2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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山田裕輔氏(以下、山田):下園さん、どうもありがとうございます。それでは、質疑応答の時間に移らせていただければと思いますので、もしご質問があればしていただければと思います。先に1つだけ、事前にいただいてる質問をさせていただきます。
「(メンタル不調の予兆について)周囲はどういったサインに気をつけて見守るべきか?」という質問をいただいてるんですが、先ほど「(蓄積疲労が)2段階のところだと、表面上あまり見えない」というお話があったかと思うんですが、その中でも気をつけなきゃいけない点があればおうかがいできればと思います。
下園壮太氏(以下、下園):職場で一番わかりやすいのが、仕事ができなくなる感じがあること。それと、仕事はできていても、本人がやたら「できないんですよね」「自信がないんですよね」と言い始める。それから、イライラし始めるのは大きな兆候ですね。
仕事の指導をするのも必要かもしれませんが、そういう時はちょっと呼んで「眠れてる?」って聞いていただくといいかなと思いますね。
山田:なるほど、ありがとうございます。
(次の質問は)「躁うつの状態で、働くうえで注意することはありますか?」とのご質問です。
下園:例えば、病名に対して「これ」というの(解決策)は、実はないんですよね。その方が置かれている状況、今の症状、支援してくれる人(の有無)とか、いろんなものによって個別のアドバイスに変わっていくので、「躁うつだからこう」というのはないんですよ。申し訳ありません。この場では的確な答えを差し上げられないのが残念です。
下園:ちなみに躁うつとは何かというと、ちょっと元気な「躁」の時と、「うつ」の時が交互に訪れてくることです。これはけっこう波があって、うつ状態の時には仕事ができないんだけれども、躁状態の時にはバーッと仕事ができる。躁うつの診断を受けているということなので、その波をできるだけ抑える治療はすでにやってらっしゃると思います。
なので私に聞くよりも、そのお医者さんのほうがよく状況はわかっていると思います。今、病気で仕事をしながらというのは大変つらいことだと思うんですが、そんな中で「何がつらいのか」というテーマを、しっかりお医者さんに相談していくといいんじゃないかなと思います。
山田:ありがとうございます。もう1つご質問をいただいています。「睡眠以外で健康を保つ方法はありますか?」ということです。
下園:まずは睡眠をとってください。みなさん、すぐ「それ以外、それ以外」って言うんですが、私がいろいろやってみても睡眠が一番なんですよ。とにかく騙されたと思って、睡眠をたくさんとってみてください。
どうしてもみなさんの発想として、「正しいものがあって、それを自分は知らないだけだ」と思ってらっしゃるかもしれません。みなさんの状態も環境も変化するので、「これが重要」「これがいいよ」という科学的なエビデンスがあっても、自分に合うかはどうかわからないんですよ。だから、まずはいろいろ工夫してやってみてください。
例えば、「私が好きな食べ物は何でしょう?」と聞かれてもわからないですよね。それと同じように、まさにエビデンス系で言うと「一般的にカレーとラーメンは(好きな食べ物の)定番ですよ」ということをお伝えする。そのレベルの話として、「まずは睡眠をしっかりとる」というのが、私の経験上は一番パワーがあります。ここは個人的なお話を聞かないと、なかなかズバッとサポートできないですね。
山田:ありがとうございます。続いてご質問いただいています。「ふだんは社員の話を聞く側で、私自身のケアも気をつけているのですが、悩みを吐き出すところはなかなかありません。なにか良い方法があればご教示いただければと思います」。
下園:考え方だと思うんですが、部下の悩みを抱えたり、あるいはご自身も(役職が)上にいけばいくほど、自分の中で溜め込まなきゃいけないことがけっこうあるんですよね。この「溜め込む」というのは、「我慢」なんですよ。コロナ禍で、我慢は大変エネルギーを使うと言いました。なので、お金を払ってでもコーチングを受ける。
私のところにはエグゼクティブの方々も定期的に来て、いろいろわーっと話して、とにかく自分軸じゃないところに(悩みを)さらけ出す。私はぜんぜん経営とかのプロじゃないですが、逆にプロじゃない人に話をして、自分で整理をして、我慢しないで日々を過ごしている方はけっこういらっしゃると思ってください。
できれば、プロにお金を払ってということでもなくて、今日お話ししたように「相談をするチャンネル」を身近で増やしてください。その効果を知るためにも、まずはちょっと相談してみてほしいんですよ。
なんでもそうですが、やってみて良いのか・悪いのかを自分で感じてみてほしいんですね。「相談するとちょっと楽になるな」と実感できれば、それがツールになると思ってください。
山田:ありがとうございます。続いてのご質問は「私の場合、性格的に自分が疲れていることに気づけないケースが多く、家族に指摘されて気づくケースが多いです。自分が疲れていることに自分で気づく方法としては、どんな例があるでしょうか」ということです。
下園:それは難しいですよ。私も本当にそうなんですが、例えば入院したり長期で休むぐらいになった時に、(ようやく)そのことをすごく深刻に自分で認識するので、うつっぽくなる時の自分なりの兆候を把握することができるんです。
例えば私の場合は、背中がぐーっと張ってきて「ふー……」という呼吸をするようになってくると、「あぁ疲れてるな」とわかるんですね。昨日お話ししたある社長さんは、「吐き気と胃痛がしてくると、第1段階の下のほうにきてるなとわかる」とおっしゃっていますした。
元気なうちはなかなかわからないものなんですが、この方の場合、家族がわかってらっしゃるのはすごくありがたい話なんですよ。なので、まずは家族に(疲れている時の兆候が)どんなところかを聞いてみたらいかがですか。それが自覚できるものなのかどうかはわかりませんが、自覚できないけれども、家族に耳を傾ける。
もう少し落ちると家族の言葉も聞かなくなるので、そこは覚えておいてください。家族の言葉をちゃんと受け入れられる範囲で、いろんなことを改善していくといいと思います。
山田:ありがとうございます。時間の都合上、いったん質問はストップさせていただければと思います。下園さんもお時間がありますので、可能な限り回答していただければなと思っております。
山田:このあとまたご質問の回答はいただくんですが、本日見ていただいてる方に下園さんから一言メッセージいただければなと思います。
下園:コロナが終わっていろんなことが復活しようとする時に、実は多くの人がなかなかエンジンかけにくい状況にあるんです。でもね、それで「自分はダメだな」と思わないでください。コロナの2年間で多くの人が疲弊しているから、「俺もその影響を受けてるんだろうな」と思いながら、徐々にエンジンをかけていただければいいかなと思います。
山田:ありがとうございます。このあとも可能な限り質問に回答していきたいと思います。私どものほうでも、YouTubeチャンネル・Twitter等やっておりますので、気になる方はぜひそちらもチャンネル登録・フォローしていただければなと思います。
本当に多くの質問いただいてますので、可能な限りご回答いただきたいなと思っております。「1段階と2段階で、対応がまったく異なってきてしまうと思います。1段階目であれば何日休む、2段階目であれば何日休むなど、わかりやすい基準などはありますか?」ということです。
下園:わかりやすい基準はないんですが、みなさんが普通に過ごせていれば、だいたい1段階だと思ってください。2段階って、やっぱりどこかに無理が出てきている感じがあるんですよね。2段階のどこまで進んでいるかがわからないので、私はいつも「とりあえず3日間休んでみてよ」ということを勧めています。
仮に週休2日だったら、土日(の前後)に1日だけつければ3日間(休めます)。なぜ私が3日間と言っているかというと、軍隊が戦場に行った時に、「調子が悪くなった兵士を、まずは3日間休ませる」という施策をやったことがあるんですが、これでかなり復活したんですよ。
だから、明確なレベルや基準とかはないんですが、とりあえずまずは3日間、試してみると思っていただければと思います。
実質的には、最初の1日と最後の1日は、なかなかしっかりお休みした感じじゃないんですが、真ん中の1日でリラックスして休めたりすると、特に若い人は上がっていきます。その中で、強調してお話しした「寝倒す」ことをやっていただければ、けっこういいんじゃないでしょうか。
山田:質問をいただいて、ありがとうございます。「会社から休養を指示する場合、医師の診断書なく実施することは可能ですか? その際の基準を教えてください」。会社からのメッセージということですかね。
下園:それは会社で決めればいいことですね。実際に私はいくつかの会社をサポートしてますが、そういう会社はありますよ。それは、社内の規定と運用の話です。そして(休養を指示する)基準は、その人がどれぐらいがんばって、どれぐらい消耗したかによって、復活する見込みを私たちが立てるんです。
例えばよくあるのが、みんなが(休暇を)取るお正月休みやゴールデンウイークとかに合わせて、「もう少し休暇を与えてあげてくださいよ」とか、そんなかたちで休みをとっていただくことはありますね。
それでもやっぱり目安は欲しいと思うので、だいたいで言っておくと、若い人であれば職場から離れた自宅療養。入院とまではいかないですよ。私のケースで多いのが、自宅療養を1ヶ月やったらだいたい半分の方が帰れて、2ヶ月で7~8割の方が帰れる感じです。
山田:ありがとうございます。続きまして、「私は一昨年うつ病を発症しました。正直、メンタル的なダメージはそこまでなかったのですが、ある日突然体が動かなくなるということがあり、病気が発覚しました。精神的ではなく肉体的にくるパターンを察知するには、どうすればよいでしょうか」というご質問をいただいております。
下園:それはよくある、いわゆる「折れる」パターンなんですね。精神症状も身体症状も無視して、自分でも気づかないようにしてるんですが、3段階目にきたら「それ以上やったら体が持ちませんよ」って、体のほうが電源を入れなくなる。
下園:いろんなパターンがありますね。例えば、「パッと空を見たら青空が見えたので、会社からふらっと出て、もうそこから帰りませんでした」というパターンもありますし、「まったくその日から会社に行けなくなりました」というパターンもあります。
それは「表面飾り」と言うんですが、2段階ではまったく気がつかなくて、3段階にストンと落ちた状態です。今、この方はうつ状態なんでしたっけ?
山田:そうですね。ご本人が気づいた時には、急に起き上がれなくなっちゃったという。事前に、第1段階のフェーズで気づく方法はありますか? というご質問です。
下園:もう1回、落ちた時からの半年を振り返ってみてほしいんですね。私たちが支援する時は「経緯表」というものを作るんですが、「あなたが落ちたのは、こういうイベントでこういうところが(原因で)、これは無力感を刺激したよね」「ここはすごくエネルギーを使ったよね。でもあなたは表面飾りをしたから、ここまでは気がつかなかったんだよね」とか。
そうすると、タイミングも関係なくばーんと落ちるんですよね。もう一回、半年ぐらい前から振り返ってみると、もしかしたらなにか見えることがあるかもしれません。
山田:ありがとうございます。最後の質問の回答になってしまうかもしれないですが、申し訳ございません。「どれくらいの期間、睡眠をちゃんととると効果が現れますか」ということなんですが、どうですかね?
下園:これもやっぱり、その人の今の状態によって変わるのでなんとも言えないんですが、まずは試してみてほしいんですね。先ほど言ったように、3日間休んでもまた疲れてうまく行かなかった場合、自衛隊では今度は7日間コースをやっていました。だから、「なにをやったらOK」という数式ではなくて、試行錯誤なんです。
下園:しかも睡眠の要因だけじゃなくて、例えばプロジェクトに関わらなくてよくなったとか、あるいはみなさんのことをすごくわかってくれるお友だちが現れたとか、いろんな要因で、その時に乗っかってる負荷がふっと楽になったりします。睡眠だけじゃないんですよ。
とにかくあまり先読みをせずに、一番有効だと思われる方法からやってみて、自分でぜひ試行錯誤をしてください。ここが、みなさんが一番苦手とするところなんですよね(笑)。
プログラムだったら、プログラムしたとおりにいくと思うんですが、人間ってそんなもんじゃないんですよ。自分の体も変化しまくってるし、変数が多すぎるから読めないんです。ここが、生き方の難しいところだと思ってください。
山田:ありがとうございます。質問はまだあるんですが、お時間が過ぎているということで、今回のウェビナーは以上とさせていただけれなと思います。下園さんであったり、また別の相談できる方をみなさまにも見つけていただいて、心の健康を保っていただければなと思います。
では、本日のウェビナーは以上です。私どもはいろんなかたちでウェビナーを行っておりますので、ぜひまたご覧いただければと思います。本日は「なぜメンタルは弱くなるのか? ~本当のこころの強さとは~」ということで、下園壮太さまをお呼びして行ってまいりました。それではまた次回お会いしましょう、どうもありがとうございました。
下園:ありがとうございました。
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