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加速するメディアのアプリシフト マーケットリーダーの2018年の戦略とは(全4記事)

メディアの主戦場はSNSからアプリへ マーケットリーダー3社が分析する、2017年のトレンド

2018年2月7日、この1年間で著しい成長を遂げたスマホアプリを表彰するイベント「App Ape Award2017」が開催されました。イベントでは表彰だけでなく、業界のトップランナーたちを招いたアプリマーケットセミナーも実施。世界中で進むアプリシフトの現状と今後の潮流を紐解きます。SESSION2「加速するメディアのアプリシフト マーケットリーダーの2018年の戦略とは」には、日本を代表するアプリメーカー3社が登場。各社の現状と戦略を紐解きます。

ECと連動した動画開発

岡田雄伸氏(以下、岡田):では、よろしくお願いいたします。フラー株式会社の岡田と申します。

(会場拍手)

ありがとうございます。本日はメディアという部分にフォーカスして、『加速するメディアのアプリシフト マーケットリーダーの2018年の戦略とは』というお題を用意させていただきましたので、こちらでパネルディスカッションをさせていただきます。

先ほど簡単に登壇者のご紹介があったんですが、改めて(プロフィールを)ご用意させていただきましたのでご紹介させていただきたいと思います。まずC Channel株式会社の森川さん。ご紹介を一言よろしくお願いいたします。

森川亮氏(以下、森川):森川です。前職ではLINEの事業を担当しておりました。

2年と10ヶ月ほど前に「C Channel」を立ち上げました。分散型メディアとして、今さまざまな動画の展開をしています。動画から広がって動画のコマースとかイベントとかですね。あとは最近ECと連動した商品開発、また海外展開、さまざまな展開をしております。

数字は細かくて見えにくいと思うんですけど、さまざまなSNSのフォロワーを増やして現在、世界全体で2,300万フォロワーくらいいるという状況になっております。

アジア専門で、今10ヶ国で展開しています。とくに韓国、中国、台湾、タイ、インドネシアに関しては現地に法人を作り、独自にスタジオを持って動画制作をするというかたちで展開しています。

今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

住まい・暮らしに軸足を置いたコミュニティメディア

岡田:ありがとうございます。続きましてリミア株式会社の金子様、よろしくお願いいたします。

金子泰章氏(以下、金子):金子です。よろしくお願いします。昨年からグリーで子会社化したリミア株式会社の代表を努めさせていただいております。

「LIMIA」なんですけれども、ちょっとご紹介させていただくと、住まい・暮らしに軸足を置いたコミュニティメディアというかたちでやらせていただいております。

どういう狙いでやってるかというところなんですけれども。日本において衣食住と見たときに、住まい・暮らしに軸足を置いたメガなメディアってまだないなということで、そこのホワイトゾーンを狙わせていただいております。

この領域は非常に市場規模が大きく、事業者の数もタウンページには100万社くらいいるんじゃないかという市場です。そこのマーケティングのところをぜひ刺激していけるようなことをやっていきたいなということで始めさせていただいております。

我々自身でもコンテンツを作っているんですけども、コミュニティメディアとして人気のユーザー様とか事業者様にコンテンツ投稿をしていただいて、だいたい5.5万記事くらいあります。これはこの領域だとナンバーワンかなと。

暮らしのヒントになるようなメディアにはなってきたかなという状況です。昨年アプリが非常に好調でCMを打たせていただきました。

直近でいきますと、メディア規模もかなり大きくなってきまして、昨年末はGoogle Playさんのユーザー部門で入賞させていただきました。引き続き事業拡大に向けてがんばっております。

ありがとうございます。

(会場拍手)

FIVEのLINEグループ参画のビジョン

岡田:ありがとうございます。続きましてファイブ株式会社の菅野様、よろしくお願いします。

菅野圭介氏(以下、菅野):よろしくお願いします。ファイブの菅野と申します。

僕らは森川さん金子さんとは少し立ち位置が違って、モバイル動画広告プラットフォームをを運営している会社です。

実はお付き合いさせていただいているメディア様の数はすごく多くて、C Channelさんもリミアさんも収益化の部分でご一緒させていただいています。AppApeも市場調査のために利用させていただいています。岡田:ありがとうございます!

菅野:会社自体は3年3ヶ月前に創業しまして、去年12月にLINEに買収されグループ入りしたという状況です。

僕らの特徴としてはさまざまなアプリメディアとの提携関係があります。現在、だいたい数で言うと2,500くらいですね。月間でID重複を除いたリーチがおよそ3,200万程度です。ウェブサイトのリーチも6,000万を越えてきました。

いま、我々がやっているモバイルの動画の領域、とくにアプリケーションというところで言うと、グローバルプラットフォームの存在感がやはり強いです。例えばFacebookさんにはサードパーティネットワークとしてFacebook Audience Networkがあります。TwitterさんもMoPubがあったり。Googleさんについては動画ではYouTube、そしてネットワークでAdMobを持っており、自社メディア+ネットワークという市場構造が存在しています。

こうした市場構造のなかで、FIVEとしては動画を強みとしながら、LINE社と一緒に、国内では一番を目指していきたいなと考えている次第です。

今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

融合するコンテンツとコマース

岡田:よろしくお願いします! 自己紹介が終わったところで、さっそくパネルのほうに移らせていただきたいと思います。今日は本当にトップランナーというか、非常におもしろい話が聞けると思います。みなさんも期待されていると思いますので、よろしくお願いします。

まずはじめに、「2017年はどういった年だったでしょうか?」という一番はじめのパネルですね。

いわゆる動画メディアがたくさん出てきたり、キュレーションメディアの再編とかがいろいろあったり。あとはアドフラウド(広告詐欺)という言葉がキーワードになったりだとか。2017年はけっこういろいろ動いたと思うんですよね。

その中でみなさまにとって一体どういった1年だったのか。ちょうど2017年も締めくくったので、ぜひお話を聞きたいと思います。まず森川さん、2017年っていかがでしたか?

森川:そうですね、マーケット全体としては思ったより動画メディアが出てこなかったかなと思います。キュレーションメディアのトラブルもあって新しいキュレーションメディアとかが出てきたのかなという印象ですね。

動画に関しては、どっちかと言うとライブ配信系が盛り上がってるなぁというところがあるのと、あとは今後、分散型がどうなっていくのかなというトレンドが出てきたのかなという感じですね。

弊社としては2017年、1つは海外展開の強化というところがあって。アジア各国で、中国以外はナンバーワン、ナンバーツーというところまでいったというところと。

あとはマネタイズの部分ですね。とくにECを強化しまして、それなりの規模感になってきて。インフルエンサーマーケティングも強化をしたので、インフルエンサー×動画×ECみたいなところのマネタイズのモデルがようやくできあがったのが去年かなと思います。

岡田:動画を利用してECでうまく出されてるのって、あんまり印象がないんですけど、C Channelさんはそのあたりにめちゃくちゃ力を入れられてますよね?

森川:そうですね。どういう商品でどういう紹介の仕方をするとどれだけコンバージョンがいいか、みたいなノウハウが貯まってきまして。逆に服なんかは動画じゃないほうがよかったりするんですよね。

そのあたりも商材によって違ってきます。商材によって作り方とか、このプラットフォームだとこういうふうにとれるとか。そういうことをいろいろ研究してきました。

岡田:なるほど。おもしろいですね。動画×ECでライブコマースみたいなものとかがあったりするので。

森川:中国だとライブコマースが当たり前なんですけど、日本だとライブで売れる人がけっこう少ないというか。ジャパネットたかたさんじゃないですけど、ノウハウが必要なんです。

例えば中国だと8時間連続でライブやってたりしてて。日本人って根性ある人がすごく少ないということで(笑)。

今後、可能性はあると思うんですけどね。まずは一旦、ライブよりはオンデマンドでやってます。

人気SNSアカウントのアプリ化

岡田:なるほど。ありがとうございます。続いてリミアさんにおうかがいしたいんですけれども。2017年どうでした?

金子:私たちもそうなんですけれども、メディアさんの中でやっぱりアプリ化がかなり進んだかなと思います。

その中のトレンドの1つとして、SNSアカウントですかね。FacebookとかInstagramでたくさんファンを持たれている会社さんのアプリ化がかなり進んだんじゃないかなと思います。例えば『DELISH KITCHEN』さんとかもそうだと思うんですけども(笑)。

岡田:(笑)。

金子:SNSのファンの方々をそのままアプリに持ってきたりして。そういうSNSで培った、エンゲージメント率が高いコンテンツ配信のノウハウをそのままアプリに活かすという動きがけっこうあったんじゃないかなと思います。

例えばLIMIAでも実は100万人くらいSNSのファンがいるんですけれども。

岡田:めちゃくちゃいますね。

金子:はい。そこで例えばDIYとか家事、収納、これは我々の想定以上にすごくユーザーさんの反応がいいというところがありましたので、アプリでも主力ジャンルの1つとして設計して組み立てていったということがありますね。

岡田:テレビ番組でもDIYみたいなことがけっこうホットになっていたり。わりと2017年はそれを感じたというのがあったりしたんですけど。

金子:そうですね。この2、3年でものすごくきてると思いますね。

岡田:ホームセンターの中にDIYコーナーができたり、すごいですね。

金子:日本の住宅の考え方自体が、今まで新築だけを建ててきたという時代が、リフォームとか中古住宅の売買とか、リノベーションとか。最近そういうワードが目立ってきたと思うんですけれども。

住み方、暮らし方の意識がこの数年でけっこう変わってきたなというところの1つとしてDIYが注目を浴びているというか。そのあたりがホットになってきたかなと感じますね。

コミュニティの価値の再発見

岡田:ありがとうございます。では菅野さん、2017年っていかがでしたか?

菅野:そうですね。森川さんもおっしゃられていたと思うんですけど、キュレーションメディアの件があって、「メディアって何だろう?」みたいな話がわりと世の中的にも世界的にもあったのかなと思っていて。

とくにアプリというところで言うと、僕はコミュニティの価値の再発見みたいなものがけっこうなされたんじゃないかなと思っています。

アドテクノロジーって人を数量的に扱う側面もあるじゃないですか。トラフィックを集めてターゲティングを効かせてCPMを上げて収益をあげる。これは王道だと思いますし、必要なことだと思うんですけど。

アプリを運営しているみなさんってたぶんそれだけじゃなくて、ユーザーさんがわざわざダウンロードしてくれた自社サービスの価値というのを認めてもらいたい、顕在化させたいっていう思いが強くあるんじゃないかなと思っていて。その答えを探し続けた1年だったかなという印象ですね。

具体的に言うと、僕らはネットワークの事業もやっていますけれども、タイアップとか、純広告とか、なるべく自社のコミュニティの価値を広告主さんにわかってもらって、ある程度きちんと高値で指名買い買ってもらうみたいな動きの見直しが、メディアサイドでもあったと思います。

広告会社さんとかも「数字が合っていればいいよね」だけじゃなく、ブランドセーフティのような文脈への揺り戻しがありました。(そのあたりが)たぶんこれから重視されていく部分なのかなと。実際、僕らの事業でもそうしたブランド広告販売がかなりのシェアを占めています。

2017年で上がったアプリの価値

岡田:とくにアプリの一件があって、SEOが2017年でだいぶ入れ替わったというか、2016年の後半からだとは思うんですけど。それによってアプリの流入というか利用価値っておそらく2017年でどんどん上がっていったんじゃないかなというのはすごく感じているんですけど。

それってけっこうファイブさんにとって追い風だったりするのかなと思うんです。SEOがいろいろ複雑化していてアップデートが入ったっていうのは、どうでした?

菅野:たぶんアプリに力を入れよう、自分たちでコントロールできる場所を作ろうという動きはメディアさん各社にあったのかな。ただやっぱりソーシャルの流入というのが不安定でもあるとわかったのが去年だったのかなと思っていて。

そのへんのトラフィックの流入元をどう設計していくかということは、常にすごく難しい課題なんだろうなと思ってるんですけど。(森川氏と金子氏に向かって)そのへんってどう考えていらっしゃいますか? 逆に聞いちゃっていいですか?

岡田:ぜんぜん聞いちゃってください!(笑)。

金子:トラフィックはリスク分散と言っていいかわからないですけれども、いろいろ考えまして。もちろんブラウザのSEOもそうですし。あと先ほど言ったようにSNSのアカウントもLINEやFacebook、InstagramやTwitterといろんなところに根を張った全方位型で、LIMIAとしては狙わせていただいていますね。

それを基本的には全部伸ばすという、高次元で、どう高いレベルで伸ばしていけるかというところは考えて挑戦しています。

岡田:まさにこういう話だとC Channelさんは分散型メディアみたいなかたちでもろにこの話に入るんじゃないかなと思うんですけど。どうですかね?

森川:そうですよね。アプリってどんどんみんなそんなに数使わなくなってきているというところもあって。アプリだけに頼ってもちょっと怖いなと思いながら。とは言えFacebookもアルゴリズムを変えるみたいな話も出てきたりして。

岡田:そうですよね(笑)。

森川:誰を信用したらいいのか、最近不安です(笑)。

岡田:確かにプラットフォーマーというか、お上さんの「右向け右」に従わざるを得ないみたいなことはありますよね。

森川:そうですよね。ある程度、想像力を働かせながら日々生きております。

岡田:ありがとうございます。

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