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テーマ「女性の活躍とネオリベラリズム」について(全1記事)

「女性の活躍」で得をするのは誰? ダイバーシティの影にひそむ経団連の本音

2015年8月に成立した女性活躍推進法を受けて、今年の4月1日から従業員301人以上の企業には、女性登用に関して数値目標を含む行動計画の作成と公表が義務付けられます。著述家として社会問題をテーマにした書籍を手がける北条かや氏は、現場の女性新入社員の管理職に対する意識調査と自民党が女性管理職の登用を推し進める背景について語りました。(TOKYO MXとの共同企画でニュース番組『モーニングCROSS』を書き起こしています)

女性活躍推進法と企業の数値目標

掘潤氏(以下、掘):さぁ続いて、北条さんテーマの発表をお願いします。

北条かや氏(以下、北条):お二方のダイバーシティの関連で、こちらを。

(テーマ「女性の活躍とネオリベラリズム」について)

:繋がってきますね。

脊山麻理子氏(以下、脊山):昨年8月に成立した女性活躍推進法を受け、今年の4月1日から従業員301人以上の企業は、女性登用について数値目標を含む行動計画の作成と公表が義務付けられることを受け、対象企業では具体策が検討されています。

:女性の活躍は、安倍政権の大きなテーマとして掲げられていました。2020年までに指導的地位を占める女性の比率を30パーセントに増やしたいとする目標に対して、2015年版の男女共同参画白書によれば、企業の女性管理職の比率は11パーセントという状況が明らかになっているということです。

「数値目標と本質的な問題は、また別なんじゃないか」という意見もあります。かやさんはどういうふうに、今回は。

2020年までに女性管理職30パーセントは難しい?

北条:今回は「行動計画と数値目標を策定してくださいよ」というのが始まるのが新しい点なんですけども。

実際、いろいろな企業の人事の方、ダイバーシティ先進企業と言われるような企業の方に聞いても、この「2020年までに女性管理職を30パーセントに」というのは「まぁ、無理でしょう」という声が非常に多いんですね。

こちら、日本生産性本部が新入社員の女性に聞いたところ、サンプルは少ないものの、女性だと「管理職になりたくない」が7割、男性との差が歴然としているんですね。

なりたいという方も3割はいらっしゃるんですけども、実際営業職なんかですと、最初は管理職志向だったとしても、10年経ったら営業職の女性が10分の1に減っている。男社会の中で疲れてしまって。

:それの理由は、今おっしゃったような日本の社会慣習、制度的に「そこには行きたくないわ」というのが主なんですか?

北条:最初は意識が高かったとしても。

これは、新入社員に対する調査なんですけど。

:これか。理由。

北条:これは、先輩方を見てこう思っている若い女性が多いということですね。

:「自分の自由な時間を持ちたい」

フィフィ:やだなぁ、こういうのは......。

:「重い責任のある仕事は避けたい」「組織に縛られたくない」

フィフィ:ダメだよぉ......。

:「専門性の高い仕事がしたい」フィフィさん、どうですか?

管理職になりたい女性と、家庭に入りたい女性

フィフィ:女性の活躍する場所がないとか言うけど、私は日本を見ていると、他の国の女性と比べると、自分たちが管理職にいきたいとか、向上心がそこまであるかというと、そういう女性にあんまり会ったことがないので。

:おぉ......手厳しい。

フィフィ:そこのほうが問題なんじゃない? そういう育てられ方されてないじゃん!

山口真由氏(以下、山口):私は、アメリカに行って考え方を変えたんですけれども。元々、アメリカのフェミニストって、「社会進出せよ!」「専業主婦って何事ですか?」「働きなさい、管理職目指しなさい!」とやってきたんですけれども。

私、思ったのは、本当に家庭にいたい人は家庭にいられるようにして、その選択によって不利益な扱いを受けないようにしなくてはいけない。

:そうですね。

山口:だから職場の中の平等の他に、家庭の中の平等の話を私たちはしなきゃいけない。

フィフィ:そうそう。無理に引っ張り出してきてもしょうがないから、私はいればと思う。

:かやさん。

女性の労働力化で得をするのは誰か

北条:そうなんです。今の真由さんがおっしゃったことは、「第二波フェミニズム」と関連しています。

参政権など公的領域での女性参加を求めた「第一波フェミニスム」から、さらに一歩踏み込んで、私生活、家庭の中での性的な領域を含めての差別を問題にしてきたフェミニストたちが、60~70年代に、アメリカから出てきて。日本にもいるんですけどね。

:かつて平塚雷鳥さんは、「家事は立派な労働なんだから、国が賃金払うべきだ」と。

北条:そうです。フェミニストって、常に2つに分かれてきていて。

今、経済界がこうやって数値目標で「管理職をどんどん増やしましょう」と言っているのは、どちらかと言うと平塚さんというより、歌人としても論客としても活躍した与謝野晶子タイプと言いますか、女性をどんどん労働力として、経済的に価値があるものとして活用しようというタイプで。

話を戻しますと、民主党の時から「女性の力を活用しよう」と言っていた人はいたのに、自民党政権になって、しかも最近、急に「数値目標を開示しましょう!」となったのはどうしてかというと……。実は、理由は経団連なんですよね。今、日本の株を買っているのは海外の方がほとんど。

:8割くらいがね。

北条:そうなんですよ。そういった海外の方は女性を登用している企業とか、女性が役員にいる企業を高く評価する傾向がある。

:企業ブランド。

北条:そうなんですよ。

そこで、優良企業として株価を上げたいというので、自民党と経団連さんの繋がりで、数値目標を出すことがOKになったという背景があって。

ネオリベラリズム的な女性活用、経済的に、日本企業の株価を上げるために有効だから女性活用だという。個人的にはそこに違和感を覚えるんですね。

最後ですが。問いたいところがありまして。

「女性の労働力化で得をするのは誰か?」と。「経済界がうるおうだけでいいのか?」という。

:結局、構造的に変わらないってことですよね。

北条:そうなんですよね。「女性の活躍」というところだけスローガンで叫んでいると、フィフィさんも真由さんもおっしゃっていましたね。

フィフィ:だって、才能とやる気がある人が入ってくればいいのに、頭数とか数で増やすって何が楽しいの?

:オピニオンCROSSの前半戦は以上とさせていただきます。

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