2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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西舘聖哉氏(以下、西舘):スライドの右上(「現代日本に足りていないと思うこと」)というテーマから、さっくりいこうとと思います。
今の日本で「本を読みましょう」「学びましょう」と言われている中で、特に学ぶことに関しては、社会人になってからもっと意識を上げられるんじゃないかなと思うシーンがけっこうあります。
最近僕は大学のお仕事をさせてもらっていて、学生さんと接したり社会人の方と接したりを行き来する中で、思うことがたくさんあったんです。
ビジネスもされている大中さんから見て、「今の日本はこれが足りていないんじゃないか」という部分や、主に読書周りを中心に他のことにもぜひ触れていただきたいです。課題を感じてるところであったり、こうやったら良くなるんじゃないかというのがあれば、ぜひ教えてください。
大中尚一氏(以下、大中):もともと教師だったというのもあるんですが、まず子どもの教育に関しては、いい加減刷新しなきゃいけないんじゃないかなとは思います。
西舘:わかります。
大中:僕も現場にいたのでわかるんですよ。ぶっちゃけ、教師のみなさんは個人的にめちゃめちゃ努力されていますが、制度疲労は本当に起きている。いい加減なんとかしないと、このままずるずる国力が落ちるなぁという危機感はすごく持っています。
あとは大人になってから、特に大学生以降になってからは極端に勉強しなくなるじゃないですか。僕もしませんでしたけど。
西舘:僕もしませんでした。
大中:先進諸外国のOECD(経済協力開発機構)の中でも、やっぱり日本の大人が一番勉強しないというデータもはっきりあります。まったく本も読まない人がかなりの数いる。そりゃ国力も落ちますよね、という話です。
生涯学習が大切とは言われていますし、最近では「リスキリング」とも言いますが、国としてはリスキリングをしないと危ないと思います。ただ個人としては、他の人が勉強をしていない分、やったら勝ちじゃないですか。
西舘:本当にそのとおりだと思います。
大中:出世も起業もそうですが、起業しても勉強せずになんとなくやる人だって当然いますし、会社内でも勉強しない人が山ほどいらっしゃるので、勉強したほうが絶対に勝ちますよね、とは思います。
西舘:ありがとうございます。よく言語化してくれた、という思いでいっぱいです。昔の自分を振り返ってもまさに思うところです。
何が障害になっているというか、あくまで僕の場合はということで共有させていただくと、勉強嫌いだったというか、詰め込み型でやられるのがちょっと苦手だった。
教えてもらってはいるんだけど、わかるようになるまでやらせてもらっているかと言われると、そこの感覚が微妙だったというか。
西舘:言語化が少し難しいんですが、「何を変えていったらいいのか」というところで、少し見えている部分はあったりしますか?
大中:これを見ていらっしゃる方に先生がいたら、大変申し訳ないですが。
西舘:おっ(笑)。
大中:僕も元教師だから自省を込めて言うんですが、最低でも5年は他の社会人の職業を経験してから教員になったほうがいいと思うんです。特にお金を稼ぐ・商売をする経験は絶対に大事だと思っています。
今の世の中、みんながなぜ大学に行くかといったら、いい就職先を探して行く人のほうが多いわけじゃないですか。
西舘:そうですね。
大中:つまり、社会に出るために学校があるようなものですが、教師が社会のことを知らなかったらちゃんと教えられないですよね。
西舘:わかります。
大中:まずは教師がそれを研究しておく必要があるのかなというのは、実は教員の時代から思っていたので、教員を辞めようと思った一因ではありますね。
西舘:なるほど。今、ビジネスパーソンの中では「探求学習」とか「越境学習」と言われるものがだんだんキーワードとして聞こえてきています。僕もそういう場に出るようにはしているんですが、例えば小学校の先生や中学校の先生、高校の先生って、実はなかなか出会わないなと思っています。
僕はたまたま社会人経験が前提になっている、社会人を経験した後に教員になるタイプの学校にいたので、その先生たちの姿と昔小中高で習った先生たちの姿はちょっと違うな、と感じていた部分もあるんです。専門家の大中さんに言われると、本当にそうなんだなとすごくしっくりきました。
大中:もし今教員に戻ったとしたならば、昔よりまだマシなことはできるかな。昔の教え子にはちょっと申し訳ないですが、今思えばそうですね。
西舘:さっき言っていた「稼ぎ方」的なところをあえて挙げたのは、「大学から一流企業に入るルートだけじゃないよね」というのが広まってきたからですかね? 要は、これまでのビジネスの先行きがちょっと怪しいと感じていらっしゃるとか。
大中:自分でビジネスをやっているからというのも当然あります。残念なことですが、日本の国力はどんどん下がっていますので、いつ企業がどうなるかわからないじゃないですか。
西舘:ここ近年でもいろいろありますからね。
大中:役所が安泰かというと、某北海道の市みたいに財政再生団体になるようなところだってありますし、どうなるかわからないわけですよ。
西舘:はい。僕も北海道出身なのでわかります。
大中:その時に自分で生活の糧を築く力がないと、マジでパニックになると思うんですよね。僕は起業家であるので、自分で稼ぐ力や自分で何かを生み出す力が絶対的に必要かなと思っています。
西舘:あとは「ITリテラシーがないです。パソコンには触れません」だと、やっぱりこれからは苦労するんじゃないかと思います。
金融リテラシーも大事で、怪しいビジネスをしている人が悪いと思うんですが、日本で「お金を稼ぐ」と言うと、「ちょっと怪しいよね」と見られちゃうところがあると思う。僕も一応起業家という分類の人間なので、そこは社会にいる中ですごく実感があるなって思いました。大きな課題ですよね。
西舘:また書籍(『家康の本棚』)寄りの話ですが、それに対して「家康はこうしていたよ」とか、家康周りの人でももちろんいいですが、「家康だったらこう考えるんじゃないか」というのはありますか?
大中:本にも書かせてもらいましたが、別に当時の武士階級は勉強しなかったわけじゃなくて、お寺に入って読み書きを教えてもらったりしていましたが、人によって学力の程度はぜんぜん違います。
中でも家康は本当に読書が好きで、過去の先達の教えや書き記したものを学んで自分で考えて活かしていったので、まずは読むことですよね。過去にどういう例があったかを知るのはすごく大事だと思います。
知ることで完結するんじゃなくて、知ってそれをどう活かすかが大事なわけです。残念ながら今の大学受験は、知ってそれを解くことで終わりにしちゃっていますが、それだとあんまり意味がないですよね。知って、それを実生活にどう活かすか。このサイクルを回すことがすごく大事じゃないかなとは思います。
よく「巨人の肩に乗る」と言ったりしますが、すでに過去には膨大な知識や知恵があるわけじゃないですか。それを使わずに自分でゼロから考えるなんてむちゃくちゃもったいないし、ムダ以外の何者でもない。たぶん、ほとんど大したことはできないと思うんですね。
西舘:ある意味、同じ結果にたどり着くだけですよね。
大中:膨大な知識や知恵の積み重ねをちゃんと学んで、それを活かして自分が何を生み出すのか、何を作り出すのか。つまずいたらまた学ぶ。このサイクルができれば、絶対に結果が出るのはわかっていますから。
全世界でそれをやっているわけなので、そのサイクルを止めてしまうのはむちゃくちゃもったいないんじゃないかなと思います。
家康は本を読むことで自分も天下を取れた。それをみんなにも奨励したわけなので、よくわかっていたんじゃないかなと思います。
西舘:僕も今関わっている場では、そういった実践を大事にしています。
この前もJMAMさんのイベントでリスキリングをテーマにしたものがあったんですが、学び直しもそうですし、「大学を出て社会人になったら勉強は終了だよ」じゃなくて、これから生きていくための知識やより高いスキル習得のために、学び続ける姿勢が大事だということですね。
大中:大事だと思いますよ。だってもうみんな寿命が伸びて、昔ほど早くは死なないですからね。
西舘:そうです。人生100年時代ですからね。
大中:人生長いですから。
大中:僕は46歳ですが、現代だとたぶん今で人生折り返しくらいの感覚なわけじゃないですか。
西舘:きっとそうでしょうね。あと半分です。
大中:今から90歳まで働きたいと思っているんですが、あと46年今の知識で勝負できるかというと、勉強し続けないと絶対に無理ですからね。
西舘:なるほど、確かにそうですよね。最近だと、外資だけに限らず大きな企業さんでも人員削減が起こっているので、もしかしたら長い人生の中で、不意に自分がそれに選ばれてしまうこともあるかもしれない。
大中:十分あり得ますよね。
西舘:可能性はめちゃくちゃ高まっていますよね。
大中:名前を出して申し訳ないですが、三洋電機さんがなくなるって誰が思いますか? という話ですよね。びっくりですよ。
西舘:メーカーさん周りも立ち行かないという話もありますし、誰も想像していなかったことが今まさに起こっていますからね。
大中:本当に。しかもロシアとウクライナの戦争の影響なんて、今からさらに来るわけなので。
西舘:これからですね。
大中:それが来た時にもっとインフレは起こるでしょうし、「日本の賃金は上がらない」とよく言いますが、そうなると海外に出稼ぎに行くしかないじゃないですか。出稼ぎに行くのはいいけど、ちゃんと知識を持っていないと雇ってくれないですからね。
大中:だって「中国に何人の人がいるねん」という話なので、その人たちと競っていい給与をとろうと思ったら、ちゃんと勉強しておかないとだめです。
西舘:本当にその通りだと思います。「英語などの語学と、ITリテラシーやIT思考と、金融の意識の3本柱だよね」とよく言われていて、すごく納得ですといつも頷いています。
ここに関しては、ある程度身につくまでやるとか、今は税制周りやいろんなところで変化も起きてきているからそこをキャッチアップするとか、学び続けるところは本当に必要なんだなと思います。
大中:そうですね。本にも書かせてもらいましたが、家康は三方ヶ原の戦いで大敗して命からがら逃げたわけですが、そこで学ばなかったらたぶん同じ失敗をやって死んでいたと思うんです。
でも、そこで武田信玄に学んで戦術や戦略を変えていったから、家康は非常に優れた武将として名前を確立していけた。まさに学んで成長したので、それと同じことを知っている僕らができないわけがない。あとは、やるか・やらないかだけの問題ですね。
西舘:確かに、やるか・やらないかだけですね。ありがとうございます。書籍をもっと隅々まで読んで知りたいなと思いました。
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