事業成長を牽引してきたリーダーたちと共に、常識に捉われないB2Bマーケティングを学び、革新的な洞察をお届けするカンファレンス「B2B Marketing Breakthrough」が開催されました。本セッションでは、The Breakthrough Company GO 代表取締役 CEOの三浦崇宏 氏と、ノバセル株式会社代表取締役社長の田部正樹氏が登壇。本記事では、BtoBマーケティングにおいてありがちな勘違いについてお伝えします。
GO三浦崇宏氏とノバセル田部氏が登壇
三浦崇宏氏(以下、三浦):どうも、あけましておめでとうございます。
田部正樹氏(以下、田部):あけましておめでとうございます。よろしくお願いします。
三浦:NewsPicksの番組のパクリみたいな構図から始まりましたけど。
田部:はい(笑)。
三浦:NewsPicksでも田部さんと僕で2022年に1回対談しているので。もしこの番組を見て気に入った人は、NewsPicksのやつも見てほしいですね。
田部:そうですね。名前も似ていますしね。
三浦:「ニューピークス」と「NewsPicks」。ギリギリのラインですね。
田部:そうですね。
三浦:あんまり言うと、怒られるんでね。
田部:(笑)。
三浦:今日もちょっとやっていきたいなと思うんですけど。
田部:よろしくお願いします。
三浦:お願いします。田部さんのAIのnote、すごく良かったですね。
田部:ありがとうございます。
三浦:AIの時代に重要になってくるのは、マーケターとしてのリーダーシップだという。特に組織横断の「なんでも屋」になるって、組織の細かいステークホルダーの利害の調節だったり、いざという時に緊急性の高い、「え? これとこれってどっちを先に対応するの?」みたいな話だったり。
あとは51対49みたいな。「49でリスクを冒すかもしれないけれども、大きい部分があるよね」というリスクテイクの判断とかは、やはりまだ人間の仕事になってくるよねと。そこに行くまでの情報収集はAIができるから、いかにスピーディにリスクを取って回転させていけるかという話とか、すごくおもしろくて。
田部:あれは実は、要は一流クリエイターとビジネスプロデューサーだけいればいいと言っています。ある種、御社のことを言っているなと書いていて思いました。
三浦:いや、読みながら「こういうことだな」とすごく思って、うちの社員みんなに「これをちゃんと読むように」と言いました。
田部:(笑)。ありがとうございます。
BtoC・BtoBはただのラベル

三浦:今日はBtoBマーケティングの話を。
田部:そうですね。
三浦:BtoBマーケティングといえば、もう田部さんと僕だと思っているので。
田部:そうですね。
三浦:最近、BtoBマーケティングをしています?
田部:僕は、そもそもがBtoBの会社と、BtoBマーケティングのラクスルをやっているので。
三浦:そうですよね。でも、2025年が始まっていますけど、僕の場合はもう「マーケティング」と考えて、顧客の事業をどう伸ばすかという。その時に、あんまり「BtoBだから」「BtoCだから」と分けていなくて。
毎回、一回一回オーダーメイドで、そのクライアントの事業のために何ができるかを考えることをずっとやっているんですけど。田部さんのここ2~3年のBtoBマーケティングは、どういう感じになっているんですか?
田部:BtoBマーケティングは、別に昔からあったと思うんですけど。
三浦:はいはい、もちろん。
田部:言われ始めたのは、たぶん2020年ぐらいというか。簡単に言うと、BtoB SaaSとかBtoBスタートアップがめちゃくちゃ出てきて、みんながタクシーCMをやって、「BtoBマーケティングだ」みたいな流れがあった。
三浦:そうですよね(笑)。「BtoB SaaS」って言いますものね。
田部:そうそう。
三浦:BtoB SaaSという事業モデルが普及して、ちょっとバズって、タクシー広告とかSEOとか、いくつかの手法の組み合わせが型としてあるよね、みたいになった時代がありましたよね。
田部:そうです。だから、マーケティングの中のBtoC・BtoBは、当然、対象顧客が違うから、ラベルを付けて「BtoBがあるよ」「BtoBマーケティングはBtoCと違うよ」と。そういう商売をしている人が言っていることだと思うんですよ。だから、ただのラベルだと思います。
「意思決定に関わるプロセス」以外はそれほど変わらない
田部:ただ、一方で大事なのは、結局買ってくれる人が、消費者として自分のお金で払うのか、会社のお金で払うのか。かつ、決裁者と担当者がいて、みたいな構造だけは大きく違うので。それ以外はけっこう一緒なんですけど、「誰が決めるのか」みたいな話は深掘っていかないといけない。
これは営業的な話なので、いろいろあると思いますけど、BtoBの唯一の違いは、営業もちゃんと考えないといけないよねという話。あと、むしろ自分が欲しいと思ったら買うこと以外の、人間関係とか政治関係もいろいろ考えないといけない。
営業的な能力プラス、自分のお金じゃないことや、会社の将来を考えないといけないよねみたいな。意思決定に関わるプロセスだけが大きな違いであって、実はそれ以外はそんなに変わらないという。
三浦:そうですよね。今、田部さんが言ったのはめちゃくちゃ重要だし、僕も常々よく言っているのが、結局BtoCだと、例えばCMとか、タクシー広告とか、デジタルのバナー、広告を見た瞬間に、ユーザーが購入する場合が多いけれども。
BtoBの場合は、ユーザーとしての実利用者と、総務の人とか、経営者の人とか、人事の偉い人とか、それぞれ意思決定者が違うのが一番大きいポイントになってきますよね。だから、当然マーケティングとしてアクションした上で営業として継続的なお付き合いをしていったり。
あと、BtoB SaaSのほとんどの場合はカスタマーサクセス的な、アフターケア的なサービスも必要になってくるから、マーケティングという概念の中に、営業的な要素とCS的な要素が極めて重要に関わってくる。ここがキーポイントになりますよね。
結局、最後の稟議で「知名度の高い会社」を選んでしまう

田部:そうです。ただ、この何年かで繰り返し盛り上がってきたのは、先ほど言った「BtoBはタクシー(広告)やろうぜ」みたいな。BtoBもこれまでプロモーションをそんなにしてこなかったんだけど、「プロモーションをしたら認知が取れるじゃん」という、タクシーCMを中心とした動き。
あとは「The Model」みたいな、BtoBマーケティングが型化されて、提唱する人たちが現れた。なので、「BtoBマーケティング」というラベルを付けて、みんな呼んでいるということなんですけど。
三浦:そうですね。
田部:大きな変化は、SKYSEA Client Viewさんがずっとやられているタクシー(広告)とかを含めた動画で見せて、認知を取って、イメージを上げていくといいんじゃないかという。
三浦:あれ、タクシーに乗ると延々と藤原竜也が出てくる。
田部:僕も決裁者だからわかるんですけど、結局BtoBは最後の稟議でAとBが挙がってくるんですけど、やはり知っている会社を選んじゃうんですよね。
三浦:そうですよね。
田部:なので、やはり「あー、あそこで見たな」がけっこう重要なので、BtoBの会社もビジュアルやブランディングがすごく重要だと考えています。
ただ、本質的には別に変わらないというか、BtoBに特化している人とか、(Bto)Cに特化している人じゃなくて、別にどっちもできる人はできるんじゃないのかなとは思いますけどね。
三浦:そうですね。僕もGOとしてBtoBをやる場合は、やはりブランディングがめちゃめちゃ重要だなというのは、今、田部さんがおっしゃったことに関連していて。結局、ちょっとやそっと価格やユーザビリティに差があっても、意思決定者としては知名度があるほう、有名なほうを選んじゃいますよね。
要は、現場から上がってきた知らないイケているサービスよりも、言ってしまえばSalesforceとか、そういった本当に誰もが知っている大型のサービスを選んだほうが失敗した時に責められないし、他もやっているから別に怒られないし。というところがあるから、ブランディングというか、そもそもサービスが知られていて、ある程度の信頼があることが、めちゃくちゃ重要になってくる。