2024.12.10
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テーマ「育休退園めぐる問題 一部原告の在園継続」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):三輪さん、テーマの発表お願いします。
三輪記子氏(以下、三輪):「育休退園めぐる問題 一部原告の在園継続」
脊山麻理子氏(以下、脊山):保育園の「育休退園」をめぐる埼玉県所沢市の新方針は違法だとして今年6月、提訴した原告団のうち、退園するはずだった園児2人の通園の継続を市が認めていたことが分かりました。2人の保護者は訴えを取り下げる方針です。
堀:「育休退園とは」ですが。所沢市が待機児童を減らす対策のひとつとして、お二人目の子どもの産休、育休中、上のお子さんが0歳から2歳の場合は、保育園を退園しなければならないという制度です。
ちなみに、先月末原告団に加わっていない9人の園児は退園しているということで。原告代理人の弁護士は「市の継続認定が訴えを取り下げさせるためのものだとしたら、極めて遺憾だ」とコメント。所沢市は「理由は明らかにできない」としているということです。
堀:さぁ、この問題。どのように三輪さんは。
三輪:まず、訴える権利があっても、その権利を行使するかどうかっていうのは個人の自由なので、この「2人目で育休を取った人は退園します」っていう制度について、適用を受ける人でも、この裁判に一緒に原告になるかどうかっていうのは、全然別なんですよね。
だから、同じ状況にあっても、訴えるかどうかは、その人個人の自由なんでね。訴えてない人もいるということなんです。それが前提なんですけど。
今回、一部原告、要するに「行政の所沢市の対応はおかしい」というふうに声を上げた人のうち一部が認められたんですよ。2人目、本当だったら適用されるはずなのに、退園しなくてもいいというようなことが認められた人が一部いるわけですよ。その人にとっては、とりあえず良かったのかもしれないんですけど、状況は実は変わってなくて。訴えを取り下げざるを得ないんですよ。
というのは、その人にとっては訴えたって、救済してほしい状況がなくなったわけですから、そうしたら訴えを取り下げざるを得ないんですよね。そもそも、請求が裁判所では認められませんから。
何が問題かというと、同一条件の元では、同一の行政給付を受けられないっていうことになると、それは不平等なんですよね。
堀:そりゃ、そうですよ。結局、声の強い人は権利が保護されて、我慢した人は権利が保障されないってことですもんね。
三輪:子どもを産んだばっかりの人に対して、一方では「あなた訴えたから、訴え取り下げてほしいから」
堀:負担が大変ですよ。
三輪:いろんな事情があるじゃないですか。どう考えても。これ、本当は訴えたいけど、訴えるような余裕がないから訴えてない人もいると思うし、事情はいろいろだけど。訴えた人の訴えを取り下げさせるために所沢市が一部の人に対してだけ、通園を認めてあげたとしたら、それ、本当に不平等ですよね。
堀:それをやるんだったら、制度を改革して、適用を見直すということをやるべきですよね。
堀:でも、「コメントする立場にない」というようなことで、あんまり正面から市民と向き合ってないですよね。この問題に関しては。
三輪:理由は、個人情報が云々とか言うと思うんですけど。そもそもの問題は、訴えさせるような状況があっちゃいけないわけですよ。訴えなくてもいいように、子どもを産みやすくしてほしいなっていうのがあって。
そもそも、どういう法律に違反して訴えてるかというと、「子ども・子育て支援法」っていう法律があるんですよ。長い法律で、1条だけ書いたんですけどね。目的ってところに掲げられてるのは、「この法律は、我が国における急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に鑑みて……」と定められているんですよ。
保育園に行ける条件について定めたりとかしてて。あと、保育料のこととかもいろいろ定めてあるんですけどね。この法律の目的に鑑みると、司法的に裁判所に訴えないと保育園にずっと通わせてあげることができないような状況を作ること自体が。
堀:おかしいと。
三輪:そうなんですよ。法の目的に反してるから、その辺を「遺憾だ」というコメントが出てることだと思うんですよね。
「急に妊婦になったから、こういうことを言うな」っていうふうに思われる方もいるかもしれないですけど。
堀:いないです、いないです。実感値が高まる。
三輪:実感がすごいあって。わけわかんないことなんですよ。私、今初めて妊娠してますけど、「一生のうち何回妊娠するねん!」って話じゃないですか。10回も20回もないけれども、それでも人生の中で大きなことだし。
子どもを産まないから、それこそ少子化がどんどん今進んでいるわけじゃないですか。
法を運用する人、行政側が、全然思い至ってないんだなと。だから、法律があったとしても、行政側がそれを適切に運用しないと全く意味がないんですよ。絵に描いた餅なんですよ。
堀:行政マンたちのスキルが変われば変わる話なのか、それとも構造的に問題があるのか。
三輪:私、ひとつ思うのは、この問題に限らず、日本全体を通して、このあと東芝の話もあると思うんですけど「行政権」っていうのが、すごく大きいと思うんですよ。行政権が何でも自分たちの好き勝手にやれるみたいなところがすごく強くて、だから法律っていうのが軽視されたりとか、絵に描いた餅になってるていう部分があると、私は共通の問題だと思ってます。
堀:なるほど。その行政権っていうのが意外と市民の窓口のところにすごく強いものを持っていたりしますよね。
ありがとうございました。
三輪:ありがとうございます。
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