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2025.02.18
AIが「嘘のデータ」を返してしまう アルペンが生成AI導入で味わった失敗と、その教訓
ジョージ・ルーカス スピーチ(全1記事)
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ジョージ・ルーカス氏:インディ・ジョーンズは私がストーリーを書いてプロデュースしましたが、演出は私に似た別の男(スティーブン・スピルバーグ)によるものです。
(会場笑)
みなさんにふたつのお話をします。ひとつはテーブルを囲んで何度かお答えしたことがあるので、みなさんと共有すべきだと思っています。現在の私がどうやってここまで来たのかということです。
高校生のとき、私はとても成績が悪く学校が嫌いでした。ものづくりが好きで、木工や車、エンジンを好み、外車サービスで働いていました。カーレースをすることだけを望んでいました。
卒業の直前に自動車事故に遭い、生死をさまよいました。長期間入院することになり、そこでこの世界の中での自分の居場所はどこかと考えました。それで新たな学問に挑戦することを決めました。ジュニアカレッジでは成績が悪かったのですが、社会科学や人文学、人類学や心理学に夢中になり、突然自分が没頭できるものを見つけたのです。それで成績も非常に良くなりました。
大学を卒業するまであと2年となったとき、人類学の単位を取ろうとしていました。4歳のときからの幼なじみである親友に、南カリフォルニア大学(USC)に入るにはテストを受けなければいけないと言われました。
私はひとりでは受けたくなかったので、親友を誘うとOKをもらい、一緒に受けました。受かるとは思っていませんでしたが、合格しました。USCへの入学を認められたのです。そこで親友に「これから何をすればいいかな。人類学以外のことはやりたくないんだけど」と尋ねました。
すると「本当はアートセンターに行って、アーティストになりたいんだろ? 人類学は君の第二希望だ」と言われました。彼の言うとおり、私はアーティストに、フォトグラファーになりたかったのです。写真についてたくさん勉強してきましたし、イラストレーターにもなりたかったのです。
父には「この家系にアーティストはいないぞ。それで生計を立てるのはやっかいなことだし、もしアーティストになりたいなら自分で金を工面しないといけない」と言われました。父は、私にはそんな気はないということを十分承知していたのです。
単位は取れましたが、依然として成績は良くありませんでした。
USCにはフォトグラフィーの良い学部があると聞き、それは良いと思いました。それで実際に行ってみたのですが、それはフォトグラフィーの学部ではなく、シネマトグラフィーの学部でした。つまり、映画の作り方を学ぶのです。大学に行って映画の作り方を学ぶなんて、ばかげていると思いました。
私は幼いころ、映画やテレビに興味を持っていましたが、映画については何も知りませんでした。最初の学期には、スペイン語や科学などたくさんの課題を出されました。2つのクラスを取っていて、ひとつは映画史のクラスでした。
私は映画館がひとつしかない小さな町で育ったので、そんなに多くの映画は観ていませんでした。テレビを買ってもらったのは10歳のときでした。その時代に映画史のクラスを取っていて良かったと思うことのひとつは、授業で映画を観ることができたということです。
現代社会の素晴らしい点は、既存の映画を簡単に手に入れられることです。それを観ることができて、特典映像まで付いているものもあります。それでどうやって撮影されたのかを知ることができるのです。
このように、私はそれまで何も知らなかった映画について学びました。特に映画史のクラスで素晴らしい映画を観ることができました。
アニメーション製作の授業では、1分間ムービーを作らされました。カメラを回して、説明に沿って左右に、上下に動かしなさいという感じでした。その1分間ムービーを作るという課題に対して、私は静止写真を用いたり、コラージュを作ったりして、アニメーションとはまったく違うものにして。サウンドトラックも付けました。
教授は、それに信じられないくらい感銘を受けてくれました。学部のみんなに見せて、47の映画祭に出品されました。
「なんだ、おれだってできるじゃないか。ここにいる誰よりも優秀なんじゃないか」と思いました。
(会場笑)
「これが好きだ。人生を通してやっていきたい」と思いました。私はラッキーでした。情熱を捧げられる道を見つけることができたのです。その前まではアーティストになりたい、車を作りたい、なにかを創作したいと思っていました。また人類学が好きで、社会科学に強い興味を持っていました。人がなぜ行動するのかということや、人類はどこから来たのかということを知りたかったのです。神話学も好きでした。
しかし数年後、映画を作る学校に行き、夢中になりました。そこで気づいたのは、私は自分が本当に興味のあるものを追いかけてきたのだということです。愛や情熱を持てるものです。車や人類学、アート、写真など情熱に従い続けてきました。
そしてついにもっとも情熱を捧げられる映画づくりに導かれました。そこには私の好きなもの全てが集約されています。
もし人類学の方向に進んでいたとしても、おそらくニューギニアかどこかで人類学の映画を撮っていたと思いますし、ナショナルジオグラフィックやヒストリーチャンネル向けの映像を撮っていたかもしれません。
もしイラストレーターになっていたとしても、アニメ映画を作ったりして、結局はいまと同じところに行き着いていたはずです。
つまり自分の興味のある分野であればどんな道を選んでいたとしても、同じところにたどり着いていたと思うのです。
もし父が望んだように、オフィス機器の仕事を嫌々ながら選んでいたら、私の人生は良いものにはならなかったでしょう。
重要なのは、友人が考えた道を進まないことです。親や先生がすべきだと思った道にも、進むべきではありません。自分の中にあることをやるのです。
映画の学校に行くなんてばかげていると思っていました。そこの出身者で映画の仕事に就けた人なんてだれもいなかったのです。ディズニーランドに連れて行かれるようなものです。
(会場笑)
なんでそんなことをやるんだ、専攻を変えて仕事を得た方がいいんじゃないかと思いました。しかし、一旦ハマってしまうと戻りたいとは思いませんでした。映画ビジネスにつながるチャンスなど特にありませんでしたが。
卒業してサンフランシスコに戻ったときも同様でした。「自分たちで映画なんか作れない」「ばかげている」「こういう映画は好きじゃない」「もっと違う映画が作りたい」と。でも、実際に失敗することはありませんでした。なんとかサンフランシスコでやっていくことができたのです。
長くなりましたが、これが今日の私に至る経緯です。
もうひとつの話は、他のスピーカーの方もお話していましたが、幸せについてです。
これまで生きてきて気づいたのは、幸せには2種類あるということです。それはPleasureとJoyです。
Pleasureは短命で、1分や1時間、1カ月くらいしか持ちません。ピークは低くなったり、とても高くなったりします。次に同じピークに達するには、2倍努力をしなければなりません。ドラッグのようなもので、やり続けなければ消えてしまうのです。ショッピングでも何でもPleasureの質は同じなのです。
一方Joyは、感情の反応という意味ではPleasureほど高くはなりません。しかし継続し、呼び起こすことができるのです。Pleasureではできません。Pleasureほど強力ではなくとも、長く続くのです。
Pleasureを得た人は、もっと金持ちになりたい、もっと車が欲しいと言い続け、最初に車を手にした瞬間を追体験することはできません。それだけなのです。それがピークなのです。
3機か4機の新しいガルフ・ストリームジェットを手に入れたら、近づけるかもしれませんが、それをやり続けなければいけません。そしてついには資金を使い果たしてしまいます。そんなことはできません。Pleasureのピークを維持し続けようとすれば破滅するのです。
Joyは永続します。Pleasureは純粋に自己中心的な考えです。すべて自分自身に関するPleasureで、利己的な感情です、貪欲という自己中心的な動機から作られます。
Joyは共感です。他の人やモノに対して、自分を捧げるのです。継続することによって、Pleasureよりもずっとパワフルになります。Pleasureにこだわっていれば破滅しますが、Joyを追いかければ永続する幸せを見つけることができるでしょう。
これで私の話は終わりです。バイバイ。ありがとう。
(拍手)
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