2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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幹部が思うように動かない、人材の離脱が止まらない、社長の思いが社員に届かないなど、経営者が抱える悩みは多岐にわたります。そこで今回は、株式会社PDCAの学校 代表の浅井隆志氏が、その原因と対策法について解説。本記事では、安定・成長している会社の特徴をもとに、社員の目線合わせをするためのポイントを語りました。
浅井隆志氏:それからもう1つ重要な観点です。新卒採用をしていただきたい。僕はコンサルタントとして、いろいろな企業さまを見てきて気づいたんです。成熟企業は、ほぼ新卒採用をしてる会社なんですね。全部とは言わないですが、その傾向が非常に強い。
それから、新卒で10年選手がゴロゴロちゃんと残っている会社さんは、やはり成熟・安定・成長してるんです。御社はどうですか? 新卒の10年、15年、20年選手がいるか・いないかどうか。「いや、まだうちの会社は中途採用しかしたことないよ」という企業さまであれば、まずは新卒採用を5年しっかりやってください。
採用を5年続けて、本当は社員数の半分ぐらいまでいきたいんですが、(新卒採用の割合が)3分の1ぐらいまでになった時に組織がガラッと変わります。採用の時には必ず社長が顔を出して、社長のカラー、社長の思い、社長の理念で採用していくことがすごく大事です。
社長を見て、社長に対してイエスな社員が3分の1を占めて、若くて活気があると会社は生まれ変わるんです。よく幹部社員にこれを言うんだけど、「やらないんですよ」「言い訳ばかりなんです」「なんなら批判してくる社員や幹部がいるんです」という状況だったら、新卒採用をして会社のカラーを変えちゃったほうがぜんぜん楽です。
早くて3年から5年で、社員の3分の1から半分ぐらいを新卒にしちゃう。これがすごくいいですね。もう“特効薬”です。時間はちょっとかかりますが、会社を変えていく一番確実な方法であると言えます。
行動しない幹部を行動させるにはどうすればいいのかというと、まずは目標管理を徹底していただきたい。目標はセクションごとに下ろしていくと思いますが、「何パーセント進捗している」というただの報告だけじゃなくて、「それに対して具体的に何をやってるのか?」という突っ込みを入れていただきたいです。
なので、行動計画の可視化・言語化、それを共有する場を設ける。会社の会議で進捗だけを聞いて「もっとやれ」と言うんじゃなくて、「達成するために何をやってるの? 達成するために先週は何やったの? 今週はどうするの?」ということをきちんと発表させて、それに対して指摘・アドバイスをしていく。会議の内容を見直すことも重要で、目標管理を軸にするべきですね。
それから「いやいや、それは私の役割じゃないので」という幹部や管理職がいるので、御社の役員、部長、課長の定義、課長は何をするべきなのか、何が役割なのか、何が責務なのか、何をして評価されるのかを明確に設定するべきですね。これは、等級制度や評価制度を刷新していくことが好ましい。
それから、そもそも「(部下を)育てろ」と言っても、正直多くの管理職はどう育てていいのかわからない。なので、育て方の指針を出す。もしくは、これはぜんぜん宣伝のつもりで言うわけではないんですが、管理職の人を育てるスキルや知識は、やはり勉強させないとわからないですよね。
プレイヤーの仕事は、ある程度自分で培ってきたものあると思いますが、プレイヤーの仕事とマネジメントはまったく別なので。今はいろんなものがありますから、手軽なeラーニングからうちみたいな体系的な学習、コンサルティング要素を入れた複数回の研修会や勉強会もあります。
社長がきちんと「管理職の育成はこうせよ」という指針を出して、教育計画を作らせる。できないんだったらアウトソースする。どちらかの判断かなと思っております。
あとは、目線を合わせて同じ温度感にしていく。上場企業さまからも「役員の温度感を合わせたい」というご相談はすごく多いですね。逆に言うと、上場会社などは、そこが重要だということをご理解いただいているわけですよね。
上から固めていくことによって、社員も一丸になっていく。上から固めていくためにも、まずは社長と幹部ががっちり握って一丸となる。幹部と管理職が一丸となる、管理職と社員が一丸となるというふうに、川上から攻めていくための施策を考えていかなければいけない。
社長の思い・役員の思いをメッセージとして発信する。メッセージとして発信しっぱなしじゃなくて、それを行動計画や目標管理にどう乗っけていくのかという、仕組みまで考えていく必要があるということです。
ざざっとお話しましたが、チェックリストをご用意いたしましたので、ぜひチェックいただきたいです。
まず、御社の事業計画を社員へ伝えきれてるかどうか。どうですか? よくこのお話をしますと「1年に1度、経営計画や経営方針の発表会や総会をやってます」と言いますが、1年に1度やっても、2週間ぐらいしたらたぶん社員は忘れます。
なので、幹部と管理職、管理職と一般社員の面談で、ビジョンや理念と事業計画を元にした目標管理や行動計画になっているかどうか(を確認して)、やらせることはすごく大事ですね。1度言ったら終わりではないです。ずっと定期的に定期的に、擦り込ませられるかどうかは非常に大事ですね。
あとは「私の役割ではない」「それ、私の責任じゃないです」ということをなくすためにも、部長の定義、課長の定義、それから社員に求める知識やスキル、体験、経験のスキルマップ・能力開発体系図をきちんと作る。
ちなみに能力開発体系図は、50名以上の企業さまだったら一応作らないといけない決まりになっていますので、必ずあるはずです。人事の方が体裁を整えるためササッと作ってるだけで、社長はひょっとしたら知らないかもしれない。
でも、実際それ(能力開発体系図)が会社のあるべき姿なので、社員に浸透させていくためにはどうするべきなのかも考えていく必要があるんですね。
それから、育成の目標管理も作るべきだと思うんですよ。業務や業績の目標ばかり追わないで、「1年後にAくんをどこまでのポジションにするのか。どういうことができるようにしていくのか」「今の課長を何年以内に部長に育てていくのか」という、社長の教育の方針や育成の方針、育成の計画も作る必要がある。
生産性向上や養成向上の目標管理も必要と、やることがいっぱいあるわけですね。ただこれは、言語化・可視化して、会社の文化やルールにしていかないと(社員は)動いていかない。「いいか。人を育てるのは大事だぞ」と言ったところでやらないので、会社のルールや文化とか、1つの仕組みにしていく必要があるんですよね。
大事なことを「やれー!」と1回言って、みんなやるのかと言ったら難しいので、「やれー!」と言ったら十二分に1人でできるまでは、横について一緒に伴走してあげる。
もしくは週に1回面談をするとか、きちんと報連相を受けて、それについてフィードバックをする取り組みも、社長自ら動いていただいたほうがよろしいんじゃないかなと思っております。
ちなみに僕はいろんな企業さんのコンサルティングさせていたいていますが、係長や課長レベル、いわゆる中間管理職を育てたいというご相談をよくいただくんですが、課長レベルの方を変えていただくためには、課長にもマネジメントを学んでいただく。それから、目標管理や業務管理を徹底していただく。
いろんなスキームを作るわけなんですが、社長自ら週に1回、2週間に1度、直接的にアドバイスをしてあげるのを何ヶ月間か続けるだけで、ガラっと変わります。幹部を変えていく、管理職を変えていくためには、社長がちゃんと改善してあげることがすごく大事なんですね。
注意点として、これもよくあるんですが「創業メンバーは必ずしもマネージャーに向くとは限らない」。ちょっと悲しい話なんですが、現実問題ありますね。
組織にはフェーズがあるわけですね。例えば、今見られてる方が創業メンバーや創業社長であれば、創業当時に必要なメンバーと、会社を成長させていくメンバーと、会社を成熟させていくメンバーは、実は必要なメンバーの資質がちょっと違うんです。
逆に言うと、創業・立ち上げの時に力技で数字を作っていくというと、ルール無視で何でもあり、とにかく数字を持ってくる野武士のような戦士、ソルジャーのようなメンバーが必要なんです。
成長段階や成熟段階になって、そういう人間にポジションがつくとマネジメント職になるんですが、ソルジャーが人を育てることできるかというと、だいたいできないんですよ。
逆に言うと、創業メンバーを部長にしちゃって「マネジメントはできないから」といって居場所がなくなっちゃったら、辞めちゃうケースもあるわけですね。だからきちんと適性を見極めて、できないんだったら1人部長や1人課長もぜんぜんありだと思います。
部下を持たずに役職だけあげて、「プレイヤーの仕事(だけ)でいいよ」というのは、大企業でもけっこうあるんですよ。プロフェッショナルを突き詰めるキャリアの設定の仕方と、人を育てるマネジメントのコースと、2つのキャリア設定をする。
これによって、事業や組織の移り変わりによって優秀な社員が残っていてくれたら戦力になるけど、「マネージャーにしたから居づらくさせてしまった」みたいなケースをなくせますので、キャリア設定もけっこう大事になってきます。このあたりはしっかり考えていただきたいです。
なんでもかんでも、とにかく全員を人を育てるマネージャーにするべきだというのは、僕たちは反対であるとお伝えさせていただきたいと思います。
今日の結論をお伝えします。組織として何をするべきなのかいうと、社員から上司にきちんと報告が上がる。これはルールとして決めるべきです。
日報でやるのか、対面で面談で上げるのか、その日の終わりに電話で報告をするのかをちゃんと決めてやらないと、人によってやったりやらなかったりします。情報の上がるスピードや精度が悪いと、絶対に組織成長にはつながりませんので、報告・連絡・相談は必ずルール・制度にするべきです。
それから管理職の方は、部下から上がってきたものについては必ずコメントをつけてフィードバックする。これもルールにしていただきたいですね。さらに、個人商店の集まりや属人化を解消して、組織にしていくためには、横軸で「何をやってるのか」という情報共有も必要です。
会議で数字の進捗を発表し合うだけじゃなくて、横軸で「先週、僕はこんなことをやって、この提案書がうまくいきました。回覧してください。どうですか? これがポイントなんです」という情報交換の場にしたほうが、会社の会議は生産的ですね。
こういった取り組みを、社長や幹部の方・経営者層の方が見て「管理職はどういうフィードバックしてるのかな」「どういうコメントをしてるのかな」と、ちゃんと見てあげる。「あの言い方はないよ」「あそこはもっとこう言ったほうがいいよ」という指導をしていかないと、指導能力は高まらないんですよ。
社長、経営者層と幹部の方が、部下たちの行動にしっかり介在をしていく。課長レベルの動きに介在していくことが重要です。
あらためて質問させていただきますが、幹部に言いたいことが言えてるかどうか。幹部が社長の代弁者になってるかどうか。「忙しい」という言い訳を許していないかどうか。繰り返しになりますが「辞められたら困る」という状況は、リーダーシップのパワーの源泉が緩んじゃいますので、早期に対策が必要です。
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