反撃をするから、嫌な相手のことが頭から離れなくなる

中田有香氏(以下、中田):それではさっそく、悩みが吹き飛ぶ言葉の1つ目を見ていきましょう。まずはこちらです。「最大の仕返しは気にしないことよ」。

Tomy氏(以下、Tomy):はい。人間関係で嫌なことがあるとイライラしますよね。イライラの原因は攻撃されることにあるんです。やっぱりやり返したいと思ってしまうんですよね。

でも攻撃してきた人に攻撃し返してもキリがないし価値がないので、いちいち気にしている方が悔しいじゃんということです。攻撃されても忘れてよくて、攻撃し返さなくていいんですよ、ということを伝えたいです。

中田:なるほど。確かにやり返したくなったり蒸し返したくなったりしちゃいますよね。

書籍の他のページにあったのですが、この言葉に近いなと思ったのが、「嫌だなと思う人のことをずっと考えていると、頭の中がその人になってしまうから、考えない方がいい」でした。これにはすごく納得しました。

Tomy:結局捉われているというか、その人に自分から捕まりに行っているようなものですからね。

中田:何をされても気にしないということが、一番自分にとっていいですよね。考えすぎていること自体が相手の思うツボになってしまっていますよね。

では、次の言葉に進んでいきます。「一番多くの人に好かれる方法は、『多くの人に好かれようとしないことよ』」です。

Tomy:好かれようと思って気にしすぎると、人はぎこちなくなります。そういう人って、そんなに魅力的に思えないですよね。また、周りがギスギスして攻撃的になります。そうするとまた周りに好かれようとします。そして周りがもっとギスギスする。

本人は好かれたいだけなのですが、好かれようとするとこのように負のスパイラルに陥ってしまいます。一番大事なのは、好かれようが好かれまいが関係ないと思うことです。その方が楽だし、自分らしさが出てくるので、そんなあなたが好きな人が自然に集まってくるんじゃないでしょうか。

中田:人間はみんな八方美人になりがちというか、みんなに好かれたいと思いがちですよね。そうすると逆に上手くいかないというケースが多いですよね。

Tomy:人間って人間的なところに惹かれるので、その人間的な部分を隠すと「表面的だな」と相手に伝わってしまいすよね。

他人の意見は、だいたい「的外れ」と思いながら聞く

中田:では続いての言葉です。「人のことなんてわかりっこないから、他人の意見は基本的外れ」。

Tomy:人に言われるとその言葉に捉われちゃって、自分で「そうなのかな」と思ってしまいますよね。私自身そういうところがありまして、他の人が言ったことを過剰に気にしすぎてしまって、バランスがとれなくなってしまうんです。

人に言われたことを、まともにあれもこれも聞いても、上手くいかないことが多いんです。他人は本人のことをそんなに分からずに思い付きで言っているので、そこに捉われてしまうと、逆に本質を見失ってしまうと思います。

中田:なるほど。あまり何も考えずに言う人もいますからね、気にしすぎると良くないですね。

Tomy:そうなんです。むしろ考えないで言う人の方が多いです。

中田:そうですよね。あくまで他人事ですし。

Tomy:そうです。そこを深刻に考えすぎると、自分が自分を見失ってしまいますよという話です。

中田:「本当の私の悩みや努力も知らないくせに、言いたいことを言われるとイラっとしてしまいます」「だいたい人は批判したがるものだよね」というコメントをいただいております。

「周りの意見は気にしない。だって周りの人は私の人生に責任を取ってくれないし」というコメントもありますね。「人に言われたことが呪いみたいに頭から離れなくなる」というコメントも来ています。

Tomy:嫌な言葉ほど頭に染みつくんです。

中田:続いての言葉はこちらです。「『この先自分はどうなるんだろう』って不安は、自分だけじゃなくてみんな抱えているものよ」。

Tomy:これはけっこう診察で言われる方が多いんです。でもそれは「僕もどうなるかわかんないね」と言うと「そんなもんですかね」「そんなもんですよ」という会話をしてそのまま診察が終わります(笑)。

中田:あまり不安を感じていない人の方が少ないですよね。

Tomy:そうなんです。本質的な悩みなんて気にしなくていいんですよ、みたいな感じです。

中田:そういう悩みは抱えて自然だと考えれば楽になりますね。

さんざん悩んで結論が出ないものは、どっちでもいい

中田:では続いてまいりましょう。「自己肯定感って大切なこと。でもね、言い訳したり正当化することじゃないの」。

Tomy:某雑誌のインタビューで橋本愛さんと対談させていただいたのですが、ちょうど「自己肯定感」というのがテーマでした。けっこう話が盛り上がったんです。「自分がこれをしなくてもよくない?」と橋本さんがあっさりおっしゃっていて「そうですよね!」と思いました。

中田:さすがですね。

Tomy:そうなんですよ。なんでこんなに堂々と言えるんだろうと思って、僭越ながら「精神科医になりませんか?」とか言っちゃいました(笑)。

ただ、あまり肯定しなきゃと思いすぎると、今度は言い訳したり正当化したりしてしまうので、逆に自分を肯定できないことになってしまいます。

中田:自然にできていればいいけど、無理やりするほどではないということですね。

Tomy:そうですね。そうすると余計に闇が深くなります。肯定できていない自分を自分で表してしまうことになるので、あまりいちいち気にしなくていいですよということですね。

中田:言い訳したり正当化したりしてしまっているということは、心の奥底から自分を否定してしまっているということになりますもんね。

Tomy:その通りです。

中田:では続いてです。「人生の選択肢で悩みに悩んだらこう考えましょ。『どっちでもいい』と」。

Tomy:はい。明らかに「こっちだ」という選択肢があれば悩まないんです。さんざん悩んで結論が出ないものってどっちでもいいんですよ。サイコロを投げて決めてもいいです。

中田:どっちになっても後悔しないということですね。昔、元JUDY AND MARYのYUKIさんが「悩んだら楽しい方を選べ」と言っていました。

Tomy:はい、それでいいんです。

中田:どっちでもいいなら楽しいほうにしようということですね。

Tomy:はい、まさにそういうことですね。悩みまくったということはこれ以上悩む必要はないということです。

中田:そういうことですよね。

「癖にならないか」を心配する人は、癖にならない

中田:では続いてこちらです。「『だめな奴と思われていないか心配』。そう思うアナタは自分のことを良く振り返っているわ」。

Tomy:これは逆のことを言うと、自分のことを振り返ってだめだと思わない人の方がどうなんだろうと思いますね。いろいろ振り返ってくよくよしているということは、だいたいそこまでやらかしていないので大丈夫です。

精神科の世界だと患者さんに安定剤などのお薬を渡す時に、「これって癖になりませんか」と聞かれるのですが、そう思っている人は癖にならないので大丈夫です。

中田:なるほど。

Tomy;どっちかと言うと心配にならない人の方が怖いですよね。それの応用みたいな感じですね。

中田:そういう意味では自分でちゃんと反省しているということですよね。

Tomy:そうですね。あとはもともと石橋を叩く性格じゃないとこういうふうにならないので、だいたい自分が「だめだな」と思っていても、周りからは「真面目だな」と思われていることが多いです。

中田:この言葉もすごくハッとしました。自分がどう思われているんだろうと思った時に、自分のことをすごく振り返りますもんね。

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