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B2B Marketing Breakthrough(全4記事)

放置すると大問題になる、“業務の間に落ちた”タスク 目立たないけど組織に1人は必要な「誰もやらない仕事」を拾う人 [1/2]

事業成長を牽引してきたリーダーたちと共に、常識に捉われないB2Bマーケティングを学び、革新的な洞察をお届けするカンファレンス「B2B Marketing Breakthrough」が開催されました。本セッションでは、The Breakthrough Company GO 代表取締役 CEOの三浦崇宏 氏と、ノバセル株式会社代表取締役社長の田部正樹氏が登壇。本記事では、BtoBマーケターを採用する基準や目立たないけど組織に1人は必要なタイプについて語ります。

BtoBマーケターを採用する基準

三浦崇宏氏(以下、三浦):だから逆に言うと、これを見ている方の中に経営者の方もいると思うんですが、自分の事業がBtoBの事業だった時に、良いマーケターを採用で選ぶ基準は、どういうふうにご覧になっていますか?

田部正樹氏(以下、田部):KPIとかアクション的に何かをしてきたとか、こういう企業を受注したとか、営業がこういうふうにできますとか、どちらかというとスキルよりは……。

A社に勤めていたとして、競合のB社、C社と戦っている中で、どうやってその違いを説明してきたのか、どうやって同じような機能を伝えてきたのかみたいな、常にプラスアルファを作ろうと思ってやってきた人か。ないしは、自分の職種を越えて、幅広くポジションを持ってやってきた人か、どっちかという感じですね。

BtoBの場合は、より総合格闘技感が強くなってくるので、なんなら「マーケターだけど、数字が足りなければ営業に出りゃいいじゃん」みたいなことができちゃう人。

三浦:そうですよね。本当に『キングダム』で言うところの、最後は将軍が出ていって、1人で5,000人くらい倒すみたいな(笑)。本来はそれはやらなくていいところかもしれないけれども、「会社の数字が足りないんだったら、そこまでやるよ」という気概とか、それだけの経験を持っている人が、やはりいいですよね。

田部:そうそう。だからまさに昌平君って、ずっと都にいていろいろ考えているけど、現場には絶対出て来ないじゃないですか。だけどあれは、秦の兵力があってこそ成り立っているのであって。基本的には前面に出て、たまに傷を負って死にそうになる李牧のほうが魅力的だし、あっちのほうがいろいろ学びもあるし、(国が)小さいながらあそこまで戦えているのは、やはりそういうことだったりすると思うので。

三浦:そうですね。『キングダム』は秦が主人公だから、秦ががんばっているように見えるけど、秦はめちゃ大国ですからね。

田部:超大国。圧倒的戦力がありますから。

三浦:逆に本当は、敵の国の趙のほうが、小さいのにがんばっていますからね。

田部:そう、10分の1ぐらいなんですよ。

三浦:そうそう(笑)。

田部:それなのに、ギリギリまで戦えているんですよ。

三浦:だから、そもそも俺たちは李牧じゃなきゃいけないということですよね。

田部:基本的にはそうですね。

「戦略を立てる仕事」と気取らずに何でもやる

三浦:戦場を俯瞰しながらも、いざという時は自分が倒しにいくみたいな動き方ができるやつじゃなきゃいけない。だから、今日ここまで話した中で、やはり型を勉強する必要はもちろんあるというのが大前提ですよね。型に関する本や過去の成功事例とか、さらさらっといくつか挙げられないと話にならないと思うので、それは大前提で勉強するとして。

その上で、まずは顧客をBtoCとかBtoBと分けるんじゃなくて、ビジネスである以上、最後は人間が意思決定をするので、その人間のことを理解するのがすごく大事だということ。あと、自社のポジショニングだったり、ベネフィットだったり、自分たちの組織の強み・弱みをしっかり把握するのがめちゃくちゃ大事ということ。

やはり「自分が戦略を立てる仕事」と気取っていないで、本当にあらゆる意味で「なんでも屋」じゃなきゃいけない。田部さんは2025年冒頭に「AI時代のマーケティング」というnoteを2本書かれたじゃないですか。あれ、本当にみんな読んだほうがいいと思っていて。

あそこにいろいろ書いてあるんですけど、すごくシンプルに言うと、「これからは、『なんでも屋』じゃなきゃダメだよ」という話だと思っていて、そこをみなさんにはちょっとわかっていただきたいなと思いました。

誰もやらない仕事を率先して拾う人


三浦:
それはBtoBでもBtoCでも、人間を相手に戦わなきゃいけないということ。あと、マーケティングという仕事は、あらゆる手段を尽くして事業を成功させることなので、組織間の調整だったり、場合によっては顧客のところに行ってきっちり営業して、なぜ自分の営業モデルがうまくいっていないかを確認することも含めて、全部やらなきゃいけないよということだと思うんですけど。「なんでも屋」であるために、必要なものは何だと思いますか?

田部:AIが進化していろんな答えを出せるようになったり、型が進化して業務がスムーズに進んだりするんですけど、組織が大きくなったり事業が成長すると、結局その型が歪むんですよね。とした時に、必ずその組織間や業務間にゴミが落ちるんですよ。とか、誰もやらない仕事が必ず出てくる。

三浦:はいはい、ルーズボールがポロポロポロっといってしまう。

田部:これを放置しておくと大きな問題になったり、「結局、なんでこれは解決しなかったのか?」みたいになったりするのは、よくある話じゃないですか。

広告とかを作っていても、「結局、これをいつまでも解決しないとゴールを迎えられない」という、落ちるボールが絶対ある。これに気づいて拾うのが大事で、これを率先して拾う。率先して拾って誰も気づかないんだけど、必ずそいつが拾っていたみたいなのがある。

BtoBは、やはり一騎当千じゃなくてチームで戦うので、チームのみんなが円滑に進んでいくとかゴールに向かっていくといった時に、必ず落ちるルーズボールを拾う人を社内で1人、チームに1人、絶対作っておいたほうがいい。じゃないとAIがいくら進化したって結局進まない。この役割がめちゃくちゃ重要になる。これはBtoBにかかわらずかもしれないですけど。

一定の影響力を持つ人が“落ちるボール”を拾う

三浦:ルーズボールキャッチャーは、ふだん組織ではどういう人がなっているんですか? 僕らがクライアントさんに呼ばれる場合は、「GOがそれをやらなきゃいけない」という気持ちが常にある。例えばクライアントの組織の事業部と宣伝部で、それぞれ意見が食い違っているところを調整したり、あるいは「ぜんぜん誰も見ていなかったここの許諾取りは誰がどうするのか」とか。

僕は広告会社というのは、究極の「なんでも屋」だと思っていて、広告をするというよりは、その事業成長に必要なあらゆる課題をすべて解決する。一番大きいコンセプトとか、一番大きいマーケティングみたいな大きい島はもちろんなんだけれども、そこから漏れてきたものを僕らが全部拾う。

それがないと、フィー(報酬)をいただけないと僕らは思っているんですけれども。組織内でそれをやる時には、どういう人間にそれをやってもらうようにしていますか?

田部:そういうことをする人間は、目立たないんですよね。どちらかというと、いろいろな新しいことを派手に提案する人のほうが目立つじゃないですか。なんだけど、こういう人もいるという。ある意味だから、その人にスポットライトが当たるようなことをする。

あと、結局いろんなボールが落ちるので、それは落ちるという前提で、この役割だけを担っちゃダメだよというか、落ちるボールを必ず拾っていくみたいなことを口酸っぱくやっていくしかない。むしろ自分でやっていくしかないというか。

三浦:田部さん自身も、若い頃それをずっとやっていたし、なんなら今でもそれを、ご自身の組織の中でやっているということですよね。

田部:そうそう。なので、すごくわかりやすく言うと、三木谷さんが朝8時に来てトイレ掃除をしているじゃないですか。それをすることによって、会社はきれいに保たれるという、そのワンアクションだけじゃないですか。それは、ある種のルーズボールだと思うんですよね。それを自ら拾いにいくみたいな。だからでかい会社になっても、結局これが重要だと思っていて。

僕が必ず会議に遅れないみたいなアクションを取るとか、数はこなさないけど、僕が率先してまずは営業に行くとか。AIについては自分が必ず一番先に飛び込んでいく、みたいなことをすることによって、「あ、なんかそっちに行かないといけないんじゃないか」というようなことが生まれる。ルーズボールも一緒で、それを会社の一定の影響力がある人が拾っていかないと、やはり難しいと思うんです。

「自分の行動のすべてが、組織に対するメッセージになっている」

田部:だから、例えばGOさんで言えば、仕事をしたことがありますけど、やはりビジネスプロデューサーの人が率先して拾いにいくわけじゃないですか。どちらかというとメンバーというよりは、上の人がめちゃくちゃ拾いにいくし、それがいいことだとされているじゃないですか。だから、ああいうカルチャーのほうがいいんだと思いますね。

三浦:そうですね。褒めていただいてありがたいですけど、まさにそこだと思っています。リーダーとか、BtoBのマーケティングをやっている人は、組織の中でもけっこう重要なポジションの方が多いと思うんですけど、自分たちの行動がすごくメッセージになりますよね。

僕は会社の代表なので、僕のGoogleカレンダーのスケジュールを全員めっちゃ見ているわけですよ。だから、どこどこの会食のお店とかまで書いてあるから、「三浦さん、あの店おいしかったですか?」「うるさいよ、お前」みたいな話もよくあるんですけど(笑)。

例えば、「THE CREATIVE ACADEMY」という教育事業を今始めているんですが、2025年1月はその法人営業にめちゃめちゃ時間を割くと僕は決めていて、スケジュールの中にそれがぽんぽんぽんと入っているんですよ。

社員はみんなそれを見るので、「あ、やっぱり三浦さんは本気でこれをやろうと思っているんだな」とか。「ルーズボールを拾う」という概念にしても、自分が組織の中でそれをやることがすごくメッセージになっていて、それが結果的にカルチャーを変えていくということも把握しておいたほうがいいですよね。

田部:そうですね。

三浦:そこはすごく重要だと思っています。よく「背中を見せる」という言い方をしますけれども、もうちょっとこれの解像度を上げて、「自分の行動のすべてが、組織に対するメッセージになっている」ということを自覚しないといけないですよね。

田部:そうですね。経営者はもちろんなんですけど、マネージャーであってもチームの中でやっていく。

三浦:いや、まったくそのとおり。そこは田部さんもリーダーとして、絶対に現場の中でワークするとか、営業をしっかりやり切るとか、めちゃめちゃ徹底されていますよね。

田部:そうですね。

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