2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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質問者4:すみません。1ついいですか。
竜田一人(以下、竜田):はい。
質問者4:本になる前に、売り込んだけどダメだったという話があったらしいですが、本になるまでの経過を教えていただきたいのと、あと、これだけ大きな反響を呼んだことについての感想を聞かせてもらえますか。
竜田:はい、わかりました。そうですね、あまり漫画の話はしたことなくて……とにかく行ってみたら、現場を見て描いてみようと思って。なんのプランもなく描き始めて。ページ数の構成とか、あまり細かく考えないでやり始めたら、37ページだったかなあ、あの第1話。今、単行本では第0話に変わってますけど。
あの話が、30何ページっていうのは、普通の持ち込みとか、短編の原稿としては非常に中途半端で。だいたい20ページぐらいでまとめるのが普通なんですけども、ちょっと長くなっちゃって。なので、そのまま載せてくれるところはあるのかなっていうのが、けっこう不安だったんですね。
でも、描いちゃった以上は、なんとかしたいと思って。持ち込むところを考えて、実は、載せていただいた『モーニング』っていうところが、第1候補だったんです。
過去のいろんな作品の系列とかを見て、こういうお仕事系みたいな漫画は、モーニングは買ってくれそうな気がしたんです。
だけど、その前に1件、ちょっと違うところに。「視察に行った人が鼻血を出した」なんていう漫画を載せた出版社かな。
(会場笑)
私がちょうど2012年に働いてるころに、小名浜あたりの港で、「風が吹くと線量計の数値が変わる」みたいな。明らかなデマなんです、これね。そういうのをちょっと漫画に載せていたような、そこの出版社に持っていってみて、ちょっと反応をうかがってみようと、ちょっと意地悪をして。
逆にその出版社で、もし私の作品が当たれば、そのデマみたいな漫画に対するカウンターにもなるし、その出版社にとっても両論併記ではないけれども。ちょっと傲慢な言い方ですけどもね。そういう考えがあって試しに持っていってみたら、門前払いみたいな感じだったですね。
その後、悔しいんでその足で『モーニング』に持っていこうと思って電話したら、「ちょっと都合が悪いんで、また後日」っていうので、後日待ってたら、めでたく採用になった。
そんな感じで。それでも、率先して見せた担当は、このまんま(載せても)当人はけっこういけると思ったらしいですね。ただ、編集長がどういうかわかんないので。
それで、新人賞っていうのに出して、いろんな編集者が読んで、これでいいやっていうことになったら、編集長も文句は言えねえだろうという作戦で。それで大賞をとってということだったんですね。
そういう上手い具合に持ち込みでいったんですが、どういう編集者に当たるか。鼻血の編集部でも違う編集者が見て、「これはおもしろい」と思ったら、もしかしたら載ったかもしれない。
なので、上手い具合にいい戦略を持って、いい眼を持ってらっしゃる編集者に当たると、アイデアを出すことができたり。ある程度何人かの編集者が見て、点数つけたりなんかというので、もしかしたら、1人の編集者に見せるよりも、新人賞に応募するほうがチャンスはあるかもしれないということを、今、なにか描かれてる若い人たちにちょっと言っておきます。
冨永氏(以下、冨永):持ち込みされてるときに、ここまでの反響になるって予感ってありました?
竜田:えっと、ある程度載ったら話題になるだろうなと思いました。
冨永:今、何ヶ国語訳されてますか。
竜田:今はありがたいことにですね、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、台湾で出てて。そのあと、ようやくこちらの英語版が出ました。こちらは後ろにも。
冨永:ありますよね。
竜田:ありがとうございます。こちらのはなんと、Amazonさんで日本円で普通に買えます。ちょっとお時間はかかるかもしれませんけど、あの面倒くさい通販のドル立てとか、そういうことをしなくても普通に日本で買えますので、よろしかったら。
冨永:英語版がなんで最後だったか、わかる方いらっしゃいます? どうぞ。
会場:ページが逆になるんじゃ……。
冨永:あー。さすがです!
竜田:そうなんですよ。
冨永:ヨーロッパは漫画の文化がもう先に入ってるので、右左逆でも違和感なく読んでくれるんですね。でも、ちょっとアメリカは違う。
竜田:ちょっと融通がきかない。これはやっぱり、(漫画を)左から開くというかたちにしないと。
冨永:画像を反対にして載せてしまうと、現地の絵とかがおかしくなってしまったりもするので。これは描き加えられてるんですか?
竜田:えーっとですね、描き加えたところは基本的にはない。
冨永:ない。じゃあ、編集で上手く?
竜田:そうですね。左右を反転させて、台詞の順番とかがおかしくならないように、台詞の内容とかも、そう、変なところは調整したりしましたけど。だから、文字も向こうの人が全部変えてくれたんですよね。日本語で竜田とか書いてあると、逆になっちゃうんです。それはちゃんと反転してるやつをもう1回。
冨永:ハイテックのきれいな字で。
竜田:そう。これも細かく全部やってあって、すごいなあと思いましたからね。非常にありがたいですね。融通がきかないけど。
冨永:ぜひ、後ろでお手にとってお求めいただければと思います。
竜田:はい。
冨永:最後、お一人質問、もしあれば。じゃあ。
質問者5:興味深いお話と、歌もありがとうございました。
竜田:こちらこそありがとうございます。
会場6:私たまたま、『モーニング』をずっと読んでいたので、拝見してたんですけど。いろんな反響があったと思うんですけども、漫画家の竜田さんとして、一番うれしかった反響、心に残ってる反響みたいなのございますか。
竜田:そうですね。うれしかったのは福島の方から、例えば大熊とか、そういったところで被災された方から、仮設住宅からお手紙いただいたことがあって。
やっぱりそういう方も、当時のその場所の実情みたいのがあって、世間に伝わってないことからしても、もどかしく思ってるっていう人がいっぱいいて。そういう人から、「よく描いてくれました」って。私が言っちゃうのもあれですけど、そういった方からいただく言葉って、やっぱり一番、描いていてよかったなあと思ったところですね。
質問者5:ありがとうございます。
竜田:ありがとうございます。
冨永:せっかくなので、さっき挙げていただいた2人、はい、お2人。
質問者6:今日はありがとうございました。
竜田:ありがとうございます。
質問者6:すみません。野暮な質問ですが、例えばロボットの持ち込みとかですね。
竜田:はい。
質問者6:少人数でやっておられるんですよね。それを漫画にしたときに、バレちゃう、そういうことはないんでしょうか。
竜田:いいえ。ロボットに関しては、その現場のやつから連絡があったりとかないですけども。休憩所のときの仲間から、「漫画読んだよ」って電話がかかってきました(笑)。
(会場笑)
冨永:あれ、いわきのライブハウスのくだりなんかも……。
竜田:そうですね。いわきのライブハウスのマスターなんかは……。
冨永:バレますよね。
竜田:そうそう。誰でも1曲歌えるみたいな日があって、そこに行って歌ってたんですけど。そのことを漫画に描いて、発売された週かなんかにその店に遊びに行ったら、「おー!」って、いきなりハグしてきて、みたいなことありましたね。
冨永:ライブハウスでいきなり、『兄弟船』を歌う人はいませんね。
竜田:なかなかね。ええ(笑)。
冨永:今日は中継をしてますので、ちょっと大人の事情で『兄弟船』はご披露できません。
竜田:ジャスラックがね(笑)。
冨永:じゃあ、最後、もう1人、女性の方。はい。
質問者7:お話をありがとうございました。去年の春にロンドンに行ったとき、大英博物館に1巻と2巻が収蔵されてました。
竜田:らしいですね。なんかでも、本当すいませんって感じですね。
質問者7:感動いたしました。それで、漫画についてのご質問なんですけど。あっ、そのロンドンに、収蔵されていて。考えながら思ったのは、地元の観光の絵と言葉で記録した、名前は忘れちゃったけど、作兵衛さんという方の作品がユネスコの世界記憶遺産になりました。私は、「いちえふ」はそれに匹敵すると。
竜田:いえいえ。
質問者7:世界記憶になると思いました。それで、絵についてなんですけれど、ものすごく細かいですよね。スケッチとか写真とか、撮れるわけないじゃないですか。
竜田:はい。
質問者7:あれは一体、どうしてああいう絵が描けるのかという、素人の質問なんですけれど。
竜田:もちろん、現場とかにカメラは持ち込めないんで、そこに関しては記憶で描くしかないんですけども。意外に探すと、ネット情報とか、参考になる画像とかはありまして。
そういうのを参考にしつつ、あとは記憶をたどりつつって感じで、うまくこう……。で、だいたいの読者の方は、実際その現場見てるわけじゃないので(笑)。「これぐらいだったら、まあわからないだろうな」って感じで描いてました。
冨永:はい、まだまだいっぱいお話を聞きたいですが。本当はもう1曲歌ってほしかったのですが、お時間となってしまいました。
(冨永氏、今後の毎日メディアカフェのイベントに関する案内)
では、今日はどうもありがとうございました。
竜田:どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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