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【第2部】ファンを動かす企業タイアップ動画の作り方(全3記事)

嘘は1年後にバレる インフルエンサー・佐藤ノア氏が語る、ファンを裏切らない商品PRの極意

2019年7月25日(木)、YouTubeのチャンネル登録数130万人を超える超人気グループ「さんこいち」のほりえりく氏、SNSのカリスマと呼ばれる佐藤ノア氏をゲストに招いたセミナー「Z世代に刺さる動画と愛されるチャンネルの作り方」が、BitStar社で開催されました。企業の動画マーケティングやSNS運用担当者を対象とした本セミナー。第二部では、佐藤ノア氏と焼きのり氏が「ファンを動かす企業タイアップ動画の作り方」について知見を披露しました。「嘘はバレる」と話す佐藤氏は、商品PRの際、必ず一度試用してみてから動画制作を行うといいます。

季節性を意識した動画制作

矢澤孝明氏(以下、矢澤):じゃあ続きまして、動画制作。YouTubeのチャンネルの動画制作で重要視しているところはどんなところでしょうか。カンペを見た焼きのりさん。

焼きのり氏(以下、焼きのり):はい。動画制作で重要視しているのは、ノアさんの視聴者さんは若年層の女性の方が多いので、そういう方はけっこうトレンドが大事かなと思うんです。なので、旬に合わせてどんどんコンテンツを作っていく感じですね。

例えば今は夏なので、夏らしいメイクとか。最近の動画を見ていただけたらわかるんですけど、例えばウォータープルーフで汗に負けないとか、そういうのをやっています。

矢澤:やはり旬に合わせるというのはそうですね。おそらくどのSNSでもそうだと思うんですけど、今はリアルタイムでほとんどのものが見られたりするので、旬を逃してしまうとどうしても二番煎じ的になってしまうこともあって。そういうところを意識されている感じでしょうか。

焼きのり:そうですね。

佐藤ノア氏(以下、佐藤):うん。

矢澤:はい。ではそこまでこだわりがなさそうなので、次にいかせていただければと思います。

焼きのり:ありがとうございます。

(会場笑)

嘘はいずれバレる

矢澤:ありがとうございます。では次のお題にいかせていただければと思います。「嘘はつかない」とよく言う佐藤ノアさん。その心は?

佐藤:はい。これは別にPRに限ったことじゃなくて、嘘はバレるんですよ。マジで。例えばさっきのシャンプーの商品なんですけど、「私この商品使ってるんですよ」と言っても、本当に使っているか使っていないかは、数ヶ月後にはわかるんです。

1年後にも「使ってるの?」とか聞かれたりするし。だから私は使っている商材があったら、まったく企業案件と関係のない別の動画で必ずもう1回出すように工夫しています。

そうすると、「やっぱりちゃんと使っているんだな」って信頼感が出るというか。すると他の商材を出したときに「あ、ノアちゃんが言っているんだからそうだよね」と思ってくれるんです。だからその物が売れやすいというか。そういうのはあると思います。

嘘はバレるので、使っていないものを使っていると言ったとしても、他のところでちゃんと「使っているよ」というのを出さないと、「単発のPR仕事なんだな」「ハッシュタグPRなんだな」みたいに思われちゃうんです。

自分でインスタのハッシュタグを作ってお金が発生しない宣伝コーナーみたいなことをけっこうやったりするんですけど、そういうのを定期的にやることで信頼感が生まれて物が売れるのかな、とは思います。

矢澤:ファンを大切にしているところが一番の鍵なのかもしれないですね。

佐藤:うん。人間として、普通のことをちゃんとするという。そしてそれをしっかりファンの人に見せてあげる。今は配信とかでも「今も〇〇使ってるの?」と聞かれて、そのときに使っていなかったら正直に「使ってない」と言うんですよ。「もう使ってないんだよね」と。

PR商品は一度試用、肌に合わなかったら断ることも

佐藤:でも「今は〇〇を使ってて」みたいに、移り変わりを教えてあげるのも親和性につながるというか、信用したくなるというか。なので、使ってなかったら「使ってない」と普通に言います。

矢澤:そうですね。佐藤ノアさんのチャンネルで、過去に紹介した例でノアさんがもう使ってない状態でも、焼きのりさんがお勧めするみたいな。

佐藤ノア:そうそう。

矢澤:そういったかたちもとれていますよね。

佐藤:PRする案件も、コスメとかだといきなりきて「宣伝してください」みたいなのが多いんですよ。私はけっこう「使ったことのないものを宣伝するってどうなの」みたいに思っているので、そういう場合は営業の方にサンプルをもらえるようお願いしたりします。

それが発売しているものだったら、なにも言わずにロフトとかに買いに行って。それで一旦使ってみてから、その商品のPRをするかどうかの可否を決めることはふだんからよくやっていますね。

でもわりとサンプルでいただいて、使ってみて肌に合わなかったら「ちょっと今回はお断りさせてください」と言って断ることも多いです。

佐藤氏と焼きのり氏の阿吽の呼吸

矢澤:そうですよね。焼きのりさんもなにかそういったところで、ノアさんに商品紹介をするときに気をつけていることはありますか?

焼きのり:そうですね。私もノアさんのことをだんだんわかってきているので、例えばノアさんに「こういうものがあるよ」と言う前に「あ、これは合わなそうだな」と思ったら、そこでもうちょっと別の商材ないかとか、そういうのをクライアントさんに聞いたりします。あとはなんでしょうね、他には……。

矢澤:そのくらいですかね(笑)。

焼きのり:以上です、すみません(笑)。

矢澤:先ほどもお話ししたとおり、もう3年目くらいのチャンネルになってきているので、2人の感覚もシンクロしてきたのかなと。今日はなにも打ち合わせをしていないんですけど、同じような……。

佐藤:服が被っているんですよね。

矢澤:ええ。被っていたりとか。

佐藤:そう、本当によくありますよ。だから私が「あまり使わなさそうだな」「テクスチャーとか好きじゃなさそうだな」と思うものは、「たぶんあんまり合わないと思うんだけど、一応こういうものもありますよ」みたいな感じで聞いてくれたりします。

だからなんとなく私がその商材をやるかやらないかをわかってくれているな、という感じはしますね。

矢澤:そうですね。すみません、嘘はつかないというところからちょっと脱線しつつあるんですけれど。

佐藤:確かに。

矢澤:2人の関係性が上手くできているというところで、まとめさせていただければと思います(笑)。ありがとうございます。

企業のメッセージを視聴者になじみのある言葉に変換する

矢澤:続きまして、数多くのタイアップ実績がありますが、その他にもタイアップ案件で気をつけていることはありますか? 焼きのりさん、いかがでしょう。

焼きのり:タイアップ案件で気をつけていることは……。ちょっとカンペにないものが来て、動揺しているんですけれども(笑)。

佐藤:例えば?(笑)。

矢澤:例えばどういったことに気をつけているかなんですけど、もうけっこうタイアップの話はしてしまいましたからね。

焼きのり:はい。ないんですよ。

矢澤:2人の呼吸を合わせたり、商品の紹介をしたりというのは、企画から商品紹介に自然に入れるように、焼きのりさんはいつも意識しているのかな?

焼きのり:ありがとうございます。優しい。そうですね、例えば単純にクライアントさん側の意識もするんですけど、視聴者さんが求めているタイアップをちゃんとやったり、見やすく動画を作ったりするところですね。

クライアントさんの商品を視聴者さんにもっとよく知ってもらうために、視聴者さんにわかりやすい言語に。なんていうか、言語を上手い具合に……。

佐藤:あ、なじませていくこと。なじみのある言葉に変えていくとかね。

焼きのり:そうですね。そういうかたちで提携できるように、全員が意思疎通できるようにしたいなというのは心がけています。

佐藤:うんうん。

「広告案件YouTuberです(笑)」、PRをあえて隠さない

矢澤:はい。今のお話を聞く限りでは、ノアさんもクライアントさんの意思や意図を汲み取りつつ、視聴者さんは絶対に裏切れないので、その両側を意識しながら紹介ができているチャンネルなんじゃないかなと。

佐藤:そうですね。あと私は逆に「PRです」「広告案件です」とすごく言っちゃいます。なんというか、そういうのって「隠すから悪い」みたいな風潮になっていると思うんですよ。みんななじませすぎていて、「え、でもこれ、お金もらってるんでしょ?」みたいな感じになっていて。

だから私は「これ、広告案件なんですよ」とごりごりに言っちゃうんですね。例えば配信とかインスタの文章とかで「どうしてその広告案件をするのか」も言っちゃいます。

なぜこの広告案件が決まったのかも、私がもともとすごく良いと思っていて、サンプルをいただいて、使ってみたらやっぱりものすごく良かったから「気になっていて、すごく良かったからやったんだよね」「だからみんなに紹介したいと思いました」と。

PRでお金をもらっているということは、責任を持って紹介しなければいけないと思うので、例えば普通にインスタにリップを1本載せるとかではなく、絶対に詳しく教えてあげなきゃいけないんですよ。

だからそういう背景も、お客さんに、私のファンの人にちゃんと発信しながらやっていくと、「ああ、この人のPR案件はなんか信用できるな」みたいな。だから隠さないというのが私のコンセプトですね。

矢澤:確か以前、Twitterで「私は堂々とタイアップをやります」みたいな。

佐藤:そうそう。

矢澤:「言ってなにが悪いの」くらいな感じで、ツイートされていたこともありましたよね。

佐藤:あります。3日連続でタイアップ案件が出ちゃうこともあるんですよ。だから「広告案件YouTuberです」とか普通に言ったりします(笑)。でも、隠さないから逆に好感度が上がるみたいなところもけっこうありますね。

矢澤:3本続いたときも、しっかりおもしろい動画でしたよね。焼きのりさんがあの企画をおもしろくして、ユーザーさんを飽きさせないように。

タイアップだけど動画もおもしろいみたいなかたちでディレクションはしているので、そういったところがあのチャンネルの成長に結びついているんじゃないかなと思います。そんなところでしょうか、焼きのりさん。

焼きのり:そんなとこで……そんなとこですね。大事なところで噛みました。

(会場笑)

ハッシュタグが5つ以上になるとエンゲージメントが激減

矢澤:はい、ありがとうございます(笑)。では続きまして、佐藤ノアさんにお伺いしたいんですけど、受けやすい案件と受けづらい案件の違いなどはありますか?

佐藤:このYouTubeに限ってですか?

矢澤:もう全体で。SNSなど、お仕事の全体でおうかがいできればなと。

佐藤:全体ですね。なんというか、企業のイメージを押しつけてくるところはちょっと受けづらいです。これはインスタとかTwitterとかの話ですけど、絵文字までウサギさんで指定されたりして、「いや、ふだんウサギさん使わないから」みたいなことがすごくあるんですよ。

なので、「YouTubeだったらこういうふうな言い回しにしてください」とか、語尾まですごく指定してくるところは、もうオリエンシートを見ただけで「やりたくなーい」になっちゃいますね。

逆に、使う人によって……例えばそのインフルエンサーやYouTuberによって、ちゃんとその人の動画やふだんのかたちに寄り添っている投稿などのほうが、私は受けたいなと思います。

あとはインスタとかだと、ハッシュタグが多いとやりたくないです。どうしても広告感が出て、エンゲージがすごく下がるんですよ。そういうことはありますね。

矢澤:ハッシュタグも、少ない数を指定してもらう分には問題なくて、多くなると厳しいという感じですよね。

佐藤:4つ、うーん、5つ以上だと絶対にやらないです。4つだったらぎりぎり交渉します、くらいですね。文章次第ではぜんぜんいいですよ、という感じなんですけど、5つ以上になると、もうガタッとエンゲージメントが下がってしまうので。

そしてエンゲージメントが下がったら私のテンションも下がってしまうんです。そこまでになるとやらないですね。だからその人の日常にわりと寄り添っている案件のほうが受けやすいです。

矢澤:僕たちが営業するときも、けっこう気をつけているところとしては、例えばインスタならクライアントさんにちゃんと前後のものと、あとは過去にさかのぼって(本人の投稿を)見ていただくとか。

YouTubeとかもちゃんと見ていただいて、しっかり佐藤ノアさんの色を出せるように最初にお話をして、ハッシュタグに関してもそういうお話をさせていただいて。本人が気持ちよくやることが、きっとユーザーを動かすことにつながってくるんだと思っています。

それが結果的にクライアントさんに戻ってくるのかなというところは意識して、お話しさせていただいておりますね。

インフルエンサーの役目は、視聴者にわかる言語とやり方で見せること

矢澤:焼きのりさんは動画を作る上で、企画とかで受けやすい案件や受けづらい案件はあったりしますか?

焼きのり:今の話に補足をさせていただくことになるんですけれど、それこそクライアントさんの思いはたくさんあるので、ハッシュタグを多めにつける依頼になるんだろうなとは思うんです。

でも、先ほどのシャンプーの動画を見ていただいたとおり、やっぱり視聴者さんがわかる言語とやり方で見せてあげることがインフルエンサーの役目だと思っていて。

もしクライアントさんがものをガチガチに決めるのであれば、インフルエンサーがどういうものなのかを再度理解していただきたいんです。その上で一緒にお仕事をしたほうが、みんながハッピーになって、しかも見ていただいている人が実際に買ってくれるようなPRができるのかなあと思います。

矢澤:ありがとうございます。そうですね。クライアントからユーザーまで、しっかりと流れを作ってあげる。そのことが大事だと思うので、そういったところがBitStarの仕事の1つかなとは思っております。

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