2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
テーマ「LINEいじめとモラル」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):このコーナーは専門分野に長けた論客の皆様に独自の視点で今、知るべきニュースを角度持って思う存分お話いただきます。
脊山麻理子氏(以下、脊山):改めてゲストをご紹介します。コミュニケーションプロデューサーの若新雄純さんです。お願いします。
若新雄純氏(以下、若新):はい、よろしくお願いします。
堀:若新さん、テーマの発表をお願いします。
若新:はい。
(テーマ「LINEいじめとモラル」について)
脊山:無料対話アプリを提供する「LINE」は、いじめ対策の一環として子どものインターネット利用の実態調査を始めると発表しました。
堀:10万人の小学生から高校生が対象です。従来型とネットのいじめの違いを調べるほか、子どものメンタルヘルスや問題行動との関係を探ります。関係者らに公開して、いじめ対策に役立ててもらうというんです。
ネットを安全に使うための、小・中学生向け情報モラル教材を静岡大学と開発したとLINEは発表したということなんです。一体どんなものなのかも含め、若新さんお願いします。
若新:LINEは、今までのインターネットのツールと違って、あまりにも日常の普段のコミュニケーションを取るために使われてきてるんで、問題になっていると思うんですけど。
「LINEいじめ」って言葉は、LINEの社長も、「言葉が独り歩きしてるんじゃないか」と。「対策は打つけど、独り歩きしてるんじゃないか」って言っていて。LINEいじめのケースって、いろいろネットであるんで見たんですけど、若新的に言えば、LINEいじめはありませんね。
堀:えっ? というのはどういうことですか?
若新:LINEいじめってのは存在してないっすね。
堀:つまり?
若新:どんなことが起きてるかって、全員が入っているようなグループがあるんだけど、実は、ある子だけイケてない子、ちょっとだけ仲間はずれにしたグループ。そんなの、昔から仲間はずれなんてあるわけですよ。本人がいないところで悪口言うとか。
よくLINEが問題になってるのは、「本人はそういうつもりじゃなく言った言葉が、いじめだったりケンカの発端になってて……」って言いますけど、昔っから、無視したつもりじゃなかったけど、ちょっと声かけられた時に一緒に帰らなかったとか、ちょっとトイレに一緒に行かなかったとか、待たなかったせいで仲間から嫌われたとか、ずっとあるわけです。
ひとつは、LINEが日常的なツールなんで、そういうちょっとしたいじめに発展するきっかけになるやりとりが可視化されたんですよね。
画面って、グループ消したって記録残せるんで、「いじめられた」って感じた側はログ残せちゃって、「こんなやりとりあったじゃないか」と。昔は、そういうものって消えてっちゃったんで、残ってないだけで。だから、やりとりが目に見えちゃってるってのはひとつあると思うんですよ。
若新:あとは、対面じゃなくて、オンライン上のほうが、気遣いできないんじゃないかってことで、いろいろ教材ができてるんですけど。
例えば、学校の先生向けにこういう教材があって。
堀:「考えてみよう こんな時、どう伝える?」AかBを選択してください。
若新:「塾の友達にあなたの写真見せていい?」ってきて、「イヤだね」。
こんな、「イヤだね」って言い方をするとダメだよとか。どう思うとか。そういう話なんですよ。昔からこんなことあるわけですよ。
堀:なるほど。
若新:確かに、こうやって言葉が画面に記録に残ったりとか、そうなってくると、これが不快に感じたりするんじゃないかと。
下行ってもらってもいいですか?
やりとりしてる内容は、昔から一緒なんです。「ほかの中学校の友達に紹介したいから、みんなの写真送ってー!(^^)」って言って、「そんなの知らないから無理」「ウザくね?」とかって言って、この言い方がきついんじゃないかとかですね。
堀:文字で見るとズバッときちゃうっていう。
若新:これが対面だったらいいんだけれども、画面を通してになると、思った以上に傷つくかもしれないからってことで。それで、教材に使われてるのが、こういう言葉が自分が悪気ないかもしれないけど、相手をもしかしたらすごく不快に感じさせるものかもしれないよ、みたいなのがカードになってるんですよ。
若新:これ、調査結果もあるんですよね。
堀:みんなの意識調査の結果を見ていきたいと思います。今日のお題はこちらです。「メールやSNSで言われたら嫌な言葉はなんですか?」ということです。
見てみましょう、せーの、どん!
「まじめだね」「まじめか!」ってよく。「マイペースだね」あ、脊山さん嫌だって言ってたやつですね。
へぇ、なるほど。「まじめだね」「一生懸命やってるね」「マイペースだね」
若新:この教材を見てると、もちろん、今こういうツールが発達して、何気なく全然悪気なくてもこういうこと言っちゃうってことはあると思うんですよ。これが、かなりマイルドな例だと思うんですね。
でも、教材見てると、「自分はそういうつもりじゃなくても、相手にとっては嫌だっていう場合があるかもしれないから気をつけましょう」って話をしてるんですよ。
若新:「気をつけましょう」って言っても、それは僕らのコミュニケーションの中で、そもそもそんな悪気がなくても相手を傷つけたり、すれ違うことがあるわけですよ。
LINEなんかない時代でしたけど、僕、思い出したらですね。高校生の時に、クラスのすごいまじめな女の子に言われて、ずっと忘れられないのが。すごくまじめで勉強をしてる女の子で、しかも、全然悪気なくスパッと言う子っているじゃないですか。
堀:いるいる。
若新:うじうじしている僕に、「若新くん、女々しいね」って言われて。
LINEとかないですけど、僕の記憶の中にべちゃってへばりついて、ずっと文字になって、「女々しいね、女々しいね……」みたいな。数日間くらい頭から離れなかったわけですよ。無茶苦茶へこんで。
こういうことがあったからといって、彼女が悪いかというと、僕は多分間違いなく女々しかったし、僕は女々しいわけですよ。
問題は、こういう言葉がグサッと刺さったりとか、トラウマになったりするかもしれないんですけど、僕は女々しいという言葉をめぐって、ずっと自分の中で、「そもそも僕は、なんで女々しいんだろうか?」とか、「なぜ、女々しいという印象を与えたんだろうか?」とか、考えたりするわけです。今じゃ、女々しいという自分を一生懸命受け入れようとしているわけですね。
若新:基本的に、いじめもそうだと思うんですけど、僕ら人間って、他の動物と違うところは、思惑のすれ違いがあって、「すれちがいのインタラクション(相互作用)」って僕呼んでるんですけど。
すれ違うってことは、重なってる中で、時に怒ったりとか、気遣ったりとかして、僕らいろんなこと考えてきたみたいなんですね。
今、安保の話とかでも戦争起きてますけど、ボタン全部押したら地球壊れるくらい武器があるわけじゃないですか。「宇宙人と戦うのか」と思いきや、そうじゃなくて。同じ地球上の人間同士で争わなきゃいけない。
なぜ、全部のボタンを押したら地球が壊れるくらいの武器が必要かっていうと、それくらい同じ人間同士のすれ違いが発展する可能性があって。そのすれ違うっていう現実に向き合わずに、そういう「言葉のやりとりをマイルドにしよう、マイルドにしよう」って方向にしても問題は解説しないと思うんですよ。
堀:今回の教材は本質じゃないよねって話ですね。
若新:むしろ、すれ違った時に、そういう不快に感じる言葉を受け止めてどうすべきかと。先生も、僕の場合「そんな、若新くんに女々しいなんて言ったら、彼かわいそうじゃん、彼ナルシストなんだから」とかって言って、その女の子に注意するんじゃなくて、先生にやってほしかったことは。
堀:追い打ちかけるのやめてくださいっていう。
若新:先生は、それよりは、言われてへこんでる僕に、「女々しくてもいいじゃん」と。「それはそれで君のパーソナリティーだ」っていうようなことを言って、すれ違いがあっても、すれ違いの中で一人ひとりの違いを認めていくっていうようなやりとりとか、そういうものをやっていくほうがいいんじゃないかなみたいなことを考えてるんですね。
この「ずれをなくしていこう」ということに関しては、コミュニケーションの本質ではないじゃないかな。
堀:「らしくていいんだけどね」っていう話をする。本日のオピニオンCROSSは、以上とさせていただきます。
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