「よく買ってくれる人とそうでない人」は分解して理解すべき

橋本直久氏:こんにちは。CCCMKホールディングスの橋本と申します。本日は弊社セミナーにご参加いただき、ありがとうございます。

今回は「つながる共通ポイントデータだからわかる“新規顧客の見つけ方”」ということで、顧客をどう理解し見つけていくかという原点に返って、弊社のデータベースだからできることをお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

まず簡単な自己紹介です。私は今、CCCMKホールディングスという会社に所属し、メディアソリューションという部署を管轄しております。入社(前までの経歴)はPRの代理店から始まり、NTTグループで広告代理業の営業をした後、サービス開発、事業開発をして、2014年からCCCグループに参画しています。

参画期から、主にT会員のデータと、テレビの視聴データをはじめとしたメディアのデータをつなげることによって、新しいマーケティング活動や、メディアの価値を創出するようなサービスや企画を開発し、提供させていただいています。

本日もそこで培った具体的なノウハウの一部をみなさまにお届けしたいと思います。今回のテーマの「新規顧客の見つけ方および顧客理解の方法」を中心に、下の3つのクエスチョンに即して、お伝えしていきたいと思います。

1つ目が「顧客理解のために、今みなさまは何をしていますか?」という問いに対してのアンサーです。

2つ目は「その顧客は、どのくらい利用・購入してくれていますか?」。プロモーションの領域をやっていると、いわゆるビジネスのところを少し忘れたマーケティング活動をしがちなのですけれども。結局、会社の実入りをいかに増やすかというところに帰着するビジネス活動が目的かと思うので、こういうテーマを入れています。

そして、「よく買ってくれる人とそうでない人」。いわゆるロイヤルユーザーや優良顧客と言われている人たちを分解して理解しているかどうかによって、ビジネスが大きく変わってくるというお話をしていきたいと思います。

少し切り口や見方を変えると、アンケートやID-POSでできるような話に聞こえがちだと思うのですが、今日は、そうではないところでできることを意識しながらお伝えしていこうと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

約7,000万人のT会員のデータが、自社の顧客理解の糸口に

まず、弊社CCCMKホールディングスについて簡単にご紹介したいと思います。

弊社はT会員やTポイントのデータベースを通じたマーケティング・ソリューション事業やポイントアライアンス事業のビジネスをしている会社です。Tポイントは186社のナショナルアライアンス企業をはじめ、全国約5,000社の街のお店とも提携しており、T会員を中心としたマーケティングデータを活用したマーケティングサポートを行っています。

*主なアライアンス先https://mk.ccc.co.jp/business/

今日はマーケティングのデータについて、お話をするのですけれども、押さえておいていただきたい3つのポイントを先にご紹介します。

1つめは質ですね。T会員およびTポイントが紡ぎ出すマーケティングデータには、いろいろなタイプのデータがあり、非常に種類が豊富です。

基本属性に始まり、テレビのデータ、移動・行動データ、オンライン・オフラインのデータ。あとはその商品の情報など、ご利用いただいているものをお客さまのDNAデータとして、志向性を把握するものに変換したり、そもそもの購買履歴も持っています。

このような多岐にわたったデータを持っているところもなかなかないと思います。それが1つの特徴になっています。かつ、会員規模も日本の人口約1億2,000万人に対して、半分以上となる約7,000万人の方が、年1回以上ご利用いただいており、非常にアクティブなデータベースを持っていることが特徴です。

また、こうした質と量だけではありません。3つ目の特徴は、今回お話しする中でも、非常にシンプルにご紹介できる仕組みで、弊社はSingle IDと呼んでいます。

シングルソースデータとも言いますが、さまざまなものがつながっています。T会員の会員番号は、9桁か16桁の番号で管理をさせていただいていますが、そのデータがさまざまなデータとつながることによって、シンプルに解釈できます。

(多種多様なデータと)つながることによって、類推ではないデータベースとしてご活用いただけます。また、購買や行動データだけでなく、取得したアンケートデータともつなげることができます。

広告効果・マーケティング効果がシンプルに解釈できる

今日も多少触れますが、いわゆる広告といった(ユーザーが)アクションをするデータと、購買というコンバージョンのデータが直接つながっていることも特徴です。

従来は、さまざまな数学を駆使して広告効果やマーケティング効果を見ていたと思いますが、弊社のデータの場合は、アクションされたデータと結果データがSingle IDでつながることによって、非常にシンプルに解釈できます。いわゆる文系にも耐えられるようなデータベースになっているのが特徴です。

もう少し細かく切ってお話しすると、左側のところから、人口構成比のピラミッドのようなデータになっています。ちょうど40~50代が中心層になっていますが、そこのゾーンを山場にして、各年代とも非常にボリュームを持っています。男女比でいくと、だいたい半々ぐらいですね。

右側に、20代から30~40代と年代ごとに構成比をお出ししていますが、各世代ごとにだいたい1,000万人近くのアクティブユーザーさんがいて、20代と80代に限ると7割強。40代も7割、50代も8割弱の方々にアクティブでご利用いただいています。非常に(多くの)みなさまに愛され、ご利用いただいているデータベースになっています。

かつ、やはり日々ビジネスが行われているので、左下に書いてあるように、1週間だと2,000万、月間だと3,000万〜3,600万程度の方たちが何かしらアクションをしていただいています。

いわゆる広告活動、マーケティング活動の結果がこの規模感で現れることが特徴になっています。冒頭でも触れておりますが、5,000社強のパートナーさまを通じて、みなさまのふだんの生活の中に溶け込んだ購買行動や、アクション情報をマーケティングに活用できるパートナーシップを築かせていただいています。

ユーザーの志向性から購買データまで、幅広く可視化

またここも少しマニアックなので簡単にご説明しますが、弊社のデータベースは(左側の)購買データにひもづいて、データを管理しています。つまり、みなさまがお買い物をした時にレシート情報がお手元にいくと思うのですけれども、そのレシートベースでマーケティングデータを見られることが特徴になっています。

今、たまたまクレジットカードデータとの比較で入れていますが、クレジットカードデータなどのさまざまな決済系サービスの場合は、決済するところまでは把握ができます。(さらにT会員のデータの場合は)その決済の中身がわかることが特徴だと思ってください。

あとは、みなさまもふだんお使いいただくような主立ったアライアンスパートナーがいることも大きな特徴です。

弊社のデータベースは、みなさまがふだんよく触れている情報でいくと、基本属性は当然ながら、アンケートなどでよく取得されてるような年収や家族構成といった、ライフスタイルに資する情報も多く捉えています。

あとは、「アクションスポットデータ」と称している位置情報データ。いわゆるTポイントをご利用する場所のデータも弊社のデータベースに同時に保管されるので、住んでいるところとは別に、実際に消費活動をしているエリアや時間帯がわかることが特徴になっています。

一人ひとりの人たちがどういう志向性なのかということで、さまざまな情報を統合したデータを、弊社は「顧客DNA」と呼んでいます。

衣食住遊働に関わる志向性に関しても、スコアをつけることによって、特性を紡ぎ出しています。直接的に管理するデータとは別に、連携するデータとして、Webやテレビ、電話帳、あとはマンションの構造情報や築年数、エリアの特性など。

公開されている(住宅などの)購入価格などを掛け算することによって、このエリアはこんな人たちがいるマンションが多い、といったことがわかるようなものになっております。

ネットやテレビのデータ×特定ブランドで利用者の特徴を明らかに

今までお話ししたものを概念的にまとめると、一番外の青い線に約7,000万人の枠があります。その内数に購買データやネットの連携者、あとはテレビの連携者といった、マーケティング活動に関わるさまざまな数字が展開されています。

みなさまの肌感でわかるようにまとめますと、例えば関東圏は今だいたい4,300万人ほどの人口を擁しているエリアになります。そこにT会員は約2,000万人ほどいます。

例えばビールのマーケティングをする場合に、月間のビール購買者は約84万人いますが、その中で特定のブランドでセグメントします。これはメジャーブランドでセグメントするため、約半数ぐらいになるのですが、40万人ほどの月間利用者の特徴を明らかにすることが可能です。

今日はこうした購買データを中心にお話しますが、例えばここにテレビを掛け算すると、テレビを見ていて、ブランドAというビールを買っている人たちを集めることによって、テレビ(TVCM)の影響を見ることもできます。それも1,400人規模で捕捉することが可能です。

このような大規模なデータを、ブランドまで特定して具体的に見られることが、弊社のデータの特徴になっていることをご理解いただけたかなと思います。ちなみに、今日はあまり細かくご説明しませんが、弊社のようにテレビデータと連携して、実際の購買データまでつながれるのは、業界の中でも非常に特殊な事例として評価されています。

今、(テレビと購買データが連携している方は)関東圏だと20万人ほどいます。さまざまなセグメントができるのですが、性別・年代ではない切り口(=脱デモグラ)で分解することができます。

例えば、男性30代で独身の単身世帯の人たちをフォーカスしてみようなど。ちょうど17歳から21歳の大学生ぐらいの年齢でチョコレートを買っている方たちにフォーカスして、テレビの(広告効果の)実態をつまびらかにすることができたりします。

今までのテレビは、一般の方たちもよく使うようなM1やF2というキーワードで、デモグラフィック(人口統計学的属性)で特定してきたと思いますが、弊社はデモグラフィックではなくて、マーケティングオリエンテッド(マーケティング第一主義)でテレビ(の広告効果)を見ています。

ここまでが弊社のデータベースに関するご紹介です。本日は、このデータベースを使いながら、実際に顧客を理解するためにどういうことをしたらいいのか?ということをお伝えしていこうと思います。

顧客理解を深め、ターゲット顧客層ごとに有効なアプローチを導き出す

最初はちょっと抽象的なお話から入りたいと思います。まず、「顧客理解の手法」と題しまして、今までできていたことと弊社のTポイントを含めたデータでできることの差分に関して、少しお話しさせていただきたいと思います。

これは概念図になります。昨今は、ファネル(商品を認知してから購入に至るまでの顧客の購買フェーズを図式化したもの)と呼ばれる、じょうごのような図を使ってご説明することがあるかと思います。

一番下にある、みなさまのお客さま(顧客層)に対して、(顕在層や潜在層などは)だんだんと規模が大きくなるのですが、規模が大きくなるにつれて関係性が薄まってくるという図を紹介しています。

従来は無関心層・低関心層、もしくは潜在顧客層と目された方に対して、どうマーケティングしようかなというと、明示的にアンケートを実施することで「この商品を買いたいですか?」「この商品が好きですか?」というように、マーケティングのヒントを紡ぎ出していたかと思います。

また、ID-POSもあると思うのですが、いわゆる購買結果にひもづいて、さまざまな分析ができるというところになると、「買った」という顕在的な層や、自社の商品を買ってくれた方に対して、性別・年代の情報と一緒に分析ができるので、少し深掘りができるようになってきているかと思います。

また昨今、インターネットのデータは、かなり豊富にいろんなものが使えるようになってきていると思います。ネットログによって、大枠でいくとリマーケティングやリターケティングといったかたちで、実際に1回顧客になった方たちに繰り返しいろいろなところで接点を持つ。そうしたコミュニケーションを取っていくことで、顧客理解を超えて、顧客アプローチにまでなっていると思います。

ただ、プロットしているようにどれも一長一短なところがあります。インターネットもかなりデータが出てきているのですが、どちらかというと下の層に集約されて、上の領域(無関心・低関心層)になかなかアプローチできてない。(そういった課題が)お客さま、もしくは広告主さまとお話しする時にもよく出てきます。

(T会員の方が商品などを)複数購入する場合は、Tカードを出していただくことが非常に多いので、顧客層もしくはリピート層を捕捉するだけではなく、そのデータを基にして、上の潜在層や無関心・低関心の人たちも捕捉できます。

もしくは、かなり過去に購入したり、競合商品や類似商品を買ったというところも含めて理解することによって、さまざまなところを横断的に把握することが得意なデータベースになっています。