GMOの社歌は小室哲哉が作曲した--熊谷社長「数年かけて歌詞を入れたい」

企業の成長と経営者の成長 #3/4

IVS 2014 Fall Kyoto
に開催

業界の第一線で活躍し続ける経営者4名―オプト・鉢嶺登氏、GMOインターネット・熊谷正寿氏、ヤフー・川邊健太郎氏、日本交通・川鍋一朗が一堂に会し「企業の成長と経営者の成長」をテーマに意見を交わしたセッション。熊谷氏は会社の夢・ビジョン・フィロソフィを定着させる仕組み作りのひとつとして小室哲哉氏が作曲した「社歌」をあげ「歌詞は数年かけて作っていく」と、自身のこだわりについて熱く語りました。(IVS 2014 Fall より)

仲間がいればなんでもできる「ONE PIECE経営」

岡島悦子氏(以下、岡島)いま伺っていると、もちろんインターネットっていう素晴らしい時代で皆さんやってらしてワクワクする、ここでチャレンジしなくてどうするというのはわかるんですけど、ただ長いゲームなんで……。

川邊健太郎氏(以下、川邊):あと、仲間がいるかどうかは重要かもしれない。すごい挫折があったりひどい目にあったときに笑ってくれる「大変な目にあったね! なんでそんな目にあっちゃったの!」とか言ってくれる仲間がいて、話してゲラゲラ笑えるのが大事。それは家族でもいいんですよ、もちろん。それがいないとキツいかもしれないですね。

岡島:そういう意味では、ドリームチームみたいにヤフーにたくさん良い人が戻ってきたりとか、一緒にやってる仲間もいらっしゃるし。

川邊:そうですね。ONE PIECE経営と思ってやってますから、仲間がいればなんでもできるという気がしますけどね。

岡島:ありがとうございます。そういう意味では、皆さんの中ではご自身の成長と企業の成長ということでいうと課題感「ここからどうしようかな」とか「自分の成長が心配だな」みたいなことはあんまりないですかね。なさそうな感じ?

川鍋一朗氏(以下、川鍋):私はすごくありますけど(笑)。とにかくいまタクシーアプリを始めてから、86年間顔見知りの相手を敵として戦ってたら、いきなり黒船がやってきた……「Uberが来た!」みたいな、全然次元の違う戦いを強いられているんですよね。やっぱりスピード感も違うし、当然時価総額もそうだけど、お金を使う感覚が全然違って。

そこに対して、どのくらいの戦力を注いでどう戦っていくのかを常に考えてる。自分の戦略として元々なかったですからね。いま必死になってソフトウェアエンジニア、ハードウェアエンジニアとか募集して、そっちの領域での戦い方を確立しつつある最中なんですよ。

これはここにいる皆さんに教えてもらいたいくらいで、まったく私も経験がなくて。まだ4年しかやっていないんで、これは全然異次元ですね。

そういう意味では、自分的にはちょっとうれしいんですよ。14年間タクシーをやってきて「もうタクシーはちょっと……」(笑)。来る日も来る日も同じ課題なんですよね。「新しいのが出てきた、よしサンフランシスコ見に行くぞ」とか、こないだも「ロンドン見に行くぞ」とか、うれしいなと思ったり(笑)。

でも、そこで見て如実に「ちょっとアプリ見せてください。あっ、Hailo入ってる」とか「どうやって使ってます?」「これとこれを使い分けてるよ」とか「そういうプロポジションなんだ」とか、そういうところをすぐにウチに帰ってエンジニアに「こうなってたから、もうちょっとこうやろうよ」って。

川邊:完全にネット企業ですよね。

川鍋:(笑)。自分としては新たな局面に入って楽しくて、ワクワクしてますけどね。IVSに来ました。それで。

川邊:初参加。ネット企業。

岡島:本当にウェルカムな感じで(笑)。ついにやってきました。

川鍋:よろしくお願いします。皆さん、絶賛募集中ですので(笑)。

岡島:仲間も集うみたいな感じですね。

学生時代、部下が40万人いたアリババのジャック・マー

川邊:成長の課題は常に感じますよね。会社の課題はサービスが本当に生き残っていけるのかということと、ユーザーに対しては良いソリューションを提供できるのか。競合に対しては……次から次に出てくるじゃないですか。今日のIVSだって。

そういうのにちゃんと勝っていけるのかという。それをやり切るのは結局経営者の力なんで、自分がそれに対して成長できるのか常に考えますよね。まともな答えはダメですか?

岡島:期待していた以上にまともな答えだったんで、どうしようかなと(笑)。課題があるから燃えてやっていくっていう、さっきのギャップフィルみたいな話なんでしょうけど。

川邊:そうですね。あとインターネットはグローバルで、海外が本当に規模を活かしてやってくるんで、そういうのとどう戦うか。ヤフーは非常に特殊な要因も含めて悩ましいですね。アリババとかは次元が違うんですよ。規模も何もかも。ああいうのとどう戦っていくか。戦うためには経営者にならなきゃいけない。

岡島:どんなすごさなんですか? ジャック・マーは。

川邊:顔がやばいですよね、ジャック・マー。

(会場笑)

岡島:いやいやいや(笑)。

川邊:なんかやっぱり、思わず見ちゃうような顔をしてますよね。

川鍋:具がつまってる感じで。

岡島:脳みそがつまってて、脳にしわがいっぱいあるだろうなって感じは確かに。

川邊:昔、孫さんが「ジャック・マーというのはすごいやつなんだよ」「何がすごいんですか?」「あいつ、学生のときに部下が40万人いたんだよ」って言うんですよ。

岡島:40万人!?

川邊:「どういう意味ですか?」って聞くじゃないですか。「あいつは学生運動やってて、そのときの部下が40万人いたんだ。40万人、学生の頃からマネジメントできるやつなんだ」って。まあアリババについては、規模もビジネスモデルもスピード感も何もかもケタ違いですね。

上場するまでみんなわかってなかっただけで、出資してたソフトバンクはわかってたんですけど。アマゾンとかあんまり見てないんですよ。そういう新鮮な情報が入ってくるから、触発されてもっとやらなきゃと思って。

先ほどから説明しているポジティブな、気楽な、楽観的なフィードバックループになってるんですけどね。僕の場合は。

IVSに登壇する経営者は「ドM」

岡島:ありがとうございます。皆さんのご質問に移る前にもう1個だけ聞いておきたいのが、IVSにいらしている経営者の方たち……私も200人くらいの方からいろんな相談を受けてるんですけど、2種類の人がいて。

「やってもやっても楽しくて」と言ってる、ある意味ドM的な方と、だんだん人にやってもらう、分散していったときに「姉さん、そろそろ私自身は何をやったらいいかわからなくなってきました」という、経営のトップとして何が自分の役割なのかよくわからなくなってきちゃったタイプの人も結構いるんですよ。

いま皆さんが見えてる世界観の中から、それぞれ時間はどうやって使っていて、日頃は何をやっているのかをちょっとだけ教えていただいていいですか? 熊谷さんから伺いたいんですけど。

熊谷正寿氏(以下、熊谷):時間をどうやって使ってるか?

岡島:時間の配分……マインドセットでもいいんですけど、実質的にやってらっしゃることは、たぶん経営会議に出ているとか、意思決定をしているとかがあると思うんですけど、一方ではサブリミナルに考えてらっしゃることもあると思うので、意識として時間をどういうふうに使ってるのか。

(音声トラブルが起きる。「地声でいきましょう」の声)

熊谷:ワー。聞こえますか? 大丈夫ですか?

(会場笑)

岡島:良い声(笑)。

熊谷:僕は時間の使い方に結構こだわりを持っていて、同じ質のものを同じ時間にやると心がけてるんです。例えば「会議の時間」「メール処理する時間帯」「人と会う時間帯」という感じですね。自分で足りてないと思うのが、新しい情報を吸収する時間と、それを頭の中で発酵させる時間で、そこは経営者としてもうちょっと……。

(音声が戻る)

熊谷:聞こえました?

岡島:もう1回ちょっと言っときますか。

アイデアを発酵させる時間がほしい

熊谷:わかりました。時間の使い方は結構こだわっていろいろ考えてるんですけど……まあ考えてもあんまり変わらないと思うんですけどね。まあこだわってまして、まずは同じ質のものを同じ時間帯にぎゅうぎゅう詰めにしてやってるという。

岡島:生産性をすごく上げるみたいなことがおありですよね。

熊谷:はい。やっぱりAのことやってBのことやってCのことやってとなると、立ち上げに時間がかかるじゃないですか。

そこを排除したくて、例えば人に電話するときは「電話する時間」、メール処理するときは「メール処理する時間」、ミーティングのときは「ミーティングの時間」というような形で、それぞれを効率的にやるようにしてるんですね。

いま経営者としてそういうふうにはやってるものの、自分では足りない感をすごく持ってまして。何が足りないかっていうと、新しいことを吸収する時間と、それを寝かす時間だと思ってます。考えるよりもどちらかというと「寝かす」「発酵させる」時間が足りないと思ってて、そこは何とかしたい自分の課題でもあります。

岡島:発酵させる時間というのは、(熊谷さんは)どんどん着手されるというか、わりと早めに実行に入られるようになっていくから、ご自身で不足していると……。

(再び音声トラブル)

熊谷:ほらきた。

岡島:地声といったりきたり。

熊谷:僕はEvernoteの愛用者なんですが、弊害が出てて。Evernoteに打ち込むじゃないですか。そのまま、情報に触れることがないんですよ。みんなメールでバンバン送りつけて、そのまんまという。

昔はスクラップしてたじゃないですか。スクラップって、ペンで(枠線を)引いて、カットして、そのカットをするときに読んで、台紙に貼るときに読んで、ファイリングするときに読んでって、1つの情報で4回くらい目にする。

鉢嶺登氏(以下、鉢嶺):頭の認識が違う。

熊谷:そうそう。

(音声が戻る)

岡島:音声きたかも。

熊谷:昔はひとつの情報で、それがファイリングされるまでに4回くらい目にしたので、頭の中でアイデアとして発酵したんですね。最近はEvernoteにどんどんぶち込んじゃってて、接触頻度が1回になっちゃって発酵しないんです。それが、ちょっとだけいけないなと自分で思ってることですね。

岡島:他の方々はどうですか? 川鍋さんどうぞ。

川鍋:それぞれだと思うんですけど、私が最近やらなければと思ってやってるのが、週の中で運動の時間と回復の時間を担保するということ(笑)。運動の時間を入れ、そして回復のためにマッサージと週1回鍼を入れるとか。

これをまずブロックしないと、永遠になくなってしまうと思いますね。いま風邪をひいたりしてるんですけど、それでだいぶ良くなったりして。

なぜかというと、人の意識の移り変わりのグラフを見たときに、40代以降は自分の健康のマインドシェアが上がってくるんですよ。ここをケアしていかないと経営にも影響が出るな、これを先にやっておかねばというのが最初にきますよね。

それと、いまは東京のタクシー協会の会長もやらせてもらってるので、これに実質3割くらい取られて。取られてっていうのも失礼なんですけども。業界を引っ張るというのは大変で、何度もやめたいと思うんですけど(笑)、これをやりつつ自社の経営もしています。

岡島:それも回り回って、またご自分の仕事のところに戻ってくるからという。

川鍋:そう信じてます。信じてやらないとやってられないというか。詳しくはまた別途(笑)。

チームのズレを整えることでうまくいく

川邊:僕は経営者として質的な転換があったとすれば、たったの一度しかなくて。その前までは、自分でサービスを作るのが大好きだったわけですよ。

細かいところまで含めて全部自分でやって、ユーザーの反応を見て「ああ楽しい。これがインターネットだよね」と思ってたんですけど、GyaOの社長やって、その後ヤフーの副社長になったあたりから、それで規模を出していこうと。

そういうふうに質的に切り替わったんですね。最初は嫌だったんですけど、だんだんそっちが楽しくなってきて。今はそういうふうに切り替わってるので。

なるべく具体のことよりかはそれをやる人たちのケアであるとか、組織で上手く流れていない問題を解決することが多いんですけど、そっちに時間を充てる。

岡島:池の水の環境整備みたいな話ですかね。

川邊:そうですね。あと人材開発ですね。これになるべく時間を充てるようにしてますね。

岡島:徹底的に環境整備をするっていう。

川邊:そうですね。そう変われたのが、この数年の自分にとって最大のマイレボリューションで。そんなもん、絶対に楽しくないと思ってたんですよ。

岡島:何で変われたんですかね。そこの葛藤がある経営者は結構たくさんいて。

川邊:「もう無理」と思ったんですね。GyaOの赤字が半端なくて、最初の半年くらいは自分で引っ張って、なんとか黒字にしようと思ってやってたんですけど、もう無理だと思った。USENから来た人もヤフーから来た人も優秀なやつはいっぱいいるから、すがるような思いでやってみたみたいな(笑)。

やると、異才のあるやつも微妙な人間関係とかチームのズレで上手くいかないこととかもあるので、それを整えるとフッと上手くいったりする。「なんかマネージメントってすごいな」と思って。

ヤフーの副社長になったらそれが5000人になったんで、それをやるとすごい効果が出てくるわけですよ。昔は嫉妬して「俺がやるほうが絶対上手くできる」とか思ってたんですけど、最近は……。

今日は珍しく何人かヤフーの人間が来ていますけど、そいつがすごい成果を出してくれるほうが「あー嬉しい」となってくる。それが、唯一の今日僕が語れる成長なんで。それにとにかく時間を費やす。

岡島:良い話ですね。

川邊:ありがとうございます。

岡島:鉢嶺さん、時間を何に使ってます?

鉢嶺:時間というよりも、僕の中で1番大事な仕事は、大きな夢とか目標とかビジョンを設定して、それを鼓舞し続けることだと思っています。だから自分の中でまず腹落ちさせなきゃいけないし、心底「これやろうぜ、やったほうが世の中いいじゃん、意義あるじゃん」ということを、腹落ちさせた上でみんなに言いまくる。

そうすると、それに賛同してくれる人がだんだん増えてくると思っています。それだけかもしれないですね。

GMOの社歌は小室哲哉氏が作曲した

岡島:歩くDNAみたいな感じですよね。ビジョンを語っていくっていう。最後はそれに尽きるのかなと。熊谷さんが大きくうなずいておられますが。

熊谷:経営者として1番時間を割かなきゃいけないのは、夢・ビジョン・フィロソフィを組織に定着させて、イズムに昇華させるまで浸透させるということで、鉢嶺さんがおっしゃったことはまったく間違ってないと思います。それが経営者として1番大事なところで、そこをなくして組織の成長、人の成長はないですよね。

岡島:よくおっしゃっている「制度に落としていくこと」もすごく大事なんだろうけれど、運用のところは文化で担保されているというところですよね。

熊谷:夢・ビジョン・フィロソフィというのをきちんと定着させるためには仕組み作りが大事で、何回か前のIVSでもお話ししたと思うんですけど、ウチはいくつかの仕組みを作って定着を図ろうとしていますね。

川鍋:社歌も。

熊谷:そうなんですよ(笑)。小室哲哉さんにご相談したら社歌を作ってくださったんで。国歌みたいな社歌を作ってくださって、1月の新年会のときに発表しようと思ってるんですけど。

岡島:メロディラインができたんですか?

熊谷:そうです。社歌の歌詞は数年後に入れようと思ってるんですけどね。

川邊:こういう、GMOさんの話が大好きなんですよ。もっといろいろ聞かせてほしいんですよ。

熊谷:(笑)。

岡島:私も大好き。

社歌の歌詞は数年かけて作っていく

川邊:これから歌詞を入れるのに4年くらいかけるんでしょ?

熊谷:そうですね。歌詞を入れたらこれからずっと残ってきますから、まずはメロディラインを……。

川邊:普通逆じゃないですか(笑)? 普通、社歌って歌詞が大事じゃないですか。

熊谷:まずはメロディラインから。

川鍋:その間はどうやるんですか? みんな鼻歌なんですか。「フンフフン~♪」って。

熊谷:いやいや。僕の考えをお話しして小室さんが作曲してくださって、こないだハリウッドで映画の音楽を演奏してるオーケストラをチャーターして、音入れを行ったんです。

川邊:僕、世界中のネット企業をいっぱい知ってますけど、社歌があるのはGMOだけだと思いますよ、絶対。

岡島:しかも、これから言葉は4年……?

熊谷:まあ、数年間かけてどういう歌詞にするかを考えていきますね。

川邊:素晴らしいですね! 尊敬します。

(会場笑)

熊谷:曲のタイトルは「Internet for everyone」。

(会場笑)

岡島:インターネット・フォー・エヴリワン……。

熊谷:1995年から、僕らは「すべての人にインターネットを」というのを会社のフィロソフィー・キャッチコピーとして20年言ってるんで。Internet of Thingsの時代になって、やっと時代が追いついてきてくれたなと思って。

川邊:GMOの株主総会は、そういう熊谷さんの話がいっぱい聞けるんですか?

岡島:でも、これが1番長く続く感じですよね。

熊谷:よく僕が言うんですけど……。会社って金剛組(社寺建築で世界最古の会社として知られる会社)は約1400年ですけど、通常の会社は20~30年続いたら長いほうですよね。

昔、日本経済新聞かなんかで『会社の寿命』という本がベストセラーになりましたけど。実際には5年で7割なくなるので、そういう意味では長く続く組織にいろいろ学んだほうがいいと思って。その中のひとつが、みんなで美しいメロディライン、感動的なメロディラインを共有するという(笑)。

岡島:素晴らしいです。ありがとうございます。

熊谷:ぜひ一度聴いてください。今ビデオ作ってますんで。

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