2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
投資家が読んでいる「お金」の本、紹介します(全1記事)
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ナレーター:プロの投資家は、世の中のどんなことに注目し投資の参考にしているのか? その頭の中を覗いてみよう! 今回のテーマは、「藤野英人オススメ『お金に関する書籍』ベスト3」。数ある書籍の中で、なぜこの3冊がオススメなのでしょうか。まずは第3位。
藤野英人氏(以下、藤野):今日は私のオススメの本3冊という企画です。注目の第3位は『ピーター・リンチの株の法則』。この本が出たのが1990年より前だったと思います。上司に「これを読め」と言われたんです。当時は入社したばかりで、どんな本を読んでいいかわからないし、雲をつかむような感じでした。その時に読んだこの本がめちゃくちゃおもしろくて。
一般的には個人投資家だとウォーレン・バフェットさんとか、ジョージ・ソロスさんという方がすごく有名かと思います。でも、私にとっての最大のヒーローは、実はピーター・リンチです。アメリカで最も尊敬されている投資信託の会社の1つ、フィデリティ・インベストメンツという会社でマゼラン・ファンドという伝説のファンドを運用したスーパーファンドマネージャーです。
自分が「こんなファンドマネージャーになりたい」と思った方の1人で、かつ私が始めた「ひふみ」というファンドも、「マゼラン・ファンドのようなファンドを作りたいな」という思いで作りました。1回も会ったことがないですが、この方は私の先生になります。
ピーター・リンチさんが書いた本はたくさんあるんですが、この『ピーター・リンチの株の法則』は名著です。自分にも経験がありますが、自分が投資した会社のことを奥さんに話したら、「あなた、売り場に行ってみた? その商品、私たちはもう買ってないよ」とバカにされたと。
「そんなことない。業績も良いし、すばらしいんだ」と言ったら、そのあと業績がダメになって株価も下がってしまったと。「やっぱり妻の言うことを聞けばよかった」みたいな話なんです。
やっぱり「現場で何が起きているか?」がとても大事で、実際に会社訪問をして調査をして、良い会社に長期的に投資をすることが大きなリターンを上げる最大の秘密だということが書いてあります。運用哲学や考え方の基本になった本ですね。
ナレーター:そして第2位は、『教養としての投資』。著者は奥野一成さん。日本を代表するファンドマネージャーの1人で、藤野さんと対談もしてくれました。
(対談動画再生)
奥野一成氏:これは藤野さんとも通じるところですが、株式投資とは、その会社のオーナーになることだと思っています。「本当に良い会社というのは売り買いなんかする必要ないよね」と。
(動画再生終了)
藤野:この方は、特にアメリカ株のファンドマネージャーで、私たちからするとライバルになる人です。ライバルでかつ強敵です。そして、すばらしい成績を出しているファンドマネージャーです。
この本は何が良いのかというと、『教養としての投資』というタイトルの通りで、「投資をすることによってお金持ちになる」ということだけを書いた本ではありません。単純に「株式投資で金を儲けるんだ。アメリカ株で投資をするんだ」「奥野さんのファンドを信じて株を買いなさい。投信(投資信託)を買いなさい」という本じゃないんです。
ちょっと宣伝はありますよ(笑)。それは当然(笑)。でも、単に「自分の投信を買ってもらいたい」とか「自分の会社が成功したい」ということだけではなく、それ以上に大切な心の持ちようが書かれています。投資家的な目線で世の中のどこにチャンスがあるかを見つけて、リスクを取って、一歩そこに足を踏み出していく。
もちろん(投資家として)お金を出すこともあるかもしれませんが、(その会社に)就職するとかその会社を応援して商品を買うとかもあるかもしれません。そうやって主体的な消費者や投資家になって社会に参加する姿勢を持つと、日本がもっと素敵になるし、結果的にお金持ちになりますよということを書いた本です。とてもオススメの本になります。
(奥野氏は)投資家としては、良い意味で頑固な人です。頑固というのは、「自分の投資ポリシーをしっかり維持して曲げない」ということです。「良いビジネスモデルの会社が成長する」というのが、彼の考え方です。
単に社長が良いとか経営者が良いという話ではなく、「強固なビジネスモデルを持っている会社が成長する」という考えです。よくディズニーの話をされるわけですが、ディズニーはやっぱりミッキーマウスの力が強く、そうやって確かな力を持って世界に対してお金を稼いでいく会社に投資をしていこうよと。それが博打とかギャンブルとは違う投資のあり方なんだと、彼はよく言っています。
最後、注目の1位というか(笑)。自分の本に、自分で注目するという、これを「我田引水」というんですけど(笑)。『投資家が「お金」よりも大切にしていること』。この本は投資を1回もやったことがない人や、むしろ投資が悪だと思っている人に読んでもらってイメージを置き換えてもらいたいという本になります。
日本の教育はたくさん良いところがありますが、よくないところもあります。特に、脱却しようと思っているけれども「偏差値的な考え方から抜け出せない」ところが大きいと思います。
ある集団の中で平均が50だった場合、50以上の人が「平均以上」、50以下の人は「平均以下」ということですから、偏差値は勝ち組と負け組が絶対的に分かれる仕組みになります。必ず50以上の人と50以下の人ができるから、半分以下の人に「君は平均よりも低いよ」と知らせる仕組みになっています。
偏差値で「君はすごいよ。君はA君やB君やC君よりも頭が良い。だから君は評価される」という子を作る仕組みなわけです。実際に中学や高校や大学というのは、「君は偏差値60だから、70だから偉いよ」と言われている人たちが、良い中学や良い高校、良い大学、そして良い会社に入れる仕組みになっています。
そういう人をみなさん、考えてみてください。「俺はすごい。君より頭が良いから」。……感じ悪いですよね、めっちゃ感じ悪い人(笑)。つまり、偏差値はすごく感じが悪い人を作っているんです。でも、会社で成功する人や社会で成功する人ってどういう人でしょうか?
これは当たり前ですけど、周りの人を喜ばせた人なわけです。新しい商品や新しいサービス、お客さまや社会に対して、何か新しいアイディアがあったり新しいモノやサービスを通じて周りの人をワクワクさせた人が成功します。だからこそ教育として、もっと子どもの時から「それが大事だよ」と伝えるべきなんじゃないかと思うんです。
大事なのは、「自分が社会のために、どういう楽しいことやワクワクをさせることをできるのか?」ということ。自分主体で「世の中をどう良くしたり楽しくするのか」を考えられる人に価値があるんです。経済的に成功するだけでなく、そういう人のほうが人気者になったり人に慕われたりするわけですから、結果的にたくさん友達がいたり、良いパートナーが生まれることになります。
この本に書かれていることは、単なる投資やお金の話でもなく、社会のためにどうやって前向きなエネルギーを投下し、世の中に尽くすことができるのか。そして「それをした人が実は幸せになれる」ということを書いています。多くの人に読んでもらいたいなと思っています。
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