カルチャーフィットが最優先--将来を担う人材の選び方

注目若手経営者が語るビジョンと経営 #5/5

IVS 2015 Spring Miyazaki
に開催
IVS 2015 Springの本セッションにアカツキ・塩田元規氏、freee・佐々木大輔氏、ラクスル松本恭攝氏、ランサーズ・秋好陽介氏の若手経営者4名が登壇。モデレーターを務めるグリー・田中良和氏の進行で「若手経営者が語るビジョンと経営」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、「外部資本の取り入れ方」や「社内の不満分子への対処法」「ミドルマネジメント層の育成」など、会場の参加者からの質問に回答しました。

ベンチャーキャピタルは都市伝説だと思っていた

田中良和氏(以下、田中):私のほうで用意したQ&Aは以上になりますが、せっかくなので会場の皆さんからQ&Aをお願いしたいと思っています。聞きたいことある人がいらっしゃいましたらお願いします。

質問者:ラクスルの松本さんに質問です。創業されてから初めての資金調達までの間に、3年弱ぐらいのお時間があったと思うんですけど、いろんな試行錯誤をされた上で調達をしてアクセルを踏んでいったように思うんですが、そのときにどういう試行錯誤をして、どういう意識転換があって、外部資金を受け入れて進んでいったのかというのを、もう少し詳細にお聞きできたらいいなと思います。

松本恭攝氏(以下、松本):ありがとうございます。実は会社をつくって6ヵ月目ぐらいに家賃を払えなくなったタイミングで、先輩に少しエンジェル出資をしてもらうっていうのはやっていたので、初めてではなかったんですね。「こいつ食えなさそうだから、ちゃんと食わせてやらないと」っていうエンジェル出資は受けていて。

今とその頃の一番大きな違いは、そもそもベンチャーキャピタルっていうものは本当に都市伝説だと思ってたんですね。2009年に会社をつくったんですが「ベンチャーキャピタルっていうのが昔あったらしいよ」みたいな。

「でもそんなのいないよね」「会ったことないよね」みたいな時代背景があったので、意図的にベンチャーキャピタルの資本を受け入れなかったということではないんですよね。

当時は黒字化をしていたので、回るといえば回るし、毎日楽しいし、すごく頑張って働いているし、「まぁ、いいかな」って思っていたところがあるのと同時に、そもそもベンチャーキャピタルがいなかったっていうところが結構大きいです。

2011年の末ぐらいに、ちょうどnanapiがグロービスから3.3億円の資金調達をするっていうことがあったんです。

今でこそ3.3億円くらいの資金調達はTechCrunchを見るとよく載ってますけど、当時はもう本当に「えっ?ベンチャーキャピタルってやっぱりいたんだ!」みたいな、「ツチノコいたんだ!」ぐらいの驚きを持ってそういうニュースが流れて(笑)。そこからベンチャーキャピタルがだいぶ復活して、結構周りでもそういう話が出てきて。

やっぱり、周りが外部資本を使った成長を試みようとし始めて、初めて自分も「そういう方法もあるんだ」と思って、もう1段伸ばしたいと思っていたときにちょうどお話を始めたっていう流れだったので、結構外部の環境が大きかったのかなと思います。

質問者:ありがとうございます。

田中:他にご質問ある方、お願いします。

社内に不満分子が出たときの対処法

質問者:どなたでもお答えいただける方にお願いしたいんですけれども、だいたいスタッフが100人ぐらいになると「2-6-2の法則」なんて言いますけど、中には不満分子が出てきたり、当初優秀だと思っていたけど仕事ができない人が出てきたりすると思うんですね。

そういった2割ぐらいの人たちに対しては、どういう対処をされていてるかっていうことをお伺いしたいです。

田中:じゃあ、塩田さん。不満分子について。

塩田元規氏(以下、塩田):基本的にはカルチャーマネジメントを徹底していればそういう人は自分から進んで去るという認識でして、僕たちは自分たちの考えと合わない人にはすごく居心地の悪い環境をつくっていると思います。

例えば、むちゃくちゃコミュニケーションを大切にするので、3ヵ月に1回は合宿に行くし、1年に1回は3泊4日で沖縄へ行くし、月に1回は家族も呼んでパーティーするしっていうのをやり続けてるんですけど、コミュニケーション嫌いっていう人はいるんですよね。そういう人は、不満分子っていうよりは普通に去っていきます。

それは「カルチャーが違うからしょうがないよね」っていうことなので、その人たちが「他の不満分子こっちに来いよ」みたいに、残りの6を引っ張るっていうことはほとんど起こってないです。起こってない理由は、採用のフィルターをしっかりかけているからだと思っています。

1回採用のときにカルチャーチェックせずにミスって、グググッと引っ張られたフェーズがあったんですけど、そういう人を採らないというふうにある程度見極めていると大丈夫なんじゃないかと。今のところはうまくいっています。

田中:ありがとうございました。じゃあ、そちらの方。

能力よりもカルチャーフィットが大事

質問者:今ミドルマネジメントという話も出ましたが、ちょうどもうすぐ社員が30人ぐらいになるというフェーズなんですけれども、まさにミドルマネジメントをつくっていくというのが課題になっているところです。

お聞きしたいのが、ミドルマネジメント層をそもそも中で育てたのか、外から引っ張ってきたのかということと、もし中で育てたんだとしたら、引き上げるタイミングで何か教育したり意識付けしたことがあったかということをお伺いしたいなと思います。

田中:これは秋好さん、お願いします。

秋好陽介氏(以下、秋好):僕も30人ぐらいのときに、同じように1回失敗した経験があって、僕もカルチャーフィットって本当に心から大事だと思っています。カルチャーフィットの最たるものは「誰を経営幹部に選ぶか」だと思うんですよね。

僕が失敗したのは、ちょうど30人ぐらいのときに「能力があるから経営幹部に選ぶ」っていう方法と「カルチャーフィットするから経営幹部に選ぶ」っていう方法があると思うんですけど、能力のほうを選んでしまったんですよ。

部長をやってたからとか、エンジニアとして超イケてるとか、営業ができるからっていう観点で選ぶと、やっぱりフィットしなくなって。言葉は悪いですけど派閥っぽくなっちゃうというか、それでうまくいかなかったんですよね。

そこで、能力とマインド両方ある方がもちろんいいんですけど、どちらかというとマインドだって決めて、それ以降経営幹部はそういう指針で選んでいます。

そういうミドルをどうやって連れてきたかというと、やっぱり比率でいうと後から入ってきた人のほうが多いですね。ただ、中にいる人でマネジメントのポテンシャルを持っている人は引き上げています。

やっぱりマネジメントってトップから教えるよりも、横のつながりで覚えるっていうのがランサーズではうまくいったなって思っていて。後から入ってきた部長と引き上げた部長でマネジメントをテーマに定例でミーティングをしたりして、ポテンシャルで引き上げた人の教育をしていくっていうようなスタイルで今はやっています。

田中:ありがとうございました。じゃあ最後、もう1人ぐらい。そちらの方お願いします。

バックグラウンドが優秀な人に過度な期待をしない

質問者:皆さんの会社が急成長されていく中で、どんどん優秀な人材が採れていると思うんですが、既存のメンバーがいる中で優秀な人材が入ってきたときの、優秀なメンバーと既存のメンバーのポジションのバランスについてお伺いしたいです。

例えば部長職でしたら、今いるメンバーよりも優秀な人間を採れたときにその人をいつ部長より上にするかとか、その辺りのバランスをどう取って優秀な人材を活用できているかぜひ聞かせてください。

田中:じゃあ、佐々木さん。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):うちの場合は100人になってもまだ明確に部長職とかっていうのは設けていないので、今のところはマネジメントチームにいる人とそれ以外っていう感じのレイヤーしかないんですね。なので、あまりそこは厳密にはやっていないんですけれども、実は後から入ってきた人が優秀かというと、必ずしもそうじゃないケースが多いんですよね。

やっぱりスタートアップって自分たちのやってることが新しいので、必ずしも前の会社のスキルが活きるわけではないケースが多いんですね。

その前提に立つと、「よし、新しいことにどんどん挑戦していこう」っていう人と、「ちょっとスキルはあります、実績もあります」っていう人が一緒に入ってきたときにどっちが成長が早いかというと、意外と全く何も知らないまま突っ走ってきた人のほうがそのまま突っ走れて速いみたいなことが結構あるんですね。

なので、新しく入ってきてバックグラウンドが優秀な人に過度に期待しないこと。期待しないというか、下駄を履かせないということに気をつけていますね。

ただやっぱり、外から持ってくるスキルの中でもピープルマネジメントスキルは結構重要なんじゃないかなと思っています。どれだけ人と腹を割って話したことがあるか。プライベートも含めて信頼関係を築けるかっていうのは結構場数が重要だなと思っているので、ピープルマネージャーにできる人かどうかというのは結構そこを考えて、見て採用するようにはしています。

日本のスタートアップに新しい事例をつくりたい

田中:じゃあ時間になってきましたので、皆さんに一言ずついただいて終わりたいと思います。今日の感想をぜひお願いします。

塩田:僕も今日聞いていて、勉強になりました。ありがとうございました。僕たちの会社もまだまだこれからなので、もっと皆さんに胸を張れるように引き続き頑張っていきますので応援よろしくお願いします。ありがとうございました。

佐々木:僕も同じように聞いていてとても参考になったので、この後もっとさらに伺いたいなみたいなことがいっぱいありました(笑)。

でもそういった形で僕たちも事業のコンセプトというか、「新しいことやっていきたいよね」っていう思いで、その中でも日本のスタートアップ業界の中に新しい事例だとかそういったものをつくっていって、皆さんの参考になるような動きができればなと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

松本:全く同じ感想なんですけど(笑)。私は2009年に会社を始めたんですけど、気づいたら当時一緒に始めた仲間たちがみんな富豪になっていなくなってしまったみたいなところがあって、なかなか相談相手がいなかったんですけど、今日はすごい参考になって、新しい相談相手が見つかってよかったなと思っております(笑)。

こういう形で、いいことだけじゃなくて困ってることの共有がもっともっと進むと、会社の経営ってよりよくなるんじゃないのかなと今日思いました。どうもありがとうございました。

秋好:僕はお話を聞いていて、「みんな似てるな」ってすごい思ったんですよね。資金調達の件とか、社員に対する考え方とか。まあ同世代っていうのもあると思うんですけど、なんか手堅い人が多いというか。そこの共通点から醸し出されるものがあるんだなと思いました。

僕らの事業でいうと、IPOみたいな話もありましたけども、クラウドソーシングって20~30年かけてつくっていくものだと思っているので、その目線で一歩一歩やっていきたいなと思いました。ありがとうございました。

田中:今回のセッションの題名が「注目の若手経営者~」というところで、私も会社を始めた頃は若手若手と言われてたんですけども、もう全く若手じゃないと……。モデレーター側に回っている自分を感じたということはあるんですけれども(笑)。

やはり皆さん、細かい理屈がどうというよりも、すごい悩まれて真剣に経営しているんだなということが僕にも伝わってきました。

ここにいらっしゃる方も、社長として経営者として、当然理屈が大事なこともあるんですけども、やっぱり自分が悩んで一生懸命経営して、会社や事業を成長させることにコミットするのが大事だということが伝わるのが一番重要だと思っていますので。

そういうことが伝わったいいセッションだったと思います。最後に皆さんで拍手をお願いします。ありがとうございました。

(会場拍手)

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