社会人1、2年目が大きな分かれ道

質問者:さきほど視点を高く持つっていう話があったんですけど。自分から考えてみると、視点を常に高く持つってかなり難しいことだなっていう気がしていて。1回失敗してしまうと、なんかちょっと小さく留まってしまうというか。下見ても、とりあえずこれぐらいでいいかっていう気になってしまいそうな気がするんですけど。常に例えば日本を舞台にするとか、世界を舞台にするっていう視点を高く持つことの秘訣というか。実践してきたこととかってありますか?

曽山:視点ってやっぱりすごく大事で。視点上げ下げ競争があるんですよ。常に視点って下がっちゃうんですね、人って。弱いから。なので、基本的に視点って下がっていくものなんですよ。特に社会人1、2年目が一番同世代ってブワーッって分かれていくんですね。すごい視点が高いままの奴と。ボロボロと大企業の歯車になっていく連中と、面白いように分かれていくんですよ。

ぜひみんなは視点を高くして欲しいので、何やるかっていうと。今度は視点高いやつと付き合うしかない。もうこれしかないんですよ。結局、最後は人で刺激を受けるしかないんで。よっぽどね、自分で考えてやっていくこともできる、そういう人もいるかもしれないけど。

僕が人事で8年間色々な人見てきて、視点を高く維持し続けている人。少なくとも僕、サイバーエージェント99年に入っているので、14年くらいネット業界ずっと見ていますけど。はっきり言ってネットの経営者とかでもボロボロ視点が下がって、いなくなっちゃう人たくさんいるんですよ。経営者でもね。

なので社員とかでも、もちろん同じですけど。やっぱり視点が高い人っていうのは、高い人と付き合っている。あとなんか僕が見ていて思うのは、悪口言わない人と付き合うっていうの結構大事にしてますね。悪口って結局、目線が下なので。常に攻めるほうの対応をしている人と付き合っていくのがオススメですね。僕の考えは。

「死んでも馬刺しにはならない」

小林:どうですか?

赤川:そうですね、視点にも関係するんですけど。僕は意識しているのは失敗しても死なないだろうなっていうのは常に言い聞かせていますね。それってやっぱり日本の社会システムが生み出した今までの人類の財産だと思うんですけど。やっぱり、それこそ明治維新の頃とか、迂闊なこと言うと新撰組にやられたりするわけじゃないですか。今あんまり新撰組いないですよね。同様にたぶん、今この瞬間アフリカとかインドとかってなんとか成功するぞっていう連中って、ほんとに失敗したら何もかも失う可能性がある中でチャレンジしているんですけど。

この日本に生まれると大抵のことやっても、ほぼ死なないですよね。なので、そういうマインドでチャレンジを続けるということと、その時にこのぐらいなら大丈夫だろう思えるような過去のどでかい失敗をこう積んだほうが、せいぜい転けてもあれほどやばくないだろうみたいな感情になれるっていうのがあると思っていて。そのためにもいっぱい経験したほうがいいかなっていうのが僕が思っていることですね。

なので、そういうマインドでチャレンジを続けるということと、そのときに、このぐらいなら大丈夫だろうと思えるような、過去のどでかい失敗を積んだほうが、せいぜいこけても、あれほどやばくないだろうみたいな感情になれるっていうのがあると思っていて。そのためにもいっぱい経験したほうがいいかなっていうのが僕が思っていることですね。

荒木:僕も赤川さんとまったく同じで。とりあえず失敗はしとけばいいというか。慣れるので。慣れるからしておいたほうがいいっていう。僕も死なないっていうのはすごい自分のコンセプトにしていて。

小林:コンセプトですか?

曽山:でも、死なないよと。

荒木:死なないんですよ。ビジネスなんて所詮、死なないですよ。あと、これ会社でもよく言うんですけど。うちの会社内で勝手な課題図書っていうのがあって。マンガなんですけど、『サンクチュアリ』っていうのと『野望の王国』と、『逆境ナイン』っていうのがあるんですけど。

赤川:最後がいいですね。

曽山:濃いなあ。

荒木:サンクチュアリーっていうのはね、読んだことある方いなかったらぜひ読んだほうがいいと思うんですけど。話としては、なんか親友のふたりが、ふたりとも東大生なんだけど。ひとりはやくざの道、裏の世界から日本のてっぺんを目指すみたいな。ひとりは表の世界から世界のてっぺんを目指すみたいな感じの熱い話なんですけど。

それを見るとですね、とりあえずこのビジネスで失敗しても撃たれないしな、殺されないしなっていう感じが身についてですね。よく社内でも、このサンクチュアリーの浅見っていう奴に比べれば俺の環境まだ楽だっていう話で、いつも相対化しているっていうのはありますね。

赤川:うん。いや、でもなんか僕も含めて、偉そうに喋っていますけど。すっごいいっぱい失敗しているんですよ。多分、荒木さんも、彼がいかに色んな失敗しているか、僕もよく知っているんですけど。

一同:(笑)。

赤川:このふたり、ガンガン失敗しているんですよ。

曽山:こういう人、みんな失敗しているでしょうね。

太田垣:そうですね。みなさん言われたことって、mixiの朝倉さんでしたっけ? 「人間死んでも馬刺しにならない」っていう名言があるんですけど。そういう話だと思うんですけど。

曽山:元々朝倉さんジョッキーですからね。

太田垣:冷静に、失敗して何を失うんだっていうのを考えれば、ほとんどそんなものはない人がほとんどだと思うんですね。この国において。この日本において。同じこと喋っても面白くないので、もう一つの観点をお話すると。やっぱり人っていうのと、あと情報だと思っています。ほんとみなさん、最初の赤川の話じゃないですけど。恵まれた時代にいらっしゃると思っていて。まあ我々もそれを享受しているわけですけれども。

それこそこの前、例えばLinkedInってご存じの方も多いと思うんですけど。最初の資金調達の資料がもうネットで公開されちゃうわけですよ。もうそれで彼らは最初の資金を得たんですけど。私の会社もいま資金調達を動いていたりして、やっぱりそういうのを読むわけですよ。全然レベルが違うと。こんな世界レベルでこんな資料作っている、我々と同じ資料を作っているんだと。

速攻で深夜、私読みながら、あのボードの共有の場があるんですけども。そこにこういう観点で我々も書くべきだよね、みたいな。そういうことができる時代だと思っていて。周りをちょっとこう見渡せば、いくらでもすごい事例ってふんだんにあって。取り出せる時代なので。それをいかに行動、実践に結びつけるかっていうところだと思いますね。はい。

追い詰められたら、開き直るべし

質問者:楽しいことに注目するのって私もそうで、心が突き動かされるほうをいつも選んできているんですけど。楽しいことを一生懸命やっていると楽しくなくなる時があるんですよ。っていうのは、余計な垢がついてきちゃって、なんかもうウンザリしちゃうというか。楽しいはずが楽しくないみたいな。負の連鎖みたいなのに陥ってしまう時があって。それってなんかこう、どう保ちますか? それを続けますか、切りますか? それともまた持ち直すために、何か意識していることとかがありますか?

太田垣:ちょっと私、イメージがつかなかった。例えばどういう……。

小林:具体的にどういうシーンで感じるんですか?

質問者:すごい個人的な話になっちゃうんですけど。

小林:どうぞどうぞ。

質問者:いま慶応の休学費がすごい高くって。それを下げたいっていう活動をしていて、それによって生徒の選択肢が広がりますよっていうのを言っているんですけど。

荒木:いいじゃないですか。

小林:いいじゃないですか。素晴らしい。

質問者:なんかそれをやっていたら、今度もっと行政とかに訴えていけばいいんじゃないかとかっていう方向にいきなり走り出してしまって。それ違うとか思っているんですけど。どんどん勝手に転がっていってしまったり。

曽山:うんうん。なるほど。

質問者:最初のイメージしていた楽しい、なんかワクワクするやりたいこととはちょっと違うのかなと思っていて。いま戻しそうとしているんですよ、方向を。でも、なんだろう? そっちに賛成派の人とかがどんどんついてしまったりとか。なんだろう、具体的に言うとそんな感じなんですけど。変に垢がついちゃって、こうなんか違うのにって思うことを修正できないときとか。

小林:でも、組織ってそういうのってありますよね。

曽山:まさに、会社組織でもよくある。

赤川:そうですね。

小林:会社組織でも典型的なパターンですよね。会社の戦略どうするのっていう話で、それ違うよっていうのをね、色々議論したりすると思うんですけどね。どうですかね?

赤川:やっぱり仕事って、まあ僕退屈嫌いとか言ってますけど。やっぱりそんなに全部が全部、楽しいことじゃないんですよ。結構、地道なこととか。正直、結構しんどいこともたたあるんですよね。やっぱりそういう時に、でもこれをやった先にある快感とか。世界観、見える世界とかをやっぱり想像できるから頑張れるっていうのはあると思っていて。我々特にインターネットのビジネスをやっているので、ネットビジネスをやっていると自分達のサービスを世に出すっていう瞬間を1回味わっちゃうと。まさに麻薬のようなこう気持ちよさがあって。

僕、ヤフーモバゲーっていうサービスを起ち上げた時に、23時55分にチーム全員でパソコンの前で集まってやったことは。F5連打するんですよ。更新ボタン。で、24時になった時にパット出るわけですよ。もうそん時のカッみたいなのを味わうと、やっぱりもう戻れないですよね。で、その直後に今度は色々な障害が起こったりとか。すぐKPI見えるので、ユーザーの反応が見えたりとかして。今度はそれに対応したりしてみたいな感じになるんですけど。

一同:(笑)。

赤川:やっぱりこう1回味わっちゃうと、そのために今のしんどい時期も頑張れるみたいなのはあると思っていて。それをイメージする、あるいは体験するといいのかなと思います。

質問者:ありがとうございます。

荒木:なんかその話聞いていて、若干僕、理解できなかったのが。

質問者:はい。

荒木:休学費を下げるという目的に対してやろうとしているのか。特定の手段、学校に働きかけてなんとかするっていうのをやりたいのかどっちなのかと。それは休学費を下げるっていうのが本当に目的で、それをやるために行政に働きかけたほうがいいのであれば、別に手段を問わず僕はやるべきだと思うし。

質問者:あー、なるほど。

荒木:それは別に楽しかろうが楽しくなかろうが、その休学費を下げたいって決めた以上はそれが達成できるように頑張るのがいいんじゃないですかと思います。

質問者:あんまり事を大袈裟にしたくないっていうのがあって。私はあくまでも慶応の学生の一員なので。そんな変にフューチャーされちゃう、なんかこう悪いイメージみたいなのがつくようなことはしたくないし。それって違うんじゃないのって、私達にできる範囲でやろうよっていう感じのスタンスだったんですけど。ちょっと違うかなっていう。

荒木:方向性の不一致が出てきちゃったんですね。

質問者:そうですね。

太田垣:多分その、言ってしまうとプロジェクトの上手くいかない典型みたいなのに陥っているんだと思うんですけども。やっぱりその何が目的で、どういう手段でっていうところのチームが納得するしないっていうところで、納得しないチームからできるものってクソなものしかないと思っていて。本当に。

佐藤:はい。

太田垣:そんなチームから出来るゲームはクソゲーだし。と思っているんですね。そこはやっぱり私もまだまだ修行中というか、常に自分の能力を磨き続けないといけないと思ってやっていますけど。やっぱりどうチームでビジョンを共有して、納得するかっていうのもありますし。あとやっぱりもうひとつ大事なのは、えいやで決めて進めるっていうところもすごく大事だと思っていて。

なんかもう最終的にロジックとか無くなるわけですよ。これがやりたいんだと。これが正しい気がするんだと。これが面白い気がするんだと。というところをやって行って場数踏んで強くするしかないのかなと思っていて。そこにどうしても納得できないのであれば、もうチームから降りてくれと。というのも含めてやっていかないと、すごいものは生み出せないと思ってやっていますね。

質問者:はい、ありがとうございます。

曽山:楽しくやることが一番なのか。休学費を下げることが一番なのか。いま答えなくていいんですけど。どっちなんだっていうのを決めることが多分、あなたの人生にすごい大事で。

質問者:はい。

曽山:仲良く動くことが大事なんだったら、仲良しサークル的に「こういう試みをやっていることってチャレンジングでいいよね」これも悪くないわけですよ。別にそういうことを選んでいるわけだから。だけど、絶対意味もあるし、絶対下げるんだと決めたら、もうそこに楽しさと苦しさが同居すること覚悟しなきゃいけなくて。どっちかを人生で選ぶべきだと思う。どうなんだろう?

質問者:私は慶応の中でもSFCっていう学部に行っていて。あのSFCって。

荒木:俺、SFCですよ。

赤川:同級生です。

質問者:すごい色んなことができるじゃないですか、SFCって。なのにそれを活用し切っていない人達がすごいもったいないと思っていて。私は1年生で研究会にもう入って、バリバリ色々なことをやって楽しんでいる一方で、周りが楽しんでいないっていう状況にすごく問題意識を持っていて。それを同時に解決できていたんですね。例えば調査とかで、人をこういうところをやろうよ、っていうことを言って、すごく共感してくれて。一緒に調査をワクワク楽しんでいる姿を見るのが好きだったんですよ。なのにそれが今は違うとか。でも、目標を達成するためにはちょっと手段を選ばなきゃいけないのかとか。結構葛藤が生まれていて。

曽山:葛藤あるよね。

小林:でも、これって多分個人的な相談みたいになってきているんですけど。

質問者:すみません。

小林:実は自分の身の周りのことに矛盾ってあると思うんですよね。これってここら辺にいらっしゃる方って、結構問題の発見とかですね。特定とかが上手いというか。大体そうですよね。目的これだから、これ、こういうチームにして、ビジョンこうだから。こうやって盛り上げていって、推進して結果達成して。やっとハッピー万歳みたいな感じで。さあ次行こうみたいな感じで、ずっとひたすら繰り返すと、こういう風なサイボーグみたいな感じになってくるんですよね。

曽山:いやいや、人間ですよ(笑)。

小林:ああそうですか(笑)。こういうようなビジネスサイボーグというと表現が悪いですけど。本当にマインドセットがこうなっていくんですよね。矛盾とかあるよねって話を、じゃあ矛盾どうやって解決すりゃいいのかとか。すべてそういう風に思考がなっていくじゃないですか。じゃあ問題はそもそもどこだとか。そういったところで、じゃあそれを黙っていても解決しないから行動しようよと。

じゃあ行政、本当に変わるのとか行ってみようと。普通そうなるじゃないですか。僕とかも結構あんまり深く考えずに行動するタイプなので。こういうイベントもそうなんですけど。とりあえず京都に行くから、大学いっぱいあるからと言って。学生向けのイベントやってみよう。費用も100万ぐらいしかかからないから、ちょっとやったらいいんじゃないかってやったら、結構好評だったので続いているんですけど。あんまり深く考えずにやっていったら、意外にいい結果が出るのかなって思うんですよね。

曽山:それだったら辞めちゃえばいい。っていうぐらいの感じでいいと思うよ。

小林:はい。あと大学生って別に極端なこと言って辞めてもいいんじゃないですか。そういう活動。ごめんなさいって言ってさ。仕事でなんかさ、突然辞めますって言っちゃうと、すごい迷惑かかって。非常に社会的な信用問題にもなるんですけど。学生ですぐ辞めちゃうと信用下がるかもしれませんけど。ちょっと間違えましたくらいで済むんじゃないですか。

太田垣:いや、学生の特権はめちゃくちゃでかいと思いますよ。改めて振り返って。だからさっきの失敗で失うものっていうのがさらに低くなると思いますね。

小林:やっぱり失敗とか怖いとか嫌われるのが嫌だとあるじゃないですか。それがね、怖くなくなった瞬間にジャンプしますよ。僕自身の話をすると、グロービスっていう会社で働いていたんですけど。辞めると決めた段階で、なんかね上司の評価とか気にしなくなったんですね。辞めるからです、当たり前ですね。そしたらですね、ズケズケとですね、社長に向かってそれは意味がないでしょうとかって言い始めちゃったら。

太田垣:わかるわかる。

小林:わかりますよね? そしたら人事評価で360度評価した僕の評価、ものすごく上がっていて。衝撃を受けたんです。今までなんだったんだろう、俺みたいな。だから、意外と失敗とか。恐れていたものをそんな実は大したことないんだって割り切った瞬間ですね、意外に普段の生活そのものなんだけど。結果見える世界が変わったっていうの自分自身も経験して、よくこういう話するんですけど。そういうもんだから、お前やれよみたいなって言うんですよね。

太田垣:開き直りパワーですよね。

曽山:そうそう開き直り。言うほど周り見てなかったりするんですよね。別に悩んでいるほど思っていないかもしれない。だから、もうちょっと開き直ってみてもいいんじゃないかなって。

小林:開き直った人ほど怖いものはないですよね。

曽山:すごい強いです。

質問者:ありがとうございます。

曽山:頑張ってください。

毎年違う仕事をしている人のところに行け

小林:どんどんいってみましょうか。

質問者:さきほどなんか面白いとはなんぞやみたいな話があったんですけど。それでちょっと一個、僕が気になることがありまして。成長ってみなさんにとってなんですか? 例えば、結構会話の中とかでも成長って表現を使われると思うんですけど。どういった現象だと自分の中では定義づけられていますかね。

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