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「時間の使い方で人生が変わる」元サッカープロフェッショナルレフェリー 家本政明さんに聞く “もったいない時間の無くし方”(全4記事)

大量の未読メールやレスが遅い人の共通点 仕事を抱え込まないためのマインドと優先順位の付け方

活躍中のビジネスパーソンをゲストに招き、日々のコンディション管理やメンタルヘルスについて語るgoodcho live now!。今回は、元サッカー国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏をゲストに迎え、人生が変わる時間の使い方についてお話しします。本記事では仕事を抱えがちな人の特徴や優先順位の付け方を解説しました。

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緊急性と重要性の2軸で優先順位を決めておく

鈴木啓太氏(以下、鈴木):なるほど。タイムマネジメントのコツで言うと、そこ(強制的に自分を動かす方法)はすごくおもしろいですね。逆に優先順位づけってどうですかね。もうちょっと時間軸を大きく見た時の話だと思うんですけど。

家本政明氏(以下、家本):例えば、生きていく上でやビジネス、家族の健康で大事なこととかいろいろ軸があると思うんだよね。それは枠としてはそうなんだけど、そういうのを全部ひっくるめて重要性と緊急性の2軸で切って、緊急性と重要性が高いものをファーストチョイスにしている。

鈴木:うんうん。

家本:セカンドチョイスにしているのは、緊急性が高くて重要じゃないもの。サードチョイスが重要性が高くて緊急じゃないもの。重要でも緊急でもないものは必要ないから捨てる。その1、2、3(の優先順位)を決めている感じかな。

その中でもいろんなタスクが出てくるじゃん? その中で例えば俺だったら、一応今のところは(最優先事項は)ビジネスにしている。やはりお金がないと家族もいるから、一応ファーストプライオリティは仕事で2番目は家族にしている。

この2つがダブることは今のところはまあないんだけど。そもそもは仕事、家族の順番にしていて、この2つが本当にダブったら家族と決めているから、全部決まるよね。

鈴木:ああ。ということはやはり、まず自分の中で「この軸とこの軸」って優先順位を決めながらシミュレーションして、「ビジネスが一番大事で、次は家族で」とか優先順位をつける。でもそれすらも重なってしまった場合に家族を優先するのか何を優先するのか、あらかじめ決めておくということですね。

家本:そう。そうすると考えなくていいじゃん。人間って考えることにまずエネルギーを使うのね。それを決めておけば、今みたいにロジックで行動できる。それが正しいかどうかは別だけど、俺にとっては重要で正しいと思っているからそれでいい。

「1億円の案件か、家族の命か?」

家本:1億円の案件があるとして、でも今、家族が誰かに殺されそうになっていたなら、啓太だったらどっちを選ぶ?

鈴木:それはもう1億円を選びます。

家本:(笑)。

鈴木:何を言っているんですか。怒られますよ。

家本:「1億円の案件は他の人に任せることもできるし、あとから取り返すこともできるけど、家族の命は返ってこない」というくらい極論の話で決めておけば、あとは正直言ってそんな極論ってないじゃん。大したことないからけっこう決まるんだけど、意外とこの緊急でも重要でもないことを、ダラダラやっている(人が多い)。

鈴木:じゃあ例えば、ちょっと意地悪かもしれないですけど、ビジネスの後輩に「先輩、ちょっと相談したいことがあるんです」と言われたとして、奥さまにも「ちょっと今日相談したいことがあるんだけど」って言われて、その時間が重なっちゃったらどっちを選びます?

家本:まず、仕事(の相談)がどれくらい重要でそれが何分くらいかかるのかを聞くよね。

鈴木:ああ! まず情報を集めるということですね。

家本:まず話の中身の前に、「その案件を相談しないとあなたがどれくらい苦しむのか。どれくらい大変なのか」「何分くらい相談すればそれが解決する可能性があるのか」をまず聞く。「わかりません」と言うんだったら、「1回考えてきて」と返す。

妻にも同じように、「それは今どれくらい重要で何分かかるの? 俺がいないと本当に解決しないの?」って聞く。それぞれ考えてもらった時に、基本的に優先順位が高い仕事からまず考えるけど、もしかしたら娘が誘拐されたという可能性もあるから、その時には事情を話して、今日の時間を調整できるか、夜中でもいいのかとか、そっちを調整する。

鈴木:そっかそっか。それこそ緊急度みたいなところが変わってくるということですね。

家本:そうそう。時間って点なんだけど点の連続で線になって続いていくから、「今解決しなきゃいけないのか」を考える。それが3時間後の夜中で眠いかもしれないけど、仕事の仲間が僕に相談することでそれが解決するんだったら聞く。「時間も使うから夜中の2時まで待ってね。それがダメだったら明日の6時に打ち合わせしよう」とか、そんな感じで決めているかな。

「緊急ではないけれど重要なもの」の扱い方

鈴木:あとすごくおもしろかったのは、緊急ではないけれども重要なもの。それで言うと、その時間の作り方ってどうされています?

家本:でもそれはビジネスの案件によるから、なかなか今ここで言えないよね。例えば昨日『Jリーグジャッジ「リプレイ」』で言ったけど、みんなが「審判ちゃんとしろ」と言うわりには、ぜんぜん審判の練習環境がないんだよね。必要なんだけど、でも今すぐ解決するのって難しいじゃん。お金の問題とかネゴシエーションを回すとか、体制を(整える)とか、けっこう時間がかかるから。

じゃあそういう関係者を集めて、いつゴールを設計して、どれくらいのリソースをかけて、どこを拠点に始めていくのかをプランニングしていく。重要だと言うなら、こういうことを今、やっていけばいいみたいな話でしょ。

鈴木:ああ、そういうことですね。

家本:今すぐ解決しなくてもいいんだけど重要。永遠に重要なんだけど、それが解決しないっておかしいから、「日本代表が2050年までにW杯で優勝」って言っているのに近いかもしれないよね。

ある程度のターゲットを決めて旗印を立てて、ここを解決するためにはどういうステップで、どういうリソースをかけていくのかと。構造とそこに関係者とか肉付けして。啓太ならわかると思うけど、そういうのはビジネスと一緒だよ。

自分にとって重要なタスクを見極める

鈴木:そういう意味では、コツコツというのもさっき家本さんがおっしゃっていた簿記(の資格)を取るとかも入ってくることですよね。

家本:やはり生きていく上で、ビジネスとかいろいろ関わっていると、数字ってすげぇ影響力を持っているなと思うんだよね。何でも感情的とか直感的な、定性的なことばかり言うんだけど、(数字のような)定量情報ってやはり納得感がある。

ビジネスで、特にファイナンス、先行投資を考える時に、お金をはじかない限り納得感がないし、「こんだけ集めてどれくらい効果があったのか」って、定性では投資家はお金くれないじゃん。

そういうことも考えて、あるいは「キャッシュがどれくらいあって、どれくらいで本当にビジネスの規模感を作り上げていけるのか? それは何年後?」みたいなことを考えた時に、数字って絶対切り離せないじゃん。

だから大学院でMBA取ったとはいえ、もうちょっと深く会計とか大きなところをやりたいなと思って。いろいろな人に相談して「3級でもいいんだけど」と言ったら、「どうせそんなに暇なんだったら2級を取っちゃったら?」という話になって、とりあえず2級を目指している。

鈴木:すごいな。それが緊急ではないけど重要だと考えて。

家本:そう。自分には重要なタスクとして置いた。もう1つ重要性の話で言うと、英語をやりたいと思っているんだけど、まだ自分の中で重要感の落とし込みがないから、薄い重要感で置いている感じかな。でもここんとこ急に「数字系やろう」みたいな。

仕事を抱えがちな人の特徴

鈴木:へえ。今の話を聞くと、自分自身の思考をまず整理するとか、やりたいことや重要・重要じゃない、緊急・緊急じゃないみたいなところを4象限で切り分けて、整理しながら「自分がやるべきことは何か」を描くと、タイムマネジメントや優先順位づけがうまく進んでいくのかもしれないですね。

家本:やりたいことって、大なり小なり無限にあるでしょ? でもさっきも言ったけど、意外と無駄なことに時間を使ってしまったり、意識や肉体とか精神を持っていかれる。

例えばちょっと誤解があるかもしれないけど、俺は仕事ってコミュニケーションだと思っているから、投げられた情報をいかに早く相手に返してあげるかを仕事だと思っているの。

メールにも優先順位があるじゃん。メールフォルダを見たら、千何件とか溜まってるチェックついている人いたりするじゃん。俺、あれが信じられないんだよね。今持っている情報をすぐ返せばいい(のに)。

わかんないのは「わかりません」「いついつまでに調べます」(と言って)。手帳に「いついつまでに調べる」って落とし込んでいけば解決するのに、投げられたボールを山のように抱えて背負っているんだよね。だいたいそういう人って「大変だ。大変だ」って言うんだけど、そんなに抱えているんだからそれは大変だよねと。とにかく何でもいいから返せばいいじゃんと。

どこか完璧主義なマインドがあって、「ちゃんとやんなきゃ」「ちゃんと返さなきゃ」とか、「相手に怒られたくないから」「ミスしたくないから」みたいなマインドで、しっかり丁寧にやろうとするんだけど、それってあまり重要じゃなくて。

生ものというかな。やはりできるだけタイムリーにクイックリーにやることがビジネスに求められている。あるいは人って待たされるの嫌いでしょ。逆の立場になったら早く返してもらえるほうが仕事が捗るしさ。

そういうメールとか連絡を、できるだけ速く、1分くらいでメールを打つとか、電話で本当に1分くらいで済むように、簡潔にポンポンポンと。「お世話になります」どうのこうの、あんなのいらないので。

「どうですか?」「わかりません。いついつまでに調べます」で、パッと終わるとかさ。俺はそんなんでいいと思うんだよね。メールも無駄な文章がいっぱいで、尾ひれがついているなと思うことがたくさんあるんだけど。

鈴木:えー! それはめちゃくちゃ学びになりますね。これはめっちゃおもしろいです。

投げられたボールを受けっぱなしにしない

家本:みんな抱えすぎね。

鈴木:レスが速いことが大事ですもんね。何でも今の情報で返す。

家本:抱えたくないんだよね。啓太は社長をやっているから、俺のたぶん何百倍も抱えていると思うんだけど、でもたぶん啓太なりにいっぱい離していると思うんだよね。

鈴木:ただ、これは僕がちょっと苦手なところで、けっこう考えちゃったりするんですよね。

家本:もちろん。案件によってはね。

鈴木:どう返そうかを悩んじゃったりするんですけど、確かにおっしゃるとおり、「今悩んでいるからちょっと待ってて」って返すだけでもいいのかなと。

家本:そういうこと。大切な人からこういう案件をもらって「すごく大事な話だからちょっと考えさせて」と、あるいは「今日何時くらいに予定がある? 予定が合ったら、そこで10分でも20分でもちょっとディスカッションしない?」というのでもいいじゃん。

だから悩んでいるというのは、インナーに向いている話で「俺、悩んでいるんだ」というのを返してあげるだけで、相手は「鈴木さん、悩んでいるんだ」ってなるわけじゃん。

「ちょっと悩んでいるから、もう1回アイデア練り直して返して」とか「俺は何時くらいに時間があるから、そこでもういっぺんディスカッションしない?」でもいいかもしれないし、とにかく投げられたボールは受けっぱなしにせず返す。

鈴木:いやー、これもいい話ですね。

家本:高いよ、今日。

鈴木:あ、ありがとうございます。

家本:(笑)。冗談だけど、俺はそういう考え方や行動を、これまでずっと京都で働いていた時からやってきたかな。

鈴木:これは本当にみなさんもすぐにやったほうがいいですね。ありがとうございます。

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