2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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入山章栄氏(以下、入山):『浜松町Innovation Culture Cafe』。今週は常連さんに、ショートショート作家の田丸雅智さん。そしてお客さまに、こんまりさんこと片づけコンサルタントの近藤麻理恵さん。そしてプロデューサーの川原卓巳さんをお迎えしました。
田丸さん、こんまりさん、川原さん、どうぞよろしくお願いします。
田丸雅智氏(以下、田丸):お願いします。
川原卓巳氏(以下、川原):はい。よろしくお願いします。
近藤麻理恵氏(以下、近藤):よろしくお願いいたします。
田ケ原恵美氏(以下、田ケ原):田丸さんは2011年に作家デビューされ、その翌年には「樹立社ショートショートコンテスト」で『海酒』が最優秀賞を受賞。また、2020年度からは小学4年生、2021年度からは中学1年生の国語の教科書にそれぞれ作品が掲載されています。
現在、執筆活動の他「坊っちゃん文学賞」では審査員長を務め、ショートショートの書き方講座、企業向けのワークショップ「ショートショート発想法」なども開催され、幅広く活動をされるほか、先日、初のビジネス書『ビジネスと空想 空想からとんでもないアイデアを生みだす思考法』を発売されました。
入山:というわけで田丸さん、ご無沙汰です。よろしくお願いいたします。
田丸:お願いします。
田ケ原:よろしくお願いします。
入山:田丸さんはこの『浜カフェ』に何度も来てくださってるんですが。
田丸:ありがとうございます。
入山:前回のご来店が2021年12月の、これは実は私も関わっているプロジェクトなんですけど「Sci-Fiプロトタイピングとは何か」という時に来ていただきました。その後、この『浜カフェ』の特番で「シゴトイノベーション」というのをやった時も、僕はあんまりご一緒できなかったんですけど来てくださって。
あらためて田丸さん、ちょっと簡単に自己紹介というか、どういうことをされているかをあらためて教えていただけますか。
田丸:はい。平たく言うと小説家なんですけれども。短くて不思議なショートショートという小説に特化した、ショートショート作家として活動していまして。
当然執筆活動が基本ではあるんですけれども、それだけじゃなくてショートショートを知ってもらおうと思って普及活動として、本当に全年代に書き方講座をやらせてもらっていたり、賞(の審査員)をやらせてもらったりという感じです。
入山:田丸さん、実は最近、本を出されたんですよね。どういった本か、ご紹介いただけますか。
田丸:はい。『ビジネスと空想』という本なんですけれども。僕は企業向けにも書き方講座・ワークショップをやらせていただいていて。誰でもショートショートを書けますということで、自社にちなんだショートショートを書いていただく。
それだけで終わらせずに、そこから「じゃあ現実世界に活かすんだったらどういうことが言えるだろうか」みたいなことを読み解いていくワークショップをやってるんですけど。そちらの内容をまとめたものであり、空想とかアイデアについての僕の考え方も収録している1冊になってます。
入山:そうですね。これも僕は若干関わらせてもらったんですけど。
田丸:いや、もうめちゃくちゃたくさんですよ。
田ケ原:あ、制作にですね。
田丸:入山さんとの対談パートの章を設けさせていただいてて。その中で、実はビジネスの最先端では空想・妄想がめちゃくちゃ大事なんだってお話ですとか、実際に入山さんにも体験していただいたりしています。
入山:というわけで、その本はちょっと僕も対談で関わらせていただきまして。ちなみに今日この後こんまりさんと、そしてプロデューサーの川原さんとお話しするんですけど、どうですか。
田丸:やっぱり断捨離とか片づけみたいなイメージは持っているんですけれども、片づけっていうことで言うと、ショートショートもそぎ落としていったりとか整理するところで……。
入山:あぁー、そうか。
田丸:わかんないですけど。なんかそういうところのお話をうかがいたいなとは思ってます。
入山:そっか。ショートショートって、長い小説を整理したものって考えられるという。
田丸:そうですね。まあ、厳密には違う競技だと思ってるんですけど。(ショートショートは)省略の文学なので、どんどんそぎ落とすんですよね。
入山:おもしろい。
田丸:だからこそ生まれる豊かさがショートショートにはあると思ってるんで。片づけについてはどうなのかは、すごく興味がありますね。
入山:なるほど。ちなみにどうですか。こんまりさん・川原さん、田丸さん、こういうふうに言ってますけど。
近藤:片づけるっていうところで言うと、実は私がお伝えしている「こんまり®メソッド」って、そぎ落とすというよりも、ときめくものを選ぶって概念なので。
入山、田丸:あぁ~。
近藤:なので捨てる、手放すもののほうに着目するのではなく、残すもののほうに着目していこうっていう感覚です。
川原:じゃあショートショートはときめきが凝縮されてるっていうことだね。
田丸:そうですね。でも、すいません。感覚としてはめちゃくちゃ共感させてもらいます。本当にそういうことだと思います。ショートショートもそうです。
入山:おもしろいな。ちょっとさっそくおもしろい話になってますんで、ぜひこのへんも深掘りできたらと思います。
田ケ原:続いてこんまりさんのプロフィールです。5歳から主婦雑誌を愛読し、中学生の時に片づけの研究を開始。大学在学中に片づけコンサルティング業務をスタートし、独自の片づけ法、「こんまり®メソッド」を考案されました。
2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法』は、シリーズ累計1,400万部を超える世界的大ベストセラーに。
その他にも、アメリカ『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」への選出、2019年にNetflixでスタートした冠番組『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』が世界で放映され、テレビ界のアカデミー賞、エミー賞2部門にノミネート。2021年公開の新シリーズではデイタイム・エミー賞を受賞され、世界から注目を集めています。
続いて、川原さんのプロフィールです。大学卒業後、人材系コンサルティング会社に入社。キャリアコンサルティングや企業向けのビジネス構築、人材戦略に携わります。学生時代からの友人、近藤麻理恵さんと公私ともにパートナーになり「こんまり®メソッド」の世界展開をプロデュース。
Netflixオリジナルテレビシリーズ『KonMari 〜“もっと”人生がときめく片づけの魔法』のエグゼクティブプロデューサーを担当されました。
こんまりさんをプロデュースされる傍ら、2020年には世界に1つしかない自分の魅力の見つけ方を書いた『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』を出版されています。
入山:あらためて、どうですか。お二人はもう世界的に有名なんですけど。最近はどういう活動をされてるんでしょうか。
川原:そうですね。ありがたいことに、2022年にエミー賞というテレビ界での世界一のタイトルをいただいて、知っていただく方が非常に増えたこともあってですね。さらに、その片づけの魅力を自分自身も伝えたいっていうことで、片づけを仕事にする方たちを世界中に輩出しておりまして。今、60ヶ国で900名ほどがその資格を持って、日夜地球上を片づけ回ってると。
田ケ原:えぇ~。
入山:つまり「こんまり®メソッド」を習得した人たちを、さらに力づけるようなことをやってると。
近藤:はい。もともと私が、片づけのやり方をお伝えする仕事をしていたので、それでやはり、自分の片づけを終えた後に「これをどうしても広めたい」という方がとてもたくさんいらっしゃって。それでこういった講座をするようになったんです。
入山:へぇ~、すごいですね。世界を片づける。
田丸:かっこよすぎる。
入山:めっちゃおもしろいですね。というわけで、今日はこんなお三方をお迎えしまして、ここからは「心を揺さぶるとは何か」というテーマでお話をしていこうと思います。
入山:それじゃあ、まず田丸さんからおうかがいしたいんですけど。田丸さんはこのショートショートをいっぱい作られてると思うんですが。読者の心を揺さぶるっていうことを、まずそもそも意識されてますか。
田丸:そうですね。ただ最初のファーストステップとしては、やっぱり自分自身ですね。まず、自分が本当に心の底からおもしろいと思えるかどうか。それは言い換えると自分の心を揺さぶれるかどうか。まず、そこですね。ただ、その後書いていく中で、書いていくと言いますか推敲の過程にも近いんですかね。
やっぱりある程度見え方(は重要です)。自分が揺さぶられてるだけじゃダメなので、「それが伝わるものになってるか」というところで言うと、そこのデザインの仕方と言いますか。具体的には言葉のチョイスとか文脈、読みやすさ。いろんなものを総合して、ちょっとファーストではないんですけど、後で考えてますね。
入山:その結果として、例えば読者の方が読んでくださって「田丸さんのショートショートに、すごい感動しました」とか、「心揺さぶられました」っていう感想も来ると思うんですけど。やっぱり「心揺さぶることができたなぁ」みたいなのは気になるもんなんですか。
田丸:そうですね。僕の場合は生み出す瞬間とアイデアを思いつく瞬間、物語を書き終えた瞬間、そしてそれが届いた瞬間って、その3つがすべて同じくらい幸せを感じるんです。その中で言うと(そうした感想をもらうのは)届いたってことなのですごく気にすると言いますか、純粋にうれしいんですけど。
ショートショートの場合におもしろいのが、例えば僕の『海酒』という作品があって。
入山:『海酒』は田丸さんの代表作ですよね。
田丸:ありがたいわけですけど。
入山:海にお酒と書いて、うみしゅ。
田丸:はい。『梅酒』じゃなくて『海酒』ですね。それは、飲むと海の記憶が蘇ってくる不思議な設定のお酒なんですけど。
僕は、愛媛県の松山市出身で。海の町の自分の記憶を閉じ込めた一作だったんですけど、それを読んでくださった方から『地元の福岡の海を思い出しました』とか(言われて)。ぜんぜん違う書いてないことを思い起こしてくださることが、ショートショートって起こるんですよ。
想像の文学だからなんですけど、この読み手の中で完成して100に持っていくってことで言うと、やっぱり読者の方の心に届くものは意識せざるを得ませんし、すごく大切にはしてますね。
入山:そっか。ショートショートだから解釈の余地があって、人によって違ってくるんだ。
田丸:そうなんです。なので、原液をお渡しするのに近いですね。
入山:どうですか、川原さんとこんまりさん。今の田丸さんの話は。
近藤:そうですね。私も自分で本を書いているので、読者の方が実際に手を動かして、片づけをスタートさせて、しかも最後までやりきってもらうのを目的としていて。『人生がときめく片づけの魔法』って、2010年に出版したものなんですけれども、やっぱりあれを出版する時に、私は「この本で日本の片づけを終わらせる」という目的のもと書いていたんですよね。
だから、そういうふうに実際に行動を起こしてくださったっていうのが一番うれしいポイントです。
入山:なるほど。今、田丸さん、こんまりさんの話を聞いて「おもしろい」って言ってました。
田丸:おもしろいです。めちゃくちゃお聞きしたいのが、やっぱりそれを具体的にどう書かれているか。言葉のチョイスなのか、見せ方、言葉の配置なのか文章の配置、改行とかそういうことなのか。他のテクニックと言いますか、どういう思いでされてるのかが気になります。
僕も書き方講座をやっていて、本も出させてもらってて。それを読んで「おもしろかった」と言われるのもうれしいんですけど、どっちかと言うと「書きました」とか「あれ、本当に書けました」って、行動してくれるところをすごく大事にしてますんで。そういうお話をうかがうと、ものすごく刺激をいただきますね。
入山:なるほど。こんまりさん、そのへんは表現の時に、何か(気にされているところはありますか)。
近藤:ありますね。私はもともと、あの本をとにかくベストセラーにしたくて、確実にたくさんの方にお届けしたくて書いていたので。かつ、私の本は小説ではなくて生活実用書なんですよね。
なので、書く時に、当時の生活実用書のベストセラーを軒並み研究して、構成とかリズムとか、本当に自分なりになんですけれども分析をして書いていったんですね。
気にしたポイントとしては、やっぱりリズム感。「とにかく次の行を読ませる」というのを最初から最後までとにかく意識していて。出だしの言葉もそうですし。文章の一文一文は短く、テンポ良く。ポンポンポンポン進むようなところをすごく気にしていました。
入山:へぇ、そうなんだ。やっぱ1,400万部の超ベストセラーの裏にはこういうのがあるんですね。
田丸:そうですね。
入山:川原さん、今のお二人のお話を聞いてどうですか。
川原:人を動かしたり感動させたり、まさに傑作を生み出す人たちは、感覚で生んでないんだよなっていうのが、僕はプロデューサーとしていつも思うことで。必ず理由があるんですよ。しかも常人には想像しえないぐらいのこだわりと愛情があるから、結果としてそれだけ多くの人に届いている。
入山:なるほど。こだわりなんですね。
川原:人を動かす、人並み外れた偏りがある変態が大好きで。それで言うと、プロデュースという観点で心を動かすために3つのことが重要だと僕は思っていて。まず1つが、その偏った異常値を愛することなんですよね。「これ、めっちゃいいな」って、自分の心をまず振るわせること。
そして2つ目が、じゃあなぜそれが起きてるのかという理解をすること。「なんで俺はこんなに震えているのか」、何がその価値なのかという。そして3つ目が届けるためのポイントで、それが伝わるかたちに仕組みを作っていく。結果が作れるのはこの3つがあるからだと僕は考えています。
入山:おもしろい。なるほど。田丸さん、いかがですか。
田丸:いや、めちゃくちゃおもしろいですし、もう勉強になりますね。
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