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卒業生代表による人生相談会(全4記事)

「頭の良し悪しより、カルチャーが合うか」 リクルートライフスタイル・加藤氏が語る、結婚と採用の共通点

SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)出身の4人の起業家、サイバーエージェント・日高裕介氏、KLab・五十嵐洋介氏、ネットプライスドットコム・佐藤輝英氏、ユナイテッド・金子陽三氏が、母校で起業を目指す後輩たちに向けて行なった講演。「ビジョンの生み出し方」から「洗濯の仕方」まで、学生の質問に真摯に答えます。(IVS 2014 Spring Workshopより)

自分の芯を貫くための「明文化」

小野裕史(以下、小野):では次の方。

質問者:僕は高校時代とか、結構、生徒会長とかそういう組織をまとめて生徒会連合を作って、そこでリーダーやったりとかそういうことをやってて。どういう言い方をしたらいいのか分かんないんですけど、芯とか確固たるなにか、みたいなものってのは、わりとある方だと思っているんですよ。でもそれって、そこまで芯を揺り動かされる状況に出くわしたことがないから保っているだけなのかな、っていうのを最近思いだした節がありまして。例えば経営者とかの方々は、色々あるなかで自分の芯をどうやって保っているのかって。

小野:どうですか、これ。金子さん。

金子陽三(以下、金子):また難しい質問で僕に来ちゃいましたね(笑)。質問は「芯をどうやって保ってるか」。なんすかねえ、一つは明文化してるっていうのはあるのかなあと思ってます。それは会社としても、個人としても。

小野:ちなみに、陽三さんの芯は? 一言でいうとなんですか? 明文化したその(芯は)。

金子:例えばユナイテッドっていう会社でいうと、ビジョンがあり、ミッションがありますよね。そういうのって蔑ろにされがちですし、かつ、何言ってるかよく分からない言葉になりがち。なんですけど、すごい大事なところだなと思っていて。常に立ち返るところになるので、それはすごいいいなあと思っています。

僕個人の人生のミッションでいうと、人が人の意思と努力で生きていける世の中を作るってのが、僕の中の、実は背景にあるミッションというか思いなんですよね。例えばそれは……どっちかというと目的というより、結果としてそうなったらいいなぐらいで。

むしろ僕がこういう会社を経営することによって、結果社会がこうなったらいいなとか、個人がこういうふうに生きてくれたらいいなとかいうふうに思いながらやってます。なので、明文化することっていうのは、芯がブレなかったりとか立ち戻れるためにすごい重要なことなんじゃないかなと思っています。

小野:明文化すると。あと、発信するというの大事かもしれないですね。いかがでしょう。

質問者:ありがとうございます。

学校に住み着く方法

小野:次の方、どうぞ! どんどんいきましょう!

質問者:1年生の頃、僕、あらゆることをやったんですね。例えば、自分でプロジェクトを思い付いてみたりとか、ビジネスコンテストに出て負けてみたりとか。何回出ても負けたんですけど。それで、今自分のこと、ゴミだと思ってるんですね。

小野:ゴミ!?

質問者:それで、五十嵐さんにかなりコアな質問をしたいんですけど。なんか体系的な知識、誰にも負けないような知識を今から身に付けたくて。ここの住人になろうと思っているんですよ。

五十嵐洋介(以下、五十嵐):ここの住人になりたい?

質問者:SFCの住人に。家よりもSFCのが長いみたいな。それで、SFC、五十嵐さんが泊まられていた時、洗濯物とかどうしてました?

(会場爆笑) 

小野:洗濯物! すごい壮大な質問が来るかと思いきや、洗濯物をどうしていたか! 五十嵐さん、どうぞ。

五十嵐:OK、分かりました! まずね、どうやってこのSFCの、この最果ての地で生き残るかみたいな、そういう話ですよね、要はね。まず、シャワーは体育館があるから問題ない。ですよね。洗濯は確かに体育館とか水道でやると乾かないし、干す場所にも困るから、やっぱ僕も大学ではさすがに洗濯はしなくって。この話ホントにしていいんですかね?

SFCの人ってみんな、湘南台の下宿率めちゃくちゃ高いじゃないですか。やっぱり、クラウド洗濯機じゃないけど、自分の洗濯機なんか持つ必要なくて、友達んちの洗濯機を転々とする。これが一番。電気代も水道代もかからないし、いくらでも空き時間を使ってリソースシェアリングができるから。これ完璧だと思う、うん。

小野:十何年も前からクラウドだったんですね!

五十嵐:そうですね。人んちのリソースをいかに使うか。やっぱ空きリソースを有効活用するってことですよ。ネットでね、すごいビジネス、色んなイノベーション起こしてるけど、SFCでは友達の洗濯機をシェアして使う。これが最強だと思います! これでいいですか?

質問者:はい。

小野:ありがとうございました(会場拍手)。すごいですね、どんな質問でもちゃんとインターネットのビジネスに置き換えていくという。素晴らしいスピーカーの皆様でした。

悩んだときはポジティブに考えてみる

質問者:私の質問はすごくシンプルで、大きいものなんですけど。さっきの芯、自分の芯というものとすごく重なるんですけど。ご自身の人生における軸が何なのか教えていただきたいなと思います。

小野:人生の軸は何か。きましたね……これ、そろそろ油断してる千葉さんあたりにふってみます? じゃ、千葉さんとこにカメラ回して。ちゃんと奥様と肩寄せ合って!

コロプラ取締役副社長・千葉功太郎氏(以下、千葉):本当に油断してました! 絶対来ないでしょ、このタイミングで! ……軸ですか? 真面目に答えますね。「ポジティブに」ってのは、すごく軸にしています。悩んでもしょうがないかなと思っているので。相変わらず家庭内の話なんですけど、「ポジティブ・シンキング・ポイント」っていう制度を家庭内で導入していて。

小野:ちなみに何の制度ですか?

千葉:なんか夫婦内でどっちかがよく悩んでいるんですよ、毎日。日々いっぱい。それで、どっちかが何かすごく素晴らしい前向きな発言をした時に、「ポジティブ・シンキング・ポイント」ってのが1ポイント増やされるんですね。で、それで年間でどっちが多く獲得するかって感覚で、なるべく悩んだ時にポジティブにいこうと。以上! それを軸に頑張ってます。

小野:ちなみに2013年度どちらが勝ったんですか?

千葉:……?

(会場爆笑)

千葉:ま、忘れちゃう? 

小野:ポジティブ! 忘れちゃうっていうのも一つのキーワードですよね。

千葉氏の妻・リクルートライフスタイル・加藤史子氏(以下、加藤): PDCA(Plan・Do・Check・Act)のCAがなくて、PD、PD、PD・・・・・・の夫婦なので。ちゃんとした振り返りもできてない。

小野:はい、ありがとうございました。こういうふうに芯を作るっていうのも一つの方法かもしれませんっていうことで。よろしいでしょうか? はい、ありがとうございました!

結婚は人材採用と同じ

小野:どんどんいきましょう! まだまだ他にも受け付けてますので、どんどん並んでいただければ。

質問者:慶応義塾大学環境情報4年で、(グリー株式会社・取締役執行役員の)青柳(直樹)さんと同じ竹中ゼミに所属しております。母親は吉本興業で働いてたんですけども。ま、それはよくて。

(会場笑)

小野:(笑)。それはおいといて! つかみましたね!

質問者:でも、この後、ちょっとフラグが立つんでですね。今、私4年生なんですが、ちょっと今いい感じの女の子がですね。三菱東京UFJの、銀行員の方なんですけども。

小野:そこで働いてる?

質問者:はい。社会人で東京大学とか卒業してまして、いわゆるすごい高学歴で。

小野:自慢ですか、それは?

質問者:いや、彼女じゃないんです! ちょっと今、そんな感じの関係の子がいまして。いわゆる伴侶を選ぶ際のポイントと戦略とですね、どういうふうに奥さんと今、巡り合ったかっていうのをうかがいたくてですね。

小野:つまるところ、どうやっていい嫁さんを見つけるかっていうことですよね?

質問者:はい。で、さっきの話に戻るんですが、アドバイスが欲しいなっていう感じです(会場笑)。

小野:どうやっていい嫁さんを見つけるか。はい、これ答えたい、答えられる方。

質問者:できればあちらの方にもお聞きしたい……。

小野:加藤さんですね。じゃ、加藤さんの方に。

加藤:そうですね、結婚相手を選ぶのは、人材採用と教育研修でいうと、人材採用の方ですね? それでいうと、企業経営における採用って、頭がいいか悪いかとかよりもカルチャーが合うかみたいなことを大事にするじゃないですか。なので、カルチャーが合うか!(笑)

小野:カルチャーが合うか。

加藤:そこを大事にするといいなと。なので、結構、佐藤輝(英)さんもですね、奥様がSFC出身というか、同級生ですかね。で、私も千葉と会ったのはですね、SFC入学して4月に会いまして。そこから18歳と19歳だったんですけど、今38歳と39歳になりましたが。

小野:ものすごい青田刈りですね、それ。

加藤:で、早めに会って、早めに付き合うとですね、いいことがあって。それは、価値観がぐにゃぐにゃしている若いうちに付き合うとですね、価値観形成を、カルチャー形成を一緒にやれるんですよ。

企業が新卒採用採りたがるのってそこだと思うんですよね(会場拍手)。自分の企業に色が染まってくれる人を。なので、そのカルチャーが合うかっていうのと、まだ価値観が固まり切っていないうちに伴侶を決める。この二点でぜひ!

自分で選んでもいいと思いますよ。自信がなければ第三者にお願いすれば。エージェント企業みたいなとこにお願いすればいいかな。

質問者:簡単でいいので。カルチャーが固まってる場合、どうしたらいいのかなって。多分、尺がないので簡単で。はい。

小野:つまり、その銀行員を落としたいんだけど、どうしたらいいかってことだよね? 

質問者:そうです、はい!

小野:それじゃ、飲み会の席で聞いていただけたらと思います! どうもありがとうございました!

(会場拍手)

コーディング=自分でつくれることの重要性

質問者:自分、起業に興味があるんですけど、ちょっとまだやりたいことがちゃんと決まってなくて。とりあえずこういうイベントに参加してみたりとかしてるんですけど、せっかくSFCに来たので、大学4年間で後悔をしたくないと思いまして。SFCならではでも構わないんですけど、大学4年間でやらずに後悔したこととかを教えて下さい。

小野:やらなくて後悔したこととかってあります? 佐藤さん。

佐藤輝英(以下、佐藤):僕はね、やっぱり、最初の会社やり始めて、初めてまともにコーディングしまして。いわゆるプログラミングですね。出来るに越したことはないですね。僕もさっき日高からあったみたいに、色々とできる人をチームワークにして、できる人と一緒にやってたんですけど、やっぱり自分でできるだけ挑戦して、できるだけ自分で形にできた方が。

やっぱりウェブ、インターネットビジネスって今、最初にプロトタイプ作って、世の中に出してみて、反応見ながら変えて、よければ会社にしてっていう、それこそ『リーン・スタートアップ』の概念がかなり一般的になってきてますけど。そん時にやっぱり自分で最初の形にできることって、やっぱり重要で。もちろん仲間を集めて、その後会社として大きくしていくから組織なんだけど。

最初はやっぱりアイディア、ポンッ! って浮かぶじゃないですか。で、こうホント少人数で話して、ちょっと形にする。このちょっと形にするスピードってすごく大事なので、コーディングはやっぱり大事。ともかく、さっき、五十嵐先生みたいにもうバギャーン! と全部泊り込んでやるぐらいの、そこにハンズオンしたらよかったなっていうふうに振り返ると思います。

小野:ということで、ステージ下りたら今すぐコーディングでもやりましょう! はい、ありがとうございました!

質問者:ありがとうございました!

敵を"反骨心"に利用する

小野:どうぞ。

質問者:初めまして。今、「地球大好き少年」として活動していて、昆虫食っていうのを世界の食糧難とか環境問題解決手段として用いよう、って取り組んでるんですけど、なんかそういう、人とは違った活動みたいなのを表立ってやってると、それに対して嫌悪感を持つ人とか、貶そうとするような人が多いなっていう印象を持っていて。

かといって、そういう人を全く無視しちゃうのももったいないなと感じていて。そういう自分に対して、嫌悪感を持つ人とうまく付き合っていくコツとかあれば教えていただきたいなと思って質問させていただきました。お願いいたします。

日高:反骨心じゃないですか、やっぱり。やっぱ、そういうのは絶対忘れないことが大事だと思いますね。今までたくさん、インターネットもいい時代と悪い時代があったので。世の中に持ち上げられては叩かれ、持ち上げられては叩かれの繰り返しなんですけど。

やっぱりそういうことはよく覚えておいて、でも、うまくいってるときは気持ち的には忘れてるというか。結果で見返すっていうふうに思ってるのが一番。まあ、僕も全部忘れてないんで。言わないですけど。ということは、一つ大事かなと。

小野:ぜひ反骨心で、結果で返しましょう!

質問者:頑張ります! あと、今日は虫も色々もってきてるんで懇親会かなんかで食べたかったらぜひ。よろしくお願いします!

(会場拍手)

ビジョンの生み出し方

小野:じゃ、次、どうぞ。お願いいたします。

質問者:すみません、初めまして! ラグビーサークル「獏之會」の後輩にあたります。一点お聞きしたいんですけれど、今皆さん事業を行う上で、ミッションとか想いとか、自分が事業等をしてこれを実現するみたいな思いを持たれてると思うんですけど。それは、目の前のことに全力で取り組む中で生まれてきたのかな、っていうのをお聞きしたいんですけれど。

金子:例えばうちでいうと、正直経営陣で、もう議論に議論を重ねて出てきたって感じですかね。なので、うちの会社でいうと、結構取締役会で合議制で決めてるんですけど、みんなそれぞれ色んな経験だったりとか、色んな思いを経て今集まってるんですね、そのメンバーが。そのメンバーがそれぞれみんなどこ目指したいかってところを話し合った上で決めました。本当に時間をかけて話し合いました。

小野:ということだそうです。先ほど日高さんからもありましたけど、まず、それぞれのゴールを確認するってことが大事ですね。

佐藤:実は、結果論としてミッションが出てくることもやっぱりあって。いわゆる失敗みたいな話も、さっきのセッションとかでありましたけど、ものすごい高い目標で挑戦すると、それこそ頭が真っ白になるような感覚の失敗とかもあるのね。その時に初めて自分の中で、あるいは会社として重要な軸とか、いわゆるフィロソフィーみたいなものがこう浮かび上がってくる。

要するに、何を軸に最後判断するのか、肝臓を切るのか腎臓を切るのかみたいな、本当、究極の選択みたいなところってやっぱあるんですよ。そういう窮地に立った時に、どの軸で判断するのかっていうのが浮かび上がってくる。そういう意味でいくと、全力で走って思いっきりジャンプしてみる。痛い思いしてみる。その中で結果論としてミッションを生み出していくっていうのが、会社もそうだし、個人としてもそうかなというふうに思います。

質問者:ありがとうございます!

モチベーションとか、あまり考えたことがない

質問者:お話ありがとうございます。先月、SFCを卒業しました。私は今、この1年間をギャップイヤーという形で、バーでチーママをしつつ、お金が貯まったらアフリカに行こうかなっていうふうに思ってます。

小野:バーの営業じゃないですよね?(笑)

質問者:バーの営業もさせて頂きたいんですけれども、今回は別のにさせて頂いて(笑)。

質問なんですけども、原動力についてすごい聞きたいなと思って。学生の時に頑張ってきた原動力って、今の原動力と多分違うのかなと思って。私は結構、承認欲求とかで動いていたんですけれども、最近、自己成長なのか変わりつつあって、また社会人の方に会うと家族ができて変わったとか、マネージャー職に就いて変わったっていうお話を聞いて。そういった原動力について、変わってきたものがあったら聞きたいなと思います。

小野:そろそろ五十嵐さん答えてみますか。原動力。

五十嵐:僕の原動力ってシンプルすぎて。何すかね、皆さん、まめに計算機を触ってるかどうか分かんないすけども、計算機を触っていると知らないコマンドとか、知らないシステムコールっていう、まあ命令とか出てきて、うわ、何だこれと。知りたい、知りたくてしょうがないと。なんでこんな芸当ができるのか。僕はユーザーとして触っているけれども、誰かこれを作ってオーガナイズしてる人間がいるわけですよ。

で、その人の叡智みたいなものに本当に驚かされて、感銘を受けて、悔しくなって、自分もできるようになりたくなって、っていうのって何の世界でもきっとあると思っていて。それをやってるうちにどんどんこう深みにハマっていくことができたんですよね。

だから多分、自分が何か探求したいっていうものって、心の底から沸いてくるものが出てくると思うんですけど。そういうものがあれば。あんまりモチベーションとか考えたことがないというか。すみません、僕、あんまり回答者に向いてなくて。あの、すみません、そんな感じです。

小野:悔しいというのが、一つ欲求になっているわけですね。

五十嵐:そうですね、はい。知りたいと。

質問者:私も探究心の塊なので参考にさせていただきます。ありがとうございました!

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