね。
守屋:新規事業って本業だと思うんですよ。例えば、先ほどトヨタという名前を出したのでトヨタにすると、「車ってガソリンから電動になっているよね。今チャンスじゃね?」と。で、トヨタツーという会社を作りました。でも、みんな副属です。
下半期になると、通期の予算達成が大事になるけど、ちょっとムリです。「これでは勝てないんじゃないの?」と。これはみんなが思うはずなんです。そもそも目標設定という根っこが間違っていて、だから「何をやってもどうせうまくいかない」になっちゃうと思うんですよね。
だからそういう「普通に考えたらわかるよね」という間違いをしないで、トップが「本当にやるんだ」と決めて、現場のみんなも「俺たちもやるぞ」と思えたら、JRみたいなことが起きる。
権田:なるほど。
守屋:JRでは確率論的には奇跡的なことが起きているんですけど、僕の中は奇跡ではなく、それはJRのトップの方や、JR東日本スタートアップという会社は柴田(裕)さんという方が代表ですけど、その方のリーダーシップが起こした必然だと思っています。
だから、どの会社もJRを参考に何かしらのかたちでやってみれば、けっこういけるんじゃないですかね。
権田:再現可能性があるんじゃないかと。
守屋:と思ってます。幸い、オープンにしていますからね。
権田:(スライドの)下側に、経営資源は非常に潤沢だけど本業の劣化版になりがちで、「新規事業は創業でなければならない」という部分が一番課題になる、とありますね。
守屋:本業がコケたら死んじゃうので、必ず本業は大事になりますよね。要は新規事業が劣後されるので、「劣後して勝てますか? 相手は本業ですよ」という。
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